こんばんは、ヴィスタリアです。
星組「シラノ・ド・ベルジュラック」のライブ配信を見ました。
独断と偏見と偏愛に満ちた感想です。
自然な流れを芝居心で自然に見せるということ
原作のあるものは見る前に読むことが多いのですが今回は間に合わず、NOW ON STAGEと星組「剣と恋と虹と」を見直したのが予習となりました。
一言で言うならテンポがよくてとてもおもしろかったです。
舞台機構も限られているのにストーリーが遮られてぶつ切りになることもなく、物語の世界へと引き込まれたのは
セリフのテンポがよくて流れが自然だからだと思いました。
流れの自然さは、2幕5場という場面の少なさだそうですが1場面ずつが長いのが気にならないことにも見えます。
なによりこのテンポのよさとナチュラルなおもしろさを生み出しているのはイシ様(轟悠)と星組生の心ある演技に他なりません。
シンプルさは誤魔化しのきかないということでもあります。
2幕のシラノとクリスチャン、クリスチャンとロクサアヌ、ロクサアヌとシラノとの二人芝居の連続で真実に迫るシーンは特に引き込まれました
芝居心のあるよいカンパニーに心からの拍手を送ります。
キャストごとの感想
◆シラノ・ド・ベルジュラック/轟悠
イシ様のギリシャ彫刻のように美しいお顔につけ鼻をしたところで美貌は美貌ですが
それよりも百面相のごとき表情の変化がおもしろかったです。
シラノは豪快な剣豪であり繊細な詩人であり、恋に純情な男でもあります。
イシ様の表情が苦笑いに歪んだり泣き笑いに崩れたり、照れてはにかんだり、こんなにも変化する役を初めて見たかもしれません。
そしてここ数年で見たお役のなかで一番好きかもしれません。
豊かな表情の中で印象的だったのは2幕の戦場に駆けつけたロクサアヌを愛おしげに見つめるものでした。
ロクサアヌの熱い言葉に心を動かされて秘密を打ち明けようと呼びかける前の声にならならい「ああ…」の切なさといったら。
声の苦しさがまったく気にならないとは言いませんし「凱旋門」を観劇したときは苦しそうだったのですが
今回は歌もよかったのでないでしょうか。
ちょっとした仕草(「ほんの少し見直した」のジェスチャーやマントの扱い方など)はやはり長年の芸を感じさせるかっこよさで
最後のシーンのふらり…と登場した立ち姿もすごかったです。
◆ロクサアヌ/小桜ほのか
もっとも印象に残ったのが小桜ほのかちゃんのロクサアヌでした。
すばらしいヒロインで、心ある芝居ができる娘役さんだとあらためて思いました。
「アルジェの男」アナ・ベルも「ロックオペラモーツァルト」アロイジアも印象的でしたが
ロクサアヌも巧くて1幕では自然な演技で笑いを誘い、2幕は切なさに胸を打たれました。
どうして気づかないんだ!?と思いはしますが、そこに疑問を感じさせないのがほのかちゃんの巧さだと思うんです。
登場したシーンのバルコニーで台詞はなかったですがちらちらと映ると表情豊かで、劇場だったらロックオンして見ていたかもしれません。
シラノ/轟悠と腰元/紫月音寧のアドリブに笑って「変わらないわね」と発する第一声が中の人の笑いなのか、ロクサアヌなのか。
自分の心を偽ることのないまっすぐなロクサアヌらしさもあって印象的でした。
また美声をたっぷり聞かせてくれる歌の数々もすばらしくて聞き惚れましたし
14年後の声の変化のさせ方の巧さと、変わらないものーー飾らない笑顔も心に残りました。
どのドレス姿も素敵でしたがバルコニーのシーンの水色のドレスが特に美しくて好きでしたし
バルコニーから入って再び出てくる度にアクセサリーを変えていたのもさすがです。
ほのかちゃんは芝居心もあり歌もうまくて娘役さんらしいかわいさと美しさも備えていて
今後の活躍を一層楽しみにしています。応援しています。
◆クリスチャン/瀬央ゆりあ
幕開きにソロがありますが歌唱がとても、格段によくなっていると思いました。
星組さんを観る度にせおっちの進化をずっと見続けているような気がします。
金髪の長髪に銀色のお衣装がお似合いで、「寝顔まで色男」と言われるのも納得の美青年ぶりです。
