考えたこと

宝塚歌劇団の声明を読んで(演出家原田諒のセクハラ・パワハラ報道)

こんにちは、ヴィスタリアです。

セクハラ・パワハラ問題に対する宝塚歌劇団の声明が発表に

一昨日12月27日に文春で報じられた演出家原田諒氏のセクハラとパワハラ問題を受けて、28日に宝塚歌劇団から発表がありました。

以下、全文を書き写します(太字の加工は独自に加えています)↓

宝塚歌劇団に関する一部報道について
この度、宝塚歌劇団内のハラスメントに関する一部報道がございました。
ご心配をおかけしたファンの皆様ならびに関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。

当該報道は、個人のプライバシー保護の観点から配慮を欠いた記事であり大変遺憾であるとともに、本件に関して弊団が隠ぺい等の不適切な対応や不誠実な発言を行ったかのような、事実と異なる内容や表現がございますが、ハラスメント事案があったことは弊団として確認しており、関係者から慎重に聞き取りを行い、また弁護士等の見解を参考に、厳正に対処するとともに、ハラスメントを受けた方の心情に寄り添い真摯に対応しております。
なお、ハラスメントを行った団員は既に退職しており、現在は宝塚歌劇団及びグループ会社のいずれにも所属しておりません。

弊団では、研修やアンケート調査の実施、相談窓口の設置などを通じて、ハラスメントの根絶に力を入れて参りましたが、今回、このような事案が発生した事実を重く受け止めており、今後はハラスメントの防止のさらなる徹底に努める所存でございます。

2022年12月28日
宝塚歌劇団

こうして報道を受けてからとはいえハラスメント事案があったことを認識していることを表明していることはいいことなのかなと思います。

ここで名前は出ていませんが原田諒氏の退団は各紙でも報じられました。

またハラスメントがあったことを認めるよりも前に「個人のプライバシー保護の観点から配慮を欠いた記事であり大変遺憾」という表明があるのは、
記事に生徒さんのお名前が出てしまったことへの強い怒りの表明なのかなと思いました。

これについても女性たちを「生徒」ととして預かり「清く正しく美しく」をモットーに厳しい芸の道を進んでいくスターさんたちを大切にしたい、守りたいという意思あってこそなのかなと思います。

しかし「ハラスメントの根絶に力を入れて」きたにもかかわらず
今回こうして大変な被害が報道によって明るみに出た経緯も原因も詳らかにされておらず、今後の報告があるとも書かれていません。

それで「今後はハラスメントの防止のさらなる徹底に努める所存」と言われても、腑に落ちないというのが正直な思いです。

「本件に関して弊団が隠ぺい等の不適切な対応や不誠実な発言を行ったかのような、事実と異なる内容や表現がございます」とありますが、
これについてだって、隠ぺいをしていないというのであればいつどのような形で公表をするつもりだったのか…と思ってしまします。

2022年に座付き演出家であった上田久美子氏(もう劇団の先生ではないためここでは先生と呼ばないことにいたします)が退団されましたが、このときも劇団からの発表はなくメディアの報道で知る形となりました。

原田諒氏の「退職」はこのときとはまったく事情が異なり、それを劇団が隠ぺいでないというのなら、
被害に遭われた方を守るだけとも思えないと、自分は感じました。

それにこの「退職」がどういう形だったのか、経緯を明らかにした上で説明すべきだと自分は思います。

昨日の記事でも書きましたがこれまま有耶無耶にしてほしくない、個別のケースとして原田諒氏の退団で問題を片付いたことにしてほしくないです。

今回表沙汰になったのは原田諒氏の行いがあまりに酷く被害に遭われた方の声あってこそと思いますが、
ではその背景に温床となるような慣例、悪しき伝統のようなものがあったのではないか、ということは想像に難くありません。

芸術、芸能の世界でその構造から作り手が強い立場にありハラスメントが日常茶飯事であることはMettoo運動以降、被害者が声をあげることで明らかになってきました。
大変な、勇気のいることです。

芸術、芸能の世界に限らず、2022年は自衛隊で酷いセクハラがあったことが被害に遭った五ノ井里奈さんが告発し、戦ったことで判明しました。

作品のため、その人のためという言い訳を盾に一方的に傷つけ尊厳を奪い、人権を踏みにじるようなことがまかり通るのはもう時代遅れの古い悪習で断ち切っていかないといけないことだと、
「生徒」と呼ばれる女性たちを預かっている宝塚歌劇団、母体の阪急電鉄が自ら考え変えていってほしいと切に願います。

(ついでに座付演出家の作品における人権意識、多様性のない描き方もアップデートしていってほしいと強く思います。)

実際に日本演出者協会がハラスメントに関する表明を発表しています。

舞台に立たれる生徒さんたちが、スタッフのみなさまが、安心して、そして誇らしく舞台に立ち作品作りに携われる劇団であってほしいと心から願います。

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