こんばんは、ヴィスタリアです。
花組・月組100周年のOG公演「Greatst Moment」を東京国際フォーラムで観劇しました。
いくつかのバージョンがありますがこの日は花・月ALLでした。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、セットリストやトークなどネタバレしています。
目次
花組、月組100周年「Greatest Moment」懐かしくて新しい絢爛たる舞台
東京の初日のマチネを観たのですが、幕が上がってペイさん(高汐巴)はじめトップスターさんが並んで歌うところから気持ちが昂って目が潤んでしまいました。
アサコさん(瀬奈じゅん)、ヤンさん(安寿ミラ)、ウタコさん(剣幸)、ペイさんらが歌い継ぐ
「時代を見たし 我らの夢で染め上げた…」みたいなメロディと歌詞が素敵で、
かつて愛し熱狂した数々の舞台があったと胸が熱くなって涙せずにいられなかったのです。
休憩込み約3時間半に渡る懐かしいナンバー、トップさんたちに「当時と何も変わっていない」と思いましたが、
現実にも心身にも長い時間が流れる中で変わらないように見えるのはスターさんたちが変化し続けているからだと思い直しました。
維持をしているだけでは古びていくし変わっていってしまいますから、そういう意味で懐かしいけれども新しい舞台でもありました。
そして変わらないように見えるけれどご卒業の経験や芸の研鑽を経て、懐かしいナンバーは新しく、また一層味わい深いものになっているとも思いました。
映像でしか知らない名場面、スターさんを拝見できたのもうれしかったですし
初演、再演のメンバーの取り混ぜ方が絶妙であると同時にしっかりと成立することに宝塚歌劇には受け継がれているものが確実にあるんだと思いました。
マチネを終えて感動にずっしりと身を浸しながらふらふらとエントランスまで降りるとソワレの当日券の列があるではありませんか。
このままでは帰れないと並んで購入し、予期せぬマチソワとなりました。
ヤンミキ 安寿ミラと真矢ミキがすごかった
自分はヤンさんの「冬の嵐/ハイパーリンク・ステージ!」を退団翌年くらいに映像で見てヤンさんと宝塚歌劇のファンになりました。
ヤンミキが大人気ということはもちろん把握していたものの自分自身は当時映像を見てハマる感じではなかったのですが、
今回初めて同じ舞台に立つヤンさんとミキさんを見てヤンミキがヤンミキすぎて完全にノックアウトされてしまいました。
お2人の距離が物理的に近いのが一目瞭然な上に(フィナーレで並んでいるとよくわかります。シンクロしていたり顔を見合わせいたり)、心理的な距離の近さがパフォーマンスに如実に表れているんです。
お2人が並んで舞台に立つとこれが自然なことなんだなあと見て納得しました。
「飲め飲め」(メランコリック・ジゴロ)が始まる前に暗転の中でスタンバイしているヤンさんがミキさんの方を見て
「じゃーお願いしますね」とでも言うように頭をさげて巻髪を耳にかけたと思えば
ナンバー中ではミキさんを「もーあんたは!」とでもいうように小突くようにしていて、
ソワレではミキさんの方が始まる前に「お願いしまーす」といった感じでヤンさんの方をみて頭を下げていました。
2人して確認しあってあの底抜けに明るくて楽しくいダニエルとスタンを見せてくれていることにヤンミキって本当にヤンミキなんだなと(←語彙なし)拝みました、客席で。
かと思えば「ラ・コンパルサ」(ファンシー・タッチ)のいわゆる5人衆――男役5人口でのミステリアスなダンスのなかでヤンさんとミキさんが組むところは男役としての魅力が違う者同士がそれぞれの色気と魅力を放っていて、
しかも組むことでその魅力が一層増して見えるのがたまりませんでした。
距離の近さと相性の良さはトークコーナーでも健在で、マチネではヤンさんがかわいいところを見せていました。
(安寿)花組の安寿ミラです。
あ…元花組の安寿ミラです。恥ずかしい~。
ソワレでは「花組育ちの安寿ミラです」とご挨拶されていて、ミキさんが「同じく花組育ちの真矢ミキです」と続いていました。
「サード・ヴィジョン」(メガ・ヴィジョン)でヤンさんが退団してから間もないたま様(珠城りょう)とあきらさん(瀬戸かずや)を率いて踊っていることについてミキさんがざっくばらんに話していました。
(真矢)数ヶ月前まで現役生だった人とよく踊れますよね。
私は無理です。独自性で踊るしか。
そこへ「サード・ヴィジョン」を歌いつつ踊りつつタモマミが乱入して「(ヤンミキの)27年ぶりの共演はどうですか?」という質問をしているうちに制限時間の2分が経ってしまったのですが、
マミちゃんが「せめて一言」と食いさがってくれたおけげですごい展開を目にすることができました。
(安寿)変わらないですよ。
(真矢)人生の助手席に座っていいですか?
