映像の感想

月組グランドホテル 男爵・エリザヴェッタ・オットー偏愛編

おはようございます。
海外遠征というか旅行中のヴィスタリアです。
 
※旅行中のためこの記事は予約投稿です。訂正、コメントの返信などは帰国後にさせていただきます。
 
 
前回は「グランドホテル」の作品や演出について書きましたのでキャストごとの感想を書いてまいります。
 

グランドホテル方式は芝居にアツい月組にぴったり

「グランドホテル」の映画から“グランドホテル方式”という言葉が生まれました。wiki先生によりますと、
 
“グランドホテル方式(グランドホテルほうしき)は、映画や小説、演劇における表現技法のことで、「ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する」という方式のことである。
映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いている”
 
様々な登場人物が交錯し、見せ場のある群像劇は月組にぴったりだとヴィスタリアは思います。
 
月組の芝居を見ていると「作品世界を表現したい、役を追求したい」主役だろうが脇役だろうがセリフがあろうがなかろうが関係なしにそういったエネルギー、貪欲さを感じるのです。
 
脇役だけでなく、名前もわからない、背景に溶け込むようにして踊るグランドホテルの人々からもそういったものが感じられます。
 
たとえば男爵とフラムシェンがダンスをするとき、楽しいナンバー「HAPPY」で男爵とオットーが乾杯しながら歌うとき、後ろで大勢の組子たちが一糸乱れず踊っています。
これにどれほどのエネルギー、熱意がかけられていたでしょう。
 
すべてをかけて舞台に立っていると感じさせてくれる、宝塚の、そして月組のこういうところがヴィスタリアは好きです。
 
 

フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵/珠城りょう

たま様かっこいい~~~。
梅芸GREENの男爵( LE VELVETSの宮原浩暢)もたいへんなかっこよさで、この男爵という役がヴィスタリアは大好きなのですが、たま様の男爵はかっこよすぎてどうにかなりそうです。
 
たま様が登場した瞬間から品があって端正で美しくてたまりません。テレビの前で「きゃーっ」となってしまいました。
 
…すみません、ヴィスタリアの偏愛が暴走しました。
 
人差し指の指輪やタバコを吸うのはバッディと共通していますが人物はまったく違います。
ガイゲルン男爵は貴族でありながら、借金にまみれてスリル、危険と向かい合っている山師です。
 
運転手に「私に咥え煙草で話しかけるな」という貴族の横暴さ、「俺は生きることにかけては天才なんだ」と言ってのけるはったりがイヤらしくないあたりに男爵の人間的な魅力があります。
 
彼はいったいどんな人生を送ってこのグランドホテルにたどり着いたのか…そんなことを夢想したくなります。
 
お顔の美しさだけでは男爵にこんなにドキドキしないでしょう。
たま様の男爵は、ノーブルであり危うくもあるギャップ、そしてハンサムで気障でモテモテで女の子をたくさん知っている(1人や2人、3人なわけがありませんって)ちょっと遊んでいるような危ない色気がしたたっています。
 
フラムシェンをパビリオンに誘って「うん、頼む」とさらりと言うところ、さりげなく、でも思わせぶりに腕をなぞったりして、息をするように色気を出してみせる男爵の手管に悩殺されました。
 
エリザヴェッタをとの「2人ですごす時間はこれからですよ」とカウチにまたがるところも色っぽすぎてどうにかなりそうでした。
 
エリザヴェッタとの美しい愛の物語、「腕いっぱいのバラをかかえていくからね」のキスにこめられた愛の深さにもうっとりします。
 
たま様の代表作だとヴィスタリアは思います。
 
 

エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ/愛希れいか

ヴィスタリアが梅芸GREENの「グランドホテル」を観たのは、永遠の贔屓ヤンさん(安寿ミラ)がエリザベータをやっていたからでした。
 
ヤンさんのエリザベータについて語りだすと止まらなくなるのでここでは触れませんが、月組のキャストを見たとき「エリザヴェータはトップ娘役がやるには難しい役なのでは」と思いました。
 
しかしまったくの杞憂でした。ちゃぴちゃんのエリザヴェッタはすばらしいです。
男爵はエリザヴェッタに「あなたの犠牲にしていたのを見ている、愛している」といいます。
 
宝塚の生徒さんだって犠牲にしているものはたくさんあると思いますが、その犠牲と”39歳と39ヶ月”のエリザヴェッタの「犠牲」は違うもののはずです。
 
トップ娘役がこれを表現するのは難しのではないかとヴィスタリアは危惧していたのですが、ちゃぴちゃんのエリザヴェッタにはその犠牲を想像させる力があり、心を打たれました。
 
