映像の感想

星組「王家に捧ぐ歌」感想(今だからこその祈りと、有沙瞳のアムネリス)

こんばんは、ヴィスタリアです。

星組「王家に捧ぐ歌」をライブビューイングで見ました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、再演ものということもあり作品の内容に触れています。

星組「王家に捧ぐ歌」ライブビューイングの感想

手持ちのチケットは公演中止となりリスケジュールもできず、このライビュが唯一の観劇となりました。

ライブ配信ではなくライブビューイングにしたのは、昼は月組「今夜、ロマンス劇場で/FULL SWING!」を観劇した後通院を挟んで一番近い映画館に行くことにしたんです。

帰宅して見ると開演に間に合わなかったですし、家だと他のことに気を取られてしまったりするので映画館で集中して見られてよかったです。

観劇はエネルギーを使いますし自分が受け取れるものに限りもあるのでマチソワ、それも違う演目のマチソワは滅多にしないのですが月組も観たいし星組も絶対観たいし…気合をいれて臨みました(←大袈裟)

慌ただしい一日で心の一部がまだ「ロマンス劇場」に残っている気配もありながらのライブビューイングなので感想もざっくりめです。

エジプトとエチオピアの争いを背景に祈りが一つのテーマになっている作品なので、ロシアがウクライナに侵攻し戦争が始まった今、胸に迫るものがありました。

ことちゃん(礼真琴)の最後のご挨拶でBlu-ray収録であることに触れて「何年後かにこのブルーレイを見て、あのときは大変だったねと笑いあえたらいいなと」ということを仰せで、深くうなずきました。

アイーダ/舞空瞳の訴える「戦いは新たな戦いを生むだけ」、ラダメス/礼真琴と歌う「世界に求む」は今の状況だからこそ一層強いメッセージを感じずにいられませんでしたし、
また画面越しでも熱い思いの伝わってくることなこ(礼真琴・舞空瞳)はじめ星組生と専科のまりんさん(悠真倫)の熱演でした。

ところで映画館で残り一冊のプログラムを運良く購入することができました。
木村信司先生の寄せた言葉のうち、新たな衣装についてには首をひねらずにいられませんでした。

……そう思ったら、その新しい舞台装置で、生徒に旧演の衣装を着てもらう気持ちが失せました。というより、次から次へとアイディアが浮かぶのです。

たとえば米軍のM65を基調とした衣装に身を包んだラダメスが、エジプトの大地を駆け抜ける。真っ白な。よりモダンな。手にはエジプト古来の、青銅の剣。
傍らにはアイーダ。ソウル・シンガーのような。

旧来の舞台装置、旧来の衣装で公演するよりも、きっと出演者たちだって喜ぶよ、と思ったら、もう止まりませんでした。

どなたか止めてくれる人はいなかったんでしょうか。

これまで上演してきた大劇場や博多座よりも御園座がコンパクトでセットなどを変えたとはいえ、
衣装の今回の刷新は生徒さんの魅力を本当に引き出していたのか、という点から見ると演出家の独りよがりなのではないかという思いが拭えなかったからです。

劇場で実際に見れば違和感はなかったのかもしれませんが、映画館のわりと前方の席でスクリーンを見上げていると、本当にこの新しい衣装が最適解だったのか?疑問を感じました。

新しくするにしても(もしかしたらそこに予算の関係があるにしても)もっと似合う、他の方向性があったのではないかと思ったのです。

今回のお衣装は加藤真美先生でした。

「ロミオとジュリエット」では有村淳先生がやはりこれまでとは違うテイストのお衣装をデザインされていて最初に写真で見たときに違和感を感じましたが、
ことなこ(礼真琴・舞空瞳)には今までと違う、斬新な衣装を着せたくなる何かがあるんでしょうか。

ふつうに宝塚歌劇らしいお衣装で充分に魅力的なトップコンビだと思っているのですが(ロマンチックレビュー「モアー・ダンディズム!」、再演のコスチュームもの「エル・アルコン」が素敵だったように)先生方をかきたてる何かがあるのかもしれません。

次の大劇場公演「めぐり会いは再び/Gran Cantante!!」は奇を衒うことないふつうのお衣装が見たい…と自分は思っています。

星組「王家に捧ぐ歌」役ごとの感想

◆ラダメス/礼真琴
ことちゃんの巧さと実力をあらためて感じました。

「ロミオとジュリエット」を見ればロミオが当たり役だと思うと「柳生忍法帖」を見れば十兵衛先生がかっこいいし、
この「王家に捧ぐ歌」を見ればはじめは将軍になることを望み、アイーダ/舞空瞳を愛しともに平和を祈るようになるラダメスがそこにいる――と思わせてくれます。

一幕最後でエチオピアの解放をファラオに願い出て「戦いに終わりを」と周囲のエジプトの戦士や王族たちから見れば唐突に思えることを言い出すのも巧いからこそ自然に見えますし、
さらに歌がうまい上に心情のこもった「世界に求む」に感動しました。

また2幕ではアムネリス/有沙瞳と対峙する前にぼんやりと暗闇に浮かび上がった姿の虚無感と力のなさ、地下牢ではさらに生きる力も希望も失いかけている疲弊しきった姿が印象的でした。
傷ついた姿がこんなに巧いなんてすごい…。

最後にアイーダ/舞空瞳を抱きしめて歌うラダメスが涙を流していたのに深く心を動かされました。

そして2人の行く末を見届けたアムネリス/有沙瞳もまた涙を流していて、この”トリデンテ”(とあえて書きますね)で、この配役で「王家に捧ぐ歌」が見られてよかったと思いました。

