観劇の感想

「ガイズ・アンド・ドールズ」観劇の感想(明日海りお・望海風斗)

おはようございます。ヴィスタリアです。

帝国劇場で「ガイズ&ドールズ」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で作品の内容に触れています。

帝国劇場「ガイズ・アンド・ドールズ」 宝塚歌劇との違い

ふだん宝塚歌劇かOGの永遠の贔屓が出ている公演ばかり観ていて、最近は会社から近い歌舞伎座にもふらっと行くようになりましたが、
外部のミュージカルや舞台はほとんど観る機会がありません。

なので帝国劇場のことも今のミュージカル界のことも知らないまま、この感想を書いています。

観る機会がないのは時間とお金が足りないからに尽きるのですが、帝国劇場「GUYS AND DOLLS」は上演、キャストが発表になったときから絶対に観に行かねばなるまい!と鼻息荒くチケット獲得に奔走しました。

だって「ガイズ…」で、89期のみりだい(明日海りお・望海風斗)がサラとアデレイドで帝劇デビューを果たして、スカイ・マスターソンが”89期のお兄さん”井上芳雄さんだなんて行くしかありません。

ありがたいことに東宝ナビザーブさんが1階通路後ろのセンター寄りという、見やすいA席をご用意してくれて人生3度目の帝国劇場となりました。
(1回目は「モーツァルト!」初演、2回目も「モーツァルト!」でした)


で、初日翌日のソワレを観てきたのですがとっっっても楽しくて、よき舞台を見た、ミュージカルを浴びた!という満足感でいっぱいになりました。

宝塚歌劇で上演された「ガイズ・アンド・ドールズ」は月組再演(2002年)が当時リカさん(紫吹淳)ファンだったこともあって大好きで大好きで円盤を100万回見ています。

89期は音楽学校時代にこの月組再演版を見て、翌2003年の月組「シニョール・ドンファン」で初舞台を踏むことになりますが、個人的に彼女たちとほぼ同世代なこともあって、そういう意味でも強い思い入れがあります。

人生のステージが変わるタイミングとかが一緒なんですよね。

また星組再演(2015年)はまだヅカファンに復帰していなかったものの、ひょんなことから招待券をいただいて観劇することができました。
招待券なんて後にも先にもこのときだけです。また降ってきてほしい…。

このときは10年ぶりくらいの宝塚観劇でみっちゃん(北翔海莉)がトップスターになっていたことに驚き、喜びながら巧さに唸り、
そしてアデレイドがあんまりにもうまくて礼真琴という男役スターさんの名前を覚えて帰りました。

月組のきりやん(霧矢大夢)のアドレイドだって歌にダンスに達者だったけれど、この礼真琴という人のアデレイドは巧すぎてすごすぎる!と客席で圧倒されっぱなしだったのを今でも覚えています。

新人公演がきぃちゃん(真彩希帆)であったことは後から知り、
それを今回だいもん(望海風斗)が演じるという…これ、なんていう運命ですか?

そしてナイスリー美城れんさんの巧さにもはっとし、月組再演とはキャラクターがまるで違いましたのでこういうナイスリーもあるのか…と楽しく見たのを覚えています。

(この数年後、月組「カンパニー/BADDY」を観劇してヅカファンに復帰し今に至るのでした。)

今回の帝劇版はマイケル・アーデン氏の新演出版、訳詞・日本語台本も宝塚歌劇団の演出家植田景子先生が手がけてこれまでの宝塚歌劇版とは違うものとなりました。

宝塚歌劇団でお馴染み有村淳先生の衣装がおしゃれで秀逸で、
デイン・ラフリー氏の3階建ての建物と盆回しを組合せたセットは転換もスムースで作品世界が広がる上に非常におもしろくて目が離せず、
エイマン・フォーリー氏の振付は特に2幕の男性陣のナンバーがかっっっこくよて大いに盛り上がりました。

覚え書き的にヅカファンとして馴染んできた「ガイズ・アンド・ドールズ」と今回の帝劇版で違うと感じたところをピックアップしてみますね↓

1.2幕のナンバー「Sit Down You’re Rockin’ the Boat」の中心がスカイ→ナイスリーになっている

2.2幕にアーヴァイド(サラの後見人)のソロナンバーがあって、いい曲

3.キャラクターのアクがマイルドになっている(カートライト将軍、ビッグ・ジュール)

4.演奏がよりクラシカルな雰囲気で、特に1幕はテンポもゆったりめに感じられた

5.歌詞や台詞がわかりやすくなったものもあり、補助線が引かれた印象

あとスカイの本名オベディアオバイディア(だったと思います。違いったらすみません)と発音されていました。

宙組「アナスタシア」名前という愛とときめき/麗しの男役たちこんばんは、ヴィスタリアです。 宙組「アナスタシア」を観てきました。 my初日に続いて2階最下手側…他の場所からも、...

