観劇の感想

「出島小宇宙戦争」充実のキャストたちの感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

月組「出島小宇宙戦争」のキャストごとの感想です。

例によってヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちており、作品の内容に触れています。

1回限りの観劇でしたし、Brillia HALLの3階席で舞台が遥か遠かった上に手すりによる見切れとの戦いのなかでの観劇だったので気がついていないこともありかと思います。

カゲヤス/鳳月杏

花組から月組に戻ってこられたちなつさん
ちなつさん主演の舞台を見るのはこれが初めてです。

ちなつさん男役として最高にかっこよくて、見せ方、存在の仕方に美学があって、主演者としてはもちろんのこと男役としてのすばらしい方であることを実感しました。

芝居よし、歌よし、ダンスよし。個性も存在感もある。
満を辞しての主演であることを思うと胸がいっぱいになりました。

飄々としていてどこか受け身でありながら忘れられない過去の過ちをずっと心に刻んでいるカゲヤス

タキ/海乃美月とのやり取りは甘酸っぱくてときめきましたし、別れ際のシーンもあえてあっさり…なのがこの作品、カゲヤスらしくてよかったです。
(フィナーレのデュエットダンスとのギャップと繋がりがこれまたよいのです。)

タダタカ/光月るうとの芝居が多かったのもうれしく、また見応えがありました。

今回ちなつさんが真ん中に立つ舞台を見て、芸達者な得がたい男役さんだからこそ、もっと複雑な人物、男役の粋を凝縮したような役をぜひ見てみたいです。

たとえば「仮面のロマネスク」のヴァルモン子爵とか「ダル・レークの恋」のラッチマン大尉とか最高にかっこいいと思うのです。

タキ(カグヤ)海乃美月

うみちゃん、なんていい娘役さん、ヒロインなんでしょう。

まず宝塚の娘役としての美しさうみちゃんの華やかなメイク、優雅な仕草、品のある立ち居振る舞い、衣裳の着こなし、すべてに凝縮されています。

特にこの1年「アンナ・カレーニナ」のアンナから始まって大輪の花のような存在感、ヒロイン度が増していると感じます。

タキは軽く巻いたプラチナブロンドを色とりどりの着物風の衣裳に調和させていて、艶やかでどこか魔性の魅力を感じさせてくれました。

謎めいている方が魅力的で惹きつけられるとはこういう女性をいうのだ、と思いましたし、
一方でタダタカ/光月るうとのやりとりは少女のような透明感があって、爽やかで、心が洗われるようでした。

カゲヤス/鳳月杏との並びの美しさ、たしかな実力と経験に裏打ちされた芝居には引き込まれました。

「I AM FROM AUSTRIA」では50代の辣腕ホテル社長としてバリキャリな女性を演じていたのが今回はふしぎなバックボーンを持つタキという役に息吹を吹き込んで、
演技力の確かさもすばらしいものだとあらためて感じました。

うみちゃんは3年連続で外箱作品でヒロインをつとめています。
れいこちゃん(月城かなと)主演の「THE LAST PARTY」。
美弥るりかちゃん主演の「アンナ・カレーニナ」。
そして今回の「出島小宇宙戦争」。

いずれもヒロインの重責を果たしていますが、いずれの男役さんと組んでも並びが美しく、夢を見させてくれたのはすごいことではないでしょうか。

れいこちゃんるりかちゃんちなつさんもタイプの異なる男役さんなのに、です。

これからもうみちゃんにふさわしい活躍の場があってほしいです。

リンゾウ/暁千星

先日「I AM FROM AUSTRIA」で月組デビューを果たした母(ライトなヅカファン)に感想を聞く機会がありました。

母が「サッカー選手の男役さん、目立つわねえ。スタイルもオーラもすごくて」と言ってくれてうれしくなったのですが、
ヴィスタリアは「夢現無双」の婀娜っぽい吉岡清十郎様、「I AM FROM AUSTRIA」で体を鍛え上げ身体能力の高さをこれでもかと見せてくれたパブロ・ガルシアと好演が続いているありちゃんがとっても気になっています。

清十郎様の長髪といいパブロの刈り上げといい、ありちゃんのヘアスタイル、すばらしいスタイルと鍛えた身体で着こなす衣裳を毎回楽しみにしているのですが、
今回のリンゾウは赤茶色のアイヌ民族の衣裳にうんと高く結ったポニーテールがとても似合っていました。

襟の高い深紅のロングコートもかっこよかったです。

まるで少年漫画の登場人物が抜け出てきたようなルックスのリンゾウですが、キャラクターもまさにそうで、
隠密になったこと、ヌイノスケ/英かおととのやり取りなどロマンとドラマがある人物をありちゃんは自然体で演じていました。

