映像の感想

花組「はいからさんが通る」ライブ配信の感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

宝塚歌劇の初めての公演全編ライブ配信となる花組「はいからさんが通る」を見ました。

映像ではありますが久しぶりにリアルタイムで観劇体験を楽しむことができて感無量です。
正直開演アナウンスから本編が始まったところで泣きました。

昨日すでにライブ中継の特別番組を見ているというのに…やはり番組と公演は違うのだと実感しました。

いままで頻繁に劇場に行っていたときは「感想を書きたい」と思いながら観劇していた部分があったのですが、今日はシンプルに楽しんで視聴しました。

なのでいつもよりもさくっと、ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想を書いてみます。
なお作品の内容に触れております。

宝塚歌劇初の全編ライブ配信「はいからさんが通る」を見た

せっかくのライブ配信を大画面で見たいと思い、テレビにRakuten TVのアプリをインストールして40インチのテレビ画面に齧り付いていたのですが、画質が鮮やかで美しいことに感動しました。

通信環境のせいかときどき動きがカクカクして見えることはあったものの、画質の美しさは円盤(Blu-ray)>>ライブ配信>>NHK録画>>>>>スカイステージくらいに感じました。

これで3,500円なら安いとも思いました(正直ライブビューイングのB席以上のお値段は高く感じるのですが。)

終演後にはれいちゃんのご挨拶があったのも嬉しかったです。

さて。「はいからさんが通る」は初演の別箱よりも上演時間が延び、原作のセリフが追加されたり、浅草の場面やシベリア出兵や戦線など丁寧に描かれているシーンが増えていました。

大和和紀先生の原作に親しんで何度も読んでいるので懐かしく、冒頭の高屋敷要/永久輝せあの導入のセリフや伊集院忍/柚香光の”はいからさん”との初対面の後の独り言など、コマ割りや絵も浮かんでくるようでした。

一方で増えた時間を割いてほしいと思っていたサイドストーリーがなかったことは残念でもありました。
特に描いてほしいと思っていたのがこの2つでした。

・鬼島軍曹が紅緒さんに抱いていた思いと、環さんが鬼島を思うようになったエピソード

・紅緒の父政次郎が吉次さんに一目惚れして震災で大活躍するエピソード

れいはな(柚香光・華優希)のお披露目で忍少尉と紅緒さんの物語の比重が大きかったり、シベリア戦線で男役さんの出番を増やしたり狸小路伯爵邸のエピソードを入れ込んだりと充実しているのはわかるのですが、
サイドストーリー、キャラクターも魅力的なのが原作「はいからさんが通る」のよさだと思うのです。

原作ではスピンオフもあるくらい秀逸なエピソードですし、またこれらの役を演じる生徒さんの見せ場がもっとあって欲しかったという願望でもあります。

柚香光・華優希の芝居の相性のよさを感じた

伊集院忍/柚香光花村紅緒/華優希のエピソードが冒頭から続く上に一層丁寧に描かれていて、れいはなの芝居と並びの相性のよさを感じました。

特に出会いから距離感の変化、思いが通じる直前での忍少尉の転属までの2人のシーンがとにかくかわいくてかわいくて、微笑ましくてときめきました。

花村家の庭での乱闘にソファで迫る忍少尉、サンドウィッチを差し入れるシーンなど2人とも漫画から抜け出てきたよう、れいちゃんはかっこよくてはなちゃんはかわいくて、表情豊かで見入りました。

特に忍少尉/柚香光は物語冒頭のソロの歌「僕だけのはいからさん」でなんて優しい目をして、全てを包むように見ているんだろう…と思いました。

マザコンならぬババコン(by原作の紅緒さん)は彼の優しい心の表れに他ならないと思うのですが、それも納得です。

れいちゃんの美貌とスタイルのよさは帝国軍の軍服はもちろんのことサーシャ・ミハイロフ侯爵のロシア貴族の衣裳も美しくてコスチューム物も見てみたくなりました。

紅緒/華優希は浅草でお酒を呷るときの「グイッと」であったり、酔っ払ったときの目つき、モンペルックで伊集院家に乗り込んでいくときの口上(?)など
はなちゃんの芝居には天性のものがあり、この役は他の誰にもできないと思うほどはまっていると唸りました。

