おはようございます。ヴィスタリアです。
今日は宙組「プロミセス、プロミセス」の大千秋楽ですね。
千秋楽おめでとうございます!
記事にするのが遅くなってしまいましたが先日観劇してきました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
ハコの欠点をカバーする力量 芹香斗亜と装置
宙組「プロミセス、プロミセス」は著作権の関係で円盤の発売もライブ配信なども無い上にチケ難公演で、自力ではチケットを取ることができませんでした。
観劇を諦めかけていたところありがたいことにチケットをお譲りいただけてでどうにかこの目で見ることが叶いました。
Brillia HALLは舞台が遠く感じたり、手すりで見切れが発生したり音響がよくなかったり、
自分の体験からも評判からもどんなにいい作品でも会場がBrillia HALLだと不安になる劇場というのが正直なところです。
これまで3階席で手すりと戦ってきましたが今回は2階上手のバルコニー席からの観劇で、
前の席の方の頭で上手袖のあたりが一部が見切れるものの(これは他の劇場でもあることですから)Brillia HALLならではの見にくさなどは感じませんでした。
すぐ隣が壁なのでセット転換(と思われる)音が響くのではないか?と不安だったのですがそれもほとんどなく、わりとストレスフリーで観劇できました。
これについては松井るみ先生のセットが劇場の弱点をカバーするように非常によく工夫されていたことがに大きいです。
回りながらアパートに、オフィスに、エレベーターに、バーにチャイニーズレストランに展開していく舞台装置はほとんどずっと舞台にあるので
あまり音が気にならなかったのではないかと思います。
生徒さんがセットを持ち運んだりしているのも別箱らしいなあと思いました。
またこの舞台装置が3段重ねのプレゼントボックスのようになっていて高さを持たせることで
上の方の席からも見やすいものになっていました。
Brillia HALLの弱点(と、はっきり書きます)をハード面でカバーしたのが装置なら
ソフト面でカバーしたのがキキちゃん(芹香斗亜)の軽妙かつ楽しい客席への語りかけでした。
チャック・バクスター/芹香斗亜の妄想と現実を行き来し、舞台という虚構と客席という現実の橋渡しをすることで
客席も舞台の欠くことのできない一部とし、舞台と客席を同じ世界として繋ぐことに成功していたと感じました。
中にはっきりと3階席へ向けられた視線と語りかけもあって、3階席は特に舞台が遠く感じられるのを体験しているからこそうれしくなりました。
「プロミセス、プロミセス」の脚本がこのようになっているのか原田諒先生のアイデアなのかは不明ですが
とてもよい工夫だと思いました。
同時にその軽やかで時にクスリと笑わせてくれるキキちゃんの役とストーリーテラーを自由自在に行ったり来たりする力量がすばらしかったです。
アドリブがお上手なのとは違うコミカルさ、軽さが心地よかったです。
台詞は膨大で出ずっぱり、演じつつストーリーテラーもしつつ、もちろんナンバーもたくさんあって、劇場中に声を響かせていました。
1幕最初の方のソロで歌い上げたときにキキちゃんの声に圧倒されましたし、
物語の最後の方で3段重ねのセットを登りあがら歌う一大決心、”約束”をするソロはチャックの気持ちが伝わってきて涙させられました。
軽妙さはもちろん、この作品の大切なメッセージが込められている歌唱で、これほど心が動かされるのはキキちゃんの芝居あってでしょう。
泣くような作品ではないのかもしれませんし、公演解説にある通りしていることは不貞や逢引きですから愚かさに後悔するようなことも描かれていますが、
この歌唱からラストシーンにかけて泣かされました。
キキちゃんは細身の長身にスーツがお似合いでかっこよかったです。
「オーシャンズ11」ラスティーのときも洒落者でしたが、キキちゃんはふつうではありえない、舞台衣装ならではの色使いや素材のスーツもかっこよく着こなせる男役さんですね。
チャックは役どころとしては平凡なサラリーマンですがそれでもかっこいいんです。
キキちゃんは本公演を見れば2番手としてゆりかさん(真風涼帆)と息ぴったり、
こうして主演公演を見れば力量と余裕を感じ、できれば本公演で主演するところが見てみたい…と思っています。
宙組「プロミセス、プロミセス」役ごとの感想