◆アイーダ/舞空瞳
なこちゃん(舞空瞳)の等身の高さ、手足の長さが新しいお衣装からよくわかりました。

今回ライブビューイングで劇場よりもお顔がしっかり見られるからか生き生きとしている、役を生きている表情が印象的でした。

だからこそエジプトに囚えられ女官たちにいじめられ、兄ウバルド/極美慎に責められ父アモナスロ/輝咲玲央に無理なことを頼まれているアイーダがかわいそうでたまらなかったです。

「戦いは新たな戦いを生むだけ」とアイーダにしか見えていない未来を貫こうとする信念があるからこそ、
アムネリス/有沙瞳に騙された上に凱旋に向かう彼女が”正しさ”を微塵も疑わないことに見せる言葉を失った表情など印象的でした。

フィナーレの娘役さんを引き連れてのドレスもデュエットダンスのドレスも美しかったです。

名曲「月の満ちるころ」で幸せそうに寄り添い、最後も2人で寄り添いうラダメスとアイーダを見て、
「ロミオとジュリエット」再演もすばらしかったけれど「王家に捧ぐ歌」もことなこで見られてよかったと思いました。

◆ウバルド/極美慎
妹アイーダのスタイルも圧倒的ですが兄ウバルドのスタイルも圧倒的で兄妹である説得力があります。

ギラギラとしたエジプトへの報復を抱いていて、途中まるで正気を失ったようにケタケタと笑うところがあるのですがそこが怖くてぞわーっとしました。

◆ケペル/天華えま
この作品は羽山紀代美先生が振付されていてほとんど変わっていないようですが、凱旋のシーンで踊るエジプトの戦士たちの場面がかっこよくて大好きなんです。

そのセンターがぴーすけ(天華えま)のケペルで、ダンスがうまいだけあってめちゃくちゃかっこよかったです。

◆ファラオ/悠真倫
映像で見たチャルさん(箙かおる)のインパクトがすごくて(舞台化粧も金ピカのお衣装も静止するポーズも)、刷新された今回に合わせて正統派なファラオだと思いました。

「ロックオペラモーツァルト」に続いて星組に父親役での参加ですね。
まりんさん(悠真倫)の歌がたくさん聞けてうれしかったです。

◆アモナスロ/輝咲玲央
いやー!すごかった。
今回の新衣装が一番はまっていたのはレオ様(輝咲玲央)だと自分は思いました。

黒いハットのかぶり方、手の添え方のかっこよさ、狂気から本当の姿を見せたときのギャップの凄み、おそろしさといったら。

◆神官長ネセル/天寿光希
こういうどこか掴みどころのない、不気味さとふしぎさのある役をみっきぃさん(天寿光希)がやるの、大好きです。

神官ヘレウ/朝水りょうの美貌にほどこかされた真白いメイクも目を引かれましたし、神官メウ/遥斗勇帆と三人でのほんのちょっとコミカルさのある仕草、歌など和みました。

有沙瞳のアムネリスがすばらしかった

このブログやtwitterをご覧いただいている方はご存知かと思いますが、自分はみほちゃん(有沙瞳)が大好きです。

配役が発表でされたときから絶対似合う!と確信していましたが想像以上にすばらしいアムネリス様でした(←様づけせずにいられない)。

アムネリスはこうであってほしいというイメージを超える美しさ、芝居、歌、誇り高さと恋を失う哀しさの全部があると思いながら見ていました。

まず第一声からして凛と、威厳と権威がある上に口跡がよいみほちゃんの声でひれ伏しました。

そして歌がうまくて声が聞きやすく、一度聞いたら忘れられない「♪それはファラオの娘だから~」もかわいくて大満足です。

舞台化粧も工夫されていて、うんとはね上げたアイライン、グリーン系のアイシャドウに散らしたきらっきらのラメ、濃い薔薇色のようなリップがハマっていて美しかったです。

「ロミオとジュリエット」の乳母、「龍の宮物語」玉姫様を思い出すと役によってお化粧を変えるのがうまい娘役さんだなあと思います。

仕草もツンと反らした人差し指や美しくて印象的でした。

ファラオの娘として高貴で気高くて美しくて、しかしその中に持つ者としての驕慢さ、勝手さがわずかに滲んでいるのが本当に王女様でした。
ただ美しいだけじゃないんですよね。

その一方でラダメスのエチオピアの解放を望む言動などが理解できないと動揺しているのが表情に出ているのが王族であるからのみならず、
ラダメスに燃えるような恋をしているからこそだというのが伝わってきました。

2幕になるとアムネリスはファラオとなり、その誇り高さ、高貴さとラダメスに恋し愛する一人の女であることのギャップが出てくるのが哀しくて切なくて、それがまたすばらしかったです。

ラストシーンにことなこの2人とみほちゃんがいるのは「眩耀の谷」に重なりますが、まったく違うシチュエーションですが、あれがあったから今回があるのでは…と思いましたし、
また皇族の女性かつ為政者という意味では「鎌足」の皇極帝が今回につながっているのでは、と思いました。

劇中でエジプト兵士たちを引き連れて真ん中に立っていたり、最後はファラオとして切なる祈りを込めた宣言をしたり、パレードは下手の先頭でことちゃんの横に立っていたり、
娘役スターとしても活躍がうれしくなるような場面があり、
劇場で見ることは叶いませんでしたがライブビューイングでもみほちゃんのアムネリスが見られて本当によかった…と幸せをかみしめました。

現状の人事、過去の人事に不満があるわけではないと前置きした上で書きますが、できることならどこかの組でトップ娘役になるのを見てみたい…と願っている娘役さんの筆頭でありお一人です(他にもいます)

以上、ライブビューイングを見てのざっくりとした感想でした。
思い出したことや千秋楽の映像を見てあらためて思ったことなどまた書くかもしれません。

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