観劇の感想

星組「バレンシアの熱い花/パッション・ダムール・アゲイン!」役ごとの感想と星組の魅力

こんばんは、ヴィスタリアです。

星組全国ツアー「バレンシアの熱い花/パッション・ダムール・アゲイン!」を市川市文化会館で観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で作品の内容に触れています。

星組全国ツアー「バレンシアの熱い花/パッション・ダムール・アゲイン!」役ごとの感想

作品については観劇直後の興奮冷めやらぬままに書きましたので役についても熱いうちにまいります。

◆フェルナンド・デルバレス/凪七瑠海
お芝居もショーも宝塚歌劇のすばらしさを全国に伝えたいというカチャさん(凪七瑠海)の気迫がすごくて、そして楽しんでいるのも伝わってきました。

こんなに心が燃えていて巧いのですから泣くなというほうが無理でしょう。

「バレンシアの熱い花」の幕開きは真っ赤に照らされた背景に真っ黒なシルエットが浮かび上がり、寺田先生のあの曲で始まります。

この浮かび上がった真っ黒なシルエットだけでフェルナンドがかっこいいのがわかって、
そして声量豊かなビシビシとしびれるような歌声、込められた気迫に始まったばかりなのにうるうるしてしまいました。

このプロローグのシルエットの5人、全員がかっこよくてポーズを決めたであろう振付のANJUことヤンさん(安寿ミラ)はどんなふうにお稽古場で振付けたのかな…と考えたりしました。

89期ですから学年としてはかなり上なのにちゃんと若き復讐に燃えて恋に悩む青年の青さがあり、
しかも身勝手な残酷さ(それも無自覚というか自覚した上でも自分を変えない、変えられない)が伝わってくるのはさすがです。

黒い天使のマントを翻しての立ち回りも優雅、優美でありながらキレがあって見入りました。

何よりまいってしまったのがイサベラ/舞空瞳とのキスシーンのうまさです。

自分はセンター寄りの下手ブロックで見ていたのですがカチャさんの美しい手での隠し方といい顔の角度といい、まるで本当にしているように見えて(←そんなわけないのはもちろんわかっていますよ)、
こんなにうまいキスシーン見たの、いつ以来だろうとドキドキしっぱなしでした。

しかも美しいんですからもう……はぁ(←思い出してため息)……すごいものを見てしまいました。

また美しいといえば「バレンシアの熱い花」は薄井香菜先生のお衣装がいずれも凝っていて美しくて、カチャさんの超絶スタイルが一層際立って目から幸せでした。

「パッション・ダムール・アゲイン!」はバウ「バレンシア・ダムール」で大感動したのでまたこうして観られてうれしかったです。

「アディオス・パンパミーア」のガウチョにハット、鞭のダンスの巧さも目が離せません。

今回新しく加わった名場面「ノスタルジア」の軍服、ドレスシャツの耽美さもうっとりでした。

◆イサベラ/舞空瞳
なこちゃん(舞空瞳)がプロローグで登場した瞬間からこれぞ、という堂々たる輝きがあまりにも眩しくてスターとはこういうことだと思いました。

拍手もすごかったですしもちろん自分も大拍手しました。

長身小顔のカチャさんと並ぶとなこちゃんの驚異的にすばらしいスタイルも眩しくて、
フリルたっっっぷりのスパニッシュなお衣装の着こなしもダンスも美しかったです。

そしてこのプロローグでなこちゃんを階段から抱きかかえるようにしておろすカチャさんのかっこよさ、
からのキスする口元を扇で隠す振付、ヤンさんの振付って本当にツボを押さえていて大好きです。

イサベラで一番好きだったのは酒場で歌うフェルナンドの長~~~い脚にもたれかかるときの、夢と恋に耽る情熱的な表情。

この酒場でのやりとりでイサベラとフェルナンドがどんな関係なのかも伝わってくる何気ない台詞のやりとりがうまいな…と思いました。

ふと「フィレンツェに燃える」の難役ヒロイン パメラをいまのなこちゃんで見てみたいと思いました。
きっと見事に演じてくれるでしょう。

「パッション・ダムール・アゲイン!」ではなんといってもBAD POWERからのイヴのキラキラのスリットドレス!

