宝塚

柴田先生を偲んで。当て書きが再演される愛とクオリティ

こんにちは、ヴィスタリアです。

宝塚になくてはならない柴田先生の訃報に接して

昨日、柴田侑宏先生の訃報に接しました。

享年87歳。いつかこの日が来るのは避けられないこととはいえ、たまらない悲しみと寂しさでいっぱいです。
心からお悔やみ申し上げます。

SNSを見ますとファンはもちろんのこと、たくさんのOGさんが追悼の投稿をされています。
観る側にはそれぞれの「これぞ柴田作品」と思うものがあり、また出演された生徒さんたちにもそれぞれの、かけがえのない柴田先生との思い出があるのではないでしょうか。

ヴィスタリアが印象的だったのは元月組トップ娘役蒼乃夕妃さんの投稿です。

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音楽学校にいた時、毎週柴田先生の演劇の授業があり、先生の作品の裏話や、演劇論をたくさん話して下さり、私は大好きな授業の1つでした。 . . 入団してから柴田先生と御一緒させて頂いたのは、中日公演の「紫子」と、大劇場公演の「アルジェの男」でした。 . . 私がお会いした時にはもう目が見えなくなっていたので、実際私の顔は知らないと思います。 . . でもお稽古場で私の声や私がお芝居する空気などを感じて頂き、 「蒼乃はきっと上級生の○○○に似てるはず」 と言われた事がありました😌 (誰かは秘密✨) . . それが良く言われる方だったのでびっくりしたのをとても覚えています😌 . . そしてたくさんアドバイスを下さり、とても成長させて頂きました。 . . 宝塚に入る前から柴田先生の作品が大好きでした。 初めて宝塚を観たのも、柴田先生の作品「あかねさす紫の花」でした。 . . 宝塚生活の中で柴田先生と御一緒出来たのが本当に嬉しくて、尊敬する先生だからとても緊張したのを覚えています。 . . 柴田先生、ずっと尊敬しています✨ #柴田侑宏 先生 #紫子 #アルジェの男

蒼乃夕妃 Yuki Aonoさん(@yukiaono_official)がシェアした投稿 –

音楽学校の授業でたくさんの生徒さんが学ばれ宝塚歌劇の舞台に立たれたこと、そして柴田先生が視力を失われていたとしても声や空気からたしかなものを感じていらっしゃったであろうことが想像できます。

柴田先生は生徒と宝塚歌劇にこの上ない愛をそそぎ、また多くの観客からも生徒さんからも愛された演出家だったのだと改めて思います。

柴田作品のクオリティと愛情

昨今は演出は他の先生に任せる形で、全国ツアーや別箱で多くの柴田作品が再演されています。

「仮面のロマネスク」
「あかねさす紫の花」
「うたかたの恋」
「凱旋門」
「黒い瞳」
「アルジェの男」

この1〜2年を思い出すだけでもこれだけの作品が再演されており、短期間にこれだけの作品が上演されているのは柴田先生をおいて他にいないとも言えます。

柴田作品には年月を経ても色褪せない完成度の高さがあり、ある意味「これぞ宝塚歌劇」という基礎、大きな柱の1本になっていると思います。

完全オリジナル作品にせよ原作ありものにせよ、初演時は当て書きのように「このスターさんにぴったり!」「この生徒さんにこそ演じてほしい」と思った役が再演を繰り返しながら息づいてきたのは、
当て書きで生徒さんの魅力を引き出すと同時に、美しい言葉のセリフ、ドラマチックかつロマンティックな展開と演出で宝塚歌劇の魅力を生み出していたからではないでしょうか。

ヴィスタリアの柴田作品ベスト1位は「哀しみのコルドバ」(1995年花組)なのですが、そもそもこれも再演でした。

「エリオはヤンさん(安寿ミラ)しかいない」と思いますが再演ですし、その後再演された2015年雪組を見たとも「ちぎさん(早霧せいな)のエリオ、最高にかっこいい」と思います。

また「黒い瞳」も大好きですが、初演の月組も昨年宙組での再演もどちらも好きですし、たとえばりかさん(紫吹淳)のプガチョフも愛ちゃん(愛月ひかる)のプガチョフも「この生徒さんでこの役を見られてよかった」と感動しました。

当て書きは柴田先生から生徒さんへの愛と期待に裏打ちされてものであったとヴィスタリアは確信しているのですが、
それは「タカラジェンヌとコーヒーブレイク」という柴田先生と生徒さんの対談集を読んだからかもしれません。