会場がどよめく中ヤンさんは「え…ごめんなさい」と断り、ミキさんが「えー」としゃがみこんだ(かわいかったです)ところでタイムオーバーとなりました。
これがヤンミキか…!とものすごい衝撃を受けて収まらないうちに次のナンバーが始まりました。
さて。
「サード・ヴィジョン」というのはヤンさんと相手役の森奈みはるちゃんの退団公演「メガ・ヴィジョン」の中のリンダ・ヘバーマン氏が振付けた8分に及ぶ踊りまくりのナンバーで、
スーツにハットで今見てもノスタルジックに色褪せるもののない、粋で洒脱でかっこいい場面です。
その冒頭をヤンさんがたま様とあきらさんを率いて踊ったのです。
これがもう息をのむかっこよさで、学年差に脳内でバグが起こりそうになり、ヤンさんの洗練されたかっこよさ、踊り方のニュアンスや掛け声やハットをとったときの表情の変わらなさがたまらなかったです。
マイクは入っていないのですがヤンさんの高めの、ちょっとガラの悪い(褒めてます。好きです)かけ声が聞こえるのも最高でした。
ヤンさんはほかにも「ラ・コンパルサ」、
おとみさん(安奈淳)が歌う「真紅に燃えて」(風と共に去りぬ)の裸足の赤いドレスのダンス、
なつめさん(大浦みずき)へのオマージュ「ブエノスアイレスのマリア」で歌ってからのタンゴとダンスでも大活躍でした。
ヤンさんはおとみさんに憧れて宝塚を目指したので「真紅に燃えて」はうれしかったことと思いますし、客席で見ているこちら側もうれしくなりました。
スカーレットの心情を表すようにタラの大地を裸足で踏みしめ土を握り明日へと向かっていく力強いダンスでした。
(もしからしたらここはご自身で振付されたのかしら…とも思いました)
「ブエノスアイレスのマリア」ではヤンさんの歌でゆうこちゃん(風花舞)がすばらしく踊り、ヤンさんが不穏なほどの(褒めています)強い色気を滲ませて踊るときはタモさんが歌っていました。
ダンスだけではなく歌も深みと表現力が増して「かわらぬ思い」(ブラック・ジャック)は泣かずにいられませんでした。
最後に階段をのぼっていくのが公演のせり上がりと重なったのも素敵な演出でした。
そしてミキさんは今回出演されたトップスターさんの中でOGさんの公演(映像を含めて)でまったく見たことがないという意味において、自分のなかではもっとも宝塚歌劇から、男役から遠いところに存在していたのですが
当時と変わっていないかっこよさ、男役の真矢ミキがそこにいて目撃していることに感動しました。
ヘアスタイルもうんと短いショートカットで男役のようでしたし、
黒燕尾(レット・バトラー)、コートにハットに皮手袋(「風の街の純情な悪党たち」(SPEAKEASY))、
ストライプを連想させるスーツスタイル(「PARADISO」(ダンディズム!))とコスチュームからしてかなり男役寄りの出で立ちで、OGさんがよくお召になるパンツスタイルにピンヒールというものではなかったんです。
「PARADISO」では羽山紀代美先生の印象的な振付を数フレーズですが見せてくれてこれもかっこよかった!