「はいからさんが通る」というタイトルの通り物語を引っ掻き回して動き回る能動的なヒロインを魅力的に、堂々と演じていたと感じました。

今回は1度上演した作品の再演でしたからハマることはある程度予想できたにせよ、予想以上の再演になったと感じていますし、
これかられいはながどのような作品を見せてくれるのか楽しみにしています。

悲劇、海外ミュージカル、オリジナルの名作ーーたとえば柴田作品の再演など、様々な形でれいはなの魅力を発揮してくれることを期待しています。

キャストごとの感想

それでは偏愛のままにまいります。

◆青江冬星/瀬戸かずや
随所でコミカルさを見せており、1幕はストーリー上あまり出番はありませんでしたが、登場の仕方からしておもしろみがありました。

2幕は本領発揮、編集長の漫画のらしいコミカルさ、かっよさを存分に見せてくれました。

特に紅緒さんが少尉に別れを告げると決めた後「編集長、私…」と縋るのを抱き寄せる寸前の、愛と衝動がない混ぜになった表情がすばらしかったです。

ラジオで「長髪のウェーブヘアは初めて」とお話していて、確かにあきらさんの冬星さんのヘアスタイルは新鮮でした。

煙管を持つ仕草、ポケットへの手の入れ方、洒落たスーツ(と言っていいんでしょうか)の着こなしなど男役芸の探究もすばらしかったです。

◆鬼島森吾/水美舞斗
かっこいいにもほどがある!と大声で言いたいくらいかっこいいです。

長髪に顔の傷、片目の怪我、逞しい身体月というビジュアルといい雰囲気といい、『優しい狼さん」はマイティー以上にしっくりはまる人はいないと確信しています。

特に鍛え抜かれた筋肉でみっしりしたマイティーをおいて開襟の軍服が似合う人がこの世にいるでしょうか。
しかも軍刀を振り回したりして最高です。

「開襟というからには開いていなければ意味がない」と宣ったトップスターさんがいましたが、それに通ずるものを感じます。

…と思ったら同じようなことを書いているOGさんがいました。

忍少尉に婚約者の紅緒さんの写真を見せてもらって「実物はかわいいんだ」と写真をしげしげと見てひっくり返したりしているのに笑いました。

シベリア戦線での場面が増えていてうれしかったですが、マイティーがぴったりはまる役だけに、ぜひとも”優しい狼さん”と言われる鬼島さんのエピソード、環との物語をもう少し見たかったです。

◆高屋敷要/永久輝せあ
ひとこちゃん、すごかったです。
セリフも聞き取りやすく、歌もうまくて映像でもオーラがまぶしかくて内側から発光しているかのようのでした。

セリフ、出番が増えて忍少尉との友情も補足されています(原作にはなかったと記憶しています)。
袴姿が自然かつ決まっているのは雪組の日本物の力を感じます。

“怪傑ライオン丸”の異名を持つ高屋敷要野ぐしゃぐしゃの長髪に粗野な歩き方はひとこちゃんの整った美貌を一層際立たせていたのではないでしょうか。

◆藤枝蘭丸/聖乃あすか
1幕で紅緒さんへの片思いが隠し切れていなくて表情にすべて出てしまっているのが切なくなります。

2幕冒頭の真っ赤な振袖姿も藤娘も華やかで強烈な鮮やかさでした。
ほのかちゃんは「タカラヅカスペシャル2019」の虞美人もそうだったのですが、天性の華やかさとオーラのある舞台人だとハッとさせられます。

