観劇の感想

星組「ザ・ジェントル・ライアー」観劇の感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

KAATで星組「ザ・ジェントル・ライアー」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想て、作品の内容に触れています。

心温まるミュージカル・コメディ「ザ・ジェントル・ライアー」

バウホール公演が残念ながら全日程中止となってしまいましたがKAATは無事に初日を迎えることができほっとしました。


このまま千秋楽まで無事に完走できますように。

初日翌日に観劇しました。

3階のどセンターなのでやや上から覗き込むような形だったのですが、KAATはまあ見えるし手すりもあまり邪魔にならないですし、音響はよいのでわりと好きな劇場です。

原作のオスカー・ワイルド「理想の夫」は予習せず、公演解説とプログラムを読むくらいであまり予備知識も入れずに観劇しました。

が、純粋に舞台として楽しくて、予習しなくてよかったかなと思いました。

「ミュージカル・コメディ」と銘打たれていて、そんなに笑うような作品なのかしら?ポスターのせおっち(瀬央ゆりあ)はものすごくかっこいいけれど…と思っていたら、ドッカンドッカン笑いが起きるというより、
台詞のやりとりでくすりと笑わせられることが多かったてす。

勢いで無理に笑いを取るのではなく自然に、台詞と芝居で笑わせてくれるのが巧いなあと思いました。

そしてただのコメディではなく、アーサー・ゴーリング卿/瀬央ゆりあが訴えるメッセージ「完璧な人間なんていない」「弱い人間にこそ愛が必要」もすんなりと素直に届く心温まるストーリーでした。

19世紀末のロンドンの貴族たちの物語ですから有村淳先生の衣装もきらびやかでお着替えも多く、フィナーレもたっぷりあって宝塚歌劇を見たという満足感もあり幸せな観劇でした。

星組「ザ・ジェントル・ライアー」役ごとの感想

◆アーサー・ゴーリング/瀬央ゆりあ
せおっちの初東上主演で開演アナウンス、スポットライトに胸が熱くなりました。
フィナーレの総踊りのかけ声もですね。

とにかくせおっちがかっっっこいい!
それに尽きます。

遊び人らしく派手めの衣装が映えて、3階席から覗き込むように見ているとギリシャ彫刻のように整った美貌なのがよくわかりました。

遊んでいてチャラくて、のらくらとはっきりしないところもありますが
友人思いですし貫くべき芯はちゃんとあってやるときはやる男です。

失恋して傷ついた弱さも知っていれば、自分に欠点があるけらこそ愛が必要だと友人に真剣に伝えることもできて、
意を決してのプロポーズもある――ファンからしたらうれしいお役ではないでしょうか。

膨大な台詞、自然な流れで取る笑い、そして歌もとてもよかったです。

「ロミオとジュリエット」のハードな役替り、「柳生忍法帖」を経て躍進されているのを感じました。

◆ロバート・チルターン/綺城ひか理
あかさん(綺城ひか理)は外見もキャラクターもアーサーとはまったく違うのですが、
これが好対照であかさんもとっっってもかっこよかったです。

黒髪、髭、しっかりめに描いたもみあげに黒燕尾や装飾のない、しかし仕立てのいいカッチリとした装いがかっこよくて、あかさんは黒髪王子ですね。

アーサー/瀬央ゆりあとのシーンも多いのですが、二人の衣装のみならず立ち方、手の置き方や表情がまったく違って男役の奥深さとかっこよさを感じられるのも眼福です。

議員として身を立てていますが四角四面なわけではなくて野心もあり、そして妻ガートルード/小桜ほのかを心から愛しているのも伝わってきて魅力的でした。

劇中で歌うシーンもありますが、できればフィナーレでもあかさんの美声が聞きたかったです。

もしかしたら飛沫対策でフィナーレは歌わないのかもしれませんが…いま書いていてふと思いました。

◆ローラ・チーヴリー夫人/紫りら
はるこさん(音波みのり)の休演により代役でいえちゃん(紫りら)が演じました。

プログラムのスチールを見ると当初の配役通りはるこさんのチーヴリー夫人、いえちゃんのバズルドン卿夫人が載っていて、
どちらも役になりきった美しさ、躍動感がありこちらも見てみたかった…と思いました。

が、代役とは思えないほど紫りらちゃんのチーヴリー夫人はすばらしかったです。

赤毛に赤いドレス、アイラインも赤系で、情念と艶を纏い自らの目的のためにあれやこれやと画策する厭らしさ、厄介さがなんと巧いことか。

色んなことを引っ掻き回すので出てくると「わー!また来た!」と思ってしまう、いえ、思わせてくれる存在感がしっかりとありました。

今回初めていえちゃんが膨大な台詞を喋るのを聞きましたが、その台詞の声も聞きやすかったです。

カーテンコールでは大きな拍手が贈られていました。
代役でお稽古など大変だったかと思いますがそれを感じさせないプロの舞台に自分も大きな拍手を贈りました。

上級生の娘役が活躍できる頼もしさはうれしいものです。

またせおっちと同期で95期がこうしてたっぷり組むのも楽しかったです。

◆ガートルード・チルターン/小桜ほのか
結い上げた金髪に水色、青のドレスが小桜ほのかちゃんの愛らしい美しさにとてもお似合いでした。

「ロックオペラモーツァルト」「シラノ・ド・ベルジュラック」、そして今作と青系のドレスが続きますね。

金髪もカツラだと思うのですがすごく自然で、結い上げ方もゆる〜いのがわかるのが逆にこだわり、作り込みの素晴らしさを感じました。
どうぞ小桜ほのかちゃんが後ろを向いたとき注目してみてください。

歌姫なので美しい歌声をKAATいっぱいに響かせてくれるのもたまりませんでした。
もっと聞いていたい…。

芝居で笑いを取る、というよりは誘うのは、素の小桜ほのかちゃんがちょっと不思議でおもしろいのが自然と滲んでいたように思います。

それがまた自然な芝居と笑いに繋がっているように思い、とても好きでした。

◆メイベル・チルターン/詩ちづる
月組から組替えとなりこの公演から星組生として出演しているうたち(詩ちづる)、輝くような、まぶしいばかりのかわいさでした。

お顔立ちもかわいらしく輝くようなオーラもあって、演じているメイベルという女の子もかわいい!

そしてかわいい娘役さんの特徴の一つに額の丸みがあると思うのですが、うたちの額、よかったです(←どこ見てるんだ!?って感じですけれどきっとわかっていただけますよね)。

月組カラーなのかチーヴリー夫人・ガートルードとの対比なのか黄色のドレスをお召しで、宝塚歌劇のこういうところが好きです。
組替えされた生徒さんが元の組カラーのお衣装を着ていること、よくありますよね。

歌もしっかりと安定していて声も綺麗でした。

これから新人公演のヒロインなども任され星組の娘役スターとして活躍されることでしょう。
楽しみです。

◆トミー・トラファド/稀惺かずと
金髪の爽やかな美青年、しかし口を開けば…で体当たりの演技でした。

「婆娑羅の玄孫」は子役、今回もまだ若き青年らしさのある役なので、大人っぽい、イメージががらりと変わるようなお役をぜひ見てみたいです。

キャヴァシャム卿/美稀千種が頼もしく、
アーサーの執事フィプス/大輝真琴の笑いの取り方の匙加減に拍手を贈りました。

2月23日(祝)にはライブ配信があります。
多くの方に楽しんでいただきたい作品です。

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