スカイがサラに本名を明かすのは大切なシーンです。

3.は宝塚歌劇と外部(という言い方がふさわしいのかわかりませんが)の違いとして、宝塚歌劇にはある種の大仰さ、キャラクターの強調みたいなものがあるのもよくわかりました。

役で言えばカートライト将軍ビッグ・ジュールが一層ナチュラルで、なおかつ笑える要素があって大いに楽しませいただきました。
ブラボー!

マヤさん(未沙のえる)のカートライト将軍、抑えた演技なのにちゃんと笑えて、どっかんどっかん笑うのではなく、なんだかおかしくてじわじわ笑わせてくれます。

久しぶりにマヤさんの舞台を見られたのもうれしかったです。

4.はオーケストラのみなさまがたっぷりとオーバーチュアを聞かせてくれることから始まるのと、音響(音の大きさ?)も関係しているのかもしれません。

1幕はアップなナンバーが少なかったのでそんなに気にしていなかったのですが、2幕は楽しい、ワクワクするナンバーが続くので正直もう少し大きな音でアガる感じで聞きたいという気持ちがありました。

5.は植田景子先生のお仕事ですね。

1幕終わりでサラがスカイに決別しようとするところで宝塚では「私は神の僕よ」と直訳的に言い放っていたのが
「私は神に仕える女です」とよりわかりやすいものになっていたり、他にもちょこちょこと変わっています。

特に印象的だったのが幕開きのナイスリーら3人組が競馬新聞を読みながら歌うところで、「♪この馬に決めた~」が「♪この馬が本命~」になっていて、
これはその後のネイサンとスカイの「女なんてどれも同じ」というやり取りにつながっていくもので、とてもよい変更だったと思います。

あと印象的だったのがアデレイドが歌う「♪アイ・ラブ・ユー 首ったけよ (中略)山盛り大好き~」が「ラブラブ大好き~」と自然になったことです。

初演(月組1984年)から約30年弱の間に「ラブラブ」という言葉が日本語になったんだと味わい深かったです。

帝劇「ガイズ・アンド・ドールズ」役の感想

宝塚歌劇以外の舞台をほとんど見ていない自分がどう書いていいものかわからないでいますが、偏愛ブログなので自分の感じたことを正直に書いてみますね。

観たら書きたい人間でもあるのです。

◆スカイ・マスターソン/井上芳雄
自分はリカさんのスカイが好きで好きで映像を100万回見るくらいまいっていたので、最初のうちは「そりゃあ、あんなにかっこいいスカイはいないよね、男役はファンタジーだから」と思っていたんです。

だってリカさんはマンホールを降りていくときにバチコンウィンクを決めて蓋を閉め、「バカールディー」と言いながら長~~~い脚をキザに組みかえますからね。
そんなことをするのは男役のスカイだけです。

でも、でもですよ。
ハバナでのサラとの2人のシーンあたりから(つまりスカイとサラに恋が芽生えるあたりから)井上氏のスカイがあまりにもかっこよくて、もうまいってしまいました。

2幕は見せ場の一大ナンバー「運命よ、今夜は女神らしく(LUCK BE A LADY)」もあって、巧すぎてますますかっこよすぎて、本当にまいりました。

もっと拍手させてください、閣下!(←土下座しながら)という感じで掌が痛くなるまで拍手しました。

途中で薄い菫色のスーツをお召しなのですが、それまでの着崩したスーツとは違って肩がしっかりしていて大変おしゃれで粋でした。

◆ネイサン・デトロイト/浦井健治
宝塚歌劇の舞台は正直、滑舌や口跡がいい生徒さんばかりではないので何を言っているのかよくわからないと思うことがあります。

が、複数回観劇したり観劇された方のレポートや「ル・サンク」に掲載される脚本で補完したりしています。

今回の舞台で(外部だと当たり前なのかもしれませんが)何を言っているのかわからない人が一人もいないこと、
そしてネイサンほど台詞が多くもちゃもちゃした感じ(キャラクターの雰囲気が)で喋っているのに全ての台詞が明瞭にわかる凄まじさにはっとしました。

いかにもミュージカル俳優っぽいわかりやすさ、わざとらしさみたいなものが一切排除されているのに台詞のすべてが明瞭で、ネイサンというチャラい男が自然とそこにいると思ったのです。

スーツなどかなり詰め物をしたりズボンをダボダボにしたりしているのかなと思いますが、それがまたアデレイドほどいい女が夢中になる説得力、魅力を感じていました。

いや、ネイサンはいい男なんですよ。
2幕の伝道所の集会を見ればわかります。

そしてアデレイドが14年も待っているのがわかります。それが自然と納得のいくネイサンでした。

◆サラ・ブラウン/明日海りお
救世軍のお堅い、そして美しいサラがきっと似合うだろうと発表のときから思っていたのですが、清らかさと潔癖さがありながらスカイに惹かれてハバナに行くことになる――ちょっと不思議な雰囲気がみりおちゃん(明日海りお)にとてもお似合いでした。

