観劇の感想

花組「The Fascination!」観劇の感想(100周年の美と気品と誇り)

おはようございます。ヴィスタリアです。

東京宝塚劇場初日から間もない花組「元禄バロックロック/The Fascination!」を観劇しました。

「元禄バロックロック」に続いてレビュー「The Fascination!」のヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想です。

花組100周年を祝す「The Fascination!」

花組100周年を記念して過去の作品をオマージュとして今の花組生が歌い踊っています。

「EXITER!!」「心の翼」などお馴染みのもの、花組のみならず宝塚全体の財産のようなナンバーもあれば、不勉強で初めて聞くナンバーもありました。

中村一徳先生がプログラムに寄稿された愛いっぱいの長い文章には「使用いたしますのは一部の楽曲に絞らせていただき、また楽曲の長さも変更させていただいております」という「お詫び」があり、
OG公演の花組月組100周年「Greatest Moment」のセットリストと重なりすぎないようになっていたのではないか…とも思いました。

大劇場公演と「Greatest Moment」は近い時期に上演されていましたから。

順みつきさんの「オペラ・トロピカル」、なつめさん(大浦みずき)の「ピアノファンタジィ」には深い敬意と追悼の意味ももちろんあるでしょう。

本来であれば「Greatest Moment」に出演されるべき花組トップスターさんたちです。

花組100周年記念という特別なレビューだからか全体的に気品と美しさ、花組たる誇りを感じる作品で、第一印象として全体的に音楽のトーンが落ち着きすぎているような気もしましたが、
前作「Cool Beast!!」がオラオラのダイスケショーだったのでギャップを含めて楽しみました。

いまの花組はこんなこともできるしあんなこともできるんだなあと2つの作品から感じたのです。

また音楽のトーンが落ち着いているように感じた一方で、れいマイ(柚香光・水美舞斗)を筆頭にダンスうまのスターさんが揃っているので、
そのトーンで花組生が踊りまくっていて気品と誇りと美しさの内に激しさのあるレビューだとも思いました。

花組「The Fascination!」場面ごとの感想

◆第1章 プロローグ
オケピから銀橋に出てくるれいちゃん(柚香光)のシルエットが見えたときから優勝!と思いました。

等身が高くて手足が長くて線が細くて、この削ぎ落とされたシルエットだけでれいちゃんが唯一無二の男役というのがわかります。


これはプロローグ終わりに一人銀橋に残ってスポットライトに浮かび上がったひとこちゃん(永久輝せあ)のシルエットにも感じました。

「元禄バロックロック」同様、VISA協賛でセットに映像、お衣装が豪華で華やかで目から幸せでした。

サテン地の輝く淡いピンク✕臙脂色の加藤真美先生のお衣装が華やかでゴージャスで、花組生が次々と歌い踊り、本舞台に銀橋に展開していくのを見ているだけで心躍りました。


この時点で目が足りず「中村B先生のショーだ…!」となりました。

れいちゃんが濃いオペラピンクのたっぷりとしたお衣装の裾を触ったり靡かせたりして表情をつけているのも最高でしたし、
寄り添う星風まどかちゃんの美しさと可憐さ、れいちゃんの歌に重ねた歌声に相性のよさと同時に頼もしさを感じました。

これはピアノファンタジィ、フィナーレのデュエットダンスでもそうで、なんとなく”相棒”的な雰囲気があるといいますか、
当意即妙で舞台上でセッションができるトップコンビなのでは…と感じています。

れいはな(柚香光・華優希)は魂の片割れのような雰囲気を感じていたので、トップ娘役がまどかちゃんに変わって新しい花組になったのを実感しました。
まどかちゃん、ようこそ花組へ!

◆第2章 Fascination Music 酒とバラの日々
スーツにハットのマイティー(水美舞斗)がかっこよすぎます。
しかも片手に真紅の薔薇だなんて。

スーツがストライプなのも花男のスターらしくて最高です。ああ、かっっっこいい…!

そのマイティーと組んで踊るのはみさきちゃん(星空美咲)で、「銀ちゃん恋」「元禄バロックロック」とご縁が続きますね。
強気な表情が印象的でした。

みさきちゃんはお芝居、ショーともに活躍されていますが花組の娘役としては長身なので組替えもあり得るかしら…と思ったりもしました。

綺麗で色気のある男役さんがいるなあと思ったらだいやくん(侑輝大弥)で、
他の場面でも目に飛び込んでくることが多かったです。

◆第3章 花の伝説①食虫花
れいちゃんの男役に留まらない表現と色気がたっぷりな場面で、コンセプトとしては「Cool Beast!!」に近いような気がしました(自分は「Cool Beast!!」がとても好きなのもあって)。

踊りの妨げにならないような軽やかな衣装を翻しなっがら踊るところもまた然りです。

◆第4章 花の伝説②ミモザの花
紫色が差し色になった白軍服のひとこちゃんが王子様で、音くり寿ちゃんとのカップルが美しくて幸せすぎました。

くりすちゃんは娘役スターさんですから各場面で活躍されているのですが、ただその場にいるだけで遠目に舞台を見て
「娘役さんにはこうあってほしい」と思う清らかさ、可憐さ、オーラで輝いていて目に飛び込んでくること度々でした。

