観劇の感想

雪組fff/シルクロード〜2階席のお楽しみは広く深い

こんばんは、ヴィスタリアです。

雪組「fff/シルクロード」をようやく2階席から観劇してきました。

いつもの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。

雪組「fff/シルクロード」2階席で堪能する

座席制限がなくなり満員の東京宝塚劇劇場で雪組「fff/シルクロード」を観てきました。

2階のほぼ天辺、ほぼ壁際の下手のお席でした。

これが他の劇場なら「後ろだし端だし見にくい…」と思うところですが
東京宝塚劇場ではどんなに後ろ、端の席でも楽しむことができます。

客席の傾斜がしっかりついているので舞台がよく見えますし銀橋・花道・セリ・盆があるので
センターでないと見切れて展開がわからない、ということもありません。

サイドブロックだと銀橋で立ち止まるスターさんが視線の先にいらしたり、
壁際だと花道の生徒さんがよく見えるのもうれしいです。

(宝塚のすごいところはこういう後ろ、サイドからでもスタッフさんが絶対に見えず、夢の舞台が醒める隙がまったくないことです。

外部の舞台だとセットを動かすスタッフさんが丸見え、というのを何度か経験したことがあります。)

また東京宝塚劇場の2階席は音の広がりがよくて楽しめるのもうれしいことです。

1階席後方は2階席が蓋になるのか音の広がりを楽しむには不向きな気がしますし、
録音演奏になってからは1階のサイドに座るとスピーカーが近くて自分は耳がついていけないことがあります。

すばらしい歌唱はもちろんのこと、
マイクなしでも響くのではという大音声と鮮やかな口跡で台詞を届けてくれるのぞ様
2階席で聞けるのは至上の耳福です。

「fff」のルートヴィヒ(ルイ)/望海風斗が登場しての第一声の轟くような美声は何度聞いても圧倒されます。

また「ハイリゲンシュタットの遺書」の怒りと衝動だけでなく生命そのものが燃えているようで、
あまりにも高いところでエネルギーと声を放っているのが凄まじくて、
これを1日2回、1ヶ月以上の興行としてこなせるプロの舞台人としての技量、在り方に感服します。

このエネルギーに圧倒される一方で、孤独と失意の中でつぶやくように漏れる「静かだなあ」「ボンに帰ろう…」は
か細いほどの頼りなさで、緻密に作られた落差にもまた感動せずにいられません。

あと今回印象的だったのが青年ルートヴィヒ/彩海せらです。

仕草や身のこなしにのぞ様を感じる瞬間があって、
青年が成長した先にのぞ様のルイがいるのがわかると感じたのです。

先週「fff/シルクロード」を観劇したときは緊急事態宣言を受けての座席制限で2階席は空席でした。

にもかかわらず、特にのぞ様(望海風斗)が、凪様(彩凪翔)が、度々2階の方を見上げたり見渡すんです。

劇場空間を圧倒しているというか、すべてを制圧しているというか、
あるいはご自身の見せ方の一部になっているように感じました。

本当に2階をよく見てくれるなあ…と「NOW!ZOOM ME!!」で身をもって経験したのを思い出しました。

あのときは座席制限で1席明けの定員半減でしたが、ようやくその視線の先に満員の客席があることを思うと胸がいっぱいになりました。

特に印象的だったのは「fff」のゲーテ/彩凪翔が「若きウェルテルの悩み」を語りながら銀橋を渡るところです。

「……それでも例外なくこの世の太陽の光を1分でも長く見ていたいと願っている」という言葉の通り
遠くの強い光を求めるような視線が銀橋から対角線上の、天辺の下手側まで飛んできたんです。

こんなに後ろでもオペラグラス越しに目が合うんだなあ…と射抜かれてしまいました。

凪様は無観客でのライブ配信だった「Sho-W!」でもカメラの向こう側に視線がたくさん飛んできましたが
劇場中の自分を見ている全員に視線を返しているのでは?と思うほどです。

また「シルクロード」のキャラバン隊の凪様が「じゃ・あ・ね」で去るところは
銀橋の真ん中でハットを脱いで劇場の端から端までを見渡します。

すごく短い時間なのに、見上げている表情や角度のすべてが美しくて一瞬ごとに切り取るか封印したくなるようでした。

目元の濃いスモーキーなグリーンのアイシャドウと真っ赤なリップ、深紅の髪や衣装も
シルエットも表情もこの瞬間の凪様のなにもかもがこのまま永遠になってほしいと、叶わないことを願わずにいられませんでした。