座り込んでビシッと綺麗に上げたの足捌方に、ああ、このイヴを待っていた…!と心のなかで喝采を送りました。

「ロマンス!」の曲をカーテン前で歌うときの、ロマンチックレビューならではの大きなお帽子にパステルカラーのドレスのなこちゃんを見られたのもうれしかったです。

◆ラモン・カルドス/瀬央ゆりあ
せおっち(瀬央ゆりあ)という男役はなんて楽しそうに舞台に立つのでしょう。

なんて客席を楽しませて幸せにしてくれるのでしょう。

娘役さんを素敵に見せ、作品の魅力を深めてくれるのでしょう。

まだまだ星組にいてね、いなくてはだめよ…と思いながらせおっちを観ていました。

ラモンまだいい人でありいい男なんですがせおっちがこの作品の中でラモンをそう息づかせているんだと思いました。

ラモンをせおっちで観ることができて本当によかった…としみじみせずにいられませんでした。

そして愛するイザベラを抱き寄せながら「今こうして抱きとめていても彼女は俺のところには来ない」とわかっているのが伝わってきて泣けました。

ちょっとコミカルな場面もやりすぎにならないところが好きで、自然と笑いを誘われました。

声も以前よりずっとずっと出ますし、ショーで歌っているとき本当に楽しそうでこちらも楽しくなりましたし、白燕尾の「All By Myself」、滲みました。

「BAD POWER」のアダムはもう最高にかっこよかったです。

◆ロドリーゴ・グラナドス/極美慎
ここにも長身小顔の超絶スタイルの男役スターさんが。

かりんちゃん(極美慎)カチャさんと、なこちゃんと、
水乃ゆりちゃんと、並ぶとまるで絵のようです。

今までより一層表現が深く、丁寧で心情が強く伝わってきました。

それはシルヴィア/水乃ゆりもそうで、後々振り返ったときにお二人のターニングポイントとなる作品、役との出会いだったのでは…と思いました。

ゆりちゃんは声も今までよりすんなり耳と心に届いて何かが変わったと感じました。

かりんちゃんの歌も以前よりずっとずっと声が出ていると感じましたし、ショーのパラダイスの歌手(青いりんごを投げる)も任されていました。
「1789」のロベスピエール、楽しみにしています。

ロドリーゴ、シルヴィア、ルカノールの関係性の悲劇、残酷さが大好きなので、美しくて心の伝わってくるロドリーゴとシルヴィアでうれしかったです。

◆ルカノール公爵/朝水りょう
配役が発表になったときから楽しみにしていました。

悪くて、酷くて、下衆いことをしているのにちっともそう思っていなくて、髭がお似合いで、大変かっこよかったです。

ショーでは何度も目線の先に朝水りょうくんがいるということがあり、金髪にピンク味のある口紅が大変な美しさでした。

「BAD POWER」はかっこよすぎてどうにかなりそうでした。

◆ドンファン・カルデロ/天飛華音
ちょっと得体の知れないところのある人物と正体がわかったときのドラマ、両方うまいなあと思いました。

踊っているとうまくて目に飛び込んできますし、歌っても巧くて、何でもできるカノンちゃん(天飛華音)のすごさをあらためて感じました。

ショーのドレス姿はどきどきしてしまいました。

今回こうして感想を書きながら、星組は熱くて暑くて燃えていてパッション!ですが、
そうした燃えたぎる魅力に加えてノスタルジックな耽美さも大きな魅力であることを実感しました。

宝塚歌劇をますます好きになり、そして星組をあらためて好きになった全国ツアー観劇でした。

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