星組「モアー・ダンディズム!」でこの名場面の再演が見られるのが一層楽しみになりました。
ヤンミキがヤンミキすぎましたがヤンさんの相手役の森奈みはるちゃんもかわいくて歌もクリスタルボイスで男役さんに寄り添うと可憐で輝いていました。
専科のゆりちゃん(紫門ゆりや)と組んで歌うところもちゃんとかわいいかわいい娘役さんでした。
花組バージョンではもっと出番があってほしいです。
「Greatest Moment」すばらしいスターさんたちの感想
すべてのセットリストには触れられませんが印象に残っていることをできる限り言葉にしてみます。
◆初風諄、榛名由梨、安奈淳
OG公演の映像で拝見したことはありましたが実際の舞台を拝見するのはこれが初めてでした。
ショーちゃん(榛名由梨)は「バレンシアの熱い花」(同)、「さよならは夕映えの中で」(風と共に去りぬ)など役の思いが熱く燃えるような歌が印象的で、バトラーは思わずうるっときてしまいました。
トークもおもろしくて「私たちレジェンドと呼ばれているようですが…」にカン様(初風諄)が「化石じゃなくて?」とすかさず突っ込んでいました。
カン様(初風諄)は「青きドナウの岸辺」(ベルサイユのばら)、フィナーレの「宝塚わが心の故郷」「すみれの花咲く頃」冒頭のソロを歌われていて、生で聞くことができてよかったです。
袖からの出入りでショーちゃんが自然とカン様の右手を取っていたこと、そのときから照明が消えるまで一層大きくなった拍手が続いた会場のあたたかさも印象的でした。
おとみさん(安奈淳)はグレイヘアに白いお衣装、深紅のネイルがとてもおしゃれで深く艶のある歌声も沁みました。
「紫に匂う雨」(あかねさす紫の花)は情景が見えるようでしたし、「アマール・アマール」(ノバ・ボサ・ノバ)の甘やかさはたまりませんでした。
◆高汐巴、若葉ひろみ
ペイさんはトークもおもしろいと期待したのですが時間が短く残念でしたが、相手役の若葉ひろみさん、ウタミミ(剣幸、こだま愛)とのトークでは
ママ(若葉さんをさして)とチーママ(こだまさんをさして)と従業員です(ご自身とウタコさんをさして。
と導入から笑わせてくれました。
そしてペイさんのなんとも言えない個性と大人の色気のある芳醇な歌声の「ジュテーム」(同)、「セ・ラ・ヴィ」「琥珀色の雨に濡れて」(同)に酔いしれました。
「琥珀色の雨に濡れて」はまずあさこさん(瀬奈じゅん)と若葉ひろみさんが歌い、ペイさんとみどりちゃん(大鳥れい)が踊るという初演✕再演のリミックスが味わい深かったです。
この初演と再演の交錯に違和感がないのは宝塚歌劇で受け継がれているものが確かにあることの証のように思いました。
若葉ひろみしゃんのシャロンがかなりツンツンとしていて、「終わりのない恋なんて絵空事」と歌うのは突っぱねるような手厳しさがあってこの方にしか表現しえないシャロンが息づいていることに感動しましたし、
川上貞奴の独白(夜明けの序曲)もすばらしかったです。
◆剣幸、こだま愛
ウタコさんがコートを来て街灯に寄りかかればそこにビルがいると知ったのはOG公演「Super Gif」でした。
数年を経てまたビルに再会することができ、切なくも甘酸っぱくビルの心そのままの「街灯によりかかって」に聞き入りました。
そして月組の歴代サリー(こだま愛、麻乃佳世、風花舞、彩乃かなみ)が歌いつぐのですが、4人を数えて「うわー、4人も」という仕草がもうビルでそれも最高なんです。
そこからランベスウォークで楽しく1幕の幕が下りました。
ミミさんの歌うまは言わずもがな、「オクラホマ物語」から初めて聞くナンバーもたっぷり聞かせてくれました。
◆涼風真世、麻乃佳世
今回歌のすばらしい方が多い中でとりわけ「役を生きて歌っている」と心を動かされたのがかなめさん(涼風真世)でした。
「ミッドサマー・イブ」(PUCK)は透明感がすごくて本当にパックでしたし、
「我が名はオスカル」(ベルサイユのばら)はオスカルでしたし、
「At the Grand Hotel」(グランド・ホテル)は人生の最後に希望を見出そうとするオットーがそこにいました。
ただ歌がうまいのではなく役によってこんなにも声を、歌い方を変幻自在に変えて表現することができるかなめさんのすごさに圧倒されました。
相手役のよしこちゃん(麻乃佳世)のハーミア、サリー、フラムシェンもたまらなくキュートで、
特に「Girl in the Mirror」(グランド・ホテル)のフラムシェンが最高で、初演がオットーとフラムシェンのストーリーになったのに納得しました。
ハーミアのときの青にお花を散らしたドレスもかわいかったです。
◆真琴つばさ、風花舞、そして瀬戸かずや
マミちゃんの月組時代が好きなのですが中でも一番好きな「黒い瞳/ル・ボレロ・ルージュ」から「風光る草原」「情熱の翼」が選曲されていて最高に高まりました。
ゆうこちゃん(風花舞)のキレキレの美しいダンスと小気味のよさが当時大好きだったのですが、それは健在で今回もオペラで追いかけがちでした。
「風光る草原」はニコライとマーシャがいて、捌けるときにニコライのマミちゃんがゆうこちゃんの手を取り腰を抱くようにエスコートしていてぐっときました。
