観劇の感想

ロミオとジュリエットは礼真琴・舞空瞳の星組を待っていた(観劇の感想B日程)

こんばんは、ヴィスタリアです。

緊急事態宣言発令の前に星組「ロミオとジュリエット」B日程を観てきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、古典作品で再演が繰り返されていることもあり作品の内容に触れています。

書くのに時間がかかってしまい今更かもしれませんが観劇の備忘録もかねて記事にします。

「ロミオとジュリエット」は礼真琴・舞空瞳の星組を待っていた

小池先生が「宝塚歌劇は出演者も多いし明日の、明後日のスターを育てなければならないので役替りという方法をとった
とお話されていたのを記憶しています(スカイステージの「宝塚魂 海外ミュージカル」)。

「ロミオとジュリエット」は役が少なく、娘役に至っては乳母、モンタギュー夫人、キャピュレット夫人の3役しかありません。

しかし多くの組子が名前のないモンタギューあるいはキャピュレットの男と女に配されていることが
星組のカラーに合っているように思いました。

星組から月組への組替えを経験された美弥るりかさんが在団中に
星組はまず皆で熱いものを打ち出し、その上で個人はどうするか。月組は1人ひとりが自分のできることをコツコツ掘っている
と組カラーの違いをお話されていました。

役名のないモンタギューとキャピュレットの男と女たちが舞台に息づきナンバーを作り上げる強い一体感がある上で、
1人ひとりが非常に個性豊かであることが星組にマッチしていると思ったのです。

星組子は上級生の層が厚いこともこの「ロミオとジュリエット」の充実に欠かせない大きな要素になっているのではないでしょうか。

このアンサンブルが輝く舞台の真ん中に立つロミオ/礼真琴ジュリエット/舞空瞳が役にこれ以上ないほどはまっていて、
ロミオもジュリエットも礼真琴と舞空瞳を待っていたんだと感じました。

ロミオ/礼真琴は恋に恋しているまだ何も知らない少年の今しかないきらめき、
ジュリエットに出会って世界が鮮やかになった高揚がまぶしいほとでした。

またモンタギューの跡取りですが年若く、強いリーダーシップで若者たちを引っ張っていくタイプではなく、
自然と真ん中にいてモンタギューの皆に愛されているのがトップスターとしてのことちゃんのイメージに重なりました。

これまで好青年、少年やリーダー的な役が多かった印象がありますが(「サンダーボルトファンタジー」「GOD OF STARS」「阿弖流為」「眩耀の谷」など)、
ロミオがもっともことちゃんにしかない魅力を無限大に引き出していて一番好きだなあと感じました。

少し年上のベンヴォーリオ/綺城ひか理マーキューシオ/天華えまに末っ子のように甘え、愛され、
しかしどこか「王者」の風格が滲むロミオでした。

「世界の王」の歌詞「僕たちの王は僕たちなんだ」がぴったりです。

幼さはロミオの実年齢だけでなく精神年齢にも表現されていて、
大罪を犯してしまった後、神父/英真なおきの腰にしがみついて震えている表情は
まだ何も知らない少年が予期しなかったうねり――ヴェローナの両家の対立、事件の中で大人にならざるをえない不安が克明に刻まれていました。

ことちゃんの超絶技巧のダンスに歌は圧巻で、
「僕は怖い」のソロで低く響かせた歌声がすごくて劇場が固唾を飲んで聞き入っているのを肌で感じました。

ジュリエット/舞空瞳もいままでのなこちゃんの役で一番好きだと感じました。

可憐でかわいくて透明感があるのはもちろんのこと、
ロミオにとって愛をもたらす天使であると同時に死と導く存在であることを感じさせてくれました。

終幕に愛/希沙薫死/愛月ひかるが混然一体と溶け合うポーズを見せますが、
ジュリエットの象徴のようだと感じました。

(そして「グランド・ホテル」のオッテンシュラッグ医師の「不俱戴天の敵同士愛と死が相まみえる」というセリフを思い出しました。)

キャピュレット家の令嬢で親の望む結婚に疑問を感じるジュリエットに
自分で自分の結婚相手も人生も決める主体性を全面に押し出させてどこか現代的な女の子というチャームポイントを際立たせたのは演出の小池先生(と稲葉先生)の手腕で、
なこちゃんはそれを見事に具現化しこれ以上ないほどチャーミングに見せてくれました。

乳母を追い払う声には自然と頬が緩みましたし、
ロミオに起きた悲劇を知って嘆くのはジュリエットの心が張り裂けそうなのが痛いほど伝わってきて、本当にかわいそうでたまらない気持ちになりました。

なこちゃんの超絶技巧のダンスとスタイルのよさは随一だと思いますが、
今回のジュリエットで演技も深くなり引き込まれ、歌唱も格段に進化されているのを目の当たりにしました。

演じているというよりジュリエットを生きているんだと感じました。

これだけの才能がありながら伸びしろのなんと豊かなことか。
これからもことちゃんとすばらしい舞台をたくさん見せてくれるのが一層楽しみです。

デュエットダンスはフラメンコ調の「エメ」がものすごいアップテンポに振り数で自分の動体視力が追い付かず、
いま何が起こった!?どういうこと!?と圧倒されました。

観劇する前に写真を見てこの衣装はありなのかしら?と首をひねっていたのですが、
劇場で生徒さんが着ているのを見ると特に違和感はなかったです。

ジュリエット像が新鮮なこともあり隣に立つロミオもそうなってくるので
この新しいテイストもありなのかなと思いました。

緊急事態宣言前夜の劇場

この日は東京都にも3度目の緊急事態宣言が発令されることが決まったものの、
いつからで休業要請がどの程度のものになるのかはわからない状況でした。

客席は4月上旬に観劇したときよりは静かで(それでもお喋りをしている人たちがいて悲しい気持ちになりました)
そして今まで感じたことのない雰囲気がありました。

拍手や手拍子にどこか沈んだものがあったと感じました。

これが本当に星組の客席?いつものノリノリで熱い拍手に手拍子はどこに行ってしまったの?
と思うくらい元気がなかったんです。

こんなこと初めてで、今後どうなるかわからない不安がそうさせているのかな…と感じました。

他ならぬ自分自身がどうなるかわからない不安を感じていたからかもしれません。

休業要請に劇場が入ること、宝塚歌劇も休演になってしまうことが察せられるような報道が出ていれば
客席はまったく違う空気になっていて、
おそらく劇場が割れんばかりの拍手がわいていたんじゃないでしょうか。

この記事は緊急時代宣言が発令され舞台の中止が決まってから書きましたが、
舞台の上の生徒さんだって大きな不安を感じていなかったわけはないんですよね。

そんな中で1公演にすべてをかけて愛と夢と元気を届けてくれているのですから
次に星組「ロミオとジュリエット」を見るときには全力で、元気にたくさん拍手と手拍子をして感動と元気を客席から舞台へ届けようと心に誓いました。

ロミオ、ジュリエット以外の役の感想はあらためて書きますね。

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