花組

安寿ミラから望海風斗と明日海りおへ繋がれたもの【ベイ・シティ・ブルースと雪組ONCE/FEMALEとシャルム!】

おはようございます。ヴィスタリアです。

度々書いていますがヴィスタリアの永遠の贔屓はヤンさん(安寿ミラ)です。

同時にヅカファンで好きな生徒さんがいて作品があって、全組の公演を楽しく見ています。

そんなヤンさんファンでありヅカファンである自分がぜひとも多くの方に見て欲しいと切に願う6月のスカイステージ番組2つをご紹介させてください。

花組「ベイ・シティ・ブルース」もう一つの「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」

1つ目は「ベイ・シティ・ブルース」(93年花組)です。

いまでは大作の1本物専門のようになっている小池修一郎先生の2本立てのお芝居です。
30年近く前の作品を全力でおすすめする理由は3つあります。

1.雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の源流のような作品

2.展開・音楽、花組生が最高にオシャレでかっこいい

3.映像が神がかり的な高画質でヤンさんが超絶美しい

放映日は6月16日(火)18時〜です。
1回限りのチャンスでなかなか放映されないと思いますのでぜひこの機会に!

大切なことはこれに尽きます。
おすすめ理由について次項目で書いていますがかなり長くなってしまったのでお時間のあるときに読んでいただければ…と思います。

「ベイ・シティ・ブルース」をおすすめする3つの理由

3つの理由について書いてみますね。

◆1.雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の源流のような作品
作品解説を参考にあらすじをまとめてみました。

第二次世界大戦終戦直後のアメリカ西海岸の大都市サン・アンジェロ。
マフィアのエルシノア一家ブラス一家が長年覇権を争い、いまはキング・ハーヴェイ/磯野千尋率いるエルシノア一家がこの街を支配していた。

キングの息子ハーヴェイJr./安寿ミラが除隊されベルリンから帰国する前夜、キング・ハーヴェイが何者かに襲われ殺されてしまう。
帰国したハーヴェイを待っていたのは仲違いしたままの父の葬儀だった。

ハーヴェイは葬儀で幼馴染レオナード(エルシノア幹部ペリー/未沙のえるの息子)/真矢みき(現:真矢ミキ)と彼の妹オリヴィア/森奈みはると再会し、美しく成長したオリヴィアと恋に落ちる。

一方キング亡き後のエルシノア一家をグロリア(キングの後妻)/美月亜優クラーク(キングの甥で補佐役)/海峡ひろきが牛耳ろうとしていた。
しかも2人は婚約発表のタイミングを窺っていた。

かつては父と反目し大学に進んだハーヴェイだったが、復学せずにレオナードと共に一家の収入源であるクラブの経営に携わることを選ぶ。

ある日クラブでハーヴェイの目の前にキングの亡霊が現れて告げる。クラーク、グロリア、そしてペリーに殺されたとーー。

どこかで聞いたような話と思われるかもしれませんが「ベイ・シティ・ブルース」は「ハムレット」を大戦後のアメリカのマフィアの抗争に置き換えた話なのです。

そして世界大戦後のアメリカのマフィアファミリーの抗争といえば名画「ゴッドファーザー」を連想される方も多いのではないでしょうか。

ファミリーのドンの息子が大学(軍隊)に進み一家と距離を置いていながら、
父の死をきっかけにマフィアの世界へ身を投じることになるのも共通しています。

つまり「ベイ・シティ・ブルース」は小池先生が「ゴッドファーザー」と「ハムレット」をミックスした作品で、
「ゴッドファーザー」と映画「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」が近しいように
雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」に通じるものがあるのです。

いわば雪組ONCEの親戚あるいは源流のような作品と言えるのではないでしょうか。

・マフィアと警察
・マフィアの女たち、クラブシンガー
・美しく成長して現れる幼馴染の女性
・精神の均衡を失う女性
・誕生日パーティー
・悪夢のような幻想的なナンバー

こういったモチーフも共通しています。

「ONCE」で小池先生の演出はシンプルめになった(盆やセリを多用しないという点で)と感じたのですが
「ベイ・シティ・ブルース」を見ると初期作品の基本に立ち返ったのかもしれないと思い直しました。

マフィアの抗争や星座のモチーフなどは後の「アデュー・マルセイユ」へと繋がっていくのでしょうし、
「ベイ・シティ・ブルース」でまだ下級生だったオサさん(春野寿美礼)が同作で退団されたと思うと感慨深いです。

(余談ですが後ろの方に映っている未来のトップスター春野寿美礼さん・瀬奈じゅんさん・朝海ひかるさんを探すのも楽しいです。)

そして「アデュー・マルセイユ」でオサさんの役の少年時代を演じたのぞ様(望海風斗)
10数年のちに「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」のヌードルスを演じるんですよね。

「ONCE」のプログラムには小池先生が温め続けたこの作品にかける並々ならぬ思いが綴られています。

デビュー作「ヴァレンチノ」に始まり数々のオリジナル作品に「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」に繋がるものが散りばめていると思うと、
小池先生がONCEでとうとう念願の到達点に至ったのだと思うと一層感慨深いです。

思えば小池先生のオリジナル作品には長年温めていたネタが2つあるのでしょう。

1つはヴァンパネラものでもう1つがマフィアもので、
温め続け数々のオリジナル作品に投影した末にみりおちゃんの「ポーの一族」、のぞ様の「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の舞台化の悲願が叶ったんですよね。

「ポーの一族」に至るまでに「蒼いくちづけ」「薔薇の封印」などがあり、
「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」に至るまでに「ヴァレンチノ」「ベイ・シティ・ブルース」「アデュー・マルセイユ」があったわけです。

