観劇の感想

等身大で魅せて輝かせる芸の力 月組「ON THE TOWN」キャストの感想

おはようございます。ヴィスタリアです。

月組「ON THE TOWN」の作品の感想に続いてキャストごとの感想です。
いつもの通りヴィスタリアの独断と偏見、偏愛に満ちたものになっています。

「ON THE TOWN」という作品は宝塚的ではない部分があると思います。

トップスターから3番手までは衣裳は着た切り雀でセーラー服ですし、たった24時間の恋物語は運命的というより直感的でバイタリティーにあふれすぎているのです。

登場人物は個性的なキャラクターばかりで「かっこいい」「すてき」と憧れる役かというとどうでしょうか。

しかし個性的なキャラクターたちが生き生きと息づき輝いているのは、芝居の月組生の芸の力が存分に発揮されているからだと思いました。

ゲイビー/珠城りょう 爽やかな好青年からの色気

水兵のセーラー服姿のたま様(珠城りょう)は溌剌としたさわやかな、そして純な青年でした。

一目惚れしたアイヴィを探して巡り合っては素直に喜び、すれ違っては恋を失ったことに肩を落とす。
そんなまっすぐな 気持ちがナチュラルに表現されていて、きっと嘘のつけない好青年なんだろうなあと思いました。

特にアイヴィとすれ違って肩を落として落ち込むゲイビーのしょんぼりと気落ちした姿に素直さがあふれていてかわいく見えました。

しかしたま様のゲイビーはただのさわやかな青年では終わりません。

これはヴィスタリアの好みですが、たま様には包容力とやや俺様な色気を存分に出して欲しいと思っています。
「BADDY」の舞踏会前の銀橋ですとか、「雨に唄えば」のドンの自分がもてるスターであることをよく知っている自信に満ちた男の振る舞いなど、かっこよくてどきどきしてしまいます。

今回のゲイビーはずっとセーラー服でおのぼりさんでアイヴィとの恋を応援したくはなるものの、色気という面からやや物足りなく感じていたのですがたま様はやってくれました(喜)。

たま様がとんでもない色気を見せてくれる場面があったのです。
それは「夢の中のコニーアイランド」の場面です。

ゲイビーの想像の中という設定の場面で、そこには格闘のリングがあります。
リングの中にはゲイビーときらびやかなダルマの衣裳を身に着けたアイヴィがいて2人は闘うようにして優雅に踊るのです。

このリングのゲイビーの衣裳が黒のシンプルかつ薄い生地で、上半身は黒がシースルーで肌色(の下の生地)が見えるようなものでした。

トップスターはもちろん、男役さんがこれほど薄くて生々しい衣裳を着ているのは珍しいことではないでしょうか。

この場面はたまさくの優雅なダンス、全体の動きを見たいのとオペラでたま様をロックオンしたいので忙しなかったです。
たま様の豊かに広がる色気から目が離せませんでした。

「夢の中のコニーアイランド」は「ON THE TOWN」の白眉だとヴィスタリアは思いました。

たま様の色気はフィナーレでも堪能いたしました。

燕尾服のたま様が男役さんと次々に、しかも濃厚に絡む振付があり、見てはいけないものを見たような背徳的な色気があってドキドキしました。
もちろんオペラでじっくりしっかり見ました。

アイヴィ・スミス/美園さくら 地下鉄を使っているちょっと変わった美女

「雨に唄えば」、タカラヅカ・スペシャル2018ではヘアメイクが気になることがあったのですが、さくらちゃんのアイヴィは美少女でした。
プログラムの写真も舞台姿もかわいくて、けぶるようなバサバサのつけ睫毛が似合っていると思いました。

しかしフィナーレナンバーのカツラはまだなにかしっくりこないようにも見えて気になりました。
アイヴィはかわいいしプログラムの白いドレスのシニヨンの横顔も美しいので、今後の自己プロデュースに期待したいと思います。

アイヴィは特に劇中のレッスン着(赤、白、ネイビーのショートパンツのオールインワン)がとってもかわいかったです。
カツラ、アクセサリーも衣裳とよく合いまとまっていると思いました。

しかもショートパンツの足元はトゥシューズでヒールなし。さくらちゃんの手脚の長さあっての着こなしではないでしょうか。

ほかにも今回のさくらちゃんの衣裳はダルマ、アラビアンナイト風のおなかが丸見えの衣裳など露出が多かったです。
「夢の中のコニーアイランド」のきらびやかなダルマ姿も美しく雰囲気がありました。

アラビアンナイトの衣裳の娘役さんは何人かいましたが、生徒さんがいかに華奢でほっそりしているのかよくわかりました。

ところでこの大変かわいいレッスン着の場面でアイヴィは、マダム・ディリー/夏月都の指導のもとかなり変な発声のレッスンをしています。
それがさくらちゃんになんだか似合うんです(褒めています)。

このヘンテコなレッスンを真剣にに取り組んでいるアイヴィから、さくらちゃんのアイヴィの個性、リアリティを感じたのです。

傍から見たら風変わりなことであっても女優になる夢を叶えるためならやる!自分の信じたことはがんばる!
さくらちゃんのアイヴィはそんなエネルギーのある、ちょっと変わった女の子だと感じました。

