こんばんは、ヴィスタリアです。
東京建物Brillia HALLで宙組「カルト・ワイン」を観劇しました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
宙組「カルト・ワイン」栗田優香先生の佳作
宝塚歌劇を観るとき、ヅカファンの自分はいつもは作品への期待よりも好きな生徒さんやスターさんを楽しみにしていることの方が多いかもしれません。
が、今回は栗田優香先生のバウデビュー作宙組「夢千鳥」がすばらしかったので、初東上作品となる「カルト・ワイン」そのものにも観劇欲を大いに掻き立てられてチケットを取りました。
栗田先生の新作への期待とずんちゃん(桜木みなと)はじめ宙組生が楽しみな気持ちの両方があったんです。
ずんちゃんは東上するはずだった「壮麗帝」がコロナ禍のリスケジュールでドラマシティのみになってしまったので満を持しての東上ですね。
おめでとうございます!
こうして観劇した感想を書いていながら、自分は作品そのものを楽しみたくて前情報はほとんど入れず、
ご覧になった方の感想も薄目で通り過ぎていたのですが、よい評判がぐいぐいと上昇していることは感じていました。
そして前情報を入れずに観て楽しんだので、これからご覧になる方、ネタバレしたくないという方はこの先は読まない方が作品を楽しめるかと思います――と、前置きをした上で書いてまいりますね。
一言で言うなら最初から最後まで起承転結すべてがよくまとまっていて、音楽・装置も楽しくて、勢いのある、完成度の高いミュージカルでした。
1幕は物語がグイグイ展開していくのがおもしろくて楽しくてワクワクしながら観て、2幕もラストまでその勢いのまま楽しみました。
よき作品、よき宙組生と専科の五峰亜季さんに出会えて幸せです。
ちなみに一般前売で確保できたA席は3階下手サイド側の6列目でした。
一列ごとに売止席が挟んでありますが、それでも前方の人の頭と手すりで舞台のセンター付近、そして下手側がまっっったく見えない(涙)
隙間から気合で見て、完全に見えない下手側は心の目で補完しました。
後日ライブ配信でちゃんと補完しようかしら…。
Brillia HALLは見にくい上に音響もよくない劇場なので、席からの見え方を書かずにいられない私なのです。
しかし、このホールの弱点を吹き飛ばしてくれるような楽しい作品、目にも楽しい装置と照明であり、
音響の悪さを忘れさせてくれる音楽のよさ、ミュージカルの高揚感と
聞こえにくいストレスをバーーーン!と勢いよく吹き飛ばす元気のいい宙組生のすばらしいコーラスがありました。
繰り返されるコーラスに「♪狂乱のオークション♪完璧なイリュージョン」という歌詞があるのですが、正に宙組生たちにイリュージョンにかけてもらったようでした。
そして実際に事件からこの作品を着想され、バウデビュー作「夢千鳥」の耽美で退廃的な魅力のある作品とはまったく違うものを作り出された栗田先生のこれからの作品を大いに楽しみにしています。
指田珠子先生も栗田先生も本公演デビューが待ち遠しいです。
宙組「カルト・ワイン」役ごとの感想
栗田先生は噛みごたえのある当て書きを書かれる先生だな…と今回観劇して感じました。
「夢千鳥」では主演の和希そらくん、じゅっちゃん(天彩峰里)のこれまでにない色気を引き出しましたし、
「カルト・ワイン」もずんちゃんの、もえこちゃん(瑠風輝)の魅力をたくさん感じることができました。
シエロ・アスール/桜木みなととフリオ・マラディエガ/瑠風輝の丁々発止の台詞が多いのですが、2人とも自然で巧くてしっくり馴染んでいるんです。
◆シエロ・アスール/桜木みなと
プログラムに栗田先生が寄せた文章にもありますが、ずんちゃんの七変化できる演技力と魅力が最大限発揮されているのが作品の楽しさをものすごい勢いで加速していたと思います。
貧しくて夢すら見られない青年、いたずら小僧のたまらないチャーミングさと危うさ、野心を抱きその野心に火がついた瞬間、ミラ・ブランシェット/五峰亜季との艶めいた取引。
かわいいのに色気が滴っているギャップがすごい…!
そして巧い、芝居も歌も巧くて変化変貌ぶりがすばらしかったです。
自分はチャポ・エルナンデス/留依蒔世に屈服するときに「チャポ」から「チャポ…さん」と呼び方を変えた瞬間の、隠しきれない屈辱と燃え上がる野心がたまりませでした。
「カルト・ワイン」はシエロ、フリオ、そしてチャポら裏社会で生きる男たちの物語でもあるんですよね。
いわゆるヒロインが不在なのが寂しいような、こういう野郎どもの話もたまには見たいような…そんな気持ちです。
この日のカーテンコールはこんな感じで楽しいものでした↓
(桜木)みなさま、詐欺にはくれぐれもお気をつけください!