宝塚グラフで昭和50年代〜平成一桁年ころまで連載されていたものを1冊にまとめたもの(新刊で購入し読みふけったのはなんと20年も前のことです)で、昭和のタカラジェンヌをまったく知らないヴィスタリアですがそんなことは関係なく、貪るように読みました。

男役とはなにか、娘役と女役の違いは、役を自分に近づけるのか自分が役に近づくのか、といった演技の話から、生徒さんのブレイクスルーを引き出すような話が多かったです。

実家に置いてきてしまった本なので記憶を頼りに書いていますが、ある美貌のスターさんについて「あなたの魅力は自分でも自惚れているであろうルックスはまずあるとして」と笑いをまじえて話し出し、ルックスだけに終わらない、そのスターさんの魅力をいかに打ち出そうとしているかというような話が展開していくのです。

柴田先生はいまごろ空の上、川霧の向こうでどなたとコーヒーブレイクを楽しまれているんでしょうか。
心からご冥福をお祈りいたします。

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POSTED COMMENT

  1. うみひこ より:

    ヴィスタリアさん
    今回の訃報で柴田先生の作品の多くが珠玉であったことを改めて感じました。

    自分の柴田先生の作品ベストは、実際に観劇した中では「仮面のロマネスク」、映像で見た分では「小さな花がひらいた」です。

    どちらも本当の気持ちを素直に言えない男女二人が、不器用なまま傷つけあいながらも慈しむストーリー、というのが自分の解釈です。
    そういえば「凱旋門」もそうかも。

    いずれにしてもご冥福をお祈りします。

    • vistalia より:

      うみひこさん

      「仮面のロマネスク」も「小さな花が開いた」も名作ですね。
      うみひこさんが挙げてくださったように、宝塚ファンであれば誰しも「自分の柴田作品」や「好きな柴田作品の台詞」があるのではないでしょうか。

      本当の気持ちを素直に言えないところに言葉の美しさやこの上なくロマンチックで品のあるドラマがあったように思います。

      演出家のなかではもしかしたら一番好きな先生だったかもしれず、なんともいえない寂しさと悲しさで、あの作品、この作品を思い出していて、自分のなかに占める宝塚歌劇の柴田作品の大きさを実感しています。

  2. アクビ より:

    ヴィスタリアさん 
    こんにちわ。いつも愛情深いブログ、特に美弥茶などのご報告など参加できない私には、楽しませて読ませていただいております。ありがとうございます。

    柴田侑宏さんの訃報、いつか来る日があることは
    わかっていましたが、やはりつらいですね。
    生徒さんへの愛情と共に演出の指導が厳しいことで
    知られていましたね。

    私の宝塚の初観劇は安奈淳さんの単独トップお披露目公演の『ノバ・ボサ・ノバ』だったのですが、その年は1976年。柴田作品の最も名作が次々と紡ぎ出された年でした。そんな黄金期にファンになったので、関西テレビなどで見た宝塚の作品で気に入った作品を並べていくと、『あかねさす紫の花』(榛名・安奈)『星影の人』(汀)『バレンシアの熱い花』(榛名)(※この3作品が76年ですべてオリジナル作品。)と気に入った作品の多くが柴田作品であることに気づきました。

    それ以降、どなたかのファンというよりは、柴田作品、ひいてはダンディな柴田先生そのもののファンという側面の方が私は大きかったように思います。実際に村で柴田先生をお見かけした時は、かっこよすぎて発狂しそうでした(笑)。

    ヴィスタリアさんがお好きだといわれた『哀しみのコルドバ』(峰)も初演を何度も通い詰めて観劇しており、この度亡くなられて、真っ先に思い出した、柴田先生の書かれた台詞の中で真っ先に思い出されたのが、「エリオだって、道に外れる権利だってある。」という台詞でした。宝塚らしくない台詞なので、特に覚えているんですけど、人間臭い台詞に、お子ちゃまな私は、衝撃を受け、ええ?道に外れてもいいのか!そんな過激な!なんて、思ったものでした(笑)。初演の『哀しみのコルドバ』は前作品『我が愛は山の彼方に』で2番手の山城はるかさんが退団され、峰さを理さんの相手役の南風まいさんが若すぎるということで、湖城れいかさんが主演娘役を務められた公演の次回作として、作られた作品で、次の二番手役は日向薫さんと紫苑ゆうさんだけど、まだ力量も弱い、そういう不安定な体制の中でのこの当て書きは素晴らしかったと思いますね。リカルド役は、ベテランの新城まゆみさんが演じておられ、確たる2番手のいない作品でしたが、隅々までの当て書きでそれぞれが生かされた作品となりました。