歳を重ねた女、情熱を失った表現者の悲しさ、それが男爵に恋に一気に落ちて生きる喜びや踊る情熱を取り戻すエリザヴェッタの生き様をありありと表現していると思いました。
 
そしてちゃぴヴェッタはなんてチャーミングな女性なんでしょう。
ラファエラでなくとも男爵でなくとも夢中になるのがわかります。
 
男爵に「よろしい、その言葉信じるわ!」と明るくいうときのぱっと華やいだ笑顔、ソロの「ボンジュール、アムール」の歌唱にキュートさがはじけています。
(この歌はヤンさんとまったくアプローチが違いヤンさんの歌唱も大好きなのですが、ちゃぴちゃんらしくて素敵だと思いました。)
 
またちゃぴヴェッタは体型、首や手のラインがバレリーナに近いといいますか、タカラジェンヌとバレリーナの体つきは違うはずなのにバレリーナという設定に説得力がある点もすごいと思いました。
 
エリザヴェッタのバレエのレッスン、ポワントでの歩き方、仕草などもよく研究されていると思います。
 
ラストの愛と死のボレロのキレッキレな踊りも圧巻です。
かなり難しそうな迫力のあるリフトは持ち上げているたま様もすごいですが、自分の体を支えているちゃぴちゃんもすごい体幹でしょう。
 
このデュエットダンスはたま様の動作がやや段取りを踏んでいるように見えて、ちゃぴちゃんがリードしているなとヴィスタリアは思いました。
 
細かいところですが、芝居がかったセリフさえ自然に見えるのもすばらいいです。
ウィット(光月るう)との「踊らないと、だめ?」、手をぐいっと差し出しての「あんたのためよ」、これはもう、宝塚という枠を超えてうまいと舌を巻きました。
 
ラファエラにイタリア語で「グラッチェ」というシーンもしかりです。
 
名演に心からの拍手を送りたくなりました。
 
 

オットー・クリンゲライン/美弥るりか

これがあの、妖しくて色気だだもれの美弥るりかちゃんなんでしょうか。
るりかちゃん、オットーになりきっていますね。
 
ヴィスタリアはるりかちゃんが好き好き大好きですが(キモくてすみません)、歌やダンスにクセが強く出ているなと思うときがあります。
 
るりかちゃんファンとしてはそのクセは愛すべきものですが、ファン目線から外れて見るとちょっと気になるときがあります。
しかしオットーに関してはそういったクセがなくて、るりかちゃんはオットーに没頭していると感じました。
 
登場して椅子からの立ち上がり方、大荷物を抱えてヨタヨタとちょこまかと歩く仕草もうまいです。
 
男爵、フラムシェンと話しているときの「羽布団」「眠っていただけす」といったコミカルな仕草もかわいくて、るりかちゃんにはたくさん引き出しがあるんだなと思いました。
 
そしてるりかちゃんが歌いだすと、死を間近にして人生を見つめるオットーの透明感に息をのみました。
ここに消えようとしている命がある、それがわかりまs。
 
「25ans」のインタビューだったと思いますが、オットーについて「魂が震えるとはこういうことか」というようなことを答えておいででしたが(ニュアンスです)、見ているこちらの魂も震えるようでした。
 
歌にこめられたオットーの魂、オットーが失いかけているからこそ大切にしようとしている人生が痛いほど伝わってきました。
映像なのにヴィスタリアはうるうるきてしまいました。
 
チャールストンとたま様と踊るところはかわいくて、楽しそうで、ヴィスタリアはたまるり好きなのでうれしくなります。
めちゃくちゃに酔っ払って踊るところのぶっとびぶりもいいですね。
 
酔いがさめて財布をなくしたことに気づいたとき、男爵に「あなたなら頼りにしていいとわかっていたんです」とじっと見つめながら言うときの間、視線に、オットーは気づいていたんだなと思いました。
 
だからこそオットーは男爵に「あなたの取り分です」と言ってみせるですよね。
 
パリでの彼の残りの人生が幸せなものであることを願ってやみません。マゼルトフ!
 
 
ヴィスタリアの偏愛があふれて長くなりましたのでその他のキャストについては次の記事に続きます。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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