映像の感想

花組「殉情」一之瀬航季主演ライブ配信の感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

バウホールで千秋楽を迎えた花組バウ・ワークショップ「殉情」(主演一之瀬航季)のライブ配信を視聴しました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。

花組「殉情」一之瀬航季主演の感想

前半のホッティー(帆純まひろ)主演を何度か観劇したので、比べるというより違いを楽しむつもりでライブ配信を視聴しました。

陰陽、明暗、乾湿で言えば
ホッティー主演版が湿
はなこちゃん主演版が
というイメージを自分は抱きましたし、
春琴と佐助の関係性は前者が「殉情」ならば後者は「純情」なのかもしれないと考えたりしました。

同期間中の役替り公演ではなく、別期間でチームを分けての公演とした意味もきっとそれぞれのチームの違いを際立たせていたのだと思っていますし、
劇場と配信とはいえ両バージョン観ることができてとても楽しかったです。

◆佐助/一之瀬航季
「はいからさんが通る」新人公演で初主演を果たすはずだったはなこちゃん、コロナ禍で公演中止を余儀なくされ、今回がようやく初主演となりました。

はなこちゃん、おめでとうとございます!

声がよく通り歌もうまくて、劇場で聞きたかったなあと思いながらはなこちゃんのソロの数々を聞きました。

長身に着流しがさぞかし舞台映えするだろうなあ…と思うとやはり劇場で観たかったです。

春琴のことが好きで好きで、隠すことさえできないくらいのまっすぐな愛が自然にあふれてしまう佐助だと感じました。

春琴の言葉を聞いたり羽織をもらって相好を崩す佐助を見て、これはもう勝手に顔を緩んでしまって自分でもどうしようもないんだろうなあと思いました。

春琴に言われて爪を切ってあげるシーンがあるのですが、ホッティーの佐助は春琴の手にぽんと触れて合図をしてから春琴が差し出した手を取って爪をきっていました。

はなこちゃんの佐助は春琴の手を包むようにして自分の方へ引き寄せてから爪を切ってあげていて、このちょっとした仕草に限らず春琴を包み込むような慈愛を感じました。

◆春琴/美羽愛
溌剌さがあって進歩的な雰囲気を感じたのはあわちゃん(美羽愛)の持ち味でしょうか。

感情が昂ぶってくると体を揺するようにしたり怒ったときに手が様々に動いたり、ふだん話しているときも体に動きがあって春琴の若さと衝動、内に秘めているエネルギーを感じました。

もし目が見えていたらきっとあわちゃんの春琴は活発なところがあって、もっといろいろなことをしていたのだろうと想像したくなります。

そして佐助の方へと意識が強く向いていて、春琴こそが佐助を愛しているのを抑えきれないのも感じました。

「憎たらしい」と佐助を叱りつけるとき朝葉ことのちゃんの春琴はプライドを傷つけれた烈しさを感じましたが、
あわちゃんは佐助への情を感じさせたんです。

直近の「巡礼の年」よりも台詞の声が自然で聞きやすかったですし歌もこれまでよりもよくて進化を感じました。

◆お蘭/糸月雪羽
艶やかでとっても綺麗でした。
豊かなで美しい歌声もたくさん聞けてうれしかったです。

ときに迫力を感じさせてくれて梅見の宴の歌は決まるとかっこよさもあって、利太郎のあしらいも時にバッサリとしているのに芸者さんの矜持を感じました。

◆千吉/太凰旬
お調子者の軽やかさがありました。

酒の席になると鼻の頭を赤くしていたのが幇間らしくて、ふざけたお化粧がちょこちょこ登場する作品ですがこのくらいがちょうどいいのでは…と思いましたし、
幇間のふざけぐらいもやり過ぎさがなくて好きでした。

◆マモル/鏡星珠
106期のかがみー(鏡星珠)が幕開きの第一声、アドリブも入れてがんばっていました。

現代パートの台詞は自分にはあまりすんなりと届かない内容で聞くのに集中力を要するのですが、芝居の流れが自然で聞きやすかったです。

「巡礼の年」新人公演といい抜擢が続くのも納得です。

◆ユリコ/二葉ゆゆ
ゆゆちゃんのダンスがすばらしいのは知っていましたが台詞のあるお芝居をこんなにたくさん見られたのは初めてかもしれません。

2幕の振り袖を着て「うんうん」とマモルをうながしたり拗ねた声、表情もかわいくてたまりませんでした。

声も台詞回しも自然で聞きやすくて芝居心がある娘役さんなんだなと思いました。
これからもっといろいろなお役を見てみたいです。

◆春琴(幼年)/真澄ゆかり
前半の帆純まひろ主演版と通しで演じていますが、上手ですねえ。

たった一場面ですがこの後朝葉ことのちゃんの春琴へ成長するのと美羽愛ちゃんの春琴へと成長するのできちんと演じ分けがありました。
すごい!

芸者姿になるとまたかわいくて目を引かれました。

◆しげ/美風舞良
あおい組長(美風舞良)もまた通し役で両バージョンに出演していますが、声の高低、話し方が全然違う!と舌を巻きました。

ことのちゃんのときの方が声が高くて、あわちゃんのときの方が落ち着きのある声と話し方で、言い争いになったときの雰囲気もそれぞれ異なりました。

花組はホッティー主演の「殉情」、
れいまど(柚香光・星風まどか)主演の全国ツアー「フィレンツェに燃える/Fashionable Empire」が先日無事に千秋楽を迎えました。

はなこちゃんの「殉情」も千秋楽まであと少し、無事に公演が完走できることを心から祈っています。

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