観劇の感想

ONCE UPON A TIME IN AMERICA最高のキャストたちの感想

おはようございます。ヴィスタリアです。

雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」初日を観劇してのキャストごとの感想です。

一言で言うなら「すごいものを見た」に尽きます。

「すごいもの」とはだいきほ(望海風斗・真彩希帆)の雪組はどこをとってもレベルが高く、作品の完成度が傑出していること、一つの作品をこのメンバーでよいものにしたいという強い意思がみなぎっていることにあるかと思います。

なおいずれもヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちたもので、作品の内容に触れています。

ヌードルス/望海風斗

「ファントム」のエリックは永遠の少年を感じさせてくれましたが、今回のだいもんはヌードルスの少年時代、マフィアの青年時代、そして壮年時代を繊細かつ緻密に演じ分けていました。

だいもんのヌードルスはこれまでの役以上にだいもんの演技の感情の変化、時の移り変わりが丁寧に表現されていたように思います。

どの時代が一番よかったが、好きだったかに答えを出すのが難しいですが、
青年時代はスーツに革手袋と最高にキメキメでかっこいいナンバーもあり、色気のあるスーツ姿も見られてたまりません。

プロローグにはあまりのかっこよさに心の中で「キャー!!」でした。
マシンガンをぶっ放しなどしなくてもだいもんの色気にノックアウトされる方多数でしょう。

しかし今回一番心に残ったのは壮年時代かもしれません。

体型さえ変わって見えるような、ひっそりと生きている悲哀、もの悲しさが歩き方や立ち姿に表れており、たいもんの抑えた芝居の巧さを存分に堪能することができました。

声の出し方もいつもとは変えており、歌にとどまらないだいもんの声帯の実力を見たように思います。

2幕の壮年になってからのデボラとの再会には泣きました。
「幸せ?」と問われたときの答えは一生忘れられない名セリフ、名シーンになりそうです。
幸せでも不幸でもなく、答える一言が沁みます。

そして少年時代のヌードルスのなにもかもが剥き出しな雰囲気がたまらなかったです。

求めてやまないデボラ/真彩希帆に皇后の王冠をかぶせようとして衝動のままに口づけてしまう欲望の片鱗。

絵としてはあくまあでも美しさがありながら、これがただの純愛の初恋にとどまらない、少年なりのヌードルスのデボラへの衝動が垣間見えているのがうまくて唸りました。

(清く正しく美しい宝塚に反する感想かもしれませんが、原作映画の表現を宝塚歌劇にうまく落とし込んでいると思います。)

大人になって再会したヌードルスがデボラ/真彩希帆への気持ちを抑えきれずに酷いことをするのと繋がっているように思いました。

この一幕最後の薔薇のシーンはだいもんがかっこよすぎてずっとオペラが見ていました。

幕切れの音楽が高まる中、一人ソファに沈み込むだいもんの表情、広げた腕、脚、すべてが完璧でそのまま永遠に切り取りたいくらいでした。

このまま一つの型として宝塚史に残るのではないかというくらい完璧に作り込まれただいもんの男役芸にドキドキしました。

今回ヌードルスの歌が多すぎて覚えられないくらいなのですが、
数々のメロディの歌唱力がすばらしいのはもちろんのこと、心情がつぶさに表現されていて、この舞台の世界にどっぷりと浸りました。

まさに耳福とはこのことでしょう。この後何回か観劇できる機会があるのでメロディを覚えたいです。

デボラ/真彩希帆

少女時代のデボラを見て「掃き溜めに鶴とはこのことか」と思いました。

嫌々レッスンを受ける女の子たちのなかで一人「私は違うわよ」というデボラの向上心が、言葉に出さないものの、澄ました表情やきちんと訓練されたバレエのポーズ、美しい歌声に表れています。

