宝塚

「好き」が作品に繋がる/宝塚歌劇というコンテンツ(小柳先生インタビュー)

こんばんは、ヴィスタリアです。

小柳菜穂子先生のインタビュー 演出のエピソードが興味深い

小柳菜穂子先生の興味深いインタビュー記事を読みました。

インタビュワーの劇団雌猫さんは「中高生のころに宝塚歌劇が好きで、大人になってから出戻った」上に「もう一度劇場に通うになったのは「天は赤い河のほとり」がきっかけ」とのことで、
「BADDY」観劇でヅカファンに復帰したヴィスタリア自身の状況と近くて親近感を抱きながら読みました。

長くて読み応えのあるインタビューのなかで興味深いと思ったのは小柳先生の演出に関する3つのエピソードです。

◆1.「ときメモGS」と宝塚の演出
小柳先生が2009年ころにゲーム「ときめきメモリアル Girl’s Side」にハマり、大劇場デビュー作「めぐり会いは再び」を作る際に活用したというお話があります。

この作品は未見なのですがぜひ見てみたいと思いました。

宝塚歌劇は男役トップスターが中心にいる世界なので、お話も男性主役のものが多いんです。
とはいえ、観ているお客さんは女性の方が割合が高い。

宝塚歌劇以外の世の中の女性向けコンテンツは、だいたい女性が主役になっているので、少し珍しい構図だと思います。

(中略)男性主人公から考えるのではなく、まず「女性ヒロインはこういう子」と据えてから、その子が“攻略”するメインキャラとして男性主人公をつくり上げる――という要素を宝塚歌劇でも取り入れても良いのではないかと思ったんですよね。

このお話を読んだときに思ったのが「宝塚の芝居の主役は男役トップスターだが、自分が観るときは娘役・女役にどれだけ共感したり感情移入できるかが作品の魅力に大きく影響する」のではないかということです。

◆2.役づくりで人気声優さんの声を聞くことをアドバイスした
小柳先生はこんなアドバイスをされたそうです。

以前、なかなか自分の役をつかめず悩んでいた生徒に「明日までに櫻井孝宏さんの声を浴びるほど聞いてきて」と指示したことがあって。

悩んでいた生徒さんがどなたのことか非常に気になったのですが、twitterで「群盗」フランツ/瑠風輝であるというもえこちゃん(瑠風輝)ファンの方のツイートを見かけました。

もえこちゃんのプリンスのような外見と冷たい炎を内に秘めたフランツが生まれるのにそんなアドバイスがあったとは驚きました。

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舞台を観てしばらくしてから、あるシーンや生徒さんの仕草や目線といった瞬間の美がふと思い浮かんできて「あれは本当にすばらしかった」と忘れられなくなることがあるのですが、もえこちゃんのフランツはそんな役のひとつです。

◆3.演出家と音楽家と振付師の関係
上演中の「GOD OF STARS-食聖-」で音楽にヒャダイン氏、振付に梅棒氏のお名前があるのは小柳先生自らのオファーであることが明かされています。

ヴィスタリアはアイドルグループのファンをしていた時期がありヒャダイン氏の音楽に馴染みもあり、「GOD OF STARS-食聖-」の魅力の一つは音楽にあると感じているので、小柳先生がハロプロファンでよかったとしみじみ思いました。

インタビューではここに挙げたゲームや声優、アイドルに留まらい小柳先生の多彩な趣味も明かされています。

また「GOD OF STARS-食聖-」のプログラムに寄せられた文章では香港映画が大好きというエピソードもあり、小柳先生は自分の”好き”を宝塚の作・演出に昇華させているという印象を受け、
これは働く者としてはとても羨ましいことだと思いました。

ヴィスタリア自身は小柳先生より少し下の世代になりますが、働き方やこれからの生き方を考えるときに自分の趣味や好きなことが仕事につなげたいと、まだ具体的な形はわかりませんけれどぼんやりと思うことがあります。

「好き」を仕事にしたとき作り手が客観性を失っては客席は置いてきぼりになってしまいますが(そしてそういう作品に当たったときの失望は深いですが)、
「サンダーボルトファンタジー」「GOD OF STARS」を見ると小柳先生はそういったことも無いように思います。

これからの小柳先生の作品を楽しみにしていますし、また先生の最近の作品はさゆみさん(紅ゆずる)とタッグを組んだものが多かったですが、
さゆみさんがご卒業された後小柳先生のミューズはどなたになるのかしら……という寂しさも感じました。

宝塚歌劇という魅力的なコンテンツに代替はない

そしてこのインタビューで膝を打ったのが宝塚歌劇という魅力的なコンテンツに関するお話です。

私も40代になって改めて感じるのですが、意外と世の中に40代以降の人がハマれる落ち着いたコンテンツって少ないと思うんですよ。

(中略)チケットも座席によるけれどそこまで高くないし、座って観劇できるし、劇場に行けば人に会えるし、地方公演があれば遠出するきっかけにもなるし。

たしかに劇場に行くと様々な年代の方が客席を埋めているのを目にしますし、座って観られる=スタンディングではないことで体調、体力に不安があっても楽しむことができます。

劇場としては大きいですがコンサートホールやドームほどではありませんからアクセスに際しての体力もいりませんしバリアフリー化もされていますから(特にムラは駐車場もあり場内にはスロープ、チャイルドルームもあります)、
様々な人が劇場という現場に行って感動を体感することができます。

そしてチケット代も外部の舞台やコンサートよりも安価ですし、舞台以外も楽しもうとすれば公式グッズ販売(キャトルレーヴ)にCS放送(スカイステージ)、舞台映像と音源の発売などが充実しています。

そしてオマケ商法あまり見かけません(たまにありますけれど)。

また宝塚という趣味を通じて友人ができたりSNSなどで交流したり、遠征という”外につながる、発展する”きっかけもくれます。

ヴィスタリア自身はなかなか全国ツアーには行けないのですが(小柳先生が「地方公演」という昔の名前を出していて懐かしくなりました)、
先日ヅカ友さんが「全国ツアーはせっかくだから少し遠いところに観に行くことにした。その方が観光もできておもしろい」と話していてなるほどと思いました。

小柳先生の言う「40代以降の人がハマれる落ち着いたコンテンツが少ない」というの納得ですが、なにより宝塚歌劇という唯一無二の魅力的なコンテンツに代わるものもないと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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