鼻にまつまる悪態ならいくらでも口を衝いて出るのに恋をささやく言葉はからっきしで
バルコニーの場面での直情しか知らない恋の言葉、シラノに助けてもらうところは自然と笑わせてくれました。
銀色の手袋が印象的ですが2幕ではその手袋を取っていて手の美しさにはっとしました。
ロクサアヌの真実を告げる熱い告白に呆然となり手が震えるところも印象的で、シラノとの2人のやりとりには揺さぶられました。
フィナーレの青✕黒に金髪のお姿も美麗で歌もよかったですし
娘役さんと組んでお顔をくしゃっとさせるように笑ってからの流し目になった瞬間は色気が爆発していてクラクラしました。
◆ド・ギッシュ伯爵/天寿光希
「ドクトル・ジバゴ」コマロフスキー役でもいやらしい役を存分に演じておいででしたがこの手の役はお手の物で
舞台がぐっと引き締まる存在感でした。
幕開きのバルコニーでロクサアヌの手を取り口づけるねっっとり具合がうまいですねえ。
みっきぃさんの美しいお顔にちょんとついた髭(特に顎先のやつ)もビッチリと整えた髪もまた伯爵のいやらしさを演出しています。
東京では「ピガール狂騒曲」でれいこちゃん(月城かなと)がロングトーンを披露していますが
みっきぃさんの「ロクサーーーーヌ」にも拍手が湧いていました。
◆リニエール/朝水りょう
ああ、なんてかっこいい~。
ヴィスタリアは朝水りょうくんのお顔が大好きなんです。
タカラヅカニュースで初日の映像を見たときから楽しみにしていました。
ゆるくウェーブした黒髪に顎に不精髭。ブルーグレイの着崩したラフな衣装もとてもかっこよかったです。
◆ラグノオ/極美慎
詩を愛する菓子職人という一風う変わったキャラクターで、ナンバーも多くて輝いていたました。
美しくてスタイルがよくて映像でも眩しいくらいです。
歌が進化されて歌唱もよかったですしオーラといいますが「やるぞ!」というエネルギーが迸っているのを感じました。
フィナーレとカーテンコール
フィナーレがあるのもうれしいです。
せおっちの歌唱指導からがブルーブラックのドレスの娘役と
青年隊のお衣装の男役さんが踊るシーンは目がいくつ合っても足りません。
男役群舞になるとみっきぃさんの男役としての見せ方、色気と美しさに自然と目が吸い寄せられます。
また大好きなカブちゃん(朝水りょう)もかっこよくて目で追ってしまい
カメラアングルが変わるもどかしさにジタバタしていました。
先日スカイステージで放映されたDream Timeでゲストのみっきぃさんからウィンクのご指導がありましたが
かりんちゃん(極美慎)がセンターでウィンクをバーン!と決めていたのが最高でした。
デュエットダンスも素敵で、ほのかちゃんがフェアリーでプリンセスで
夢を見させてもらいました。
イシ様がこれほど踊るのを見るのはいつ以来でしょう。
カーテンコールは役柄に戻ってなのが生徒さんたちの工夫が見られて楽しかったです。
ここでもカブちゃんがお辞儀をしたあと濃い視線を残していったのにぐっときました。
イシ様のご挨拶はシンプルな言葉に思いが込められたものでした。
早いもので今年も2週間あまりとなりました。
また新しい年がやってまいます。
来年も宝塚歌劇を応援してくださいますよう心からお願いを申し上げます。(2回目)この公演から組長に就任されました美稀千種さんを始めとする星組も何卒お願いいたします。
3回目のカーテンコールはイシ様の音頭で全員が「ありがとうございました」と声を揃え
4回目はスタンディングオベーションの客席にフランス語でお礼の声を揃えての終演となりました。
恒例の儀式がある組やオリジナリティあふれるご挨拶も楽しいものですがこういうシンプルな形のカーテンコールも粋ですっきりとしていていいなと思いました。
残念ながら観劇することは叶いませんでしたがライブ配信で楽しめて大満足な「シラノ・ド・ベルジュラック」でした。
ブラボー!!
読んでいただきありがとうございました。
はげみになりますので応援していただたらうれしいです。
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