月組

なぜこれが2番手スターの退団公演なのか(月組「夢現無双/クルンテープ」公演評を読んで)

こんにちは、ヴィスタリアです。

今日の記事は月組「夢現無双」について辛目に書いております。

また美弥るりかちゃんの退団公演について、書くべきかどうかずっと悩んでいたことを書いています。
すべてヴィスタリア個人の一意見です。

月組公演評が言いたいことを言い尽くしてくれている

演劇キックのサイトに月組「夢現無双/クルンテープ」の公演評がでました。

作品についても演者に対しても的確かつ愛のある文章で深くうなずきながら読みました。

特に「夢現無双」についてはよくぞ言ってくれましたと叫びたいくらいです。
一部を引用いたします。

基本的にこれだけの大河小説を90分間の時間枠がある、宝塚の二本立て作品の中に収めようとした時に、最も重要になるのは、原作のどこを切り取るか?というポイントだろう。
(中略)主筋にはそこまでの影響がない登場人物やエピソードの数々をカットしていかなければならない。だがそれをするにはおそらく齋藤は原作小説を愛し過ぎていて、できる限り多くの人物、多くのエピソードを劇中に網羅することに心血を注いでしまった感が拭えない。
これによって(中略)全てがサラサラと羅列されていく様相を呈しているのが惜しまれる。

(中略)作者自身の、原作や自作による前情報への期待が大きすぎた感は否めなかった。(中略)切り口を変えれば傑作になる可能性もあったと思うだけに、作者には思い入れの強い作品を手掛けるからこそ必要な、自作を客観視する余裕を培って欲しい。

ヴィスタリアは大劇場で見たときに「同じテンポで短い場面が続くのでメトロノームのようだ。誰にも感情移入できないしついていけない」と感じました。

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この公演評ではあるものの「ダイジェスト」と評しており膝を打ちました。
これ以上ない喩えでしょう。

東上の際には作品が改変されることもあるので期待していたのですが大きな変更はなく、初日近くに観劇してうちひしがれました。

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チケット難が続く宝塚歌劇であるはずなのに、今作は平日に空席を数席見かけます。
悲しいですしここ1年ヅカファンに復帰して初めて東京宝塚劇場で空席を見かけ信じられない気持ちもあります。

記事にあるように演出家の先生には自作を客観視していただきたいですし、一定のクオリティーはクリアしてほしいです。
「夢現無双」はそれをクリアしているとはヴィスタリアには思えないのです。

なぜこの作品が2番手スターの退団公演なのか

この記事で胸をつかれたのが今作で卒業される美弥るりかちゃんへの惜別の言葉です。

まずは「夢現無双」について。

武蔵の宿敵となる佐々木小次郎の美弥るりかは、大変残念なことにこれが退団公演だが、その美弥本人が集大成の役柄となった小次郎に、男役人生の全てを懸けたことが役柄を大きく押し上げている。
出てきただけで只者ではない空気感を醸し出し、強烈な印象と妖しい美しさを漂わせる美弥の個性と力量がなければ、ここまで本人の想いや背景が描かれていない小次郎を、客席にアピールすることは到底叶わなかっただろう。

本来は作品自体を、小次郎と武蔵の父との戦いと、そこから引き続く武蔵と小次郎の因縁に絞って描くことがもちろん望ましかったのだが、逆説的にこの描き方で主人公に対峙する宿敵としての小次郎を支えきった美弥の力量に、ただ感服する結果になったのは皮肉さえ超えた思いがする。

ショー「クルンテープ」について。

ただ、もちろん惜別の銀橋ソロや、珠城との幻想的な蓮の場面など多くの活躍の場があるのは認めつつも、去りゆく美弥るりか単独の場面が少なく感じられたのには、残念な思いが残る。

二番手男役の退団としては十分な配慮なのかも知れないが、この位置に達した人だけが見られる夢というものが宝塚世界には確実にある。
その夢はある意味では本人以上に、男役美弥るりかを愛したファンがより強く祈り、願った種類のものに違いなく、その無私の想いを浄化する配慮が望まれた。

これはずっと思いながら言葉にしてはいけないような気がしてーー卒業の公演に水を差すような気がして話すことも書くこともできないでいたことです。

この公演評に背中を押してもらったと(勝手に)思い、言いますね。
組を支えた2番手スターの退団公演なのに餞の場面が少ないし、そもそも芝居は出番も少なすぎませんか。

この記事にあるようにるりかちゃんの存在感、オーラ、色気がなかったら小次郎はただの通行人と思うくらい出番は少なく描き込みは浅いです。

これまで仲間、友人などいろいろな関係を演じてきたたま様(珠城りょう)と初めて宿命のライバル関係を演じるのですから、武蔵と小次郎の対決を背景をふくめてたっぷり描いてほしかったです。

お披露目公演ですからたまさく(珠城りょう・美園さくら)中心になるのは仕方ない…と思いきや、
この2人もすれ違ってばかりなのがやるせないです。

また「瑠璃色の刻」「アンナ・カレーニナ」とるりかちゃんの主演作でヒロインをつとめたうみちゃん(海乃美月)の吉野太夫ともっと絡んでほしかったです。
ロザリオを渡すだけじゃなくて抱き寄せるなり寄り添い合うなり、絵のように美しいみやうみが見たかったです。

ショーにしてもたまるりの「蓮の愛」と黒燕尾はありますし大好きですけれど、るりかちゃんが中心の場面を見たかったですし、
芝居で相手役がいないのならショーで娘役さんとしっかり組むデュエットが見たかったです。

さよならショーがありディナーショーがあったので退団公演は月組生との絡みを中心にしたのかなと自分を納得させていたのですが、
さよならショーもディナーショーも「退団公演」ではないと記事を読んで思い、納得しきれない気持ちがあふれてしまいました。

比べるものではないのかもしれないが……

組も違えば事情も違う(ディナーショーの時期など)ので比べるものではないのかもしれませんが、ヴィスタリアはるりかちゃんと七海ひろきのお兄様が特別好きで退団公演を何度か観劇している思い入れもあって、
七海ひろきのお兄様の退団公演はよかったと思う気持ちもあります。

芝居「霧深きエルベのほとり」トビアスはトップスターさゆみさん(紅ゆずる)演じるカールの横にいて、
相手役ベティ/水乃ゆりとの出会い、ときめくシーンがあって結婚式まであげています。

そして舞台を去っていくお兄様と役のトビアスが重なるセリフまであり、惜しみない拍手を送りお別れをすることができました。

ショーではお兄様を芯に1場面がつくられてくらっち(有沙瞳)と組んで見つめ合い、中詰でも娘役さんと組んで踊っています。

スターさんの卒業公演のはなむけはこのくらいしてほしいと望むのは贅沢でしょうか。

ファンとして黙って見送るべきかと思いながらファンだからこそ拭いきれない思いを書きました。

「クルンテープ」で「瑠璃色の伝説となりこの地に眠る」という歌詞がありますけれどそんな伝説に残るような場面、今作で卒業される2番手スターるりかちゃんの夢をもう少し、見せてほしかったです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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