観劇の感想

月組全国ツアー「ブラック・ジャック」観劇の感想(この再演を待っていた)

こんばんは、ヴィスタリアです。

月組全国ツアー「ブラック・ジャック 危険な賭け/FULL SWING!」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で作品の内容に触れています。

月組「ブラック・ジャック 危険な賭け」この再演を待っていた

主題歌の名曲「かわらぬ思い」はさまざまなスターさんがいろいろな機会に歌っていますし、
雪組(2013年)で「ブラック・ジャック 許されざるものたちの挽歌」が上演されましたらご存知の方も多いことと思います。

タカラヅカニュースでもぐっさん(春海ゆう)るねくん(夢奈瑠音)みうみん(美海そら)
「曲は知っているけれど作品は今回初めて見た」とお話されていました。

自分自身は花組(1994年)「ブラック・ジャック 危険な賭け」が永遠の贔屓ヤンさん(安寿ミラ)の代表作で、大好きで、映像でしか知らないものの何度も何度も繰り返し見てきました。

スカイステージではNHK版の美麗な映像で放映されることもあり、見る度に好きになってしまう…そんな思い入れのある作品の再演が決まったときは驚いて公式サイトを見ていて声を上げてしまったのを覚えています。

ヤンさんのトップスター時代の作品は
「メランコリック・ジゴロ」
「哀しみのコルドバ」
が繰り返し再演され、後者はそもそも再演でしたし退団後はヤンさんが振付もされていますが、まさか「ブラック・ジャック 危険な賭け」が再演されるとは思ってもいなかったんです。

気合が入りすぎて早めに市川文化会館に着いてプログラムを熟読。

まだ客席もまばら、客電もついているというのにこの時点から早くもなんだかもうわけのわからない昂りで泣きそうになっていました。

れいこちゃん(月城かなと)の開演アナウンスから幕が上がるともうダメでした…。

この音楽にこの独特の謝珠栄先生の振付。
「♪エンリケ将軍クーデター♪」と歌うレポーターたち。
レポーターたちに囲まれた、顔に傷のある男が不遜に名乗る「ブラック・ジャック」からの切り替わってのナンバー。

全部全部、知っている…!
映像でしか知らないけれど、でも確かに知っているんです。

そこからブラック・ジャック/月城かなとの歌う「かわらぬ思い」が終わるまで涙が止まりませんでした。

ヅカ友さんに「マスクの替え必須だよ」と言われていましたがまさにその通りで最後もまた泣いて、幕間もどこか放心したまま帰ってこられませんでした。

思い入れのある大好きな作品を初めて劇場で観られたこと、
そしていまの月城かなとの月組の、すばらしい芝居と完成度の高さに心を動かされたからに他ありません。

れいこちゃんのブラック・ジャックがヤンさんともまっつさん(未涼亜希)ともまた違う巧さと説得力、魅力がありましたし、
れいこうみ(月城かなと・海乃美月)
「ダル・レークの恋」
「川霧の橋」
も然り宝塚歌劇のこれぞという名作の再演を任せられる、任せたいと思わせるトップコンビなのでしょう。

「ブラック・ジャック 危険な賭け」は28年この再演を、この日を待っていたのだと思います。

初演とはいくつか変更もあり、BJの回想シーンで如月恵が病を得たエピソードで女性特有の癌で手術を受けることについて

女じゃなくなるわ。

という台詞があるのですが今回は無くなっていました(当然のことですね)。

それによってこのBJが回想し、そして目の前のアイリスに、ケインに訴える「生きてさえいれば」という命の重みがより一層強調されたように思います。

後半のスノードン卿、アイリス、ケインを前にしてのブラック・ジャックの人間の傲慢さを訴える力の籠もった台詞には

どれだけの個人が犠牲になったか。

といったことが追加され(他にももっと追加されていたかもしれません)、より一層力強く、2022年を生きる身に迫るものなっていました。

正塚先生がプログラムに書いていることは、

台本をあらためて読み返してみて、今の感覚でウェルメイドなものに仕上げたいという思います。
あの頃は、原作の根底に流れるものに対して感じたこと少し力が入り硬い事を言い過ぎている感があったのかなと。
ですから今回は、よりエンターテインメント性の高い作品として御覧いただけるよう成立させたいと考えています。

普遍的なメッセージが今の、健康や命を考えずにいられない2022年の感覚に合ったものとして伝わりやすくなり、
ミュージカル作品としても楽しめるものとして存分に成立していたと思います。

そう、この作品はミュージカルなんですよね。
主題歌「かわらぬ思い」以外にも名曲が散りばめられていて、ブラック・ジャック、アイリス、ケインの歌う「それぞれの思い」もしびれます。

そしてどちらも歌うのはキーが低かったりしてなかなか難しいのでは…とも思いました。

初演はすべての衣装がモノトーンで統一され、華やかな宝塚歌劇では斬新なものでしたが、今回加藤真美先生の手掛けたお衣装はもう少しいろいろな色合いがありました。

コロスたちの黒✕白のお衣装が初演ではただのギザギザだったのが今回はブラック・ジャックの横顔のシルエットがデザインされていたのが秀逸でした。

またお衣装ですごいと思ったのがブラック・ジャックの原作らしい頭身の表し方です。

毛量の多いカツラでいつもよりずと頭が大きく見えるだけでなく、衣装のラインや肩周りのつくり方などでいつものビチっとキメた男役のかっこよさとは明らかに違う、
手塚作品の絵柄を彷彿とさせる頭身にれいこちゃんのブラック・ジャックが見えるんです。

もちろんれいこちゃんの仕草や身体表現の工夫もあってだと思いますが宝塚歌劇のお衣装は本当にすごい!

観劇してあんまり興奮してしまって役ごとの感想やショー「FULL SWING!」の感想が書けるかわからないのですが、
「ブラック・ジャック」の感想だけはなんとか言葉にしたくて観劇直後の思いを書きました。

大好きな作品の、いまの月組だからこその再演を観ることができて本当にうれしいです。

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