こんばんは、ヴィスタリアです。
雪組「CIY HUNTER」を観劇しました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容、役のプロフィールに触れています。
目次
「CITY HUNTER」と宝塚歌劇のマリアージュはできたか
「CITY HUNTER」の舞台化が発表になったときは驚き、少年漫画というよりは青年漫画寄りのネタが宝塚歌劇に合うのか疑問にも感じました。
そして自分は齋藤吉正先生の作品で首をひねることが多いので不安も感じていたのですが(お好きな方ごめんなさい)、
蓋を開けてみれば今回はひとまずよい演出でほっとしました。
原作の世界観や定番のネタを活かしつつ宝塚歌劇として成立していたのは一つの収穫だと思います。
舞台中央に据えられたスクリーンに開演前に映される映像も原作へのリスペクトを感じました。
うまく撮るの難しい〜💦とカメラの設定を弄ったりしてあたふたしている初日です。 pic.twitter.com/y3ciatfPCj
— ヴィスタリア@聞いてちょうだいこんなヅカバナ (@zukabana_vis) October 2, 2021
ヴィスタリアの写真の腕がひどすぎてわかりにくいですが、画面上部と下部に飛んでいるヤツが肝です。
このスクリーンは作中でも多用されていて、1989年の新宿が舞台ということで当時の世俗ネタ(「ベルサイユのばら」日向薫主演の広告など当時の宝塚歌劇も)、
現在の新宿駅の駅ビルLUMINEの前身である懐かしのMY CITYをもじってYOUR CITYというクレジットが入っていたりかなり凝っていました。
YOUR CITYはMY CITYを知らないとわからない方も多いのでは…。
他にも当時を知らないとついていけない小ネタは台詞のあちこちにちりばめられていて、
もう少し客観性があった方がいいのでは?と思いました。
それだけ斎藤先生のこだわり、思い入れの強いのだと思うと「それもまた演出家の仕事…なのかな…」とほだされなくもありません。
ただ「I AM FROM AUSTRIA」のマッチョ・マッチョの場面でも感じたことですが、
生徒さんご本人がパフォーマンスしているときにご本人の映像を映すのは過多、過剰な気がして、これは減らしてほしいのが正直なところです。
エピソードがぎゅうぎゅうに詰め込まれているので中盤の転換は慌ただしい気もしましたが、その分登場する役が多くて雪組生が原作の世界観を背景にキャラクターを際立たせて存在しているので
舞台のあっちもこっちもかっこいいとかわいいで目がいくつあっても足りませんでした。
ちなみに自分は原作の漫画を予習してから観たい気持ちもありながら現実にはなかなかそうもいかず、
子どものころに見ていたアニメの遠い記憶だけが予習になりました。
夕方は「CITY HUNTER」か「キャッツアイ」が放映されていてよく見ていたのでキャラクターや世界観はなんとなく覚えています。
予備知識はその程度でしたが、雪組生が原作のキャラクターたちを宝塚歌劇の舞台に生き生きと息づいていることにプロローグから感動していました。
指揮は御崎恵先生で、前回御崎先生がタクトを振った宙組「アナスタシア」は録音演奏でしたから、今回は生オーケストラで指揮をされているのもうれしかったです。
幕が開いてからしばらくしてある開演アナウンスではとってもキュートな御崎先生を見ることができます。
雪組を愛するブロガー様に教えていただいて2回目で見ることができました。
冴羽獠/彩風咲奈
これがお披露目本公演であるさきちゃん(彩風咲奈)、とってもとってもかっこよかったです。
そして思っていた以上に冴羽獠で、立ち方や走り方はもちろん、コミカルな跳ね方や逃げ方なども冴羽獠でした。
ふざけているときの一人称「リョウちゃん」がはまっていて「そうそう、冴羽獠ってこんな感じでおちゃらけるんだよね」と心の中で深くうなずきながら見ていました。
華奢なはずなのにトレードマークのようなジャケットに着古した感のあるシャツ、パンツスタイルが冴羽獠になりきっていて、ものすごく研究されたんだろうなあと思いました。
