観劇の感想

月組「今夜、ロマンス劇場で」新人公演観劇の感想(月組の巧さのすごさ)

こんばんは、ヴィスタリアです。

月組「今夜、ロマンス劇場で」の新人公演を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想です。

月組「今夜、ロマンス劇場で」新人公演で感じた「巧さ」

当初ライブ配信で見るつもりだったのですがありがたいことにお声をかけていただき、劇場で観劇することができました。


新人公演の観劇はコロナ禍以降初めてです。

以前は友の会の抽選でハズれてもプレイガイドの抽選や一般前売りでチケットが確保できたりしていたのですが、コロナ禍は友の会でハズれてしまうとそれ以降チャンスがなく、観劇から遠ざかっていました。

最後の新人公演観劇が花組「A Fairy Tale」だったので約2年半ぶり、月組に関しては「夢現無双」以来だと思うとこの1回限りの貴重な舞台を観られることに感慨もひとしおです。

劇場で観劇して月組のこの新人公演の巧いという一言では表しきれない巧さ、質の高さに感動しました。

本公演と比べたときに個々の技量の差や役に合う・合わないなどはあるかもしれませんが、全体として本公演と変わらないスピリットのようなものが確かにあって、それを一言で形容するなら「巧い」になる――という感じでしょうか。

うまく表現できないのですが、と前置きした上で書きますね。

これまで観劇した新人公演では本公演との空気の違い、一回限りの舞台にかける熱さや勢い、特別なものがあったと感じていたのですが、
今回はそういうものよりも「これが月組の、このメンバーでつくる「今夜、ロマンス劇場」です」というプロの舞台人のよき仕事を見たといいますか、この精神において本公演も新人公演も変わらないと感じた…というのが今、自分が言葉にできる月組の「巧さ」です。

なので終演後のご挨拶で主演のぱるくん(礼華はる)が最後に
「明日からの本公演で月組の大きな力となれるようにがんばりたい」とお話されていたのがものすごく響きましたし、腑に落ちました。

今日の新人公演の舞台に立たれたお一人お一人が月組の舞台をつくる大きな、大きな力になっているのがわかるからです。

「今夜、ロマンス劇場で」は下級生まで出番が多いこともあって芝居の月組といわれる月組の充実具合、生徒さん一人ひとりの充実具合がわかる公演なのだと、新人公演を見てあらためて思いました。

こうなるともう一度本公演が見たくなります。

月組「今夜、ロマンス劇場で」新人公演 役ごとの感想

◆牧野健司/礼華はる(本役 月城かなと)
「桜嵐記」に続いての主演です。
ぱるくんの開演アナウンスに大きな、熱い拍手が湧き、もちろん自分もたくさん拍手をしました。

長身が舞台に映えてまぶしいのはもちろん、黒髪の短髪がぱるくんの小さなお顔にも健司のお衣装、キャラクターにもとてもお似合いです。

純で、仕事も恋も一生懸命で、仕事も9割くらいはしっかりできているんだけれどなぜか最後の1割で失敗して怒られる――そんな青年をどうして応援しないでいられましょう。
(本役のれいこちゃん(月城かなと)の方が仕事の抜け具合が7:3くらいのような気がしました)

美雪に怒っているときも正直に怒りをぶつけ、でもすぐに謝ってという素直さも、美雪への純粋な思いをまっすぐにぶつけるのがぱるくんの等身大な感じがしてときめきました。

◆美雪/花妃舞音(本役 海乃美月)
106期生のまのんちゃん(花妃舞音)、大抜擢の新人公演ヒロインです。

お顔もかわいくて、声もかわいくて台詞も歌も聞きやすかったです。

美雪は映画「お転婆姫と三獣士」のヒロインだけあって言葉遣いも変わっていてちょっと乱暴ですが、これを台詞として自然に言うのは、ヒロインのかわいさ、愛らしさと両立させるのは難しいのではないかと思うのです。

それをとても自然に、ご自身の芝居に落とし込んでいて本役のうみちゃん(海乃美月)とは違う台詞回しにしていたのがよかったと感じました。

◆俊藤龍之介/彩音星凪(本役 鳳月杏)
かのんくん(彩音星凪)は月組を観劇するときに楽しみにしているお一人なのですが、よきハンサムガイでした。

目元の濃い、美しいお顔立ちに合わせてかバタくさくて、横文字の発音もわざとらしくて、本役のちなつさん(鳳月杏)とはまた違う形で笑いを誘ってくれます。

踊ってよしなのはもちろんんこと歌もいいではないですか。
悪魔祓いのナンバーの楽しいことといったら。新人公演の音源も欲しくなっちゃいました。

後半の健司の背中を押す爽やかさ、器の大きさもよかったです。

101期は今回が最後の新人公演でしょうか。
主演を見てみたかった…という思いはありますが、二番手スターのちなつさんのお役ができたこと、器の大きなハンサムガイのかっこよさを見せる機会があったことは大きな糧になったのでは…と思っています。