「情熱の翼」はリカさん(紫吹淳)のポジションにあきらさんが入っていて、マミさんのウィンクに撃ち抜かれて宝塚受験をされたあきらさんですから共演が叶ったことにじーんとしてしまいました。
あきらさんはご卒業されたばかりですが男役のときより雰囲気やメイク、声が柔らかくなったものザ・男役でとってもかっこよかったです。
「Wunderbar」(キス・ミー・ケイト)ではみどりちゃん(大鳥れい)をエスコートしてデュエットしていて、これがもう…うっとりするような花男っぷりでした。
そしてまた寄り添うみどりちゃんのなんと可憐でかわいいことか。
「サード・ヴィジョン」「ラ・コンパルサ」といったダンスの花組を象徴する名シーンで踊られていたのもうれしかったですし、
「EXEITER!!」で桜乃彩音さんとセンターに並んでウィンク飛ばしていたのは最高でした。
◆愛華みれ、大鳥れい
タモさん(愛華みれ)はヤンさんとや71期生とのトークの印象が強く、そして芸名の通り明るくて華やかで愛されるムードメーカーだと思っています。
今回「VIVA!」(同)、「ろくでなし」を当時の花組生やアンサンブルメンバーを率いて歌っているときにその代えがたい明るさ、ムードメーカーっぷりを感じました。
舞台上のみならず劇場中の空気がタモさんに惹きつけられ染められるような華やかさ、オーラがあるんです。
そして歌がとてもうまくなっているとも感じました。どちらも圧倒されましたし楽しいナンバーでした。
みどりちゃんは大人っぽい娘役さんで当時大好きでした。
なので今回のALLバージョンはもう少し出番があってほしかった…と思いましたがこれだけのメンバーが揃う公演ですからいろいろセットリストの事情などもあるのでしょう。
花組バージョンでまた違うみどりちゃんに会えることを期待しています。
前髪をおろしているのがかわいくてたまりませんでした。
◆瀬奈じゅん、彩乃かなみ
あさこさんは男役としての歌だけではなく女役をされたときの歌も披露されていました。
「朝日の昇る前に」(グレート・ギャツビー)
「Apasionado!!」(同)
「私が踊る時」(エリザベート)
「明日になれば」「(風と共に去りぬ)
今も多くのスターさんが歌い続けている「朝日の昇る前に」がとってもかっこよくて聞けてうれしかったです
「Apasionado!!」は高ぶらずにいられませんし熱くてかっこよすぎてシビれました。
「私が踊る時」はさえちゃん(彩輝なお)のトートとのデュエットでしたが、さえちゃんも妖しくて妖艶でよかったです。
かなみちゃんも好きな娘役さんの一人なのですが歌唱力がすばらししいのはもちろんかわいくてかわいくて。
「帽子」(Ernest in Love)はかわいいお嬢様なのに「ME AND MY GIRL」では巻き舌まじりで歌って下町の女の子になりきって歌うんですから最高です。
オリジナルの歌詞をつけて花組、月組100周年の歌は悠久の時の流れを感じるような物語性があって素敵でした。
◆凪七瑠海、紫門ゆりや
専科生のお2人が出演されていました。
自分がヅカファンになったときはすでにカチャさん(凪七瑠海)は専科生でしたのでかつて月組で同じ時間をすごしたお2人を見られるのもうれしかったです。
宝塚歌劇の舞台化粧をきちんとされているのはカチャさんとゆりちゃん(紫門ゆりや)だけだからということではなく、
やはりいま劇団にる生徒さんにはフェアリーとしての特別な空気を纏っていて神秘的なものがあるのを感じました。
白燕尾でのゆりちゃんの「白き椿」、カチャさんの「黒き薔薇のタンゴ」、
そしてアンサンブルを従えての「すみれの花咲く頃」のボレロ(すべて「花詩集」より)はノーブルで凛とかっこよかったです。
特にカチャさんの優美かつキレのある男役のダンスが好きなので「パッション・ダムール」以来たっぷり見られてうれしかったです。
ゆりちゃんは退団されたばかりの仲良しのたま様と「CRYSTAL TAKARAZUKA」で並んでいて、まさかこんなに早く共演が叶うとは思ってもいませんでした。
大浦みずきと「心の翼」
今日11月14日はなつめさん(大浦みずき)の命日です。
西の宝塚大劇場では花組100周年のショー「The Fascination!」でなつめさんのピアノファンタジィが再演され、
東の東京国際フォーラムでは当時の仲間や思いを受け継ぐ方々が「Greatest Moment」を上演しています。
西では貸切公演のご挨拶でれいちゃん(柚香光)がなつめさんのことに触れられたそうです。
「Greatest Moment」ではペイさんを中心に「心の翼」が歌われ、なつめさんと共演を重ねたバンド アストロリコの演奏で
「チェ・タンゴ・チェ」をペイさんが歌い、「ブエノスアイレスのマリア」をヤンさん、ゆうこちゃん、タモさんが歌い踊りました。
きっとよく空の上からなつめさんが見守ってくれてたよね…と晴れわたった空を見上げたくなる日でした。
長くなりましたが到底すべては書ききれないほど盛りだくさんの「Greatest Moment」でした。
すばらしい公演に心からの拍手を贈ります。
読んでいただきありがとうございました。
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