専科

専科のこれからを考える~スペシャリスト、スター専科~

こんにちは、ヴィスタリアです。

専科の形が変わる 松本悠里さんがご卒業するということ

宝塚大劇場で月組「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-/ピガール狂騒曲」が初日を迎えました。

この公演はミエコ先生(松本悠里)のご卒業の公演でもあります。

タカラヅカニュースで流れた数秒の映像でもミエコさん至芸に感嘆しました。

たおやかで気品があって、ただそこに居る佇まいの神々しさ、美しさに深い敬意と感動を抱かずにいられません。

ミエコ先生は至宝の存在ですからどなたも後任はできませんが、
こうして舞踊のスペシャリストとして和物のショーに出演される専科生は他にいらっしゃらないように見えます。

名取名が「宝塚おとめ」に載っていたり2年に1度の舞踊会に出演されている専科生もいらっしゃいますが
日本舞踊や和物での活躍よりも芝居作品の出演が多いのが実情です。

宝塚歌劇の公演内容の変化もあるのでしょうし、専科はかつて舞踊専科・演劇専科・声楽専科・ダンス専科・映画専科などに分かれていたそうですが、
そういったスペシャリストとしての分野を明確にしなくなったことも影響していそうです。

舞踊の最高峰のスペシャリストであるミエコ先生のご卒業で
確実に終わるものがあると実感しています。

専科生はなくてはならない存在

いまの専科生は演技力が卓越した上級生と組長経験者が揃っている印象です。

先日の星組「眩耀の谷/Ray」大千秋楽を無事終えて星組組長であったユズ長(万里柚美))が、
そして昨年は雪組組長であったみとさん(梨花ますみ)が専科に組替えとなりました。

あるOGの男役さんが「娘役さんがアクセサリーにどのくらい手をかけているのかわかるが、梨花さんと万里さんのアクセサリーはいつ見ても本当にすごい」と
某所でお話していたとヅカ友さんが教えてくれました。

また少し前に放映された雪組の94期生のトークで「組長さん本当にすごい。わからなかったら聞く」というようなことを深い尊敬を込めてお話していました。

ユズ長もみとさんもすばらしい娘役、女役であり組長さんであったので専科生として各組に出演されるのが楽しみです。

みとさん「ハリウッド・ゴシップ」の大女優アマンダ・マーグレットは名演でした。

彩彩の沼にはまってBlu-rayを買って一層深くはまっているのですが、
みとさんのカラーコンタクトや深紅の口紅、涙で落ちたアイシャドウといった作り込みが鮮明な映像で見えたのも「買ってよかった」と思いました。

観劇の思い出を振り返ると、
いっちゃん(京三紗)は「カンパニー」敷島瑞穂、「20世紀号」プリムローズなどいつも絶妙な演技で楽しませてくれます。

ゆうちゃんさん(汝鳥伶)は「ANOTHER WORLD」で閻魔大王を、
「GOD OF STARS」でコミカルでかわいい牛魔王を演じ、
「FLYING SAPA」総統01では背筋がぞわぞわするような恐怖を感じさせてくれました。

また元星組のお三方ーーはっちさん(夏美よう)じゅんこさん(英真なおき)ヒロさん(一樹千尋)もいつも楽しみにしています。

お三方とも善人を演じれば心を温めてくれて、ひねた人物や悪人を演じれば悔しがらせたり畏怖を抱かせてくれたり、
いったいどちらの役が似合うんだろう…と見る度に思います。

じゅんこさんはもうすぐ東京宝塚劇場で初日を迎える花組「はいからさんが通る」はどこかかわいらしい伊集院伯爵を演じ、
雪組「ドン・ジュアン」では突き放すように冷ややかなドン・ルイを演じています。

