観劇の感想

星組「マノン」観劇の感想(なぜこの作品だったのか…?)

こんにちは、ヴィスタリアです。

KAATで星組「マノン」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。

なぜ「マノン」だったのか、なぜ新演出でなかったのか

2021年の宝塚歌劇は20~30年前の作品の再演が数多くライナップされています。

再演が待望された作品や再演に値する作品、新演出での再演で新たな光の当たった作品もある一方で、
マノン」は発表になったときから「なぜ今再演なんだろうか?」と首をひねっていました。

初演の映像を見て、タイトルロールのマノンもロドリゴも宝塚歌劇の正統派の美やかっこよさとは離れたところにある役どころだと思いましたし、
脚本や演出も「ぜひ見たい」と再演を待望できるレベルではないと思いました。

そして実際に観劇して再演するのであれば脚本や演出に手を入れてほしかったと感じました。

物語が淡々と進んでしまってもったいなく感じ、本当にこの脚本・演出しかなかったのだろうか?もっとドラマチックに物語がうねり高まるような運び方があってのでは?と感じたのです。

「マノン」役ごとの感想

作品のセレクトについては疑問を感じつつも星組生の熱演はすばらしいものでした。

◆ロドリゴ/愛月ひかる
愛ちゃんは登場から背が高くて等身も高くて、とってもかっこよかったです。

うんと濃い色気があって、まだ大学を出たばかりで何も知らない前途洋々の青年ロドリゴがマノンと出会って熱烈に愛し、人生の何もかもが変わっていくのを演じていました。

アルフォンゾ公爵から金を引き出そうとするマノンを目の前に「弟だ」と紹介されたときの屈辱に耐えている様、そして耐えきれなくなって「弟などではない」と言ってしまう激しい衝動が印象的でした。

ロドリゴとマノンの本当に幸せな時間は短いのでフィナーレのデュエットダンスでみほちゃん(有沙瞳)を包み込んでいるのが素敵でときめきました。

◆マノン/有沙瞳
大好きなみほちゃんがヒロインの公演を初めて観る幸せを噛み締めて観劇してきました。

「夢に生きる女」と評され、美しい物とお金がないと生きていけない少女マノンは、現代から見ると人としてどうなの?と思う生き方をしていますが、
みほちゃんのマノンは嫌な女に見えず、かわいくていじらしくてその生き方があなたの真実なんだねと許せてしまう巧さ、説得力があります。

「怖いわロドリゴ、お金がないの」という現代の感覚からすると耳を疑うようなヒロインの台詞も浮いたり違和感を抱かせずにマノンという人物にとっては自然なものだと納得させてくれました。

着道楽で自分を美しく飾る宝石も大好きで、出てくるたびにドレスをとっかえひっかえしているマノンですが、そのすべてで髪型を変えていたのではないでしょうか。

そういった数々の美しいドレスよりも、最後の収監されてからの質素で飾り気のない装いがもっともマノンの本質的な美しさと清らかさを感じて胸を打たれました。

自分がロドリゴに何をしてきたかにようやく気づいて流す涙も、です。

「ロミオとジュリエット」の乳母も今回のマノンも芝居心があって、聞きやすく役に合わせた声に歌、ヴィジュアルの役とのなじませ方など、すばらしい表現ができる娘役スターさんだとあらためて思いました。

今回はみほちゃんが大好きな彩乃かなみさんのお役ができて、しかもライブ配信でご覧になった上に触れていただけてよかったですね。

◆ミゲル/綺城ひか理
ロドリゴの親友で修道院に入るのが対照的な人物です。

ロドリゴを思い、なんとかして救おうとするのですがそれが叶わないとわかって歪める表情が印象的でした。
あかさんの役を息づかせる演技、大好きです。

修道院の制服の姿勢がよく、立ち姿も美しいなあと思いました。

再演にあたって追加されたソロ曲はもちろん、娘役さんに囲まれて歌うフィナーレもすばらしくてずっと聞いていたいくらいでした。

◆レスコー/天飛華音
かのんくんのレスコーは出番も多くて歌のソロもあり恋人もいて、抜擢というより来るべくして来た役なんだなあと思う安定感でした。

近衛士官の制服がかっこよく、いい加減さと下衆さもありつつ歌も上手でした。

NOW ON STAGEではかなり悩み探りながらお稽古をしている様子が伝わってきたので、努力がきちんと形になっているのを見られたのもうれしかったです。

◆フェルナンド/輝咲玲央
レオさんの声がいいのは知っているつもりでしたが、今回は一味違う声をたっぷり聞くことができました。

マノンの隣家に住んでいる男で、美しい彼女を自分のものにしようと美しい宝石を送り彼女の心を手にしようとします。

そのマノンを口説く声が甘やかで優しい毒のようで、耳から溶けてしまうのではないかというような声で、よくマノンは靡かないでいられるな…とつい思ってしまうほどのすばらしい声でした。

今まで見たレオさんの役で一番好きかもしれません。

◆アルフォンゾ公爵/朝水りょう
朝水くんの顔がいいのは知っているつもりでしたが、今回もイケメンでした。

前にもどこかで書いた気がしますが頬骨が綺麗で頬のそげている男役さんのお顔がタイプなんです。

かなり年上で地位と身分のある男性の役ですが、「アルジェの男」のボランジュ総督といいこういう大人の男性の役がはまりますね。
お髭も素敵でした。

ボスの観劇

ところでこの日は星組「ロミオとジュリエット」で宝塚歌劇、そして愛ちゃん(愛月ひかる)にどっぷりはまっている方が観劇されていたそうです。

ボス(TBSラジオ「山里亮太の不毛な議論」での呼び方)が無事にご贔屓の主演公演を観劇できて、そして大いに楽しまれたようで何よりです。

今週の「たまむすび」も「不毛な議論」も聞きます!

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