    ほかにはオリジナルとしては『琥珀色の雨にぬれて』『たまゆらの記』原作物では『白い朝』『赤と黒』『大江山花伝』『ヴェネチアの紋章』が好きでした。

    先生の作品は残ります。私はまだ一度も再演されていない出世作の『フィレンツェに燃える』(兄弟の葛藤)や、音源で聞いたことしかない『テームズ川の霧に別れ』(若手相手役との淡い恋愛物)など上演していただきたいですね。

    亡くなられは致しましたが、柴田作品をこうして毎年というほど、再演していただけるのはファンとして嬉しい限りですね。
    長々と失礼いたしました。
    (美弥るりかファンとしては『赤と黒』を演じてほしかったですね。)

    • vistalia より:

      アクビさん

      コメントをいただき、またもったいないお言葉をありがとうございます。
      美弥茶の記事はいつも「美弥るりかさんのお茶会、お人柄、魅力を少しでもお伝えしたい」と力を入れて書いておりますのでとてもうれしいです。

      この日は気が付くと柴田先生のことを、作品のことを考えていました。

      アクビさんは長くファンでいらっしゃるのですね。
      安奈淳さんの「ノバ・ボサ・ノバ」や「哀しみのコルドバ」初演をご覧になっているなんて羨ましいです。
      そして1976年は名作ぞろいのすごい年だったのですね。

      私は「哀しみのコルドバ」の初演映像を見られていないのですが、ぜひ見てみたいと思いました。
      女役的な要素のあるエヴァといかにも娘役のアンフェリータのキャラクターの理由には、そういった背景があったのですね。
      (「タカラジェンヌとコーヒーブレイク」で柴田先生と山城はるかさん、湖城れいかさん、新城まゆみさんとの対談もあったと記憶しており、読み返したくなりました。)

      最近の再演は全ツばかりですが、役も多いですし曲もよくて大劇場で再演があってもおかしくないのでは…と思います。

      柴田先生がダンディーでかっこよくてファンになるというお気持ち、わかります。
      先生を悼むたくさんのOGさんたちもダンディーでかっこいいと柴田先生について書かれていて、お写真を拝見しても粋でかっこいいです。

      アクビさんの仰るようにまだ再演されていない柴田作品がたくさんありますからしかるべき組、出演者がそろったときにまた再演され、いつまでも受け継いでいってほしいと思います。

      「赤と黒」の美弥さん、いいですね。
      柴田先生の作品が好きなので美弥さんに出てほしかったというのが一つ、心残りだったかもしれません。

  3. アクビ より:

    ヴィスタリアさん

    昨日は長文の上、誤字脱字でお見苦しい箇所が多々あり、失礼いたしました。

    補足にて
    初演の『哀しみのコルドバ』の峰さを理さんのエリオは
    大人で少し冷徹ではと思える重い雰囲気と恋に落ちてからの
    狂おしいほどの情熱に走ってしまう男として演じておられました。

    私は安寿ミラさんのファンでもありましたので、安寿エリオも素敵でした。峰さんと違い、静かで胸の中に沸々と炎があるというエリオ像でしたね。峰さんの悲壮感漂う「終わった。。」と違い、静かに焦燥感のある「終わった。。。」もありだなと思いました。

    あと、現役生さんでは、当時、一樹千尋さん、夏美ようさん、英真なおきさん、万里柚美さんも出演されていたなんて、すごくないですか?(笑)。

    • vistalia より:

      アクビさん

      再びのコメント、ありがとうございます。

      24日にスカイステージで柴田先生の追悼で「琥珀色の雨に濡れて」のオリジナルが放映されるそうですね。

      峰さんのエリオはそんな雰囲気だったんですねえ。
      安寿さんはたしかに死を目指していくような焦燥がありましたね。

      そして星組の一樹千尋さん、夏美ようさん、英真なおきさん、万里柚美さんが出ていたことのすごさ、わかります。

      私は麻路さん時代の星組が初観劇だったのであのころの星組にはみなさんいらっしゃったんだなあと思い、「鎌足」では一樹さんが星組に出演されていてうれしくなりました。

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