専用劇場の舞台機構が可能にするもの

fff」は盆・セリから空のオーケストラボックスさえ活用し
専用劇場だからこその舞台機構を存分に活かしています。

2階の天辺から見下ろすと、冒頭の黄色い衣装の楽団員がルイの指揮に合わせて飛び出してくる構図の完璧さ、
1人ひとりのポーズが工夫されているのがよくわかりました。

またセリの上がり下がりがそのまま権力構造になっている場面が多々あることもよくわかりました。

できれば円盤で一時停止しながら1つ1つ確認したいくらいですが、特に印象的だったところを3つ挙げてみます。

1つ目はボンの少年ルートヴィヒ/野々花ひまりと父ヨハン/奏乃はるとがヴァイオリンとピアノを奏でてている練習風景が
セリが上がると選帝侯や貴族たちがいて午前演奏会になるところです。

「ル・サンク」の脚本には三号セリは上昇、選帝侯らが寛ぐ高みに。とあるので
意図的に権力者がセリの上部に置かれているようです。

2つ目はナポレオン/彩風咲奈の戴冠式で、戴冠するジョセフィーヌと共にセリで上がっていくところです。

ローマ教皇をはじめとした参列者たちはすでに高みにいて待ち構えている一方で
「エセ皇帝め」と吐きすてるルイ/望海風斗は本舞台に足をつけており、
ゲーテ/彩凪翔ゲルハルト/朝美絢は「地を這いまわる人間が王侯貴族以上の魂を勝ち取ることはできないのか」と歌います。

3つ目はボヘミアの庭園からナポレオンの失脚を挟んでのウィーン会議です。

ロシアで敗北したナポレオンはセリ下がり、
フランツ1世/透真かずきオーストリア皇后/千風カレンらはセリ上で高らかに歌います。
(ここの歌うま上級生が揃ってるのも好きです)

そしてメッテルニヒ/煌羽レオはセリ上から後ろ手を組んでじっと本舞台を見下ろしています。

一方ショー「シルクロード」は盆と美しいカーブを描く階段、ラクダの装置が
場面転換をスムースにするとともに舞台世界がより豊かなものになっているのを感じました。

今回初めて気づけたのがラクダです。

第2章 シクロード幻視では幸せそうに踊るさききさ(彩風咲奈・朝月希和)たちの後ろにラクダが背景に溶け込むようにして置かれています。

(この場面のさききわがお似合いで、跳ねるようなダンスもぴたりと合っていて大好きです。)

盆が回りながらさききわがセリ下がっていくと同時に
盆上のラクダが後ろ側を舞台正面に向けるように並ぶとキャラバン隊たちのワゴンに姿を変え、そこはもうペルシャのバザールです。

さききわがセリ下がっていくのも砂の下に消えていくのが重なります。

鮮やかな場面転換はこのラクダだけでなく、
第5章 大世界の3人のタンゴが銃声と暗転で終わり、次に照明がつき別の銃声が鳴り響いたときには
第6章 盗賊と宝石になっています。

幕前でスターさんが歌ったり銀橋を渡って次の場面へと転換するというオーソドックスな方法以外の転換は
生田先生の手腕が光っていると思いました。

一番好きなのは、前回も書きましたが、フィナーレの始まりの強い光のなかに黒燕尾ののぞ様が浮かびあがる照明です。

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大世界(ダスカ)にいた人々のこと

この日ではありませんが、「大世界」に生きた方々が観劇されています。

愛純もえりさん↓

実咲凛音さん↓

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朝夏まなとさん↓

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大世界」の場面は端から端までかっこよくて大好きなのですが、
目が足りなくて困っています。

凪様さきちゃんが踊っているとどうしてもロックオンしてしまうのですが、
そうすると劉衛強/望海風斗が全然見えないんです。

指折りながら殺した人数をカウントしているやつや、
妃華ゆきのちゃんが椅子に大開脚して劉に嫣然と微笑んでみせると足をダン!てやるやつです。

今回は絶対に劉さんを見ると決めて臨み、ようやくカウント足ダン!も目撃できました。

次は歌姫のきぃちゃんなーこちゃん(羽織夕夏)有栖妃華ちゃんをかわいがるやつを見る所存です。

今回の観劇では3人のタンゴが取り合っているのではなく、劉が藍色寶石/真彩希帆も紅幇の頭目/彩風咲奈も相手役のように踊っているのが印象的でした。

今日がBチーム最後の観劇でした。

踊りまくるいちかっち(一禾あお)ようこちゃん(千早真央)
まるでお人形さんのようなスタイルのはばまいちゃん(音彩唯)が楽しそうに輝いているのが目に飛び込んできました。

次のAチームの観劇も楽しみです。

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