観劇の感想

月組I AM FROM AUSTRIA初日の感想〜演出と映像とショーアップ

こんばんは、ヴィスタリアです。

月組「I AM FROM AUSTRIA」の初日を観劇しましたので、ファーストインプレッション的な感想を書きました。

いずれもヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちたものです。
また作品の内容に触れる部分があり、ヴィスタリアは最近齋藤先生と相性が悪いこともあって辛めの見方をしている部分があります。

日本初演のミュージカルを齋藤先生はどう演出したか

豪華で華やかな装置と衣装はこれぞゴージャスな宝塚歌劇の舞台でした。

これだけ派手な色が舞台にあふれていても品を失くさないのが宝塚歌劇のすごさだとあらためて思いました。

またたくさんの登場人物たちが舞台上で小芝居を展開するのも芝居の月組上級生から下級生まで一人ひとりが自分の芸を追求する月組の魅力を引き出していたと思います。

あっちもこっちも観たくて目が足りません。
きっと気づいていないドラマ、設定がたくさんあると思います。

そういう意味で齋藤吉正先生は、最近「夢現無双」「恋スルARENA」とお仕事ぶりに疑問を感じることが続いていましたが、今回はとりあえずよかったのではないでしょうか。

厳しい見方かもしれませんが「とりあえず」だとヴィスタリアは思っています。

宝塚歌劇で上演するにあたりどの程度のアレンジが許されていたのかは不明なので演出の先生の問題ではないのかもしれませんが、
もう一歩工夫して何度も再演が望まれるような魅力的なミュージカル作品にしてほしかったというのが正直な気持ちです。

月組生のことは何度でも観たいけれどこの作品そのものを何度もリピートしたいか、何度も再演してほしい名作かと言われると、観劇している間に「これは楽しい、また見たい、チケット追加したい!」という衝動に駆られるほどではなかったのです。

同じウィーン劇場協会制作の「エリザベート」「モーツァルト!」は正にそういう熱い衝動が生まれる作品でしたが、今回そこまでハマらなかったのは曲の好みに因る部分も大きいかもしれません。

またもう少しショーアップしたり、演出や場面転換の流れでストーリーを魅力的に見せることができたのでは…という思いもあるのです。

たとえばホテルの左右に配置されたエレベーターは効果的な装置だと思いますが、活かしきれているかというと疑問に感じましたし(2幕でフロント係の4人が出てきて銀橋で「Nix is fix」で歌うのはよかったです)、
ジョージ/珠城りょうエマ/美園さくらのデュエットはもう少し動きがあってもよかったのでは?と思います。

これは観劇するまで思い至らなかったのですが、1本物のミュージカルでホテルが舞台となっているという点で宙組「オーシャンズ11」と共通していると言えなくもありません。

「オーシャンズ11」はスリージュエルズとマイクが歌で狂言回しのように作品世界に誘ってくれますし、クィーン・ダイアナのマジックショーも宝塚歌劇のショーの要素があって1本物のミュージカルだけれど宝塚歌劇を見たという高い満足感があると感じたのですが、
そういう面が「I AM FROM AUSTRIA」にもう少しあったら…と思ったのです。

退団者への餞 拍手がちゃんとできるのはうれしい

齋藤先生の演出で評価したいと思っているのが退団者への餞がきちんとあることです。

前作「夢現無双/クルンテープ」でも手厚い餞があり、拍手を送ることができるタイミングがたくさんありました。

・さやかさん(響れおな)の最後のセリフ
・くれあさん(玲実くれあ)のセリ上がり
・ショー中詰の銀橋渡り(響れおな・ 玲実くれあ・音風せいや)
・退団者4名のみの場面(美弥るりか・響れおな・ 玲実くれあ・音風せいや)
・くれあさんのソロ(黒燕尾前の娘役さんが踊るところ)

今作で退団される96期ときちゃん(叶羽時)と99期ありさちゃん(陽海ありさ)は目立つ出番が多く、ときちゃんがぐっさん(春海ゆう)と笑いを取る場面では拍手が起きていました。

またフィナーレではたま様(珠城りょう)ときちゃんありさちゃんが踊り銀橋を渡るところもありました。

宝塚の温かさを感じさせてくれるこういう餞は齋藤先生のよさだとあらためて感じました。

装置(映像)と装置と衣裳のこと

LEDパネルが増設されていたことに驚きました。
これからますます映像を使うことが広がっていくのでしょう。

今作の映像でいいなあと思ったのはオープニングの主な登場人物の紹介で、初めて宝塚歌劇を観る方に親切だと思います。

逆にやりすぎかな?と思ったのは人物が歌ったり踊ったりしている場面でその人物の映像を映すもので、ここまでいくと舞台とはいったい何なのかと思ってしまいました。

映像はあくまでも装置や書割で表現しきれない場面転換や作品世界を理解したり雰囲気を高める一助であってほしいというのは頭が固いでしょうか。
今回の作品における映像はやや過多なように思いました。

装置でいったいどうなるんだろう?と思っていたジョージ/珠城りょうエマ/美園さくらのヘリコプターは、この日2階2列目で観ていたので近くで見えて興味深かったです。

昔の宝塚歌劇の舞台には金橋という機構があったという話を思い出しました。

絶対安全に作られているのでしょうけれどなんとなくハラハラしながら見守ったヘリコプターでした。

最後に衣裳について。
宝塚の美しい衣裳は観劇の大きな楽しみですが、今回素敵だなと見惚れるものと「ん?」と思うものがありました。

後者は具体的にはエマのピンクの肩出しチュニックと臙脂色のスキニーパンツのコーディネートで、
これはちょっとなんとかならなかったのか……少し残念に思いました。

エマの最後の淡いピンクのドレス、派手派手なジャージ、デュエットダンスのドレスは素敵でしたし、男役さんはリチャードの緑色のスーツが好きでした。

初日の客席はすでに大劇場で予習済のファンの方が多かったのか(ヴィスタリアもヅカ友さんにたくさんお会いできました)、手拍子が完璧!裏打ちもエアロビもばっちりで大盛上りで楽しい観劇でした。

キャストごとの感想は次の記事に続きます。

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