これからの活躍も楽しみにしています。

◆大蛇丸/七城雅(本役 暁千星)
恥ずかしながらこの公演で認識いたしました。
105期生のきどくん(七城雅)、タカラヅカニュースの新人公演トークでとてもかわいらしいお顔立ちとほんわかした口ぶりで、どんな大蛇丸になるのかしら…と思っていました。

それがとってもよかったです。
声も通り台詞も聞きやすく歌も安定していて、本役のありちゃん(暁千星)を彷彿とさせました。

舞台化粧もかわいい素顔から大蛇丸へとしっかり変化を遂げていました。

これから注目したい月組生が増えました。

従者の狭霧/一輝翔琉は華やかで美しいお顔立ちで目が吸い寄せられました。
お化粧の加減なのか?B席から覗き込むように見ているからか?たま様(珠城りょう)に似ているような気がしました。

もう一人の従者雨霧/蘭世惠翔は舞台化粧が凝っていて映えます。

宝塚の新人公演では「ベルサイユのばら」、東京では「エリザベート」ネタで笑わせてくれました。

このあたりのアドリブは新人公演の演出平松結有先生の演出の手腕が光っていますし、他にも本公演とうまく変えて拍手が湧く台詞がありました。

◆山中伸太郎/真弘蓮(本役 風間柚乃)
「チェ・ゲバラ」でがんばっているなあ…と思っていたのですが、こうして今回大きなお役でたっぷり見ることができてうれしい限りです。

口跡鮮やか、歌もよし、芝居も巧くて、明るい伸太郎から爽やかな風が吹き抜けていくようでした。

成瀬塔子/結愛かれんが帽子を落としてしまうアクシデントがあったのですがさりげなく拾ったのもナイスアシストでした。

塔子/結愛かれん(本役 彩みちる)と父親の成瀬正平/一星慧(本役 千海華蘭)が後ろでガヤで「落としちゃったの」「おやおや」みたいな感じで芝居を続けているのも月組らしくて天晴なフォローでした。

◆本多正/柊木絢斗(本役 光月るう)
いやー、みよっしー(柊木絢斗)の巧さに大拍手です。

本役のるうさん(光月)が乗り移っているのではないかと思うほど巧かったです。

本役さんの真似をするのだって大変ですし同じ役なのですから解釈、表現が共通したり似たりするのは当たり前のことだと思うのですが、そういったことを抜きにして巧かったです。

本公演では鳩三郎で大いに和み笑わせてくれるみよっしー、頼もしい存在です。

◆萩京子/白河りり(本役 白雪さち花)
今回自分のオペラ泥棒だったのは白河りりちゃんでした。

お顔立ちのかわいさはもちろんのこと、内側から光るなにか、発するオーラ、役としての存在感がそうさせるんです。
萩京子さん(←呼び捨てできない何かがある)は台詞はほとんどないのに存在感がありました。

スカイステージの番組で「悪魔祓いのナンバーを休演者の代役もあって本公演、新人公演でも歌うことになったので新人公演では萩京子として歌うのが違いを出したい」ということをお話されていました。

そして本当に歌い方が違って、新人公演では大女優、スターの萩京子が気高く、プライド強めで歌っているのがわかりました。
本公演だとこういうプライドは抜きでもっとパンチのある歌い方をしています。

「I AM FROM AUSTRIA」以来新人公演ヒロインがありませんがまたヒロインも見てみたい娘役さんです。

◆鳩三郎/天つ風朱李(本役 柊木絢斗)
107期生の中で古風な芸名で覚えた男役さんです。

言葉が喋れず「クルックー」しか言えない鳩三郎ですが、芝居心があって巧かったです。

終演後の長のご挨拶はじゅりちゃん(天紫珠李)でした。

月組の101期生は配属から全員揃っての今回の新人公演を迎えたことになります。
主演のぱるくん、二番手のかのんくんをはじめ101期生が並んでいることもうれしかったです。

月組の充実ぶりがわかる新人公演を観劇できて幸せでした。

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