チャック・バクスター/芹香斗亜については書きましたのでそれ以外の役の感想です。
◆フラン・クーベリック/天彩峰里
演技も歌も上手なじゅっちゃん(天彩峰里)のヒロインをこの目で見るのは「群盗」以来です。
思えば「群盗」もキキじゅりでした。
「群盗」のお嬢様的なヒロイン アマーリアから「夢千鳥」の艶やかさと迫力のあるヒロイン2役から
今回の社内のエグゼクティブに思いを寄せてしまうフランから自然に演じ、伸びやかに歌っています。
フランがしていることは後から思えば悔いたり愚かに思えることなのかもしれませんが、
してはいけない恋に傷ついたり恋敵に真実をつきつけられて動揺しているときの演技がかわいくていじらしくてキュンとしました。
フランは(していることはさておき)いい子なんだなあと、チャック/芹香斗亜が一所懸命客席に説明しなくてもわかる…と思わせてくれました。
カラフルなお衣装にハイヒールに真っ赤なネイル、この時代らしいヘアスタイルもキュートでした。
◆J・D・シェルドレイク/和希そら
チャック/芹香斗亜の勤め先の重役4人たちよりも上の立場であることがそらくんの鷹揚さ、時に見せる横柄さ、雰囲気が仕草から伝わってきました。
エグゼクティブってこういう人を言うのね、と自然と思いましたし、チャック/芹香斗亜やフラン/天彩峰里よりもちゃんと(かなり)年上の男性であることもとても自然に伝わってきました。
本当にそらくんは芝居も歌もダンスも巧いと見る度に思います。
うんといいスーツをパリッと着こなすそらくん、髪型もいつもより低めに響かせる声も歌声もかっこよかったです。
カフスや黒い革の大きなフェイスの腕時計、左薬指などのアクセサリー類が見えるのも楽しかったです。
別箱2番手として堂々たる存在感と実力でした。
そらくんを次に舞台で拝見するときは雪組生になられています。雪組での活躍も大いに期待しています!
◆ドクター・ドレファス/輝月ゆうま
専科としてのまゆぽん(輝月ゆうま)の初めての公演です。
まゆぽん、おめでとうございます。
アメリカの映画やドラマにこういうオジサマっているいる!というキャラクターであり、それが巧いのなんのって。
思わずクスリとさせられますし、ラストシーンではいい味を出していて心がじんわり温かくなりました。
オジサマとしての髭や眼鏡✕セーター✕ズボンというヴィジュアルも完璧かつ長身が舞台映えします。
これから各組で活躍されることでしょう。
◆カール・クーベリック、マージ・マクドゥーガル/留依蒔世
あられちゃん(愛海ひかる)の休演でマージ・マクドゥーガルの代役に入ったのがるいくん(留依蒔世)でした。
これがものすごいインパクトで大迫力、かといってやりすぎ、出すぎになることなく、笑えるけれどわざとらしさもなく、絶妙なバランスで存在感を発揮していました。
あまりのすごさにマージが退場するとき自然と拍手が起きていました。
るいくんは男役ですけれど「エリザベート」のゾフィが見てみたい…と思いました。
フランの兄カールはガラリと変わってリーゼントの男役で、キキちゃんとアドリブを入れつつ演じていました。
るいくんがマージという役を得て見られたことはうれしく、
やりがいのある役でもあるのであられちゃんの休演が残念でもあり複雑な気持ちです。
◆ミス・オルスン/瀬戸花まり
ツンツンした演技がお上手でした。
グラスが空になったとき「アルコール注入しなくちゃ」と言った言葉遣いが酒飲みだな…と思いましたし、
リアルな巧さを感じました。
◆ジェシー・ヴァンダーホフ/紫藤りゅう
チャック/芹香斗亜にアパートの鍵を借りる重役4人のうちの1人です。
どーしようもない人物なのですが、るりこちゃん(紫藤りゅう)は星組「ロックオペラモーツァルト」といい、こういう様子のおかしいキャラクターを演じるとき最高に生き生きしますね。
デフォルメ感とるりこちゃんのきらっきらの端正な美貌、長身とのギャップがたまりません。
今回るりこちゃんがいると楽しくてオペラグラスで追いかけがちでした。
宙組生の美しい歌声に彩られた楽しい作品でした。
フィナーレはないもののクリスマス、年末に向かってストーリーが進んでいくこともあって今の季節にぴったりで、
素敵なクリスマスプレゼントをもらったような幸せな気持ちで劇場を後にしました。
宝塚歌劇ってすばらしい!
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