まあやちゃんの少女デボラのツンと澄ました表情が印象的でした。

デボラの稀有なところはその後ブロードウェーの”プリンセス“となりハリウッドへ進出するなかでも自らの手は汚さない矜恃を失わなかったことではないでしょうか。

だからこそヌードルス/望海風斗に真っ当な道を歩んでほしいと懇願し、彼が真っ当ではない稼ぎで贈った王冠を拒絶し、愛よりもハリウッドを選びます。

そんなデボラだってまったくの潔癖ではなく大物プロデューサーサム/煌羽レオを頼りにもすれば、後年はベイリー長官の愛人になるーーヌードルスはたまらなかったでしょうね。

(このあたりのデボラの勝手さがパーティーに来たヌードルスへの「あれほど言ったのに」という身も蓋もない、そして何気なく放たれた一言に象徴されていたように思います。)

まあやちゃんの今回の演技はデボラがなにかを得ていくときよりも失っていくときの表現が光っていたように思います。

ヌードルス/望海風斗との訣別、サム/煌羽レオとの関係の終演。引退してからの慰問活動。

まあやちゃんは存在感と強いオーラがある娘役さんで、静的な表現が磨かれたら芝居に一層深みが出るのでは?と思ったこともあったですが、
「壬生義士伝」を経てそういった表現力が一層増したのがデボラに結実していると思いました。

劇中でデボラは「イッツ・ア・ラブストーリー」のぐんちゃん(月影瞳)、「1789」のちゃぴちゃん(愛希れいか)もビックリのド派手なコスチュームで登場します。

もしもこれが「20世紀号に乗って」だったらスターオーラ全開で劇場中を圧倒していたと思いますが、
あくまでもデボラとして、豪華なコスチュームを着ながらも抑えた美学がありました。

歌唱のすばらしさは言うまでもありません。
特にヌードルス/望海風斗と会話をするように歌う銀橋のナンバーが印象的でした。

だいきほだから軽々と歌っていますが相当難しいのでは?!

