こんにちは、ヴィスタリアです。
いつも宝塚歌劇のことばかり書いていますが今日は歌舞伎のことを書きます。
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第三部「弥次喜多流離譚(やじきたリターンズ)」の初日を見てきました。
ビギナーなりに歌舞伎を楽しんでいるヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
歌舞伎座「弥次喜多流離譚」初日の感想
相次ぐ公演中止で手持ちのチケットが次々と泡と消える中で劇場の空気を吸わせてくれ!、
そして楽しい、パーッと晴れやかな気持ちにさせてくれ!という衝動を抑えきれなくなって直前にチケットを取りました。
歌舞伎俳優さんたちのSNSを見るとお稽古も順調そうだし、公演時間も発表になったし、これは初日の幕が上がりそうだな…という安心感もありました。
第7波の感染拡大の中で、上演の直前に開場してからの公演中止ということも何度も報じられていましたから。
夏だ!歌舞伎だ!弥次喜多だ〜! pic.twitter.com/Oj60sguqEi
— ヴィスタリア@聞いてちょうだいこんなヅカバナ (@zukabana_vis) August 5, 2022
七月の「ナウシカ」が公演中止になってチケットが泡となってしまったので久しぶりの歌舞伎座でした。
うれしい!
チケットを取ったときは楽しい気持ちになりたいという思いが強かったのですが、
「弥次喜多流離譚」は期待以上に楽しくておもしろかった上に、ただそこに留まらない、素晴らしい舞台でした。
芸術、娯楽やエンタメのこの先や今だからこその在り方について考えることもできて、
本水や宙乗り、ド派手な照明に生演奏の迫力も録音も楽しめる音響、客席参加型の手拍子(身振つき)という劇場での生観劇ならではの、五感で感じ受け止める高揚と幸せがありました。
本水は舞台上でこれでもか!という大量の水が使われての、滝での大立廻りが展開しました。
自分は2階後方センターで観ていたのですが、1階最前列と2列目の方々が透明のビニールシートをかぶって水しぶきを防いでいるのが見えました。
また大量の水が解き放たれて、水の匂いがするのも新鮮な驚きでした(歌舞伎で本水を初めて見たのです)。
ディズニーランドの水もののアトラクションに通じるような水の匂いがかすかに、マスク越しでも感じられて、わずかに場内もひんやりして、この嗅覚と触覚は劇場に身を置いているからこその何ものにも替えがたい実感でした。
ちなみにこの、2階席から見ることのできた1階最前列と2列目をびっしりと埋めておられたファンの方々が
総踊りのシーンで手拍子が始まったときに即座に舞台上の歌舞伎俳優さんたちと同じ身振りをして、ただの手拍子から客席参加型の振りに移行していたのもたまりませんでした。
とても簡単な振りなのでその場でできますし、もちろん手拍子だけでも楽しめるのですが、宝塚歌劇だと専門のCSチャンネル(スカイステージ)や公式SNSで振付のレクチャー動画が配信されるのですが、
そうしたレクチャーも必要がないくらい簡単で、でも手拍子で終わらせず同じ振りをする、それも即座に、その場で、という阿吽の呼吸を目撃できたのが楽しくて興味深くて、もちろん自分も見よう見まねで手振りをしました。
楽しい!最高!
本水と並んでの目玉の宙乗りは2回あり、1回めはどよめきが起こっていました。
籠にのって舞い上がったのは「あなたと、よろづに、家族商店」の店長市川寿猿さん、御年92歳!
この店長さんの長く歌舞伎の舞台に立たれているからこその台詞もですし、
ストーリーの中で脚本を手掛けた喜多さん演じる市川猿之助さんの、歌舞伎と歌舞伎座へのエールであり、世界がどこへ向かうのか見えない今だからこそ舞台芸術、エンターテイメントが必要という力強いメッセージに心揺さぶられました。
だから自分は劇場で舞台を見るのが好きだしこんなにも求めているんだな…と胸が熱くなりました。
最近は舞台の映像配信の裾野が広がってディレイ配信なども増えてきましたが、自分は配信は見たり見なかったり…正直見ないことの方が多いかもしれません。
観劇のチケットより安く、好きな場所で、デバイスで楽しめるのは魅力なのかもしれませんが、生の観劇に代わることは到底できないものであることを実感しているからです。
もし今日の舞台を配信で見ていたら自分はこれほど心を揺さぶられ、笑い泣き、水の匂いを感じたり宙乗りにドキドキしたり、手拍子をしたり、ヤンキーとレディースたちの衣装や凝った化粧にうっとりしたり驚いたりしただろうか…。
丁髷のヤンキーたちが黒いマスクをしていて、感染症対策的に舞台上の人数が多いから?と思ったらつけてない場面もあったのでファッションというかヤンキーの嗜みだったのかな。
— ヴィスタリア@聞いてちょうだいこんなヅカバナ (@zukabana_vis) August 5, 2022
一番好きなのは神様がちゃんと出てきたこと。猿之助さんすごいな。
— ヴィスタリア@聞いてちょうだいこんなヅカバナ (@zukabana_vis) August 5, 2022
弥次喜多の軽妙な松本幸四郎さん、市川猿之助さんの巧さ、市川染五郎さんと市川團子さんのきらめき、
レディースの坂東新悟さんの迫力の舞踊と白い日本髪✕ピンクと紫のメッシュ、とんこつラーメンの鼓のインパクト。
染五郎さんと團子さんは早変わり、早変わり、また早変わりの連続で、これは表も裏も大変なのでは…と涼しい日でしたが額に滲む汗を見て思いました。
台詞の中で舞台のスタッフさんへの言及もありましたが、すごかった!
久しぶりに劇場で観劇できて、たくさん笑い少し泣いて、舞台芸術、娯楽のすばらしさに触れることのできる作品でとても楽しく幸せでした。
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