◆2.展開・音楽、花組生がオシャレでかっこいい
展開、ナンバーの散りばめ方がおしゃれで粋で、作品を通じてマフィアの美学、宝塚の美学という骨太の芯が通っていると思います。

途切れのないスピーディーな展開に吉田優子先生の哀切で洗練された音楽が一体となって一瞬も飽きません。

ハーヴェイの繊細で傷つきやすい心を表す主題歌はもちろん、エルシノア一家の追悼集会のセリフを載せてのアンサンブルなどもミュージカルならではの楽しさがあります。

また登場人物の多くがマフィアとマフィアの女たちなので派手目のスーツやタキシードの着こなし、おしゃれなナンバーがこれでもかと見られます。

娘役さんのシックでゴージャスなドレスは大人っぽい魅力があります。

なかでもグロリア/美月亜優のスーツやドレスは女性のボスとしての風格さえあり、
クラーク/海峡ひろき厚みのある身体で着こなすスーツが最高で埋葬の場面で袖から先頭を切って歩いてくるだけでかっこいい!

みゆさんはこういう役が本当に似合いますね。大好きです。

キング/磯野千尋の泣く子も黙る迫力と凄み、
ペリー/未沙のえるの目がまったく笑っていない冷徹さには背筋がゾワゾワします。

ブラス一家の首領の遺児ファルコ/紫吹淳は血の気の多い若者の凶暴さと鋭さがあり、
ちょっと悪趣味なくらい派手なスーツで踊れば圧倒的な技術に目を奪われます。

(白のストライプの入ったスーツがトップスター時代の「ガイズ・アンド・ドールズ」スカイにつながるようでたまりません。)

そしてレオナード/真矢みきはハーヴェイと異なりマフィアの世界にどっぷり漬かって生きている仄暗さと熱っぽさ、みきさんのオーラが迸っていて
「この人の見せ方は誰にも真似できない」と思わせるものがあります。

ヒロインのオリヴィア/森奈みはるは特に後半の不安定さの表現がすばらしく、長手袋の使い方や髪型の変化のつけ方もセンスが光っています。

そしてハーヴェイとオリヴィアの2人のシーンはいずれも最高にロマンチックでときめきます

◆3.映像が神がかり的な高画質でヤンさんが超絶美しい
昔の作品がスカステで放映されるとHD放送になったとはいえBlu-rayや最近撮影された舞台映像の画質には遠く及びません。

画面の左右に黒枠も入っていたりします。

それが「ベイ・シティ・ブルース」はNHKのデジタルリマスター版で超高画質で、Blu-rayには及ばなくとも「昨年放映されたのをNHKさんが撮ってくれたのかな」と思うくらい美しい画質がテレビ画面いっぱいに広がります。

そしてその超高画質で見るヤンさんが神がかり的なかっこよさと美しさ
神話から抜き出てきたか天から地上に降り立ってきたかとしか思えません(本気)。

ヤンさんの退団後にビデオを繰り返し見て脳みそに刻み付けているヴィスタリアですが、
記憶は美化されるはずなのに記憶のなかのヤンさんより美しくてかっこよくてますます好きになってしまいました。

この時代にしては珍しくヤンさんのアイシャドウに青さがない(ほかの生徒さんは青め)のも新鮮で、
ライトのせいかお化粧も薄めに見えます。

眉と目の間が狭くて(美人の条件だと思います)、
頬骨とこけた頬、そして目で語るような演技が繊細で見入ってしまいます。

ハーヴェイの少年の魂を残したまま大人になってしまった不器用さと孤独。
ある目的のために決意を燃やすギラついた目の力。
オリヴィアと踊りながら甘い言葉を囁く色気と狡さ。

すべてがかっこよくてなんかもう……言葉にならないです。

いまよりも硬質な声が響く歌もいいし踊れば一瞬ごとが完璧な洗練されたかっこよさなんです。

もしも劇団が過去作品をこの画質でディスク販売してくれたら幾らでも貢ぎます。

と同時にスカイステージで放映される過去作品は画質がよくないという逆フィルターがかかっていて、
もし昨今の作品と変わらぬ高画質で放映されたらあのスターさん、このスターさん、そして作品の魅力にどっぷりハマることになりそうです。

FEMALE vol.14 安寿ミラと明日海りおの「愛遥かに」

2つ目のおすすめ作品は安寿ミラ FEMALE vol.14です。

2019年末に開催されたヤンさんのライフワークともいうべきコンサートFEMALEの最終日のマチネが放映されます。

時、別れをテーマにしたシャンソン、スタンダードナンバー、ポップスのセットリストが沁みます。

そして歌にもゆうるりとした踊りにも年月と経験を重ねたいまのヤンさんの気品と美しさとかっこよさが凛と輝いています。

男役時代がかっこいいのはもちろんのこと、退団してから長い年月が経ちますが、
こうして新しいヤンさんを拝見するたびに年月と経験の重ね方がなんて美しく表に出る方なんだろうと感嘆し、尊敬の念を抱き好きになってしまいます。

そして必見はみりおちゃん(明日海りお)の退団公演「シャルム!」の黒燕尾の曲「愛遥かに」をヤンさんが歌い同じ振付で踊るところです。

みりおちゃんの最後の公演の稽古場がどのようなものであったのか、振付にかける思いもお話されています。

ヤンさんの「愛遥かに」と「シャルム!」の黒燕尾を続けて再生して重ね合わせるようにして見ました。

FEMALEの放映日はこちらです。

6月13日(土)7時〜
6月17日(水)17時30分〜
6月22日(月)21時〜
6月28日(日)12時〜

ヤンさんが振付に入ると生徒さんたちが「かっこいい」と口を揃えてお話しされる理由がここにあります。
ぜひご覧になってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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