おはようございます。ヴィスタリアです。
花組「はいからさんが通る」のキャストごとの感想です。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で作品の内容やセリフに触れていいます。
同時に大和和紀先生の原作ファンというやや強めのバイアスがかかっております。
青江冬星/瀬戸かずや
メインキャストの中で初演と変わったのが青江冬星/瀬戸かずやと北小路環/音くり寿です。
これは初演と再演のどちらがいい悪いという話では断じてなく原作ファンとしての完全に個人的な好みにおいての話ですが
冬星も環も原作のイメージにより近いのは初演だとヴィスタリアは感じました。
あきらさんはあきらさんの、くりすちゃんはくりちゃんの役をしっかり作り上げ、
ロマンと夢を見せてくれたことに変わりはありません。
あきらさんの編集長はおもしろさと包容力の両方で存分に楽しませてくれました。
名セリフ「来たな、恋人」があきらさんで聞けてうれしすぎます。
こんなかっこよくて優しくて包容力も行動力のある(そしておもしろい)上司の元で働けたら天国ですね。
同僚((古美売太/和海しょう、辺面岩男/帆純まひろ、愛相良雄/一之瀬航季)はイケメン揃いですし。
(この3人は謎の決めポーズといいわちゃわちゃしているのが微笑ましくて好きです。
環さんが編集部を訪れて握手をした後で手の匂いをかいで陶然としているのを目撃しました。)
あきらさんのコメディは1幕の花乃屋の紅緒との遭遇、2幕の冗談社といいきっちり緻密に作り上げられているのを感じます。
ヴィスタリアがツボだったのは
・紅緒に抱きつかれたショックのあまりぶっ倒れるところの白眼の剥き具合
・お茶の噴き出し方
・”口がすべって”ハンカチで必死に自分をあおぐところ
なにより包容力と男らしらの込められた「全部忘れさせてやる」は本当にかっこよかったです。
忍と殴り合った後の天を仰いでの「これで少しはすっきりしたな…」も沁みました。
紅緒を助けるための決断を口にするとき一瞬の間があるのも決意のほどがうかがえて、仕事に情熱をそそぐ編集長らしくてよかったです。
だからようやく愛せた女性との関係は叶わなかった冬星に社員たちと出版文化にかける夢が残ってよかったーーと「学年順」に笑いながら思いました。
鬼島森吾/水美舞斗と北小路環/音くり寿
作品の感想でも書きましたが鬼島と環のエピソードが入っていないのが残念です。
マイティー(水美舞斗)の”優しい狼”鬼島森吾がかっこよすぎるんですもの。
みっしりとした筋肉を感じさせる開襟の軍服はかっこよすぎやしませんか。
馬賊の格好も素敵です。
主演のれいちゃんも原作漫画から抜け出たような造形とかっこよさですが、
マイティーにもそれは言えることです。
シベリアでの忍少尉/柚香光との場面が増えてれいマイが見られるのもうれしいですが、
もっと鬼島さんを増やしていいんですよ、小柳先生。
震災の後みなの無事がわかった後で環/音くり寿の肩を抱いていたのが気になります。
次に観劇するのは二人がどのような芝居をしているのかよく見たいです。
環は初演のしろきみちゃんが爽やかな初夏の風だとすれば
くりすちゃんは柔らかな春の風。
そんなイメージを抱きました。
しろきみちゃんは紅緒や蘭丸のお姉さんのような雰囲気が滲んでいたように思います
(原作では「蘭丸ちゃん…」と呼びかけて慰めるシーンがあったりする)
くりすちゃんは自分から紅緒に「友だちになろう」と言ったり、
白い喪服姿の紅緒をぎゅっと抱きしめるシーンにフラットな立ち位置の友人を感じました。
(原作だと紅緒も環も酒豪で飲み友達なんです)
100期生同士であることを意識すると同時に100期生の目覚ましい活躍に目を瞠りました。
くりすちゃんの環は就職してからが特に環らしい自由で伸びやかな魅力があって表情豊かで、
冗談社で「意外と毒舌」と言われたりしています。
2幕冒頭の赤いセットアップにパーマネントのアップスタイルが粋なモダンガールで、
ドレス姿は1幕の園遊会の華やかな青も紅緒の結婚式の水色も爽やかで着こなしも美しかったです。
2幕冒頭のナンバーにフィナーレのエトワールも圧巻の美声で、花組に欠くことのできない娘役さんスターだとあらためて実感しました。
高屋敷要/永久輝せあ
ストーリーテラーとして原作と初演よりも役どころが大きくなり、忍少尉の友人としてのセリフも膨らんでいます。
ひとこちゃんの冴え冴えとした美貌に目を奪われました。
まあ声も歌もよくて、特にまっすぐ届く強い歌声にはっとしました。
日本物に強い雪組から組替えになっただけあって和装の馴染み方が本当にしっくりきますし。
体を揺するような歩き方も工夫されて高屋敷の豪快さが伝わってきます。
たいへんな面食いで環さんの前ではふにゃふにゃになっている(そして環は引き気味)のにはクスリと笑いました。
忍少尉に告げる「せっかく拾った命を大切にしろよ」の一言ににこめた思いの重さが印象に残りました。
フィナーレは特に銀色の軍服がひとこちゃんのシャープさに似合っていて素敵でした。
ヅカ友さんともしも宝塚で「ハムレット」を上演するとしたら誰のハムレットが見たいか?ということを話し合っていたんです。
ハムレットが自分の母親がしていたことを知り女性を信用できなくなって
思い合っていたオフィーリアにぶつける「尼寺へ行ってしまえ!」という罵倒をどなたに言ってほしいか?
