映像の感想

宙組エリザベートガラコンサート無観客ライブ配信の感想(夢は叶ったし、いつか叶う)

こんばんは、ヴィスタリアです。

エリザベートTAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサートのフルコスチューム宙組無観客ライブ配信を視聴しました。

画面越しに届くものがある 無観客ライブ配信

3回目の緊急事態宣言を受けて、これが初めての無観客ライブ配信視聴でした。

無観客ライブ配信という舞台劇術の根幹を揺さぶる方法を手放しでいいことだとは思っていないですし、常態化してもいいとも公演中止よりマシとも言い切れないでいますが、
観客がいなくとも舞台の立つ方々が配信の画面の向こうに届けようとしているものは伝わるのだと強く感じました。

何度か涙が止まらなくなるシーンがありましたし、
あまりの歌唱と迫力に、演技の深さに大感動して拍手しようとしたら場面がぱっと切り替わって拍手のタイミングがないことにはっとしたりしました。

本来ならば昨日の宙組バージョンを劇場で観劇しているはずでした(涙)。

今回のエリザベートガラコンサートの様々なバージョンはあっちもこっちも見たくてたまりませんでしたが、
この宙組バージョンは現役時代には実現しなかったまぁみりだい(朝夏まなと・実咲凜音・望海風斗)という夢の舞台で、とても楽しみにしていました。

のぞ様のご卒業前にスカイステージで過去の番組をたくさん拝見し
まぁだいの強いつながりを後追いで知ったこともあります。

終演後のご挨拶でまぁ様のぞ様もこの夢のような共演を喜び、感極まっているのに胸がいっぱいになりました。

自分はまぁみりの「エリザベート」には間に合わなかったので
せーこさん(純矢ちとせ)のゾフィー、あっきーさん(澄輝さやと)のルドルフも大いに楽しみにしていました。

だってあっきーさんはこのロイヤルっぷりですよ↓

残念ながらコスチュームバージョンのあっきーさんに会うことは叶いませんでしたが
無観客ライブ配信で会えるのを楽しみにしています。

役ごとの感想

退団されて年月がたち様々な経験をされた分表現に深みが増し、研鑽し続けた歌唱は高度になり、
美しく当時の衣装を着こなすOGさんたちの舞台はすばらしいものでした。

同時に今すぐ現役に戻れそうなのにそれはできない(しない)、タカラジェンヌという限りのある美学も感じました。

◆トート/朝夏まなと
自分はまぁ様の現役時代には間に合いませんでした。

あるブロガーさんと「もしも現役に間に合ったとして好きになった、ファンになった生徒さんは誰か?」という話をしていて、
お名前を挙げたのがまぁ様でした。

まさに太陽のような明るさとスターオーラ、長い手足のキレキレのダンスに映像でも惹かれて、
もしも在団中に出会っていたら宙組にどっぷりだったかなあ…と思ったりします。

まぁ様のトートが登場して歌い出したところで、なぜだか涙が止まらなくなってしまいました。

その次もその次もまぁ様が歌う度に涙があふれてしまって、「最後のダンス」くらいでようやく落ち着きました。

歌の迫力に涙がひっこんだのかもしれません。
ロングブーツがお似合いの超絶スタイルに高音を交えてのアレンジ、シャウトにしびれました。

画面越しですが、まぁ様が届けてくれているものが心を揺さぶるからこんなに泣けて仕方がないんでしょう。

2幕になるとシシィへの愛は執着を増し絶対零度で燃えているようで、
「まだ私を愛してはいない」という拒絶、悲痛な叫びにトート閣下の愛が強く伝わってきました。

最終答弁では閣下ではなく一人の人間(存在?)として叫んでいるような余裕のなさに
トート閣下の恋情が燃えているようでした。

カーテンコールで客席を通してカメラの向こうを見ているであろうまぁ様の表情に、ご挨拶にまた泣いてしまいました。

カメラを通してですが確かに「会った」のだと感じました。
次は劇場の、同じ空間でそれが叶いますように。

◆エリザベート/実咲凜音
ナチュラルなシシィに好感を抱きましたし、自分に嘘をつけない人物なのが伝わってきました。

みりおんが表現するナチュラルさは、たとえば結婚生活、親としてのあり方と自我の葛藤は現代に生きる自分にも強く迫ってきて親近感を感じました。

また嘘をつけないことの残酷さがルドルフを突き放した場面にもっとも表れていて、胸が苦しくなりました。
あのときの彼女にはそれが唯一無二の答えだったのだととても自然に見えました。

「私だけに」の歌唱はもちろんのこと、歌い出した最初は打ちひしがれて頬に涙が光っていたのが
だんだんと強い意思が目に宿って表情が変わっていくのがすばらしかったです。

最後に全身をふり絞るような歌い上げの後、あまりのすごさに拍手が聞こえるかと思いましたし
自分も拍手しそうになりました。

が、観客不在だと拍手の間がなくすぐに場面が切り替わってしまって「そうだ、無観客ライブ配信なんだった」と思い出しました。

数々の衣装の着こなしも美しくうっとりでした。

◆フランツ/北翔海莉
みっちゃんのまろやかで耳に心地いい声に滑舌、慈愛の心が伝わってくる歌唱に久しぶりに会えました。

ご本人も終演後にお話されていましたが退団されて年数がたち様々な経験をされ妻となり親となり、
それらすべてが役としての深みに繋がっているのが伝わってきてすばらしいフランツでした。

