こんばんは、ヴィスタリアです。
宝塚大劇場で花組「巡礼の年/Fashionable Empire」を観劇してきました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」の役たちの感想で、作品の内容に触れています。
エミール・ド・ジラルダン/聖乃あすか と芸術家たち
前の記事で主な配役について書きましたので続きです。
エミールは新聞社の編集長でありフランツ・リスト/柚香光らの友人という役どころで、ほのかちゃん(聖乃あすか)は知的かつ胆力のある、堂々とした雰囲気で存在感がありました。
屋根裏部屋に集う芸術家たちと馴染んでいるように見えて一線を画する雰囲気を纏い、撫でつけた短髪にパリッとした装いもかっこよかったです。
ショーのスチールも一人どこか違う目元のお化粧、そして雰囲気があるのは「冬霞の巴里」ヴァランタン役の残り香でしょうか。
明らかに只者ではない存在感、オーラ、そして声の大きさが際立っていて、ほのかちゃんが進化の真っ只中にいるのだと確信しました。
ほのかちゃんはこれからきっといろいろな、未だ知らない魅力を見せてくれるのでしょう。
楽しみです。
後半にはラップの革命ナンバーがあって、ここでぜひ拍手をしたい!と思いながら台詞につながり場面が動いていくので拍手が入らないのが残念です。
ほのかちゃんたちに拍手をさせてくれ…!と思いながら心のなかで拍手をしています。
作品の感想でも書きましたが、物語が主な役たち(リスト、マリー、ショパン、サンド)の関係に集約していくので他の役の出番は少なかったりするなかで(涙)大きな見せ場なんですよ。
エミールに常に寄り添い行動をともにする妻デルフィーヌ・ゲー/星空美咲は青いドレス姿が凛と美しく、小さなお顔と長い手足がパッと目を惹きます。
デルフィーヌもそうですが芸術家たちは名前が作中に出てこないのが残念でなりません。
錚々たるメンバーなんですから↓
ヴィクトル・ユゴー/高翔みず希
サント=ヴーヴ/和海しょう
バルザック/芹尚英
ドラクロワ/侑輝大弥
ベルリオーズ/希波らいと
陽気なジョアキーノ・ロッシーニ/一之瀬航季とキュートな婚約者オランプ・ぺリシエ/都姫ここは名前がでてきてほっとします。
(今回の作品に限ったことではありませんが、台詞に役名があると後で探す大きな手掛かりになるので先生方どうかお願いしますよ…といつも思っています。)
はなこちゃん(一之瀬航季)はロッシーニ、「TOP HAT」のポーターなど明るく愛らしい雰囲気のある役が続いていますが、バウ・ワークショップ「殉情」主演の佐助で新たな一面を見せてくれるでしょう。
芸術家たちは同じ場面に出ていることが多いメンバーですので小芝居に注目したいです。
自分が観劇した日はロッシーニ/一之瀬航季とベルリオーズ/希波らいとが何やら楽しそうに話していました。
らいとくんの長い手足のダンスには自然と目を吸い寄せられました。
またユゴーやドラクロワは髪型も非常に凝っていていい味出しています。
ドラクロワのだいやくん(侑輝大弥)は満を持しての新人公演初主演ですね。
だいやくんのフランツ・リスト、大いに期待しています!
ラプリュナレド伯爵夫人/音くり寿
この公演でご卒業される100期の音くり寿ちゃんは美しい貴婦人でした。
豪華なドレス、白いカツラに合わせた粉っぽいお化粧、眉とリップのくっきりとした描き方が時代の雰囲気をよく伝えてくれると共に、とっっってもかわいいです。
芝居、歌だけでなくこうした舞台化粧の巧さ、かわいさもくりすちゃんの好きなところです。
リストのパトロンで権力を持っていて、女で、リストとマリーの駆け落ちを知ったときのナンバーでリスト許すまじの強さを秘めた笑顔がめちゃくちゃ怖くて(←褒めてます)最高でした。
ナンバーの中で、やはりこの公演でご卒業される飛龍つかさくんと並んでのソロもいつもの、いつも以上の歌のうまさで最高でした。
感情的な言動が多いんですけれど歌はもちろんたしかな芝居は魅力的で、娘役らしいオーラで輝いていて、退団されるのが残念でなりません。
そして物語が主な役たちの関係に集約していくので出番が前半にばかり集中しているのが惜しまれます。
ダグー伯爵/飛龍つかさ
退団が残念でならないのは98期の飛龍つかさくんもです。
「銀ちゃんの恋」ヤス、「冬霞の巴里」ギョームと作品の要となる役を好演し、歌もダンスもよくてこれからますます活躍されるものと思っていましたから(涙)。
雪組のあやなちゃん(綾凰華)といい98期の早すぎる退団が続いていて寂しいです。
花組のコスチュームものは久しぶりですから豪華なお衣装が見られるのもうれしく、灰色のカツラからのぞく地毛の金髪も美しく、地毛だけのときもいいですねえ。
妻のマリー/星風まどかより15歳年上の伯爵という年齢を重ねた貴族の男性らしさがきちんと伝わってきます。
当時の貴族としてまっとうな価値観を持っている人物だと思うのですが(”ちゃんと”愛人がいて、”ちゃんと”妻に妻たることを求めていて)、だからこそ駆け落ちしたマリーと再会したときの内心の吐露が沁みます。
主要キャスト以外でこうした心情、内面が描かれている役はダグー伯爵くらいかと思いますし印象に残ったシーンでした。
くりすちゃんと同じく、物語が主な役たちの関係に集約していくので出番が前半に集中していることが大いに惜しまれます。
もっともっと花組でつかさくんを観ていたかったです。
寂しくなります。
ジギスムンド・タールベルク/帆純まひろ
リストのライバルのピアニストタールベルクをホッティー(帆純まひろ)が生き生きと演じていました。
リストに食ってかかるところでは直情的かつプライドの高い人物なのが伝わってきますし、ラプリュナレド伯爵夫人/音くり寿のサポートの申し出を即断するあたり自信も野心もあるのがわかります。
自負と野心があるからこそリストとの勝負に敗れて去るときの、硬く凍り付いたように言葉を失った表情が鮮やかでした。
タールベルクには痛いほど、その負けが身に染みていたでしょう。
またラプリュナレド伯爵夫人のおかげでサロンでもてはやされているだけなのを自分の実力と勘違いしてはしゃぐ明るさのなんとチャーミングで、そして愚かなことか…。
こういう人のよさが自然と滲むのは「TOP HAT」アルベルド・ベディーニ役でも感じたことですがホッティーの魅力の一つで、
涼やかな美貌とのギャップも好きです。
(淡いブルーグレーのような色味のアイシャドウが役の雰囲気にもホッティーの美貌にもお似合いでした。)
一方で「新源氏物語」新人公演の六条御息所や「蘭陵王」の逍遥君のような情念が色濃く立ち上る役が似合う一面もあるので、はなこちゃんと同じく「殉情」佐助を楽しみにしています。
以上、初日と翌日の公演を観劇しての感想でした。
次の観劇は東京宝塚劇場公演になるので舞台はきっと深化と進化をして別の味わいがあるものになっているでしょう。
待っています!
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