ひとこちゃんということで一致しました。
あの完璧に整った美貌の、冷やかな目で見下すように言ってほしいです。
藤枝蘭丸/聖乃あすか
今回すごくいいと思ったのがほのかちゃんの蘭丸でした。
登場のシーンから笑いを誘い、コメディの境地を切り拓いたのではないでしょうか。
美貌とのギャップがすごいですが、ほのかちゃんの華やかな美貌は
2幕の藤娘姿が圧巻です。
はあ…(ため息)
ぜひ白塗りの日本物も見てみたいですし、光源氏などはまりすぎるくらいはまるのではないでしょうか。
コメディだけでなく幼馴染の(そしておそらく年上の)紅緒への思いも丁寧に表現されていて
花乃屋の乱闘シーンは切なさが伝わってきました。
自分の非力さと忍少尉に敵わないこと、紅緒さんと少尉が惹かれあっていることを目の当たりにして
唇を震わせて言い募る「僕は臆病だけれど必死だった」は強く印象に残りました。
来年控えているバウ初主演を楽しみにしています。
その他のキャスト
一言ずつですが触れさせてください。
◆伊集院伯爵/英真なおきと伯爵夫人/美穂圭子
笑いを誘う絶妙かつ自然な演技、歌、ラブラブのお2人に和みました。
技術があり舞台が締まる上に原作のキャラクターに近いのもうれしかったです。
◆リーダー/高翔みず希
原作では顔を真っ黒に塗りつぶしあえて描かない手法で登場する不気味な人物です。
さおた組長が登場するのはセットの階段の上、杖をついて無言で佇んでいます。
芝居が展開しているのはセットの下なのですが、このさおた組長の強いの圧の不気味さがものすごくてぞわぞわしました。
◆花村政次郎/冴月瑠那
花組を観劇するときはいつもるな副組長の美貌とキレキレのダンスと存在感を楽しみにしています。
ばあや/真鳳つぐみとのコミカライズされたセリフに動きも絶妙で好きなのですが、髭と軍服姿がめちゃくちゃかっこよくて登場されるたびにロックオン気味で見てしまいます。
軍服の体形補正が完璧で、この年齢の男性らしさと鍛えている軍人であることがわかりました。
◆如月/鞠花ゆめ
メイクも衣装も最高に如月で大好きです。
紅緒のびっくりなお輿入れの場面での牛五郎/飛龍つかさとの対決も楽しく、
紅緒と「シャーッ!」とやりあって袖に入るところはそのときどきで変えているようです。
2回目の観劇で「こりゃ大変だ…」と呟いていたのが如月らしくて好きです。
伊集院家に仕える人々の弥生/美花梨乃の美しさと、
卯月/航琉ひびきの特に園遊会での立ち方がすごく好きです。
キョンちゃんが微動だにせず背景に溶け込むように少し遠くの一点を見るような”無”の表情でいるのがお屋敷の執事らしいんです。
◆牛五郎/飛龍つかさ
初演がたそさん(天真みちる)でプレッシャーもあったのでは?と思うのですが、
つかさくんはつかさくんならではの牛五郎を作り上げていました。
滑舌よし、勢いよし、ストップモーションよし。何度見ても笑わせてくれます。
つかさくんは「マスカレード・ホテル」に続いてコミカルな役どころとなりました。
次はぜひ違う雰囲気のお役が見てみたいです。
次の観劇は少し先のB日程なので進化し続ける花組生を楽しみにしています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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