このお話がまた目撃した舞台と中の人の感じ考えていることを結びつけてくれるもので興味深かったです。

「扉を開けてくれ」のところでノックをするときの表情の切なさがたまりませんでした。

妻、家族だけもたらすことの安らぎを彼は知っているし、また甘えたいと思っていてそれほど疲弊しきっているのが伝わってきました。
(これを受けての振り向いたシシィの顔が決意に燃えているのもすごかった)

2幕で皇太子ルドルフを諭すのも為政者としての貫禄と正しい判断を真っ当に伝えていて、
「皇位継承は難しい」という台詞で「こんながあるんだ」と感服しました。

若き青年皇帝から老年まですべてが巧い上に解釈も確かで圧巻なのですが、
特に「夜のボート」のシシィへの愛とすれ違いには泣きましたし、やはりこれもこんな「どこなんだい?」があるのかと打ちのめされました。

◆ルキーニ/望海風斗
花組14年「エリザベート」は未見なので今回初めてのぞ様のルキーニを見ました。

無観客で客席からの反応がない分、狂言回しであるルキーニの場面転換で見せる表情や指のスナップなどが巧みに次の場面へと導いてくれました。

2幕の幕開きのアドリブは「トート閣下をはじめ黄泉の国の人たちはみんな楽しんでいます」とファンが一番知りたいことを伝えてくれた上に、
カメラ目線でたくさんお話してくれました。きゃー!!

後ろのオーケストラのみなさまが拍手をして盛り上げているのも見えてうれしかったです。

ルキーニは精神の均衡を失って正気と狂気を行き来している人物だと思いますが、
こんなにも狂気の表現、常軌を逸した表現が自然なルキーニを初めて見たような気がします。

わかりやすくケタケタ笑うとかふつうは笑わないところで笑うとか、一挙一投足に一見しておかしいところがないのに、
目つきが尋常じゃないことで彼が正常の世界にいないことが余すことなく伝わってきました。

滑舌・歌唱はもとより芝居もこれ以上ないほど的確なのだと、3週間ぶりにのぞ様に再会してあらためて思いました。

終幕後にまぁ様との共演について「こんなに早く夢が叶うなんて思ってもいなかった。次はお客様のいる前でという新たな夢ができた」とお話されていました。

まぁだいが、トート閣下とルキーニがどんな空気を作り出していたのかをぜひ劇場で体感したかったです。

特に印象的だったのが「ミルク」の「ないものはないんだ」で、こんなに囁くように言うルキーニを初めて見ましたし、
これが客席に背を向けたままうっそりと笑みを浮かべているまぁ様のトートと呼応しているようでたまりませんでした。

トート閣下がナイフを取り出したのを見たときの目も完全に常軌を逸したギラつきでやばかったです(←語彙なし)

ナイフを手にして人を刺しに行く、目が濁っているのがちゃんとわかりました。

◆ゾフィ/純矢ちとせ
迫力とおそろしさに磨きがかかっているのではないでしょうか。
同時に気品があるせーこさんが好きだなあとあらためて思いました。

フランツとシシィの結婚式の黒✕シルバー✕ゴールド系のドレスが特に好きでした。

2幕の老いた様子、死の表現も巧くてさすがです。

◆ルドルフ/蒼羽りく
自らの信じるところをまっすぐに信じ、広い視野を失っている思いつめたルドルフだと感じました。
もう何も見えていない、張り詰めた孤独の中に彼はいるんですね。

トート閣下に伸ばす手の親指の反り方、力が入って緊張した手の表現にぐっときました。

長身でスタイルがよくて、まぁ様と並ぶと眼福です。

今回髪を切って参加されているOGさん、ロングヘアのままセットしたり結んでいるOGさんとそれぞれでしたが(どちらがいいという話ではありません)、
りくさんの結んだロングヘアと立たせた前髪がお似合いでとても好きでした。

◆リヒテンシュタイン/芽吹幸奈
くみさんの豊かな声量、歌にも再会できて「これこれ」とうれしくなりました。

声に特徴にありますが(うまく表現できないのですが)それがくみさんにしかない魅力だとしみじみ思いました。

◆ツェップス/天真みちる
髭と言えばたそさん
いい髭ともみあげをありがとうございます。いいお声も!

生き生きと舞台に立たれているのが楽しそうでこちらも楽しくなりました。

ヴィンディッシュ/玲実くれあや、
「エリザベート」に出たくて退団する前に星Pに「次の作品、エリザベートじゃないですよね?」と確認したというれんれん(如月蓮)に再会できたのもうれしかったです。

すばらしい舞台に、出演者・オーケストラ・スタッフの皆様に心から拍手を送ります。
みなさまが届けたいと願ったものを画面のこちら側でたしかに受け取り感動しました。

次は満席の劇場で再会できることを、今日生まれた夢が叶うことを願っています。

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