こんばんは、ヴィスタリアです。
宝塚大劇場で月組「桜嵐記/Dream Chase」を観劇してきました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
月組「桜嵐記」で上田久美子が救ったもの
友の会がSS席を用意してくれました。ありがとう、友よ!
大劇場のSS席はセンターブロックよりも広い範囲なんですね。
この日は下手側の席でした。
ホームである東京宝塚劇場より広くて大きいことを感じます。
実はいまだに慣れなくて、大劇場で観るたびにやや緊張しているというかふわふわした感じがします。
さらに人生でも数回しか座ったことのないSS席と
前日の「華詩集」の興奮でもいつも以上にふわふわしていた気がします。
初日から間もない観劇でしたが、twitterに流れてくる感想を見るとみなさま泣いていらっしゃるようで、
「そんなに…?」と思っていたのですが、本当に大泣きに泣いて、嗚咽をおさえるのが大変なくらい泣きました。
嗚咽がこらえきれなくて手の甲を抓っていたら爪の痕だらけになってしまいました。
オペラグラスがいる席のときは歯を食いしばって耐えることになりそうです。
結末へ向かってじわじわと涙が堪えられなくなって気づいたら涙腺が決壊していたのですが、
そこに至るまでの役たちのドラマがきちんと描かれていて感情移入できるからこそ泣けて仕方がなかったのだと思います。
背景も歌や音楽なども効果的で(特に歌)、衣装などの視覚的な美しさ、
銀橋に過去のシーンを見せながら本舞台で現在のシーンが展開する見せ方やラストシーンに持ってきたものも大きく寄与していると思います。
泣けましたし、いいオリジナル作品であり、
いいトップコンビのいい退団公演だと思いました。
やはりトップコンビの退団公演であった「fff」が観念的な作品だったのでまた違う、ドラマチックな作品が見られたのもうれしいです。
役どころが多くて上級生、中堅、下級生までそれぞれきちんと見せ場と役があるのも上田先生のよいところ、好きなところです。
そして「夢現無双」の禍根を浄化してくれたことが当時通いつめた者として救われた思いです。
日本物で、スターと上級生の退団公演で、
大好きな美弥るりかちゃんが退団することもあって思い入れがあっただけに
齋藤先生の脚本と演出は許すまじ!だったんです。
「桜嵐記」では暗い色の幕前、下手側で
うみちゃん(海乃美月)がちなつさん(鳳月杏)といいお芝居をする場面があるのですが、
「夢現無双」にも同じ構図はあったなあ…と思い出しました。
構図は同じでも役の描き込みやドラマの見せ方は雲泥の差だと思いました。
「桜嵐記」で芝居の月組の真ん中から端までそれぞれが輝ける日本物の作品を見て、浄化された気がします。
宝塚の傷は宝塚でしか癒せないのだとしたら
2年のときを経てようやく癒せたことになります。
上田久美子作品がえぐるもの
「桜嵐記」で看過できないセリフがありました。
具体的な言葉をここには挙げませんが、女性の意に沿わない性行為の強要を端的に表す言葉で、
発したのがスターさんであったこともあり、客席で身を固くしました。
清く正しく美しい宝塚歌劇は恋愛も婚姻も不倫も浮気も美しく描き、ロマンチックな物語が数多生み出されていますが
性暴力が描かれることはほとんどないのではないでしょうか。
すみれコードが明文化されているわけではないので何がよくて何がだめなのかはファンそれぞれかと思いますが、
自分は性暴力はすみれコードに触れるのかなと(勝手に)思っていました。
なので上田久美子先生の「FLYING SAPA」は衝撃でしたし、見たときは硬直してしまいました。
外部の舞台や映像作品、2次元作品では平気なのに
宝塚歌劇では自分はそういうものを見るのは無理と感じるのを初めて知りました。
また上田久美子先生は「fff」では児童虐待(実父ヨハンからルイへの)を描きました。
殴る、睡眠や休息をとらせない、労働をさせる、寒いなか家から閉め出す――
幼いルイが安らぎと音楽教師という職を得たブロイニング家にヨハンが押しかけてきたときの
震えがとまらず体を縮こまらせているのを見ると、
もっとひどい暴力があったのではと胸がざわつきました。
クライマックスへ向かって謎の女が歌う歌詞にも人々が身に受ける暴力が綴られていました。
同時に上田久美子先生の作品のほとんどが戦争や争いという大きな暴力が作品で大きく描かれたり、背景にあることが多いような気がします。
デビュー作の「月雲の皇子」から始まって
「星逢一夜」
「金色の砂漠」
「神々の土地」
ショー「BADDY」もそうです。
人々が生き愛し、結ばれあるいは別れ、すれ違うかたわらに避けがたい戦争あるいは暴力があるというのは上田久美子先生のテーマなのかもしれない…と考えた観劇でした。
役の感想やショーDream Chaserの感想は別記事で書きます。
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