観劇の感想

雪組「蒼穹の昴」役ごとの感想(彩風咲奈と朝美絢のはまり役)

こんばんは、ヴィスタリアです。

今日は東京宝塚劇場の星組「ディミトリ/JAGUAR BEAT」一般前売、そして月組全国ツアー「ブラック・ジャック/FULL SWING!」のライブ配信がありました。

どちらも参戦しましたが、先日東京宝塚劇場で雪組「蒼穹の昴」を観劇した感想が書ききれていなかったのでアップします。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた役ごとの感想で作品の内容に触れています。

雪組「蒼穹の昴」役ごとの感想(彩風咲奈と朝美絢)

演目が発表になって作品紹介を読んだときから梁文秀リャンウェンシウさきちゃん(彩風咲奈)のイメージに合うと思っていましたし、原作を読んでその思いは一層強くなりました。

それは李春児リチュンルあーさ(朝美絢)も然りで、
原田諒先生は座付き演出家となって以来この作品の舞台化を夢見ていたことをプログラムに寄稿していますが役者と役が重なるこれ以上ないタイミングだったのは間違いないでしょう。

梁文秀リャンウェンシウ/彩風咲奈
トップスター就任以来「ヴェネチアの紋章」「CITY HUNTER」「夢介千両みやげ」「蒼穹の昴」と芝居は原作ありの作品が続いていますが、
「ヴェネチアの紋章」のアルヴィーゼ、そして今作の梁文秀ような正統派に属する役が真ん中のさきちゃんにしっくりくるなあと思います。

三白眼の悪い男のさきちゃんも好きなので「BONNIE & CLYDE」も、初のオリジナル作品となる「ライラックの夢路」も楽しみにしていますが。

梁文秀の大志を抱いて政局を見つめ、よき方向を目指す青年、科挙首席合格者というリーダーとしての在り方が雪組の昴――トップスターとしてのさきちゃんに重なりますし、
これまでよりも太く低い声で歌い上げる力強さは文秀の芯の強さ、志の高さを感じさせました。

台詞もこれまでより一層聞きやすくなったように思います。

また政局が転換し掲げた理想を実現することが厳しくなっていく中で「難しい方を選ぶ」ことと向き合う文秀ですが、
この落差、うまくいかくなってからどうするかの苦しみ、人間味をしっかりと演じていたからこそ文秀をさきちゃんで観ることができて本当によかったと感じました。

そして黒髪の長髪の三つ編みに青→赤→白と変化していく長衣も等身の高いスタイルに映えてかっこよかったですし、最後のほんの一シーンしかないスーツに帽子のかっこよさといったら。

泣いている玲玲リンリン/朝月希和をそっと優しく抱き寄せる慈愛に胸があたたくなり思わず泣きそうになり、
だからこそ原作が原作なので仕方ないのかもしれませんがもう少し恋愛的な要素を見せてほしかった…と原田先生を恨めしく思わずにいられませんでした。

ブログでは書けていなかったのですが、実は大劇場でヅカ友さんにお誘いいただいてSS席で観劇しているんです。

そのときパレードの銀橋でさききわ(彩風咲奈・朝月希和)がお辞儀をし合いますが、
さきちゃんがきわちゃん(朝月希和)が本舞台へ戻るのをものすごく優しい目で見つめているのを間近に見てしまったんです(←目から溶けるかと思いました)。

きわちゃんが本舞台へ歩き出すのをまるで「大丈夫だね」と見守るように優しく見届けてからさきちゃんは銀橋を渡って行きました。

そんなさききわを思い出す文秀と玲玲のラストシーンでした。

李春児リィチュンル/朝美絢
あーさの役では月組「グランドホテル」のエリック・・リトナウアーがものすごく好きなのですが、春児も同じくらい好きな役になりそうです。

まったく違う役ですがエリックも春児も生命を強く意識させ感じさせるのがあーさの自分の中のイメージと重なるのかもしれません。

登場のときからちゃんと少年に見えるのがすごい!とはっとしましたし、その何も持っていない少年が何もかもを持っているように見える文秀の隣でどんな気持ちでいたのか、
白太太パイタイタイ/京三紗の占いをどんな気持ちで聞いていたのか。

そう思うと切なくて、春児が自身の聡明さと覚悟で大きな選択をし人生を切り開いていくことを思うと悲しくて、泣けて仕方ありませんでした。

しかしこの大きな決断をしてまで宝物を掴み取ろうとする大望にかける思いの強さもヒシヒシと伝わってきました。

そしてアクロバティックで気迫に満ちた京劇シーンもすごかった!
明らかに大劇場で見たときよりも習熟し気迫も増していて圧巻で、大きな拍手がわき起こっていました。

フィナーレで新調の、ちょっと変わった紫色✕白のお衣装で娘役さんに囲まれているのもうれしいです。

雪組「蒼穹の昴」役ごとの感想(朝月希和と夢白あや)

李玲玲リィリンリン/朝月希和
この公演でご卒業されるきわちゃん

作品の感想でも書きましたがこれがトップ娘役の役どころだなんて…原田先生のトップ娘役の描き方には疑問を抱かずにいられません。

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それでも幼い日の貧しくて辛い日々を過ごす中で希望を見出そうとし、やがて憧れの文秀に呼び寄せられて故郷から出ることができて、
幼い日に「文秀さんのお嫁さんは?」と聞きながら、大人になってからはそういうことは口に出すことはできなくて…どんな気持ちでいたのか、想像すると切なくて(←その2)。

