観劇の感想

月組「ブラック・ジャック」役ごとの感想

こんにちは、ヴィスタリアです。

月組全国ツアー「ブラック・ジャック 危険な賭け/FULL SWING!」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた役ごとの感想で作品の内容に触れています。

月組「ブラック・ジャック」月城かなとの巧さ

初演(花組1994年)の映像を見すぎているので初演についての言及がありますが、初演と再演のどちらがいい悪いという意図はありません。
どう違ったか、それを自分がどう受け止めたのかを書いています。

◆ブラック・ジャック/月城かなと
作品の感想を観劇の興奮冷めやらぬうちに書きましたが、こんなにも感動して涙せずにいられなかったのはれいこちゃん(月城かなと)のブラック・ジャックがれいこちゃんならではなBJとしてあまりにも巧かったからに他ありません。

れいこちゃんの芝居の巧さに圧倒されましたし、芝居の中で役として歌う歌唱の巧さとすばらしさも一層感じました。

「かわらぬ思い」は歌い出しのキーがものすごく低くて難しいと思うのですがその低い歌声の歌詞がきちんと聞き取れる上にこめられた感情も伝わってくるんです。

また初演のヤンさん(安寿ミラ)の冷徹でときに突き放すようで、どこか怒りを生へのエネルギーへ変えているBJとも違う、
再演のまっつさん(未涼亜希)の優しくて包み込むような愛を感じるBJともまた違う、
れいこちゃんの強い信念と「俺はこういう人間なんだ」という諦観がないまぜになったようなブラック・ジャックが息づいていると感じました。

一番原作に近いのでは…と思いましたし、ときどきくすりと笑えるおかしみ、人間くささがあったりピノコ/美海そらへの愛を感じさせる表情も原作を彷彿をさせました。

手術によって残った違う肌の色に傷痕、白髪と分かれた黒髪のカツラ、お衣装、いつものかっこいい男役とは明らかに違って見える頭身もまた原作の作画らしいBJでした。

巧さと役の作り込みが一人頭抜けていると思いましたし、これがトップスターということなんだ、主演ということなんだと実感しました。

ブラック・ジャックの影/一輝翔琉もまた全体のシルエットが原作から抜け出たような雰囲気があり、本当に若き日のBJに見えるのも強く印象に残りました。

いまのわかくん(一輝翔琉)にしかできないとも強く感じて、こうした影のお役は宝塚歌劇でよくありますが一番印象的だったかもしれません。

アイリス/海乃美月とケイン/風間柚乃

◆アイリス、如月恵/海乃美月
正塚先生のプログラムでアイリスのことをこんなふうに書いておいでです↓

アイリスは軍籍があり、訓練を受け、武器も扱えるような女性。
特殊な仕事をしている普通の女性てはない感じも海乃には上手く合っていくのではないかと。

やはり正塚先生の月組(2014年)のカチャるり(凪七瑠海・美弥るりか)ダブル主演の「THE KINGDOM」でうみちゃん(海乃美月)が気の強い情報部員を演じていたのを思い出しました。

うみちゃんの好きなお役の一つなんです。
たおやかでしやなかで美しいうみちゃん、こういう強い女性の役もしっかりこなせるんですよね。

とはいえヒロイン像としては珍しいタイプですから、今回こうして頭もよくて体も張って武器を使えて、きちんとした自尊心があるうみちゃんのアイリスに会えてうれしかったです。

アイリスのときは初演の森奈みはるちゃんを特に感じなかったのですが、如月恵の第一声を聞いたときにみはるちゃんを感じて(ほんの一瞬ですが)、
同じ役だから当然なのですけれどこういう瞬間があるといま自分は役の魂に触れているのだなと心動かされます。

また「かわらぬ思い」と同じく名曲「それぞれの思い」はアイリスのパートの音域が低くて言葉数も多くて、宝塚歌劇の娘役の曲にはなかなかなくて難しい曲であることを今回感じました。

うみちゃんの歌詞はきちんと聞き取れましたし、「FULL SWING!」パレードの高音を思うと今回の2作品でものすごく広い音域を歌っているんだなと思いました。

◆ケイン/風間柚乃
100期のおだちん(風間柚乃)、研9で早くも全国ツアー2番手です。
おめでとうございます!

