こんばんは、ヴィスタリアです。
東京宝塚劇場で初日を迎えたばかりの花組「アウグストゥスー尊厳ある者ー/Cool Beast!!」を観劇してきました。
いつもの通りヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
「アウグストゥス」ドラマなのかヒストリーなのか
3回目の緊急事態宣言の発令されることが決まったとき、「舞台が止まってしまう…!」と宝塚大劇場に駆けつけて観劇しました。
このときはどこかふわふわと落ち着かない気持ちで作品に集中することが難しかったです。
まだ片手で数えるほどしか観劇したことのない大劇場のスケールに圧倒されているところもあるのか、距離的なものか、大劇場に自分がいることに気持ちが浮わついてしまうんです。
homeの東京宝塚劇場でようやく落ち着いた気持ちで観ることができました。
諸事情でmy初日が先になってしまいそうだったのですが、うれしいご縁で観劇が叶い、
しかもほぼセンターの見やすいお席でした。
大劇場で公演が始まったころは作品の評価がかなり割れていて、否定的な意見で「(邪馬台国の)風が吹いている」というのを目にしました。
余談ですが「邪馬台国の風」はヅカファンではなかったのですが10数年ぶりに宝塚歌劇を観劇し、ぽかーんとしたのを覚えています
(「Sante!!」が帳消しにしてくれました)。
奇しくもあのときと同じ歴史ものの芝居✕藤井大介先生のショーという2本立てで、アツいショーがうんと盛り上げて爽快な気分にしくれました。
今回観劇して、「アウグストゥス」にはそういった風は吹いていないが、
かといって名作、佳作かと問われるとそうとは言いがたい――というのが正直な気持ちです。
田渕大輔先生は「アウグストゥス」にドラマ・ヒストリを銘打っていますが、
ヒストリーからドラマに昇華しきれておらず物足りないと感じました。
なぜユリウス・カエサル/夏美ようが後継者にアントニウス/瀬戸かずやではなく、ブルートゥス/永久輝せあでもなく、
若きオクタヴィウス/柚香光を指名したのか。
平民から軍事力で上りつめたアントニス/瀬戸かずやがクレオパトラ/凪七瑠海を愛するとはどういうことだったのか(あるいはどういう意図で近づいたのか)。
メリハリをつけて歴史を拾い上げればもっとロマンチックでドラマチックなストーリーを展開できたのでは?と思います。
一方で個々の役についても役のプロフィールに留まらずパーソナリティーが伝わってきて、感情を物語の世界へと誘ってくれるような描き方をしてほしかったです。
このあたりは現在宝塚大劇場で上演中の
やはり歴史を題材にした「桜嵐記」の上田久美子先生が巧みだなとあらためて思いました。
「アウグストゥス」は限られた時間の中でももっとドラマチックに役を、そして関係性を描くことができたのでは――と感じることが多かったです。
ポンペイア/華優希とブルートゥス/永久輝せあは顔見知りのよう?だけれどどういう関係なのか。
なぜオクタヴィア/音くり寿が母アティア/鞠花ゆめに
「もうお母様の言う通りには生きない」とまで宣言するのか。
そのオクタヴィア/音くり寿とアグリッパ/水美舞斗はなんだかいい感じのようだけれどいつの間に!?
どこに伏線があったの!?
そしてアグリッパ/水美舞斗とオクタヴィウス/柚香光の絆がどれほど貴いものだったのか。
れいマイにぴったりな設定の役同士でうれしいのにドラマの広がりが物足りなくて残念でした。
盛り上がりに欠けるからか役同士の関係性が膨らまないからか、物語世界へ入り込めないからか起承転までが非常に長く感じました。
全編のなかでアントニウスの役柄とドラマが一番わかりやすく盛り上がるように描かれていて、
クレオパトラとの世紀の大恋愛もロマンチックで、心情的に盛り上がりました。
それと同じくらいのドラマとロマンをオクタヴィウス/柚香光とポンペイア/華優希でも展開してほしかったです。
オクタヴィスにとってポンペイアが大切な存在であることは描かれていますし、静寂の中で交わされる2人の台詞には緊張感と臨場感があります。
しかしれいはなは本当にこの関係性しかなかったのだろうか?と、
はなちゃんの退団公演ということもあって考えてしまいました。
セットは豪華で映像に舞台機構を駆使した転換も鮮やかで、有村淳先生の衣装も豪華で色が綺麗で、
青木朝子先生の音楽もすばらしくて、スタッフの先生方に大いに助けられていると思います。
もちろん生徒さんへの熱演にも。
作品として破綻なくまとまっているとは思いますがその先のドラマを田渕先生には作り出してほしかったです。
役ごとの感想は次に続きます!
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