こんばんは、ヴィスタリアです。
専科 松本悠里さんの卒業特番がすばらしかった
スカイステージでミエコ先生(松本悠里)の卒業特番「舞一筋~その美しき軌跡~」を見ました。
これがミエコ先生、演出家の先生方のインタビューもミエコ先生の舞台映像も非常に見応えのあるいい番組で感動しっぱなしの45分でした。
2000年代前半のミエコ先生のインタビュー映像を拝見しオフステージから美しくて華があって、そしてかわいらしい方だと思いました。
ミエコ先生のお話になる関西弁にもなんともいえないかわいらしさを感じました。
番組中には過去の舞台映像がたくさん流れ、鷺娘、花魁、白拍子からときに少年や弥勒菩薩の姿で
幅広い役を舞いで演じてこられた舞台歴が紹介されました。
深川マンボなどアップテンポなものもあって楽しく拝見しました。
現在東京宝塚劇場で公演中の「WELCOME TO TAKARAZUKA」だって美しくて可憐でかわいらしくて、
ときに妖艶で悲哀があって、動く博多人形のようですが、
お若いときの映像はさらに輝くような美しさにはっとします。
専科生として日舞を踊られるミエコ先生しから知らないので
1958年に雪組に配属後1972年「ノバ・ボサノバ」など日本物以外の作品にも出ていたというのが新鮮でした。
当たり前のことなんですけれど組子としてのミエコ先生の一面に思い至らなかったのです。
また1982年「夜明けの序曲」のモルガンお雪は
宝塚おとめの好きな役にも挙げておいでですが、
初めてドレス姿のミエコ先生を拝見することができました。
舞で大劇場という空間を埋めるということ
インタビューではミエコ先生だけが得ている身体的な感覚が語られるのが興味深かったです。
踊りは身体で表現するセリフだと思っているんですね。だから感情がすなわち身体に出てくるので、空間を埋めるというのが一つの作業だと思っています。
この空間を埋めるというのは、100周年を迎えた際の音声にも繋がるものがありました。
音楽というのは洋楽も洋曲もどこか、大劇場に通じるといったらおかしいけれど、大きさとかそういうのは感じます。
舞を乗せる音楽を空間で捉えておられるのでは?と思いました。
酒井澄夫先生のお話にも空間というキィワードに繋がるものがありました。
日本舞踊は畳一枚くらいで踊るものもあるのを宝塚はこの大劇場で踊ってみせるというのは表現が大変なんです。
(中略)日本物のショーのプロローグなどで踊っていただくけれど、日本物というのは振りも小さいし、松本さんも振りは細かい方なので、それをいかに見せるかをやってきた。
たしかに身長体格でいえば小柄なはずですが舞台のミエコ先生を小さいと思ったことは一度もありません。
広い劇場の空間すべてを掌握し魅了されているのを感じます。
第二の松本悠里はあり得るか
少し前ですが専科の変容と後継者がいないということを書きました。
酒井澄夫先生がこんなことを仰せでした。
僕らが入ったころは天津乙女はじめ名手もいらっしゃったし、それは毎月日本物をやったからなんでしょうけれど
今は年に1回やるかどうか、それが自分の組に回ってくるかどうかだから(松本悠里)を参考にしてほしい。松本さんがいなくなった後、宝塚の日本物はどうなっていくのかなと思う。
第2の松本悠里が出てきてほしい。
いまのところ第2のミエコ先生は見当たりません。
そしてこれからこの先、海外公演や記念祝典、和物作品で宝塚歌劇ならではの日本舞踊を見せるエキスパートが出てくる日は来るのでしょうか。
植田紳爾先生からの賛辞は絶大であると同時に、
先生から生徒への愛情のような視線とそして厳しさも感じました。
そしてこれほど長い時間をかけてミエコ先生が追求し続けた道をどなたが続いていけるんでしょう。
何が一番偉かったかって、これだけ長い月日を宝塚の日本舞踊 というのもに一生懸命一筋にすすんできたこと。
いろんなことを言われてきても挫けずに、乗り越えてきたという精神力。
見た感じはすごく柔らかいからその印象はわからないかもだけれど、一つの芸を守るのがいかに大事かがわかっている、それを実行してくれたのは宝塚の歴史に残る。
ミエコ先生を春日野八千代先生の相手役に抜擢した作品(1980年花組「花小袖」)でかけた言葉にも演出家から生徒への厳しさがあります。
彼女を抜擢して、僕自身もいろんなことを注文したし厳しくやってきたんだけれど…だからこそ我慢したなとか努力したなというのがわかる。
僕が申し上げたのは「10年我慢してほしい。一つの芸を形にするには10年かかる。10年かけて一人前の舞踊家にしたいだ。10年後に宝塚がどうなっているか、成長しているかというのを考えてみて。
そのときイシイさん(春日野八千代)がお元気だったら相手役は今から考えないとだめなんだから」と。
退団公演となった「WELCOME TO TAKARAZUKA」については「命をかけて彼女の花道を、いい姿を永遠に残したいと思って作った」との熱のこもった思いが語られました。
品格と基礎があってこそ心が表現できる
今は亡き横澤英雄先生との対談で、これからの宝塚についてミエコ先生が語っておられました。
何をするにも基礎をやっておかないと。
舞踊は心を表すことが大切といっても基礎がなければなかなか心を表すこともできない、
豪華で華麗なものも品格も見せられないというところに繋がってくると思うので、
みなさん品と格がなければいないという心構えとともに基礎を勉強することを忘れないでいただきたいと思います。
宝塚の舞台全体に言えることなんですけども、品と格。品格と華やかさがなかったらあかんよと(植田紳爾先生が)仰っておられて。
いまの生徒さんは忙しいかもわかりませんけれども、日舞を洋楽で踊ってそれはそれでいいんですけれど、
日舞の基礎というもの、和楽で基礎をきっちりお勉強して、それから洋楽に…
そのままだと底の浅いものになりますので、深く掘り下げるには基礎を勉強することが一番大事。レッスンにきちんと出ることは自分も見習いたいし、下級生にも見習ってもらいたい。
芸の道とは厳しいものです。
その厳しい道をミエコ先生は宝塚と下級生への大きな愛をもって歩んでこられたのが伝わってくるインタビューでした。
ご卒業公演の「WELCOME TO TAKARAZUKA」フィナーレでは月組生に視線を送るシーンがあって何度見ても泣いてしまいます。
きっと舞台上の生徒さんもミエコ先生から多くのことを受け取っておられることでしょう。
大劇場の千秋楽では退団のご挨拶などもありませんでしたが、ご卒業の大千秋楽では何かしらのメッセージをお聞きできたらうれしいなと思いました。
読んでいただきありがとうございました。
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