星組「ANOTHER WORLD/Killer ROUGE」が大千秋楽を迎えて、昨日は人事的な大きな発表があるのではとざわざわしていたのですが何もありませんでした。
星組つながりというこで、先日スカステで放映された「スカーレット・ピンパーネル」の2017年東宝千秋楽の感想を書きます。
ヴィスタリアの独断と偏見、そして偏愛に満ちた感想を主なキャストごとに書いてまいりますが、今回はいつも以上に毒断で相当偏っています。
特定の生徒さんのファンの方はお気を悪くされるかもしれません。
それでもよいという方はお付き合いいただければと存じます。
1.なぜこの作品をお披露目公演に選んだのか
2.パーシーの”紅節”が気になる
3.マルグリットは似合っていないが、ここまできたら似合わないことは問題ない
4.ショーヴランはうまい。チエさんを思い出した。ではことちゃんの個性は?
5.その他の配役
なおヴィスタリアは星組初演・月組再演の映像は見られていません。
地元の図書館で借りた星組初演の実況CDを聞いております。
そして今回の映像も1回して見ておりませんので見落とし、勘違いなどあるかもしれません。
目次
1.なぜこの作品をお披露目公演に選んだのか
公演の演目にトップスターや生徒さんの意向がどの程度反映されるのかは定かではありませんが、ある程度は反映されるのではないでしょうか。
ヴィスタリアの永遠の贔屓ヤンさんこと安寿ミラさんは退団公演を「柴田先生で、スペインもの」とリクエストし、「哀しみのコルドバ」になりました。
また手塚治虫生誕記念で「リボンの騎士」の話がきたときに「ブラック・ジャックをやらせてほしい」とリクエストし実現しています。
「スカーレット・ピンパーネル」は星組初演(2008年)の新人公演でべにーさん(紅ゆずる)が7年目のラストチャンスで主役のパーシーを演じ、その後スターダムを駆け上がっていった思い入れのある作品でしょう。
上演が決定された背景にべにーさんの希望があったであろうことは想像に難くありません。
ではそれ以外にこの作品を2017年の星組で上演した積極的な理由はなんだったのでしょう。
海外ミュージカルはオリジナルに比べて主要な役が少なくなります。
こういった作品の上演が決まるとき3番手、4番手のスターさんたちはどう思うのでしょう。
そしてトップ娘役、2番手のキャラクター・得手不得手・学年などを見たときに「スカーレット・ピンパーネル」は新生星組にふさわしい作品だったと言えるのでしょうか。
主役のパーシー、マルグリット、そしてショーヴランはともに複雑で人生の酸いも甘いも知っている大人たちだと思うのですが、それに挑むのはもう2~3作経験を積んでからの方がよかったようにヴィスタリアは思うのです。
2.パーシーの”紅節”が気になる
《パーシー・ブレイクニー/紅ゆずる》
べにーさんが登場したとき、美しい!きらきら!まばゆい!と思いました。
そして若いとも。
たった一年前のことなのに、お披露目だからかフレッシュさが弾けていてそう思ったのかもしれません。
メイクも美しくかつべにーさんの個性にあっていていいと思いました。
目尻にポイントのあるつけ睫毛がそうでしすし、ピンクの口紅は男役のお芝居では珍しい気がしました。
よくお似合いです。
(先日見た「ANOTHER WORLD/Killer ROUGE」のナウオンでべにーさんが「変わったつけ睫毛いっぱい持ってンねん」と胸を張っていたのを思いだしました。)
その「ANOTHER WORLD/Killer ROUGE」を観劇した際は歌唱に不安があったのですが、パーシーはこのくらい歌えていればなんとか…。いつも安定してこのくらい歌えていてほしいです。
細かいことかもしれませんが発音、口跡がときどき明晰でなくなるのが気になりました。
たとえば「タカラヅカ」と発音するときにあ行の音が繋がっている「タカラ」がはっきりしないというようなことです。
もっとも気になったのは“紅節”とでも言いましょうか、ふざけているときの口調が一本調子なのが気になりました。
プリンス・オブ・ウェールズを煙に巻いたりショーヴランを茶化しているときなどです。
そして“紅節”が多すぎやしませんか。
「ANOTHOER WORLD」の康次郎はほぼ全編この“紅節”で笑いを取っていたわけですし、そういう作品だからいいと思います。
