観劇の感想

雪組「ハリウッド・ゴシップ」キャストごとの感想

おはようございます。ヴィスタリアです。

KAATで観劇した雪組「ハリウッド・ゴシップ」のキャストごとの感想です。

いつもの通りヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れておりネタバレに該当することも書いております。

コンラッド・ウォーカー/彩風咲奈

主演の咲ちゃん、かっこよくてスターのオーラがキラッキラに弾けていて眩しかったです。

オーダーメイドの最高級スーツ、タキシード、黒燕尾と咲ちゃんの長い手足とすばらしいスタイルを存分に活かした「男役のこれが見たい」という衣裳にキレキレのダンスが観られて眼福でした。

(映画撮影シーンのマタドールは「哀しみのコルドバ」が思い出されて感情があふれそうになりました。)

芝居も歌も公演を経るたびにものすごいスピードで進化されているのを感じますが、今回も咲ちゃんの芝居がていねいになり歌がうまくなっているのを感じました。

今作はコンラッドが置かれる状況によって人が変わるような変化を見せてくれたのが特に印象に残りました。

エキストラ時代は純朴そうで不器用そうな青年だったのがスターになると思いあがり驕り、周囲と衝突するようになるこの感じの悪さと、
コンラッドが抱えることになったしまった焦燥や孤独を見ることができ、ギャップがたまりませんでした。

純朴さは咲ちゃん自信の真面目さと重なり、映画スターになっていく過程の純粋な喜びは咲ちゃんのスター性と笑顔が弾けていて、その後は苦悩はていねいさが光り、いろいろな咲ちゃんを見ることができました。

一度で何度でもオイシイ作品、役なのかもしれません。

エステラ・バーンズ/潤花

ダイナーのウェイトレスをしているところをジェリー/彩凪翔に見いだされて映画のヒロインに抜擢されたエステラ/潤花は個性と聡明さと思いやりのある女の子です。

シンデレラストーリーを体現していながら彼女は誰にも媚びず、ジェリー/彩凪翔にもコンラッド/彩風咲奈にも礼儀正しく距離を取るあたり、自立していて自尊心と自信がちゃんとあるヒロインだと思いました。

(それがこの作品のポスターに表れているのかもしれません。)

またエステラはよく気がつき、優しさもあふれていてダイナーの客へのまなざしはあたたかく、
撮影現場ではジェリー/彩凪翔の様子がおかしいこと、助けが必要であることを察知してフォローしようと尽力しています。

幕が開いてからエステラが登場するまでが長いのですが、映画出演が決まってもダイナーでの仕事を続けたり、苦労が多かったであろう生い立ちの話し方からエステラの個性さ聡明さが伝わってきたのは、じゅんはなちゃんの役づくりと演技あってでしょう。

自分をしっかり持っているエステラだからこそコンラッド/彩風咲奈に抱いた誤解をどう払拭し心を開くことになったのかを描いてほしかった、見てみたかったと思います。

じゅんはなちゃんの演技をしっかり見たのはこれがほとんど初めてなのですが、歌も安定していましたし劇中劇「サロメ」のダンスがすばらしかったです。

フィナーレのデュエットダンスで咲ちゃんと踊っていたのも素敵でしたが、「サロメ」のオラオラ煽る系のダンスの方が溌溂と輝いていると思いした。

このデュエットダンスのまとめ髪とドレス姿はとても美しかったのですが、本編の髪型やドレスの着こなしがしっくりこないと言いますかちょっと野暮ったく見える気がしたのですが、
初ヒロインに抜擢されたばかりのエステラですからそれも計算されてのことなのかもしれません。

ジェリー・クロフォード/彩凪翔

咲ちゃんのスターのオーラが眩しいと書きましたが、凪様の男役のかっこよさもギラッギラにまぶしくて、個性・持ち味の異なる咲ちゃんと凪様がぶつかる芝居は見ごたえがありました。

アマンダ/梨花ますみに見出され愛人になってのしあがっていったジェリーのギラギラ感とすでにスターとなりスタジオで暴君のように振舞う俺様感や存分に押し出された一幕は黒っぽい役ですが、
いいですよねえ、黒い役の男役さんって(ため息)。

その傍若無人なジェリーが劇中劇(映画ですが)「サロメ」の撮影が始まるあたりから別の一面が押し出され、それは物語の大きな転換点となります。

「サロメ」でジェリー/彩凪翔が演じる好色な王「ヘロデ」は髭をはやし長髪に王冠をかぶりコスチューム物風な衣裳で苦悩したりサロメに迫ったりするのですが、これがまためちゃくちゃかっこいいんです。

映画スターのジェリーもいいけれどヘロデ王もかっこよくて一つの作品で何度でもオイシイと、咲ちゃんと同じく思いました。

さらに2幕になり物語が動くとき、ヘロデの鬼気迫る演技の緊張感とジェリーの脆さと危うさは、マリオ/煌羽レオの不吉さもそうですが、劇場の空気を塗り替えるような凄みがありました。

(話がそれますが、これを見たとき凪様にハムレットを演じてもらって「尼寺へ行ってしまえー!」とどん底まで突き落とされたいと思いました。)

またフィナーレでは黒燕尾で踊る最高にかっこいい凪様を「Music Revolution!」に続いて見ることができて最高にときめきました。

一つ言うなら、かっこよくていい役だったのに娘役さんとちゃんと絡むような場面がなかったのが残念で、アマンダとの蜜月(たとえ見せかけでも)やエステラを見出した場面などを見てみたかったです。

