こんばんは、ヴィスタリアです。
池袋に新しくオープンしたBrillia HALLこと豊島区立芸術文化劇場の柿落とし公演星組「ロックオペラ モーツァルト」を観劇することができました。
こっとん(礼真琴・舞空瞳)コンビのプレお披露目、海外ミュージカル、柿落としとおめでたいこと尽くしで超チケット難でしたが、ありがたいことにライブビューイング(以下LV)と劇場での観劇が叶いました。
この感想はLVと観劇を併せてのヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想ですが、Brillia HALLと石田先生の演出については辛口です。
目次
新生星組の誕生を目撃した「ロックオペラ モーツァルト」
すごいものを見ました。
映画館でも劇場でも、幕が降りた後、客席から動くことができないくらい、すごかったです。
舞台からの圧がのしかかってくるうな、ズシッと押さえつけられるような、こんな感覚は滅多にありません。
ことちゃん(礼真琴)とひっとん(舞空瞳)がとにかくすごすぎて、一体なんて表現すればいいのか言葉を探しながらこれを書いています。
紛うことなき宝塚歌劇の舞台で、海外ミュージカルだけあって曲がいいですし、
衣裳も美麗でセットも凝っていて文句なしの作品でした。
この宝塚を見たというキラキラとした胸踊る感動と同時に
ものすごい舞台人 礼真琴と舞空瞳が初主演を果たした伝説を目撃した気がしています。
ことちゃん(礼真琴)とひっとん(舞空瞳)の技術と気迫の凄まじさが迫ってくるような、胸に重たいものを埋め込まれるような、そんな感じを客席で受けました。
こっとんの歌やダンスの技術の凄まじさもありますが、技術のみでこんなふうに魂を抜かれるようになることはないでしょう。
全身全霊をかけた、心のある演技によってこその感動だと思います。
そしてそれがどの役にも、アンサンブルにもありました。
専科のまりんさん(悠真倫)、カチャさん(凪七瑠海)、星組生の技術の底力ーー個性のある芝居とアンサンブルと、そして特に娘役さんの歌唱力が存分に発揮された舞台でもありました。
べにあー(紅ゆずる・綺咲愛里)のさよならショーで「スカーレット・ピンパーネル」はお披露目ではなくいまの星組で観たかったと思ったのですが、
いまこそ星組本公演に海外ミュージカルの大作を心から望みます。
劇中では「ロミオとジュリエット」に言及があり、これが元からある件なのかアレンジなのかは不明ですが、
「ロミオとジュリエット」でもいいですし今作と同じくフレンチミュージカルの名作である「1789」でもいいですし、フレッシュなこっとんといまの星組にこそふさわしいミュージカルの大作が観たいです。
「ロックオペラモーツァルト」は新しい劇場、新しい観客のために用意された作品か
初めての劇場で観る宝塚歌劇だからなのか、初めて宝塚で上演する作品だからか、いつもと違うと感じたことがあります。
それは拍手をするタイミングです。
ナンバーが終わったとき、聞きごたえのある歌が終わったとき、宝塚歌劇では拍手をする“間”があり、その場面への称賛でありスターさんへの拍手が贈られます。
いつもの東京宝塚劇場ですどそのタイミングは自然とわかることもあれば、音楽や照明などが示すこともあれば、
拍手を切るといいますか、先導を切って拍手をしてくださる方がいて「あ、ここは拍手をするところなんだな」とわかることもあります。
今回は聞きごたえのあるナンバー、それもソロ歌唱のナンバーが多いかと思うのですが、ヅカファン的に拍手が入るであろう(拍手をしたい)タイミングで拍手がなかったのです。
ナンバーから次の場面の展開があまりにもスムースで拍手をする間がなかったと感じました。
またフィナーレの音楽のアレンジが宝塚のショーらしくないといいますか、手拍子が無い(しにくい)こともあえていつもとは変えているのかな?と思いました。
これは池袋での初めての宝塚歌劇の上演で豊島区民貸切公演が多く、
これまで宝塚歌劇を知らない方が多く観劇されるという前提があってこそなのでしょうか。
拍手のタイミングなどあまり意識していないつもりでしたが、今回は拍手をしたいと思ったところでできないことがあり、
自分自身が知らず知らずのうちにヅカファンの文化にどっぷり浸っていることに気づきました。
石田先生の演出 コンスタンツェは悪妻か良妻か