フィナーレのデュエットダンスではさきちゃんとの美しく幸せな空気にうっとり…夢のようでした。

ミセス・チャン/夢白あや
ミステリアスでいろいろな動きをするミセス・チャンは原作を読んでときから魅力的で夢白あやちゃんのイメージにぴったり!と楽しみにしていました。

抜けるような白い肌にピンク✕グリーンのお衣装が美しくてこれぞ観たかった、期待通りのミセス・チャン…なのに出番が少なくて、やはり原田先生を恨まずにいられません。

これに関しては他の娘役さんの役どころについてもですね。

この公演でご卒業されるのんちゃん副組長(千風カレン)はエトワール、なーこちゃん(羽織夕夏)はデュエットダンスのカゲソロという美声を聞かせてくれる機会がありますが、
雪組の美しい娘役さんたちのスチールに何人も「西太后付き女官」という、個人名さえない役名が並んでいるのを見ると複雑な気持ちになります。

雪組「蒼穹の昴」その他の役たちの感想

一言ずつですが触れさせてください。

順桂シュンコイ/和希そら
今さら自分なぞが言うことではないのですが、それでも言わずにいられないので言わせてください。

和希そらくん、巧い~~~!巧すぎる~~~!!
歌もダンスも芝居も巧い!巧すぎる!!(←落ち着け)。

宙組から組替えで雪組に来たそらくんが満州族出身の、そしてそのことを誇りに思い、また内に秘めているものの強さが他の誰とも違う存在であることが
登場した場面から、一言の台詞も発する前から、佇まい、纏っている空気からありありと伝わってきたんです。

一人異質な存在であることがただそこにいるだけで伝わってきて、喋って歌えば巧くて、彼は彼の正義に基づいた選択をしますがそれもまたわかる…と思わせる説得力があります。

フィナーレの歌唱指導は役での歌唱とは違う、そらくんとしての伸びやかで豊かな歌唱に酔いしれました。

そらくんの舞台を見られるのは久しぶりで、夏に公演中止でチケットが露と消えた東上主演作「心中・恋の大和路」の観劇が幻になってしまったことが本当に残念でなりません。

李鴻章/凪七瑠海
このブログをご覧の方はご存知かと思いますがカチャさん(凪七瑠海)が好きなので本公演のポスターインがとてもれうしかったです。

しかも李鴻章という大物のお役で、原作はかなり年齢を重ねた役なのでまた違うイメージですが、器の大きな只者ではに存在感は強く印象に残りましたし、
観劇回数が限られているので全体を見ようとどんなに言い聞かせてもカチャさんが舞台にいるとどうしても目が吸い寄せられてしまうんです。

学年を重ねた男役スターとしてのかっこよさ、美学、声のよさとたしかな歌唱に伸びやかなダンス……カチャさんの全部が好きですし、目線を奪わずにいられない魅力のある男役さんだとあらためて思います。

分刻みの閣下のナンバーはコミカルさもあって楽しく、北洋軍の軍服もかっこよくて、上手花道のせり上がりからのナンバーはかっこよすぎてドキドキしてしまいました。

フィナーレの総踊りにカチャさんがいるのもうれしくて、大劇場SS席で観劇した際は目の前で、小さなお顔の美しさと気迫に目が離せず、
東京宝塚劇場では1階後方で見て長い軽やかな衣を翻して踊る美しさと纏う気品に目と心を奪われっぱなしでした。

次は全国ツアー主演が待っています。ぜひとも観劇したいです。

黒牡丹ヘイムータン/眞ノ宮るい
はいちゃん(眞ノ宮るい)、とっっっってもかっこよかったです。

鋭利な刃物を思わせるようなキレキレでソリッドでダンスがうますぎて身のこなしが綺麗で、動いていても止まっていても目が離せませんし、
京劇を春児に教え、大きな見せ場もあるこの役ははいちゃんを置いて他にいないと強く思いました。

バイトで李鴻章の配下で軍服を着て踊っていますが、これまたかっこよすぎて目立つのでバイトでなくなってしまう…と思うほどです。

またフィナーレの男役総踊りで大階段にずらりとスタンバイしている中で、静止したシルエットがかっこよくて完璧な男役さんがいる――とオペラをのぞいたらはいちゃんでした。

白太太パイタイタイ/京三紗
チャーミングで類稀な芝居巧者でいつも楽しみにしているいっちゃんさん(京三紗)

芝居は言わずもがな、今回はお化粧、外見の作り込みにもはっとしました。
目元や肌の色のつくり方なのか、大陸の様々な民族の血が混じっているように見えて、どこから来てどこへ行くのかわからない悠久さを感じたんです。

西太后/一樹千尋楊喜楨/夏美よう
男役の声のままで演じているのが権力を握る者の迫力があって、堂々たる存在感でした。

歌を聞かせてくれるのもうれしいですし(拍手したかった…)、楊喜楨/夏美ようとのヒリヒリするようなやり取りがあるのもうれしかったです。

自分が初観劇のとき(星組1996年「二人だけが悪/パッション・ブルー」)星組にいたお2人ですから。

はっちさん(夏美よう)は紫禁城に文武百官が居並んだとき、1階後方からものすごくかっこいい空気を纏っている、只者じゃない男役さんがいる…と思ったらはっちさんで納得!でした。

以上、観劇の感想でした。

観劇回数が少なくて見落とし、気づいていないこと多々あることと思いますが、初日に観劇してこれが2022年の宝塚歌劇の観劇納めになりました。

あとは配信で楽しみながら公演の完走を心から願っています。
雪組生と専科さんが元気に「メリークリスマス」が言えますように。

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