特に黒髪で和装であったり中華系の衣装が似合うと思いました。

バウホール初主演が決まっていたり(残念ながら公演中止となってしまいましたが)、フィナーレの黒燕尾で踊るポジションを見てもこれから花組を支えていくスターさんになるんだなと感じました。

◆北小路環/音くり寿
おとくりちゃん「マスカレード・ホテル」での怪演といい、「蘭陵王」での個性的なヒロインといい色濃い役、あるいは少女めいた役(「CASANOVA」「あかねさす紫の花」「金色の砂漠」など)の印象が強いのですが、
宝塚歌劇の正統派のヒロインらしい役も魅せてくれること改めて実感しました。

環さんは「はいからさんが通る」のもう1人のヒロインですし(そう思っています)、華族の血を引く才色兼備という設定は紅緒さんよりもある意味ヒロイン的です。

女学生時代も職業婦人となってからも環の美学、芯を感じました。

1幕で蘭丸と手を組んでお銚子から直接飲みますが、原作の紅緒に負けずとも劣らない酒好きの環らしかったです。

2幕冒頭の真っ赤な衣装の「モダンガールズ」が特にかわいくて、最後の「満州から手紙を書くわ」は春の柔らかな風のようでした。

原作の環の自分の人生を自分で切り拓く生き方が好きなのですが、初演で好演したしろきみちゃん(城妃美伶)が爽やかな夏の風のイメージで、おとくりちゃんは春風の優しさ、柔らかさを感じました。

おとくりちゃんが自分自身の環を好演していて存在感があるからこそ、なぜ鬼島さんを追って満州支社への転属願いを出すことにしたのか、もう少し丁寧に見せてくれる場面がないのが惜しくてなりません。

エトワールの歌唱もすばらしかったです。

◆牛五郎/飛龍つかさ
「マスカレード・ホテル」能勢刑事役で新境地を開いたつかさくんがさらに大化けに化けています。
見事な扮装っぷりです。紅緒さん、如月との対決シーンのストップモーションには大いに笑いました。

◆花乃屋吉次/朝月希和
辰巳の芸者さん(だったと思いますが違ったらごめんなさい)について研究して役作りをしていると、3月の公演前にスカイステージでお話があったと記憶しています。

粋で迫力があって、印念中佐に啖呵を切るところなど凄みがありました。
着物姿の美しさはさすがです。

花村政次郎/冴月瑠那が超絶美しい髭姿を披露していることもあり、
るなさんが恋に落ち震災で奔走するシーンや吉次さんがそれをあたたかく受け止めているシーンなど見たかったです。

◆伊集院伯爵夫人/美穂圭子
かわいいおばあさまでした。明るい総白髪のカツラが華やかでお似合いでした。

伯爵/英真なおきとのラブラブっぷりも微笑ましかったです。

◆リーダー/高翔みず希
原作では顔が真っ黒に塗りつぶされた謎めいた人物として描かれていますので、ある意味もっとも自由度の高い役作りができる役かもしれません。

そういう意味でさおた組長がこの役でよかったと思いますし、不気味で血の凍るような迫力がありました。

その他、如月/鞠花ゆめ女教師/更紗 那知の原作から抜け出てきたような再現度には感服しました。

狸小路伯爵/舞月なぎさのコミカルさ、関東すみれ組(峰果とわ・翼杏寿・希波らいと)のガラの悪いチンピラらしさ、
ラリサ/華雅りりかの誇り高き美と悲しみも同様です。

また冗談社の3人組古美売太/和海しょう、辺面岩男/帆純まひろ、愛想良雄/一之瀬航季もキャラが立っていて楽しかったですし、震災後に編集長とともに立ち直るシーンは胸が熱くなりました。

まひろくんがジョッターをものすごい勢いで捲っているのと、スチール写真でも見せていた手の凝った組み方が印象的でした。

映像なので限られた部分しか見れていませんし、劇場で観劇したらまた違うことを感じたのかもしれません。

それを確かめる術もありませんが、以上ライブ配信の感想でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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