石田先生の演出、言葉のセンスや固定観念に疑問を感じることが多く、ヴィスタリアは相性がよくないと自覚しています。
今回も「就活」「拗らせ女子」という“新しい言葉を取り入れてみたよ、おもしろいでしょ”としたり顔が浮かぶようなセンスには閉口しました。
また「壬生義士伝」の幕前芝居の多用に原作と生徒さんのよさを活かしきれていないことにガッカリしたのですが、
今回も展開の冗長さが気になりました。
もっとテンポよく起承転結をドラマチックに見せることができるミュージカルだったのではないでしょうか。
もう一つ気になったのがモーツァルトの妻コンスタンツェの描き方です。
悪妻と名高く、ウィーンミュージカル「モーツァルト!」でもそういう視点で描かれていますが、今作ではアロイジアと対比させるためか、悪女として描かれていませんでした。
元々そういう設定なのか宝塚でトップコンビが演じるからこそのアレンジなのかは不明ですが、
コンスタンツェの奔放さが描かれていたほうがアロイジアとのキャットファイトは一層人間味のある味わい深いものになり、ヴォルフガングの「悪妻か良妻賢母か…僕にはちょうどよかった」という終幕近くのセリフが生きたように思います。
Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)は宝塚歌劇の上演に適しているか
このホールについてはメディアで豊島区長の宝塚歌劇の誘致などが報じられていました。
この記事で力を入れているというトイレはたしかに混雑しませんでしたし、舞台のセットは豪華で(今回の演目によるものかもしれませんが)、盆も回りミラーボールもあります。
しかし当たり前のことですがBrillia HALLは宝塚歌劇専用の劇場ではないということも感じました。
この日座った3階上手側ブロック後方は舞台機構があるのか音響の関係か、静かな場面になると壁の辺りからガタ、ガタ、ゴト、ゴトという音が聞こえるのには閉口しました。
また舞台上のパネル状の幕(鍵盤の絵柄)が出てくる度にスライドするシャーッという音が聞こえるのも気になりました。
そして肝心要の舞台の見え方ですが、全てのフロア、席種に座ったわけではないですし座高も人によって異なるのでヴィスタリアの完全な主観ですが、
3階後方から舞台が非常に遠く、柵があるがために舞台の一部に死界が生じていました。
3階席は1列ずつの座席が深いので前の人の座高で見切れが発生することはなさそうなのですが、この柵はもう少し低くする等できないものなんでしょうか。
そして舞台に対して2階席、3階席のカーブが急すぎてコの字型のようになっており、LRのサイド席は舞台が見辛いような気がします。
これほど見にくいのであれば3階席のLRや後方はB席の値段設定をしてほしいというのが正直なところです。
シアターオーブで上演された雪組「20世紀号に乗って」はB席がありましたが、
席数が1972席とブリリアホールの1300席よりキャパが大きいからこそのB席だったのかもしれません。
キャパも違いますし3,000円代とは言いません。
4,000〜5,000円台でもいいので1、2階席との差別化をしてほしいというのは贅沢な望みでしょうか。
これではKAATやシアターオーヴ、日本青年館、赤坂ACTシアターとの違いがわからないのに、
杮落しに宝塚歌劇が上演されるのはおめでたいことではありますがメディアで大々的に打ち出すことに違和感を覚えたというのが第一印象でした。
ここまで強く言うのは東京宝塚劇場がどんなに後方、端の席でも舞台の観え方で不満を感じたことがなく、むしろそういう後方の観客を大切にしているマインドを感じるからです。
また今回音楽が録音であったことも気になりました。
生演奏は宝塚歌劇の大きな魅力の一つだと思うのですが、今後も録音での上演になるのなら残念です。
一つよかったことは座席の座り心地が挙げられるかと思います。
ふかふかの座面と背もたれで快適で、1座席のスペースも窮屈ではありませんでした。
劇場については辛口の意見を書きましたが、素晴らしい舞台を見せてくれたキャストごとの感想は次の記事で書きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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