アニメのエンディングテーマだった「GET WILD」を踊りつつ歌いながら銀橋を渡るさきちゃん、孤独と色気と男気が滲んでいてとってもかっこよかったです。
またパートナーの槇村香/朝月希和が自分の元を離れてしまうかもしれない、しかし自分はハッピーエンドを約束することもできない――と葛藤しながら歌う「STILL LOVE HER(失われた風景)」も切なくて引き込まれました。
発表になったときは想像がつかなかったですが、さきちゃんならではの宝塚歌劇のシティーハンターを見せてくれました。
槇村香/朝月希和とアルマ王女/夢白あや
槇村香は宝塚歌劇では異色のヒロインでしょう。
一人称は「俺」、衣装もパジャマにデニムにスニーカー、冴羽獠/彩風咲奈がハッスルすればハンマーを振り上げる――でもきわちゃん(朝月希和)の槇村香はキュートでチャーミングでした。
この衣装が着こなせるのもさすがですし、ポスターでも使われているお衣装が特にかわいいです。
きわちゃんは花組時代にヒロインを演じた「マスカレード・ホテル」もふつうのヒロインとは一線を画する役で、
仕事にプライドを持つ者同士として主演のあきらさん(瀬戸かずや)と真っ向から対立するヒロインでした。
上級生だからこそそういう凛とした強さ、プライドのあるヒロインを任せられるのかもしれません。
きわちゃんの香はそんな異色のヒロインでありながら獠への想いは伝わってきますしラストシーンに向かって最大限にときめかせてくれました。
一方物語が進んで行く中でもう一人のヒロインのようだなあと思ったのがアルマ王女/夢白あやです。
幼いころに助けてくれた冴羽獠を慕い、日本に来てドライブデートをしたり、背のびをして口づけたり、王道のストーリーが展開します。
夢白あやちゃんは黒髪にエキゾチックなお衣装がお似合いで美しかったです。
ミック・エンジェル/朝美絢
金髪にブルーグレイのアイシャドウ、カラーコンタクト、あーさ(朝美絢)の美貌が輝くばかりのミック・エンジェルです。
かっこいい…!
ストライプのスーツは凝った、変わったデザインだと思うのですがさらりとお似合いです。
そしてかっこいいだけでなくちょっと風変わりな日本語を使うコミカルなアサミックが魅力的でしたし、余裕を持って楽しんでいるように感じました。
それがまたこれまでと違うあーさの魅力に触れたように思いました。
冴羽獠/彩風咲奈のライバルという役どころだけでなく出番の多さや歌いながらの銀橋渡りなど、あーさが2番手スターになったんだなあとしみじみ実感しました。
銀橋から2階席を見渡す視線の強さを目撃してまいりました。かっこいい…!
あらためて2番手スターのあーさを見られてうれしいです。
おめでとうございます!
槇村秀幸/綾凰華
長髪に大きなサングラス、トレンチコートがとってもかっこいいあやなちゃんの槇村秀幸です。
槇村秀幸は男性陣の中では一番1989年を感じるファッションのように思いますが、その再現性といいかっこよさといい最高ですし、
包容力と優しさがとても自然に伝わってきていい男だなあと思いました。
後半キレキレのダンスを披露してくれる場面もあってめちゃくちゃかっこよかったです。
原作ではわりと最初の方で亡くなってしまうキャラクターなのでどのようにストーリーに絡んでくるのか気になっていました。
蓋を開けて見ればストーリーテラー的であり幽霊でもあり、漫画を舞台化する処理のよさもあってあやなちゃんの出番もちゃんとあってよかったです。
最後の最後で愛する野上冴子/彩みちるとの邂逅が実現するのもまた然りです。
海坊主/縣千と美樹/星南のぞみ
トップコンビとは違う形の恋人同士、パートナーのお2人です。
◆海坊主/縣千
海坊主(伊集院隼人)/縣千はポスターからインパクト大でしたが、舞台でもちゃんと筋骨隆々の大男に見えました。
いろいろ工夫と研究をされているのでしょう。
ショーでのあがたくん(縣千)の細さに一体どうなっているの!?と目が錯覚を起こしそうでした。
苦手な猫に大騒ぎしたり、皿を割ったりのドタバタも楽しく笑えましたし、武器をかついで乗り込んでいく姿はかっこよかったです。