少女時代からスター時代、晩年と衣裳の着こなしもすばらしい美しさでした。

マックス/彩風咲奈

映画で一番惹かれたのがマックス役だったのが影響しているかもしれませんが、いままで見た咲ちゃんの役で一番好きかもしれません。

咲ちゃんの無双のスタイルに細身のスーツ、タキシードが最高にかっこよかったです。

ヌードルス/望海風斗へのヒリつくように熱い友情、デボラ/真彩希帆への思い、そしてキャロル/朝美絢への屈折した思い。

こうした感情の襞がこれまでより余裕をもって表現されているように感じました。

特にキャロル/朝美絢を殴りつつ抱き寄せる屈折具合、あるキーワードに反応して激昂する狂気が最高でした。

また壮年時代になにもかもを失ってヌードルス/望海風斗に縋り、拒絶されることの切なさは言葉にできません。

フィナーレが踊るとスタイルとキレキレのダンス、爆発するオーラでまぶしかったです。

咲ちゃんは歌唱もよくて芝居も新たな役に挑戦するたびに表現の幅が広くなっているのを感じます。

ジミー/彩凪翔

なかなか凪様の出番がないので客席でヤキモキしていました。

凪様は労働組合の先頭に立つ、しかし清廉潔癖ではない、一筋縄ではいかないジミー役で存在感を大いに発揮していました。

凪様が出ると存在感と芝居のうまさで場面がぐっと引き締まり空気が変わります。

特に2幕の壮年時代、疑惑を払拭しようとする銀橋でのセリフは剃刀のように鋭く、ベイリー長官との2人でのやりとりには背筋が凍る思いがしました。

また登場したときの労働者のリーダーからのこの変わり身がすごいんです。

切れ者が野心を持った切れ者に変わるとこんなにも纏う空気が変わるのかと舌を巻きました。

この舞台には真っ黒い警察やマフィアたちが登場しますが、もっとも悪い人間、恐るべき人物はジミーではないかと凪様が思わせてくれました。

フィナーレの男役総踊りではダンスの技術を超えて男役の美学、正統派の美しい男役を見せてくれて目を奪われっぱなしでした。

キャロル/朝美絢

美貌の歌姫、マックス/彩風咲奈が心底大好きなキャロルあーさが演じ、華やかで美しい金髪の美女っぷりにうっとり…でした。

パンチと色気のあるミニスカートにドレス姿、歌声もすばらしかったです。

ハバナの場面では大人しめの衣裳なのですが、いつもとは違う、日の当たる時間をマックス/彩風咲奈と楽しみたくておしゃれをしているのかな…と想像したりしました。

だってキャロルがとてもうれしそうなんですもの。

後年、施設に入って記憶を失ってからの儚げで繊細で壊れてしまいそうなキャロルには泣かずにいられませんでした。

プロローグ、フィナーレは男役で登場していますが、次回作では男役が見られることを楽しみにしています。

コックアイ/真那春人とパッツィー/縣千

コックアイ/真那春人の眇めた左目はいったいどうやっておられるんでしょう。

コックアイは凶暴で獰猛で、感情の沸点の低そうな危険な雰囲気がよく出ていました。

只者ではない雰囲気、オーラがあって目が離せません。
それはフィナーレでも顕在で、2階B席でオペラなしで「あの男役さん、いいな」と思うとまなはるさんなんです。

パッツィー/縣千は原作通りちょっと抜けているところも出しつつ、
アポカリプス(黙示録)の四銃士の一員として一人前のマフィア、男になろうと精一杯自分を大きく見せようとしているのが好印象でした。

あがたくんの正統派な美貌に黒髪のオールバックがお似合いでとってもかっこよかったです。

またロケットではパチ子としてピュアな笑顔を振りまきつつ踊りまくっていて目を引きました。

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華のある男役さんでこれからがますます楽しみです。

どこを取ってもすばらしい雪組のキャストたち

雪組の舞台は真ん中から端まで完璧な結晶のような完成度で、だいきほを中心に非常にレベルの高いものを目指し研鑽しているのが伝わってきます。

目が足りず気づいていないことも多そうですが、一言ずつですが触れさせてください。

◆ファット・モー/奏乃はると
安定のうまさで安心感がありました。
ストーリーテラー的な役割も担っていますが、ストーリーがすとんと理解できました。

若いときのファット・モーをたっちー(橘幸)が演じていますが、この切替りもお見事できちんと同じ人物に見えました。

◆サム/煌羽レオ
カリ様の悪い役が大好きなので今回も堪能しました。

髪の毛を業界人っぽくピンク味のある金髪(?)に染めているのが新鮮でした。

◆バグジー/諏訪さき
ヌードルス/望海風斗たちに敵対するギャングの少年ですが、ギラギラしていていまにも誰かを殺してしまうのではないか、というほどのドロドロしたエネルギーが迸っていました。

2幕のハバナではキレキレのダンスが光っていました。

しゅわっちは気迫がすごくて舞台のどこにいるのかすぐにわかります。

新人公演でヌードルスにどう挑むのか楽しみです。

◆ニック/綾凰華とベティ/星南のぞみ
98期のデボラ/真彩希帆とたっぷり絡む場面があってうれしかったです。

どちらも原作にはない役を小池先生が用意されたわけですが、もっと出番があってもいいお2人がこの役どころに回っているので、まあやちゃんとの場面を作ったことが小池先生なりの思いやりなのかなと思いました。

1回観劇しただけで気がついていないこともあるかと思いますが、初日のファーストインプレッション的な感想でした。

また観劇して気がついたことがあればあらためて記事にしたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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POSTED COMMENT

  1. うみひこ より:

    ヴィスタリアさん

    雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」を観ました。とてもレベルの高いミュージカルが観られた!という幸福な気持ちです。

    主演2人がそれぞれひとりで舞台に立つ場面が何回かあるんですが十分に絵になる。舞台を持たせられる。きっと外の舞台に行かれても、やっていける人たちなんだなーと感じました。

    また2人ともとても歌が上手いんですが、それだけでなく滑舌がとてもいい。音がのったセリフが全てクリアに聴き取れる。これはすごいことです。また歌に関して言うと、特に彩凪翔さんが上手くなられたなーと感じました。きっと皆さん日々研鑽されているんだと。

