映像の感想

映画ウエスト・サイド・ストーリーを見て(誰のアニタが見たいか)

こんばんは、ヴィスタリアです。

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」の内容に盛大に触れています。

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」が描く分断と格差と愛

先週公開になったスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ウエスト・サイド・ストーリー」を見てきました。

1961年版の映画は自分が初めて触れたミュージカル映画で、色鮮やかなナンバー、心踊る音楽、美しい響きに大きな衝撃を受けたのを覚えています。

熱に浮かれさたようになって、図書館で借りたサントラCDの歌詞カードを一生懸命ノートに書き写したり自分ならどう訳すかを書き連ねたり…そんな子ども時代がありました。

それが新たにスピルバーグ監督で映画化されるのを心待ちにしており公開初日に見に行き、大感動しました。

映像として迫力がありナンバーは大いに盛り上がり衣装の色彩が美しくて高揚せずにいられません。
しびれました。もう1回見たいです。

1961年版との違いはナンバーの流れや決闘の場所など細かいことを除くと3つあるのかなと思います。

第一に分断と格差が際立つように描かれていることです。

トニー、リフらのJETSはポーランドなど白人系の移民、ベルナルド、アニータ、マリアらのSHARKSはプエルトリコからの移民で、喧嘩のきっかけも民族や国の誇りを汚すような行為が描かれています。

また彼らのいる街、ストリートが再開発を控えていてどちらも居場所をなくしてしまうという背景にも豊かなアメリカで取り残されてしまう格差を感じますし、
「America」でプエルトリコよりもアメリカがいいとポジティブに、エネルギッシュに歌うアニータが後で吐き捨てるように本心を明かす一言にははっとしました。

アニータ、ベルナルド、マリアの会話には頻繁にスペイン語が飛び交い、アメリカで生きようとするアニータが何度も「英語で話して」「練習よ」というのも印象的でした。

もう一つ印象的だったのがマリアの衣装の色の変化です。

ダンスパーティーで白いドレスをいやがるのは共通していますが、その後1961年版では赤い衣装になっていきラストシーンは真っ赤なドレス――シャークスの大人の女性が着ている色になります。

それが今回は白色→水色→青色と変化していって、JETSの色をマリアが纏っていていることが二項対立しかない世界の悲劇を象徴しているようで物語の結末が一層辛かったです。

(赤と青の対立は星組のミュージカル「ロミオとジュリエット」を見たから余計に感じるのかもしれません)

第二に各キャラクターを演じる俳優が魅力的かつ(リフがかっこよかったしアニータがとてもいい)、1961年版より肉付けされている部分があり、
トニーの過去のあやまちには驚きながらもだからこそドクの店で働きJETSから足を洗おうとしているリアルさ、切実さを感じました。

各俳優の選ばれ方も1961年版とは違いJETSは白人系の俳優が、SHAERKSは白人ではない俳優が選ばれているのがわかりますし、エニバディも「こういう人いるなあ、わかる」というリアリティがある俳優が選ばれていました。

こういうあってしかるべき配慮は女性の描き方にもあって、1961年版でマリアがダンスパーティーのドレスの胸元を1インチ下げてくれとアニータにねだるエピソードは無くなっていましたし、
アニータがJETSの男たちにひどいことをされる場面ではJETSの女の子たちが必死で止めようとしているシーンがありました。

第三にバレンティーナというリタ・モレノ演じる人物の存在です。

1961年版でアニータを演じていたリタ・モレノの名前をクレジットに見つけて驚きました。

バレンティーナはプエルトリカンで白人のドクと結婚し、今は「ドクの店」を一人で切り盛りしながらトニーの後ろ盾としてあたたかく見守っている役です。

分断の世界で人々が対立せず幸せなところに行き着いた象徴的な人物であり、ナンバーsomewhereもトニーとマリアではなくバレンティーナが歌っていてこれがすばらしかったです。

若いトニーとマリアはまだJETSとSHARKSの対立の渦中にいてまだたどり着けない、見えないsomewhereがバレンティーナには見えているのだなと泣きそうになりながら聞き入りました。

「ウエスト・サイド・ストーリー」のアニタを誰で見たいか

今回映画を見ていてリタ・モレノの活躍とアニータがすばらしかったこともあって、自分はこの作品をアニタに寄り添いながら見ているのかもしれないと思いました。

1961年版の映画も今回の映画もとにかくアニタが魅力的で、ダンスパーティーでパワフルに踊りまくり「America」でエネルギッシュに歌うのが大好きなんです。

愛するベルナルドを失い、かわいがっていたマリアの恋に動揺しながらも協力し、酷い目に遭って口にしたことが悲劇的な結末へつながっていく――彼女のストーリー自体もドラマチックで惹かれるものがあります。

アニタは宝塚歌劇では男役さんが演じることもあり、月組(1998年)ではじゅりぴょん(樹里咲穂)が圧巻でスター街道におどり出たイメージがあります。

月組版は観劇はできなかったものの当時「歌劇」などを読んでそのすごさを感じていました(翌年の星組は観劇しました)。

一番最近の宙組の上演時は残念ながらヅカファンをお休みしていたので見ていないのですが、キャストを眺めながら和希そらくんのアニタはさぞかしすばらしかっただろうなあ…と想像しています。

アナスタシア」のリリーの女役がすばらしかったこともあってイメージがわくのと、ダンス・歌・芝居と実力を備えているのを感じるからこそ想像せずにいられないんです。

アニタはナンバーも見せどころがありますし物語のキーにもなる人物ですから歌えて踊れて芝居もいい生徒さんで見たい、それを叶えてくれただろうな…と。

またこれはifの想像ですが、「プロミセス、プロミセス」のマージを代役で演じたるいくん(留依蒔世)のアニタもきっとハマるし機会があればぜひ見てみたいです。

もし娘役さんでアニタを演じるならどなたで見たいか…音くり寿ちゃんなーこちゃん(羽織夕夏)ちなちゃん(瑠璃花夏)が思い浮かびました。

じゅっちゃん(天彩峰里)も見ていたいです。

具体的にいまのどの組で見たいというところまでは想像できていないのですが次に上演される機会があったら絶対に見ようと心に誓っています。

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