またホッティーの菫色の軍服がかっこよくて、みさこちゃん(美里玲菜)のカップルが美しくて眼福でした。

105期生のまるくん(美空真瑠)と106期生のこはるちゃん(湖春ひめ花)がミモザの精として美しい歌声を披露されていました。
初々しくてかわいかったです。

お2人ともプロローグ、フィナーレともにWトリオに選ばれているんですね(あっしーくん(夏希真斗こはなちゃん(湖華詩)も然り)。

◆第5章 The Fascination Flower!
すみれの花にまつわる曲で展開する中詰です。

まどかちゃんが銀橋を渡るところから始まりますがとってもかわいかったです。

中村B先生らしく怒涛の展開をしていくのですが、特に好きなのが95期3人の場面です。

れいマイがそれぞれのダンスの魅力を放ちながら、そしてものすごく楽しそうに踊り、
この公演でご卒業されるしょみちゃん(真鳳つぐみ)が歌うところです。
これ以上のはなむけがあるでしょうか。

長いこと3人だった花組95期が2人になってしまう…寂しいです。

◆第6章 オマージュ ピアノファンタジィ他
ピアノファンタジィは宝塚の品と美しさの粋を凝縮したような、白燕尾と燕尾ダルマが堪能できる名場面であり、
また初演のなつめさんキャルさん(ひびき美都)の偉大さを象徴するような名場面だと思います。

ヴィスタリアの永遠の贔屓ヤンさん(安寿ミラ)のこの場面で溌剌と踊っておられました。
(大きな声では言えませんがYou Tubeで「ピアノファンタジー」と検索してみてください。)

オマージュではダンスうまの男役さん、娘役さんが選ばれていると同時にれいマイ
まどかちゃんひとこちゃん
ほのかちゃん(聖乃あすか)と真ん中も踊れるスターさんが揃っているのをあらためて感じました。

映像でした知らない名場面を2022年の劇場で目の当たりにしていることに感動し、固唾をのむようにして見入っていました。

いいものはいつ見ても、何年たっても、時を越えてすばらしいものです。

演奏が静かなピアノだけになると劇場中が非常に高い集中力で舞台に集中しているのも伝わってきましたし、
静的なリフト(娘役さんを男役さんが腰のあたりに乗っけるやつ)がすごすぎました。

ピアノファンタジィ以降はこちらのナンバーが続きました↓

「EXEITER!!」 同
「スポット・ライト」 マイ・アイドル
「ラ・ラ・フローラ」 同
「僕の愛」 ル・ピエロ
「ある愛の伝説」 オペラ・トロピカル
「心の翼」 テンダーグリーン

この始まりが花組の誇る「EXITER!!で、大好きなホッティー(帆純まひろ)が歌って銀橋を渡ることに大感動していました。

ホッティーがかっこよすぎて脳内がショートしそうでした(←落ち着け)。

しかも歌も格段の進歩があり、「RISING STAR GUIDE2021」で「歌と発声に力を入れている」と語っておられた成果を客席でしかと感じました。
プロローグの銀橋でもちゃんと声が聞こえて、以前は他の歌うまスターさんの声にかき消されてしまうことがあったので感無量でした。

さおた組長(高翔みず希)からあおい副組長(美風舞良)の歌い継ぐ「僕の愛」に花組組長のバトンを受け渡しを感じウルウルしちゃいましたし、
本舞台では100期生同志のほのくり(聖乃あすか・音くり寿が組んでいるのがたまりませんでした。

順みつきさんの名作ショー「オペラ・トロピカル」から「ある愛の伝説」をマイティーれいちゃんと歌い継ぐのもぐっときます。

そこから「心の翼」で、この曲、歌詞に泣かないでいることのほうが難しいです。

まどかちゃんが美しい歌声を響かせていますが、ご自身のミュージックサロン「夢見るMadonnna」でも線よくされていたことを思い出しました。

スカイステージの番組でもなつめさんの退団公演のショー「ジャンクション24」についてアツく語っておられたり、昔の宝塚歌劇も愛しているトップ娘役さんなんだあと思います。

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◆第7章 フィナーレ
なつめさんのお父様阪田寛夫氏の訳詞の「エーデルワイス」でフィナーレは始まりました。

美声を聞かせてくれるのは飛龍つかさくんみさきちゃんの「銀ちゃんの恋」のヤス、小夏のカップルです。

さらにびっくさん(羽立光来)からしぃちゃん(和海しょう)へと歌うま男役さんが銀橋で歌い継ぎ、びっくさんがしぃちゃんの肩を「じゃ、後はよろしく!」と触れる振りも粋で最高でした。

こういう生徒さんの銀橋渡りを見ると中村B先生、ありがとうございます…!と拝まずにいられません。

ダルマのエイトシャルマンはこちらの娘役さんたちでした↓

若草萌香
凛乃しづか
鈴美梛なつ紀
桜月のあ
琴美くらら
稀奈ゆり
初音夢
小華詩

まどかちゃんの左右に99期のでぃでぃ(若草萌香)あのちん(凛乃しづか)の99期の実力ある娘役さんがいることがうれしかったです。

そして桜月のあちゃんがかわいかったです。
「NICE WORK IN YOU CAN GET IT」のときに「なんてかわいい娘役さんなんだろう」と知って以来気になっているんです。

黒燕尾は名曲「ひまわり」で、みりおちゃん(明日海りお)の退団公演「シャルム!」でも使われていたなあと思い出しました。

また黒燕尾の男役さんがずらりと並んでセンターで踊るれいマイひとこちゃんに手を伸ばす振りに花組らしさを感じ、「シャルム!」を思い出し、
これもまた一つのオマージュのよう…と受け止めました。

「情熱の花」に乗せて第2の中詰のように展開していくフィナーレに圧倒され、パレードの美の洪水に溺れ幕となりました。

1回では到底見きれず2回目の観劇を心待ちにしていましたが公演中止となってしまいました。
一日も早い公演再開を心から祈っています。
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