振れ幅がすごすぎます。

専科生長い年月と経験、磨かれた芸によってもたらされる深みと幅は貴重なものです。

もしも専科生がいなくなってしまったら
宝塚歌劇はずいぶん寂しい、つまらないものになってしまうのではないでしょうか。

先日「ブエノスアイレスの風」の月組(1998年)と星組(2008年)を映像で見ました。

哀愁と切なさのある主題歌を歌うフローラという酒場の歌手の役を月組では専科のシビさん(矢代鴻)が、
星組は音花ゆりさんが演じていました。

星組版が悪いとか劣っているということではありませんが、
この役は、そして歌は年齢を重ねているからこそ滲むものがあると感じました。

こうして専科生のことを書いてみるとみなさまの芝居の表現はもちろんのこと、
声がすごく印象的で強烈な個性で余人をもって代えがたいということに思い至りました。

滑舌、口跡が鮮やかであることも関係していそうです。

また人間は年齢を重ねることで声も変わってきますから(すみれコードでごめんなさい)、
このの存在感もも舞台の深みと幅に欠かせないように思います。

スター専科はどうなるのか

専科生の人数そのものが減少傾向にあるのは第一次ヅカファン時代である80~90周年ころと比べても実感しています。

実際に観劇したところでは「雨に唄えば」があります(2003年星組と2018年月組)。

2003年星組公演はなんと専科生が4名も主演しており、いまだったら考えられないことです。

ちなみに萬あきらさん・藤京子さん・星原美沙緒さん・五峰亜季さんの4名です。

五峰亜季さんは2018年にもご出演されています。

2018年月組公演は第2次ファン開始直後で、
2003年星組の記憶があったので「若いなあ」と客席で感じたのを覚えています。

そして月組生の芝居とコメディセンスに大いに笑い楽しみました。

第1次ヅカファン時代には新専科制度なんていうものもありました。

さて。
先日世界の彼氏ことみつるさん(華形ひかる)がご卒業され、
スター専科はカチャさん(凪七瑠海)お1人になってしまいました。

スター専科という言葉はありませんが、
組子時代にスターとして新人公演や別箱公演で主演経験がある
という意味合いで便宜上そう呼ばせていただきます。

数年前にはコマさん(沙央くらま)マギーさん(星条海斗)がいたのに…気づけば寂しくなってしまいました。

愛ちゃん(愛月ひかる)の宙組と星組時代の間の短い専科時代は
いったいなんであったのだろうと今でも疑問です。

またこれは昔からですが専科を組替えの間の一次待機場所にしないでほしい
という思いもあります。

いま各組を見渡して主演経験がある上級生が少ないので、
「ご本人に意向があるなら専科生になってほしい」と思う方は輪をかけて少ないと実感しています。

男役10年といいますが10年在団するのだって大変で、15年以上在団するのは一握り。

それより長い年数を男役スターとして在団できるのはトップスターが2~3番手くらい、
在団年数としては長くて17~18年くらいでしょうか。

のぞ様(望海風斗)は公演スケジュールの延期で在団年数も延びましたが例外中の例外でしょう)

スター専科はその先の夢を見せてくれる存在でもあると思っています。

スター専科生にしかできない役、出せない存在感と美学があるのでいてほしいですし
活躍するお姿を見たいです。

みつるさん「グランド・ホテル」プライジング社長「鎌足」の蘇我入鹿

カチャさん「蘭陵王」「ロックオペラモーァルト」のサリエリ

いずれも男役の芸と美しさ、そして色濃い存在感の役で胸を打たれました。

カチャさんは月組時代の映像を見返すと歌唱力が格段に向上しているのも感じます。

専科生になられたからニューヨークに勉強に行ったとリクエストトークDXでお話されていて
なるほど…と腑に落ちました。

別箱公演だけでなく本公演の芝居・ショーにおいても
磨いた芸と美学、表現の深さと幅で魅了してくれるスター専科生がこのまま減少していってしまうのは寂しいです。

下級生にいろいろな面でよきお手本であり継承すべきものを伝えていってほしいという願いもあります。

長く在団するにはそれだけ制度が充実していたり、居続けることに魅力やメリットも必要でしょう。

少し前だったら外部でも舞台作品はたくさん上演されているから…と書いたのですが、
世界がすっかり変わったいま、この先劇団が、専科がどうなっていくのか気になるところです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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