アマンダ・マーグレット/梨花ますみ

長らく雪組組長を務められ専科に組替えになったみとさんですが「壬生義士伝」に続いての雪組公演の出演となりました。

この往年の大女優アマンダ・マーグレットがみとさんでよかったと心から思う名演で、大物女優の圧倒するような存在感と貫禄、年を経ても失われない華やかさがありました。

アマンダはこの作品のもう一人のヒロイン的な重要な役で、「グランドホテル」のグルシンスカヤとフラムシェンを連想しました。
アマンダもグルシンスカヤも盛りを過ぎたアクトレスでエステラもフラムシェンもこれからデビューする(あるいはデビューすることを夢見ている)女の子です。

正直ジェリー・クロフォード/彩凪翔のパトロンをしていたのなら雪組の上級生娘役がキャスティングされてもいいのでは?と思っていたのですが、
アマンダはもっと年齢と経験を経ていないと演じられない役でした。

グルシンスカヤよりもさらに年齢を重ね、第一線どころかスタジオ中から締め出されるという哀しい経験をしているのがアマンダなのです。

だからこそジェリー/彩凪翔を愛してしまったこと、彼の裏切り、彼への復讐が悲しいのです。

ジェリーに悲劇が起きた後、雷の鳴る暗い大屋敷でシルエットだけで演技をするシーンで、コンラッド/彩風咲奈に突きつけられたセリフとともに雷で照らされて明るいところへ引きずり出される(比喩的な意味です)演出は白眉でした。

濃いアイシャドウやアイラインが流れて顔を汚すのもかまわずに立ち尽くすアマンダと背中から抱きしめるコンラッド。すばらしい場面でした。

ハワード・アスター/夏美よう

映画会社エンパイア・フィルム社の名物プロデューサー、ハワードはっちさんの独特の声と厚みのある演技を堪能することができました。

ダブルのスーツに正装のタキシードのかっこいい、正統派なオジサマのはっちさんを見られてうれしかったです。

はっちさんご自身が「おとめ」の好きな役に挙げている「グランドホテル」のオッテルンシュラーグ医師や「ひかりふる路」のタレーラン・ペリゴールのような一癖も二癖もあるような役を期待していたのですが、ハワードはもっとわかりやすい、即物的な人物でした。

しかしはっちさんがすごかったのは悲劇が起きた後、コンラッド/彩風咲奈に新しい契約をもちかけるところです。

ハワードが人として大切なことが見えていなくて、目先のことにとらわれ本当に大切なことを見失っている人物の悲しさや空虚さが短いやりとりで突き付けられました。

こういう深みがあるのはやはり専科さんのすごさだと思いました。

マリオ・コンティーニ/煌羽レオ

コンラッドのエキストラ仲間のマリオは、同じく仲間のラリー/縣千トーマス/眞ノ宮るいとトリオでつるんでいる場面が多いです。

それがガラリと変わるのが2幕です。

「ハリウッド・ゴシップ」という作品は起承転結の結が性急ではあるものの、「起承」のていねいさと「転」の意外性はよかったというのがヴィスタリアの感想であることは前記事で書きましたが、
その「転」をもたらすのがマリオ/煌羽レオ不穏さと隠し切れない凶暴さだと思います。

トリオでわちゃわちゃしていたマリオが一人になり本性を表したとき、舞台の空気が一気に不穏なものになってザワザワと肌が粟立つような、追い詰められる感覚を受けました。

カリ様演技で舞台の空気をこんなにも不安で禍々しいものに変えることができるのだと、あらためてカリ様の芝居から目が離せないと思いました。

ヴィスタリアは「凱旋門」が雪組初観劇で”死の鳥”マルクスのカリ様に目を奪われたのですが、こういう役が本当にうまいですし好きです。

ダイナーの女主人/早花まこ

ぶっきらぼうで客あたりが強くてちょっと怖いダイナーの女主人/早花まこですが、本当は常連客やエステラ/潤花を思いやる優しさとあたたかさを心に持っています。

存在感がすごすぎて笑わずにいられない、きゃびぃさんの芝居巧者っぷりがよくわかる役でした。

あまりの存在感で正直、場面のなかで女主人の占める割合や色をワントーン抑えてもよいのではないかと最初は思ったのですが、コンラッド/彩風咲奈に言い放った「口説くの下手だね」の一言が絶妙でこれでよかったのだと思いなおしました。

この作品のスパイス的な役で、もしもダイナーの女主人が最後のシーンにいなかったらずいぶんと物足りないものになっていたと思います。

その他のキャスト

一言ずつですが触れさせてください。

◆ロバート・バークリー/真那春人
上手ですねえ。ガチャガチャとウルサイ存在感のある監督役がはまっていました。

そして台詞はありませんがダイナーの客の演技が見事でした。

ヴィスタリアは3階最後列で観ていたのですが、フィナーレの男役の黒燕尾で一人ぐっと腰が低くてかっこよく踊る方がいてまなはるさんしかいない!とオペラをのぞいたらやはりまなはるさんでした。

◆ラリー/縣千
笑顔が眩しかったです。
フィナーレの黒燕尾で凪様と組んで踊りまくるのがかっこよかったです。

もう一つの雪組全国ツアー「はばたけ黄金の翼よ/Music Revolution!」は観劇が叶いませんでしたが「ハリウッド・ゴシップ」を1回でしたが熱演の舞台を観劇できてほんとうによかったです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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