(全員)お前が言うな!!
こんな自由で楽しい宙組が好きです。
◆フリオ・マラディエガ/瑠風輝
シエロの友人で、しかしキャラクターは正反対といっていい真面目で危ないことなどできない青年です。
真面目すぎて恋も下手…というか不器用なくらい誠実な男で、家族思いで友情にも厚い、いいヤツなんですよ、フリオは。
なのにどうしてアマンダは…。
もえこちゃんの小さなお顔に長身、手足の長さが舞台映えしてかっこよすぎて、特にスーツでポケットに手をつっこんでいると超絶スタイルに目がバグりそうでした。
働いているときの制服姿も爽やかでかっこいいです。
目から幸せなだけでなく芝居もよく歌もうまくて、特に高めの声を張るところが短いフレーズですがあるのですが圧巻で、もっと聞かせて…!と圧倒しながら興奮しながら聞いていました。
実は不勉強でまだもえこちゃん主演のバウ「リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド」を見られていないのですが(←なかなか録画が消化できなくて…すみません)大至急見なくてはいけない…!と思った次第です。
もえこちゃん、うまくてかっこよくてすばらしかったです。
◆アマンダ・フェンテス/春乃さくら
「NEVER SAY GOODBYE」で新人公演ヒロインを演じ、今回もスチールが発売されて、しかしストーリー上は男社会と男の友情の話なのでいわゆるヒロインの役どころではないのかな…と残念に思いつつ、これから大きく活躍されるのかなと思いました。
いえ、さくらちゃんが活躍するところがもっと見たい、見られると期待しています。
さくらちゃんは歌声が美しいのみならず、長身でスタイルもよくてダンスシーンでも美しさに目を奪われました。
1幕のホンジュラスのクラブの場面でバイトで踊っています。必見です。
◆チャポ・エルナンデス/留依蒔世
「プロミセス、プロミセス」「NEVER SAY GOODBYE」と女役でのすばらしい活躍が続きましたが、るいくん(留依蒔世)は男役でもやはりすばらしい!巧すぎる!と圧倒されました。
裏社会でのし上がった金も権力もある悪い男なのですが、怖くて、かっこよくて、派手で、存在感をたっぷり発揮していました。
誰もができる役ではない――いえ、誰もができない役にるいくんが昇華しているのだと思います。
るいくんだからこその場を支配する力があり、栗田先生の噛みごたえのある当て書きを感じながら唸りました。
◆カルロス・フェンテス/寿つかさ
移民として成功している身なりのいいおじさまの品格がありました。
またバイトですが、2幕の裁判の場面でたくさんの男役さんたちが傍聴席に座っている中で、一人だけ座り方が力が抜けていてあんまりにも自然でかっこいいなあ…とオペラをのぞいたらすっしぃさん(寿つかさ)でした。
どかっと脚を広げるでもなく、足の組み方もふつうで、なのにたまらなくかっこいい男がそこにいました。
ただ居るだけで、座るだけで男役に成り切る凄味を見た思いです。
◆ディエゴ・マラディエガ/松風輝
一幕でフリオ/瑠風輝の父親を演じています。
慈愛と懐深い人物で沁みるんです。
登場したときから、去る場面まで。
こういう心深く優しい人物が似合うまっぷぅさん(松風輝)への当て書きですね。
◆モニカ・マラディエガ/美星帆那
105期生のちっちちゃん(美星帆那)、今回はっきりと、しかと覚えました。
かわいくて、口跡もよくて、105期生は各組で娘役さんの活躍が目覚ましいですがこれからそうした場があるのでは?と思いました。
宝塚GRAPH6月号でゆりかさん(真風涼帆)がかわいい下級生として紹介していました。
「NEVER SAY GOODBYE」のフィナーレで舞台上で着替えるとき、宙組で一番小さいちっちが自分が着るよりもはるかに大きい衣装を私に着せてくれるのですが、とっても上手で。(以下略)
ちっちちゃんは158cm、長身揃いの宙組生の中では小柄ですし175cmのゆりかさんとは17cm差(ちなみにかのちゃん(潤花)は165cm)。
専科の五峰亜季さんの貫禄と存在感はさすが、2幕はちょっと怖くなるくらいですばらしかったです。
この役は完全に五峰さんのものだ…と固唾を飲みながら見ていました。
また1幕も2幕も幕開きの台詞はオークショニア/風色日向で、2幕はショースター的な要素もありひなこちゃん(風色日向)のスターオーラを感じました。
またフェスティバルの歌手/有愛きいのパワフルな歌声、2幕の演奏者/雪輝れんやの美しい歌声も聞き入りました。
以上、観劇した興奮冷めやらぬままの感想でした。
楽しい、すばらしい作品でした。
読んでいただきありがとうございました。
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