さくらちゃんの個性がもっと出るようなヒロインが見てみたいと思いました。
たとえば 「ガイズ・アンド・ドールズ」のサラなど、教団での堅物っぷりやハバナでの酔っ払って暴れるところなどさくらちゃんがやったら見ごたえのある舞台になるのではないでしょうか。

歌は美しい声を聞かせてくれましたし、演技もダンスも「雨に唄えば」のときよりずっとずっと伸びやかでいいなあと思いました。
たま様と踊るシーン、フィナーレのデュエットも雰囲気・体格のバランスなど合っていると思いました。

チップ/暁千星とオジー/風間柚乃 勢いはとどまるところを知らない

言いたいことが共通しているので一緒に書かせていただきます。
たま様のゲイビーを頂点に、ありちゃん(暁千星)とおだちん(風間柚乃)はそれぞれの個性を出しながら、2等辺3角形の角2つをしっかりと成していました。

ありちゃんのチップもおだちんのオジーも演技、歌、ダンスともなにをとってもすばらしい!
ありちゃんは研8、おだちんは研6という学年が信じられないレベルの高さでした。

この先いろいろな役を経験されて男役としてさらに完成されていったら一体どうなるんでしょう。
お2人とも前途洋々ですね。

ありちゃんのチップは金髪のウェーブヘアがかわいらしくて少年っぽさの残る水兵姿でした。
ガイドブックを片手にきっちり観光計画を立てるしっかり者です。

一方のおだちんは「頭まで筋肉か」とからかわれるような直感タイプ。
メイクも浅黒く、濃い目で骨太な水兵さんでした。 

オジーはかなり肉食系のオトコですがかっこよく見せるのはさすがだと思いました。

ところでおだちんで意外だと思ったことがありました。
おだちんはポスターインしており、舞台ではありちゃんとほとんど変わらない比重を占め存在感を発揮していましたが、プログラムの写真は3番目ではなく、扮装者の最後に載っていました。

チップもオジーもコミカルな役だったので次はバリバリのかっこいい男役のありちゃんとおだちんを見るのが楽しみです。

クレア/蓮つかさ 知的で自由な肉食系

クレアは研究者で婚約者は裁判官と堅実なプロフィールですが言動はぶっとんでいます。
自由に悪びれずに、本能に忠実に生きている女性です。

れんこんくんはそんなクレアを生き生きと演じていました。

れんこんくん(蓮つかさ)はプログラムを見ても舞台を見ても「本当にれんこんくんなのかしら?」というくらいの見事な化けっぷり、金髪の美女でした。

ふだんは男役さんだと言われなければ気づかないのではないでしょうか。
男役さんなので背は高いですが華奢なのでなおさらそう思うのかもしれません。

舞台を見ていくうちに目が慣れてこの金髪の美女がれんこんくんだとはっきり認識できるようになりました。

これだけ役、女役に成り切れてまたコメディも上手で、れんこんくんが芝居巧者っぷりに舌を巻きました。

「雨に唄えば」のデクスターの絶妙な間とたしかな演技で大いに笑わせてくれましたが、今回も笑わせてくれました。

「雨に唄えば」より笑いを取るのが難しそうなシーンだと思うのですが、婚約者ピットキン/輝月ゆうまとの「お勘定、お願いね」は効いていました。

フィナーレでは男役として燕尾服を着て踊っていました。
次の公演は端正で美しい男役のお姿を楽しみにしています。

ヒルディ/白雪さち花 お色気も歌もお手の物

色気ではなくお色気たっぷりのさち花ねえさん、この手の役はお手の物でしょう。
歌も迫力がありました。

特にタクシーにチップ/暁千星と乗りながらの「家においでよ」はグイグイと引き込まれました。

タクシー運転手の制服から伸びる腕、膝下の美しさもさすがです。
マスタードイエローのドレスは胸元が広くてお色気たっぷりでした。

マダム・ディリー/夏月都 ヘアメイクと衣裳がスゴい

舞台に登場するだけで笑いを取っていました。
思い切っています。ぶっ飛んでいます。

しかも歌も演技も最高で、かなり極端な格好をしているのですが「こういう人いる」と思わせる説得力がありました。

ピットキン/輝月ゆうま どんなコメディもお任せあれ

まゆぽん(輝月ゆうま)の実力を考えると出番をもっと……と思うくらい、自然な演技で笑いをとっていました。

スーツ姿が決まっていました。
またフィナーレの歌もすばらしかったです。

ルーシー/叶羽時、ウーパーマン/佳城葵、ラジャー・ビーミー/千海華蘭もたしかな演技、歌で存在感がありました。

警官/紫門ゆりやは フィナーレで「あの男役さん、すごくきれいな踊りで雰囲気もすてき。オーラもある」とオペラで見たらゆりちゃんでした。

「ON THE TOWN」はどこをとっても芸達者で目がいくつあっても足りませんでした。
たしかな芸と熱い芝居を見せてくれる月組が大好きです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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