サングラスを外して端正な美貌が見られるシーンがあるのもうれしいです。
◆美樹/星南のぞみ
この公演でご卒業されるりさちゃん(星南のぞみ)。
寂しくなります。
最後のお役が相手役のある役だとうれしくなるのは主演コンビ以外で相手役のいることはなかなか無いからでしょう。
ロングヘアに泣きボクロがセクシーで、真っすぐに熱く海坊主を愛しているのにときめき、また何もかもを覚悟して共にいる気概がかっこよかったです。
また海坊主や冴羽獠、槇村香のことを見つける大人びた、見守るような表情がとても印象的でした。
キャラを生きる99期 野上冴子/彩みちる・冬野葉子/野々花ひまり・政/諏訪さき
キャラクターを活き活きと息づかせていてつい目で追いがちな99期の3人でした。
雪組の99期3人はそれぞれがスターとして活躍しており実力もあって頼もしいですが、彩みちるちゃんの組替えで3人が同じ舞台に立つのはこれが最後と思うと寂しさもあります。
◆野上冴子/彩みちる
セクシーさを売りに冴羽獠に仕事を依頼するのですが、巧いなあと思いました。
芝居はもちろんのこと胸の谷間の不自然さのない描き方もハイヒールの立ち方も。
花組「CASANOVA」のコンデュルメル夫人/鳳月杏の立ち方、重心の置き方に手足の長~~~い女性モデルならではのものがあってはっとしたのを覚えているのですが、
みちるちゃんの立ち方、重心の置き方もハイヒールでミニスカートの野上冴子というキャラクターらしさ、リアリティを感じたんです。
この公演を最後に月組へ組替えされますが芝居の相性もよさそうですしご活躍を楽しみにしています。
◆冬野葉子/野々花ひまり
きゃぴきゃぴ(死語かもしれませんが作品世界にはぴったりでしょう)な、元気がよくて勢いのある女の子を思い切り演じています。
「シティハンター様♡」と彼女にとっては正体不明のシティハンターを追いかけるガッツがあって、フリージャーナリストという仕事もバイタリティを持ってこなしているのでは…と思わせてくれました。
台詞の声がいままでよりも綺麗になったように感じました。
◆政/諏訪さき
冬野葉子/野々花ひまりに思いを寄せていて、真剣なのが伝わってくると同時に笑いを誘いますし応援したくなります。
一緒にいる場面も多いのですが2人とも衣装が「これしかない」というくらい役に合っていて、しゅわっちはスカジャンが似合いすぎです。
シリアスな芝居が似合う男役さんというイメージを(勝手に)抱いていましたがコミカルな演技も好きだなあと思いました。
その他の役たち
一言ずつですが触れさせてください。
◆小林豊/彩海せら
鬱屈した思いを抱えた少年なのですが、その陰の部分と後半で見せる素直さのギャップ、滑舌のよさに前トップスターののぞ様(望海風斗)を感じました。
すらりとスタイルがよくて走っていると「スタイルよすぎる…!」と目を瞠りました。
◆海原神/夏美よう
悪い色気が凝縮されていてかっこよかったです。
急きょ休演となったじゅんこさん(英真なおき)の代役ですが、このどろりと濃い色気ははっちさん(夏美よう)ならではだなあと見入りました。
◆伏見劔/久城あす
「炎のボレロ」のときにも思いましたがあすくんの悪役は絶品ですね。
悪役として押さえてほしいツボをちょうどいい強弱で押さえてくれるのがたまりません。
悪役らしいスーツの着こなし、ポケットに手を入れて立つ姿のなんとかっこいいことか。
劔会の強面の面々がずらりと並ぶ姿もかっこよくて大興奮でした。
ほかにも北尾警視正/眞ノ宮るいの線の細さ、うさん臭さ(役としてですよ。褒めています)、
野上麗華/希良々うみのセクシーさ(特に軍帽✕パンツスタイル)も印象的でした。
またねこまんまの猫ちゃんに扮した娘役さんたちもかわいくて歌うまで、
あっちを見てもこっちを見ても雪組生のかっこいいとかわいいでいっぱいで目がいくつあっても足りませんでした。
あんまり楽しくてチケットを追加したので次は見切れなかった部分を楽しみたいと思います。
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