    しかし望海風斗さんはフラれる役、苦悩する役が似合いますね。「琥珀色の雨に濡れて」でもそう思いました。ピッタリだなと。背中に哀愁を感じるのもおっしゃる通りです。

    真彩希帆さんのダンスレッスンのシーンは確かに「はきだめに鶴」の印象を受けますね。白いドレスの色が他のバレリーナと少し違って、浮き出てる気がしました。サナトリウム訪問の落ち着いた彼女も良かったです。

    他の役の人で一人あげると諏訪さきさん。バグジーもですが、他の場面でも彼女に引き寄せられます。ギラギラと野心に満ちた彼女の目。裏社会からのし上がってやるという強い意思を感じます。
    今回の新人公演は残念でしたが、再演時に東京では出来なかった主演をはって初日に感極まる、というサクセスストーリーがあったりしないかなーとふと思いました。

    しかし小池先生、原作のいろんな謎をつないでいただきました。なるほどなるほどなんですが、それは違うんじゃね?というところもありまして、そのひとつが
    「マックスは少年時代からデボラに恋心を抱いていた」
    です。私のイメージはマックスはむしろヌードルスが気になって仕方なく、彼の関心を引くため或いは彼にマウントするために、デボラに近づいたのではと。そうでないと最後の最後に彼にすがりつくことに結びつかないので。
    こなあたりは小池先生とじっくりオタクなトークをしてみたいです。

    あと小池先生、生徒さんの配役が見事です。朝美絢さんのキャロルは言うに及ばず、各所に適材適所ぶりが際立ちました。たとえばベティ役の星南のぞみさん。嫌味な女の役が意外にも似合う似合う。パンフレットに載ってる日経の広告ページの彼女は可愛らしいですが。

    私が観たのは2/29土曜から公演中止になる前のラストの回だったのですが、最後に組長さんと望海さんのご挨拶がありました。生徒さんや関係者の無念を感じ、ちょっと泣けてきました。

    • vistalia より:

      うみひこさん

      うみひこさんの「うんうん」とうなずきつつ感想を楽しく拝読しました。

      諏訪さきさん、私も非常に目立つと思いました。
      バグジーだけでなくどの場面でも伝えようとするものの強い意思がオーラとして発散されていいて、自然と目が吸い寄せられる存在感がありました。

      だからこそ新人公演を見たかったのです。言っても仕方のないことになってしまいましたが……。

      デボラの「掃き溜めに鶴」はこんな言い方をしていいのか迷いつつ、生徒さんたちも狙っているだろうと思って書きました。

      このデボラの白いカーディガンは、宝塚GRAPH3月号のCostumeのコーナーによると真彩ちゃんがご自分でこの時代のものを探してきたそうです。

      ちょっとした色の違いですけれどすごく目立ちますよね。
      (他の女の子たちのカーディガンをお衣装部さんがどのように選んでいるのを想像したくなります。)

      ちなみにこのコーナー、豪華な衣装が紹介されるのがセオリーですが今回はヌードルスとデボラのそれぞれの年代の衣装が紹介されており、望海さんと真彩さんの役を生きる強い思いを感じます。

      私が小池先生の点と点のつなぎ方でうまいと思ったことの一つは宝石店のジュリー/杏野このみです。
      映画を見たとき(映画ではキャロルですが)なぜ「殴って」と言うのかよくわからなかったのです。

      そして星南のぞみさんといい、ペギー/愛すみれ、エヴァ/彩みちるの配役も秀逸で娘役さんの適材適所っぷりには恐れ入りました。

      マックスのデボラについての思いですが、これも恥ずかしながら映画を一度見ただけでは気づきませんでした。

      ナウオンステージで彩風さんが「映画で描かれている部分は短いですが、デボラに対する思いというのもマックスのなかにはあり…」と話しているのを聞いてそうなの?と思って映画を見直しました。

      うみひこさんが仰るように、マックスがデボラに執着しているのかヌードルスに執着しているのかでいったらヌードルスだと思います。

      このあたりの解釈、宝塚版の作り方についてはいくらでも話ができそうで、こういう味わいの余地のある作品を作ってくれた小池先生はやはりすごい演出家なのだなあと思いました。

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