しかしこの「スカーレット・ピンパーネル」は千秋楽ということもあって遊んでいるのでしょうけれど、やり過ぎではないですか。
「あんたの首が飛びます!飛びます!」などはヴィスタリアは凍りつきました。
歌唱同様、演技もこのレベルであればよいのですが、深みや機微やもう少しでると圧倒的だったかと思います。
パーシーはなぜスカーレット・ピンパーネルとして活動しているのかという背景や、隣国で起きていることを見過ごせない苦悩のようなものが滲むともっと説得力がでるのではないでしょうか。
そしてマルグリットとの、疑いと勘繰りで心が離れそうになる表現、演技、「その瞬間、君は愚かさを見抜いていた」というセリフや1幕の幕切れの銀橋のシーンなどもそのように思いました。
これこそがパーシーとマルグリットの関係、この作品のおもしろさに繋がるのですから、少しさらりとしすぎていると思いました。
3.マルグリットは似合っていないが、ここまできたら似合わないことは問題ない
《マルグリット/綺咲愛里》
あーちゃん(綺咲愛里)は本当にスタイルがよくて顔が小さくてかわいいです。
メイクも工夫していて、ポスターの細眉より自然でずっといいと思いました。
しかし歌がひどいですし演技もまだ未熟であると言わざるをえません。
(アドリブで「オームシャンティオーム」を歌わされていましたが、アドリブだったからかこれがまた歌唱力のレベルを露呈してしまっていました)
あーちゃんに(綺咲愛里)のニンに大人っぽいマルグリットは似合わないと思っていましたが、演技に幅がない現状ではどんな役をしても関係ないとヴィスタリアは思いました。
ここまで厳しいことを言うのは、ヴィスタリアはトップ娘役には外見の魅力以前に芝居・歌・ダンスの実力があってほしいと思うからです。
あーちゃんには誰もかなわない圧倒的なスタイルと美しさがあります。
それは後天的には得られないものですが、演技や歌はそれが可能なはずです。より一層の精進を望みます。
4.ショーヴランはうまい。チエさんを思い出した。では、ことちゃんの個性は?
《ショーヴラン/礼真琴》
見る前は「まだことちゃんにショーヴランは荷が重いのではないか」と思っていたのですが、まったくの取り越し苦労でした。
男役10年といいますが、ことちゃん(礼真琴)の 演技、歌、そしてダンスはこれで研9とは信じられない高いレベルのものでした。
正直うますぎてなにも言うことはありません。
ひとつだけ言うとすれば、ことちゃんの個性はどこにあるのかということです。
星組初演のCDしか聞いておらず映像を見ればまた違うのかもしれませんが、発声ひとつとってもちえさんを意識しているとヴィスタリアは思いました。
ちえさん(柚希礼音)の演技をお手本にしているのでしょう。
これだけの演技が見せられていれば十分すぎるほどですが、お手本+αのことちゃんならではのショーヴランが見てみたかったです。
ヴィスタリアはことちゃんのダンスがとても好きなのですが、フィナーレでサーベルをもって踊っているところで一人いい意味で目立っていて、ことちゃんばかり見てしまいました。
5.その他の配役
《ロベスピエール/七海ひろき》
なんという美しさだと登場シーンで思いました。
革命に妄信して狂気をはらんでいる様子が出ていてよかったです。
歌のソロでもう少し声が出ていたりすると存在感が増すのではないでしょうか。
出番が少なくて残念です。
《アンドリュー・フォークス/天寿光希》
貴族の青年の衣裳が美貌とよく似あっており、目を引きました。
《マリー・グロショルツ/有紗瞳》
娘役さんの一つの理想美だと思います。横顔もきれいだと思いました。
顔立ちだけでなく、まとっている雰囲気や仕草などが「これこそ娘役というものだな」と思わせるものがあると言えるのではないでしょうか。
(一緒に見ていたライトなヅカファン母サラが「この子きれいねえ」と感嘆していました。)
《ルイ・シャルル/星蘭ひとみ》
まだ声が安定しきっていないのように思いました。
《プリンス・オブ・ウェールズ/英真なおき》
さすがの存在感とコミカルさです。
好きな上級生のお一人なのでこれからも名演技を期待しております。
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