芝居はもちろんショー「FULL SWING!」での活躍っぷり、たっぷり響かせる歌声がすごかったです。
Night&Dayは至福でしたし、パンチの効いたエトワールのすばらしさといったら。

今年の後半か来年あたり東上主演もあり得るのでは…いつ来てもおかしくない実力の充実ぶりだと思います。

それにしてもこのケインという役は抱えているものが大きくて難しい役ですね。
研9でそれを任されるおだちんのすごさよ。

体に問題を抱えている役柄に合わせてかそういう学年なのか、頬のあたりがシャープになったように見えました。
いいですよね、頬のそげている男役さんて(←大好きなんです)。

初演の真矢みきさん(現 真矢ミキ)とは違うケインで、特にアイリスとの関係が違って見えるのが印象的でした。

みきさんとみはるちゃんは7学年離れていましたがおだちんうみちゃんは3学年しか離れていないという背景を自分が勝手に重ねてしまうのかもしれませんが、
思い合いながらもすれ違ってお互いに譲らず言い争いをする関係が対等に見えたんです。

ケインが後半にアイリスについて

(アイリスとのつきあいは)長いな。実際の時間よりも遥か昔からな気がする。

ああ…惚れているよ。

という台詞があるのですが、おだちんの台詞を聞いたときに、恋人としてつきあいが長いのではなく、MI6の同僚として、友人として、ライバルとして、恋人として、さまざまな関係を含んだつきあいの長さがあるのを感じさせました。

アイリスと書類を奪い合って格闘する場面は笑うようなところではないと思うのですが客席が笑っていて、最上手から見ていた自分が何か見逃したのかもしれませんが、
ケインんとアイリスの取っ組み合いぶりがあまりにもリアルだったからなのかな…と思いました。

これは配信で見て確かめるつもりでします。

月組「ブラック・ジャック」 その他の役たち

一言ずつですが触れさせてください。

◆ジョイ/礼華はる
だぼっとしたシャツを羽織っているのにこういう若者いるなあというリアルさを感じました。

ローラ/花妃舞音とお幸せに…と自然と思えるような、こういうカップルいるなあと思うものがありました。

ショーでは新しくなった場面「ラ・コンパルサ」は真ん中で歌って踊っていました。

ところでこの場面でものすごく長身で笑顔のまぶしい男役さんがいて目が釘づけになってしまい、終演後すぐにプログラムで調べました。

105期の遥稀れおくん、177cmの長身です↓

全国ツアーだとこういう出会いがあるのがうれしいです。
これからの月組観劇で楽しみにする人が増えました。

◆ジョアン/天紫珠李
初演の詩乃優花さんが大好きなのですが、じゅりちゃん(天紫珠李)ならではのジョアンでとってもよかった!

どこか気だるそうで、コンピューターにしか興味がなくて、お化粧もいつもと変えているのかぽってりめに塗ったリップがとてもチャーミングでした。

モニターに手を置く仕草からコンピューターへの愛がちゃんと伝わってきました。

◆ヨランダ/白河りり
りりちゃんの芝居を見ているといつも思いますが、このお方は宝塚歌劇の北島マヤか姫川亜弓ですね。

ヨランダの歩き方、握った手、目に込めた力、こういう人いるなあと思わせますし笑いの取り方も自然です。
巧いなあ!

ショーでは歌声も聞くことができてうれしかったです。

1回限りの観劇な上に昂ぶって夢中になってしまって見落とし、気づいていないところもあるかと思いますが感想でした。
月組ならではの充実した公演を観劇することができて本当に幸せです。

読んでいただきありがとうございました。
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