意外と(?)武闘派で思い切ったところがあるのもかわいくておもしろいキャラクターです。

ハバナでうんと酔っ払ったときも(これは逆に宝塚版よりも)デレデレとしない清潔感もみりおちゃんらしい、いえ、サラらしくていいなあと自然と思えました。

つまりサラがそれだけ魅力的、チャーミングだったということです。
めちゃくちゃかわいかったです。

スカイにうまいこと嵌められたことに気づいたときの悔しそうな、しかしその手にのるほか無いことを知っている苦虫を噛み潰したような表情が雄弁でかわいくてかわいくて。

このみりおちゃん表情の雄弁さ、そして豊かさが全編を通して魅力的で目が離せませんでした。

最初のお説教のシーンはブレスがかなり聞こえて、男役のときと発声が違うからかしら?と思ったら、ブレスはそのうち然程聞こえなくなりほっとしました。

歌の高音域はまだこれからなのかな…と思うナンバーもありながらも全てではなく、綺麗に声が伸びているナンバーもありましたし、
誰よりもご本人が自覚されているでしょうからその進化と変化が見られる日は遠くないうちに来るでしょう。

個人的にはサラは逆カサノヴァというか、「CASANOVA」(花組2019年)のヒロイン ベアトリーチェのような存在であるのが興味深かったです。

修道院あるいは伝道所の枠からはみ出ることになり、好きな男に結婚を迫り、男は決して結婚を望んでいないのを疑ってないあたりがそうだなと。

そんなことを思いながら、一瞬ごとに表情の変わるかわいいかわいいサラを見ていました。

◆アドレイド/望海風斗
サラもどこかふしぎな女ですがアデレイドもまたふしぎちゃん――といいますか、ちょっと思考がゆる~っとしているといいますが、この抜け具合、コメディ具合、おもしろさの匙加減が最高だいもん(望海風斗)のアデレイドでした。

ぶっちゃけていうとおバカなキャラクターであるアデレイドの、そのおバカさ具合がやりすぎに決してならない巧さが絶妙でした。

雪組トップスター時代に悲劇や重ための作品が多かったですが「二十世紀号に乗って」はコメディでたくさん笑わせられたのを思い出しました。
そうだ、だいもんは悲劇も喜劇もうまいんでした。

そしてかわいかった!
あやレイドはかわいいの極みでした。

登場のシーンから金髪にツヤツヤのメイクのあやレイドがかわいすぎてオペラでロックオンしながらマスクの下で「かわいい…」と心の声が漏れてしまいました。

有村淳先生の数々のカラフルで派手でおしゃれな衣装をとっかえひっかえなのも目から幸せ、そしてショーガールなので露出も激しいですが綺麗でした…華奢でした…。
この細い体のどこからあの声が出るの!?

2幕頭の「ミンクを持って帰る男(TAKE BACK YOUR MINK)」は帝劇にいながらHOT BOXの客席にいられるのも楽しく、だいもんのお着替えとご自慢のおみ足の美しさに内心ドキドキしつつ(←ふくらはぎから下が美しいとよくお話されてましたよね)、
ナンバーの真ん中で輝き、圧倒的な歌声で劇場を支配し、魅惑的な表情に「ああ、雪組のショーののぞ様と変わっていない」と高まらずにいられませんでした。

望海風斗という舞台人の巧さと類稀なショースターを見せつけられたアデレイドでした。

2幕のサラとアドレイドの「Marry the Man Today」は、雑誌an・anの表紙でも大きな話題になりましたが、みりだいが2人で帝劇を埋めていることに興奮せずにいられませんでした。


ちょっと風変わりな、でも全然違うキャラクター同士のおかしみが味わい深いです。

うれいいことは89期のトップスター同士の共演だけではありませんでした。

元月組の99期あちくん(輝生かなで)も帝劇デビューで、踊りまくりで輝いていました。

お顔もスタイルも美しいのであちくんはどこにいてもわかりますし、キラキラしているんです、踊っていると楽しそうにエネルギーが迸っていて。

なんとご本人のアカウントからリプいただいてしまいました♡

幕開きには1936年のニューヨークの女性の普段着に水色のトゥシューズで踊っているのですが、誰ですかこの組合せを考えてあちくんに着せてくれた方は。
素敵でした。

よい舞台を見た、ミュージカルを見たという幸福感でいっぱいになった「ガイズ・アンド・ドールズ」でした。
クラップやろうぜ!

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