芝居・歌・ダンスとなんでもできてオーラもあるありちゃんですが、
今回のリンゾウを見て男の友情もの、バディものなども似合いそうだなと思いました。

シーボルト/風間柚乃

舞台を見ていると、ぶっとんだところのある極端な役の方が作りやすいかもしれないけれど、巧い下手が出やすいと思うことがあります。

シーボルトはぶっとんだところのある役で、まず外見からしてエルフのような尖った耳に赤い髪に青い瞳というエキセントリックさです。

おだちんはそんなシーボルトをやりすぎることなくいい塩梅でぶっとんでいて、独特の存在感の出し方に傑出した芝居の巧さがあって舌を巻きましした。

薄気味悪さもちゃんとあって(褒めています)、特に「地図…地図…」と美しきへレーネ/蘭世惠翔に陶然とするところが印象に残りました。

おだちんは押し出しもよく滑舌もよく、喋れば空気を一変させる力がありましたし、肩の力を抜いた自然体の余裕さえ感じました。

これでまだ100期生なのですから将来どんな舞台人、男役さんに成長されるのか、とてつもない可能性を感じます。

タダタカ/光月るう

江戸時代の話でタダタカとくれば伊能忠敬だとピンと来なかったのが恥ずかしいです。

我らがセクシー組長、いいお役でした。
豪放磊落、自由奔放、呵呵大笑。そんなタダタカをるうさんがすごく楽しそうに演じているのに頬が緩みました。

若かりしカゲヤス/蘭尚樹若かりしリンゾウ/柊木絢斗に喧嘩を仕掛けるあたりなどは本当に楽しそうでした。

カゲヤス/鳳月杏との芝居も渋くて見応えがありましたが、タキ/海乃美月との淡いタッチで描かれるストーリーがたまらなかったです。

本公演ではトップコンビが恋愛関係になりますから、これほどしっかり描かれるのは珍しいこともあって、思わずにやけそうになりました。

これまで見たるうさんの役のなかで一番好きかもしれません。

その他の配役

一言ずつですが触れさせてください。

◆ツクヨミ/梨花ますみ
ヘアメイクがすごいです。
それが違和感なく似合うみとさん、さすがですし、この世のものではない摩訶不思議な存在感がありました。

アルテミス/菜々野ありセレネ/詩ちづるを従えていますが、この2人も同じように目元がキラキラとした、色のない(という表現でいいんでしょうか)メイクをしています。

2人のうさぎちゃん、キュートでした。

◆タダアキラ/紫門ゆりや
「ON THE TOWN」「I AM FROM AUSTRAI」と警官役が続いているゆりちゃん、今回は将軍家の老中という役どころです。

いずれにせよ体制側なのはゆりちゃんがロイヤルだからでしょうか。
体制側とはいえ軽妙さのある老中でした。

赤い隈取りのメイクにはびっくりしました。

ゆりちゃんの着物姿も軍服姿に散切り頭も見られて1度で2度オイシイです。

◆ヌイノスケ/英かおと
こちらは青い隈取りのメイクでさらにびっくり!でした。

腹に一物あるのですが、この一物を出してからのリンゾウ/暁千星とのやり取りが見ごたえがありました。

「アンナ・カレーニナ」のエリート将校セルプホフスコイのときは肩に力が入っているかな?と思ったこともあったのですが、
「I AM FROM AUSTRIA」新人公演主演を経て、力みが抜けたように感じました。

散切り頭になるとお顔の小ささ、スタイルのよさが際立ちました。また荒っぽい雰囲気が似合っていました。

◆若かりしカゲヤス/蘭尚樹
ピュアな少年らしさがまおまおの透明感にぴったりでした。

「I AM FROM AUSTRIA」に続いてちなつさんの若き日の役を演じておりこのときはダンスで丁寧に表現をしていましたが、
今回はセリフ・出番も多かったです。

特にタダタカ/光月るうとの最後の場面は切なくて泣けました。

◆へレーネ/蘭世惠翔
メイド服で日本刀を持った姿が強く印象に残りました。

◆デジミ/白雪さち花、デジハル/春海ゆう、デジゾウ/佳城葵
狂言回し的なお3方ですが、滑舌よし、歌よしで安定感抜群でした。

特にやすくん(佳城葵)は月組の舞台で毎回楽しみにしているんです。
「オーシャンズ11」ライナスもビックリ?!のカリフラワー風なヘアスタイルでした。

そうそう、シゲカタ/朝霧真の黒髪長髪、フィナーレの黒燕尾でのハーフアップが大変お似合いですばらしかったことも忘れてはなりません。

ちなうみはじめ月組生が大活躍で目が足りない舞台でした。
月組バンザイ!!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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