観劇の感想

宙組「HiGH&LOW/Capricciosa!!」5列目で見えたもの(観劇の感想)

こんばんは、ヴィスタリアです。

東京宝塚劇場で宙組「High&LOW/Capricciosa!!」5列目下手側という前方席で観てきました。

大抵は2階の天辺で観劇することが多く貴重な観劇体験となりました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で作品の内容に触れています。

宙組「HiGH&LOW/Capricciosa!!」5列目で観劇して初めて見えたもの

SS席で観劇したことは数回ありますが、1階の前方席、花道が目の前の席で観劇するのは初めての経験でした。

前方センターのSS席とはまた違う観え方、観劇の感動がありました。

いつもは2階のA、B席で観劇することが多く、たまに1階に座れても真ん中より後方なので、友の会の当選結果で5列1*番という文字を見たときからスマホを持つ手が震えていました。

観劇日が近づいてくると外部の舞台の公演中止の報を見かけるようになってきたこともあって、
「どうかどうか無事に観劇できますように。宙組公演がこのまま完走できますように」と祈るようような気持ちでした。

いざ当日着席すると銀橋の近さ、花道の近さにマスクの下で思わず変な笑いが漏れてどうにもニヤついてしまう…マスクがあってよかったです。

上手側を見上げると壁面に備えつけられた照明のライトが見えて、東京宝塚劇場でこの壁面のライトが並んでいるのを初めてしっかりと見たことに気づきました。

他の劇場だとサイド席に座ったりする機会があるのでこういうライトが見えますが東京宝塚劇場は客席のカーブや緩やかなので見えにくいのでしょう。

この照明の見え方が全然違うのが幕が上がると一層印象的でした。

「HiGH&LOW」の冒頭でナレーター/寿つかさが銀橋の下手側に立つ近さに興奮し、スーツのシルエットの美に目を奪われました。

そして銀橋にスターさんが出てきて照明があたると鮮烈で美しい照明が作り出す陰がとても濃く見えることを初めて知りました。

この近さ、横からだからこそ見える光と陰の美しさに、宝塚GRAPHのSTAGE SIDE WATCHのような、正面、どセンターとは違うアングルの美があることを知って感動していました。

ショー「Capricciosa!!」のプロローグでゆりかさん(真風涼帆)が白いジャケットを脱いだとき内側のなんとも言えない紫色の深さと
ゆりかさんの横顔の陰影を濃くして美しさが際立っていたのに息をのみました。

またナポリの場面で銀橋上手側に出てきたかのちゃん(潤花)のノースリーブのドレスの首元~上腕に生み出された陰影には
かのちゃんの鍛え抜かれた舞台人、ダンサーの美しい筋肉がよくわかってはっとしました。

デュエットダンスが終わって銀橋の中央でお辞儀をした後、ゆりかさんかのちゃんにものすごく信頼を寄せている笑顔が見えたのもときめきました。

今まで見えなかったものが見えたのは劇場の造りにもありました。

花道を走り抜けるようにして生徒さんが捌けていくとき、上手側を見ていると花道の奥に青いライトが光っていて、生徒さんたちがその青いライトめがけて走って捌けていくことを初めて知りました。

生徒さんが捌け終わると黒い幕で青いライトは隠されました。
こんなふうになっているんだ…!と劇場の秘密を目にして興奮してしまいました。

あちこち見たくて目が足りませんでしたが、銀橋よりも花道がすