観劇の感想

【出島小宇宙戦争】宝塚とライトノベルが出会ったら/極上のフィナーレ

こんにちは、ヴィスタリアです。

公演中止の前に月組「出島小宇宙戦争」を観劇することが叶いました。

公演中止のショックは大きく、観劇を予定されていた方、ファンの方、そして舞台に立たれる生徒さん、スタッフさんのことを思うと胸が痛いです。

平穏な日常が1日も早く戻ることを祈りつつ、
いつものヴィスタリアの独断と偏見と偏愛のままに書きました。

なお作品の内容に触れています。

「出島小宇宙戦争」ライトノベルあるいは青春小説と宝塚歌劇のマリアージュ

のっけから厳しい感想になりますが、端的に一言で言うのなら「出島小宇宙戦争」は正直わけがわからないトンチキの匂いのする作品でした。

初めて谷貴矢先生の作品を観劇しましたが、先生のワールドについていくのは大変でした。

公演解説によるとスペースオペラだそうですが、スペースオペラではなく広義のSFでよいのでは?という気がしました。

誰が宇宙人で、誰がそうでないのか。何がリアルで、何がそうでないのか。
混乱の中でカゲヤスは、ミクロでマクロなスペースオペラに巻き込まれていく。
パラレルワールドの出島を舞台にコメディタッチで描く、デジタル・マジカル・ミュージカル。

引用元: https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2020/dejimashouchusenso/index.html

そしてジャンルはSFですが、ライトノベルあるいは青春小説の雰囲気を纏っていると感じました。
漫画的とも言えるかもしれません。

タダタカ/光月るうタキ/海乃美月とのやりとりであったり、
カゲヤス/鳳月杏タキ/海乃美月との甘酸っぱい関係であったり。

ヘレーネ/蘭世惠翔メイド服で日本刀を振り回す絵はそういう意味でいかにもだと感じました。

タキ/海乃美月が何度か言う「バイバイ!」という別れのセリフもそうです。

ツクヨミ/梨花ますみという月の女王、
月のうさぎを思わせるアルテミス/菜々野ありセレネ/詩ちづるの2人組は美少女戦士セーラームーンの世界観を感じました。

ヴィスタリアは「なかよし」連載当時と最初のアニメ化の世代ど真ん中なので、
大好きな少女漫画と宝塚歌劇が重なって見えたことに感慨深いものがありました。

そういうライトノベル的、漫画的なお約束であったり澄ました、思わせぶりなセリフが出てくる度にどことなくむず痒いといいますか、こそばゆい感覚で客席で落ち着かなくなりました。

でもそれは嫌な感じではなくて、話はもう1歩つめてほしいとは思うものの、楽しい観劇だったのです。

古典的なSFではなく新しいSF、あるいはライトノベルと宝塚歌劇が出会うとこうなるんだという新鮮さがありましたし、
そういう造形のキャラクターを深く演じたちなつさん(鳳月杏)うみちゃん(海乃美月)はじめ月組生の芝居に心動かされました。

また生徒さんの見せ場がありフィナーレがよかったのも楽しいと思った大きな理由です。

「出島小宇宙戦争」極上のフィナーレ

本編だけだったらここまで「楽しかった」と言い切れず、脚本への疑問が残って消化不良のまま劇場を後にしたかもしれません。

しかし観劇後に大きな満足感があったのはフィナーレがすばらしかったことが大きな要因です。

1本物のフィナーレ、2本立てのショーがよければそれでいいのかというと別問題ですが、「出島小宇宙戦争」のフィナーレが傑作であったことは間違いありません。

まずうみちゃんが娘役さんのセンターで踊る童謡「うさぎ」
品があって美しかったです。

ちなつさんうみちゃんのデュエットダンスは名曲「ムーンリバー」

大人の雰囲気のあるちなうみにうっとり…酔いしれました。

凝ったリフトもすごくて、ちなうみの技術と身体能力の高さがあってこそでしょう。
タイミングの合わせ方が神業でした。

デュエットダンスのなかでちなつさんうみちゃんの頬に手を寄せて……なシーンがあるのですが、これが本編の続き、夢の結実のようですてきなんです。

もっと大きな舞台、大きな劇場ででこの2人のデュエットダンスが見てみたい。そう思わずにいられません。

男役さんの黒燕尾はロックテイストな「月光」に乗せて、これがもうすっごくかっこよかったです!

ちなつさんを中心にありちゃん(暁千星)が、おだちん(風間柚乃)がこれでもか!というほどかっこよく踊るんです。
目がいくつあっても足りません。

ぎりくん(朝霧真)が黒髪の長髪をハーフアップにしていて、こういうヘアスタイルと黒燕尾を合わせるのは珍しいですがよく似合っていてかっこよかったです。

極めつけがちなつさんのソロで、あまりのかっこよさに瞬きも呼吸も忘れそうでした。

手の上げ方、脚の出し方、膝の折り方。
ポーズを取るだけでこれぞ男役の美学というちなつさんの磨き抜かれた芸に見惚れました。

このソロでは客席から悲鳴が上がっていました。

”月”にまつまる曲でつないだフィナーレは上品で美しくて夢が見られて技術もすばらしくて、最高でした。

衣裳とセットの美しさ

プログラムによると衣裳は加藤真美さん

カゲヤス/鳳月杏のポスターにもなっている黄緑色のラインが効いた衣裳、フロックコート風(?)のシルエットにも見えるのに和のテイストの衣裳が印象的でした。

肩に担ぎ上げた望遠鏡に銃といった小道具、ちなつさんの銀髪のカツラともよく合っていました。

 

この投稿をInstagramで見る

 

宝塚歌劇(@official_takarazuka_revue)がシェアした投稿

またリンゾウ/暁千星にアイヌの衣裳を着せたのも新鮮かつかっこよかったです。

タキ/海乃美月の色とりどりの着物風の衣裳がとにかく最高にかわいかったです。

うみちゃんのプラチナブロンドともふしぎと馴染んで調和していました。
ほんの一瞬ですけれどなんとフードをかぶっていました。

この衣裳がなかったら「出島小宇宙戦争」のワールドは成立しなかった、そう思えるくらい世界観を作り上げていました。

また國包洋子さんの装置も凝っていました。

フレームのある月が満ちたり欠けたりするのが印象的でしたり、階段やゆるやかなスロープが立体感と奥行きを作り出していました。

舞台機構にはないセリのような仕組みがありましたが、かなりのスピードで上下するので驚きました。
生徒さんは怖くないのか、動力が何なのか気になります。
まさか人力?なんてことはないですよね。

キャストごとの感想は次に続きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ランキングに参加しています。
ポチッとしていただたらうれしいです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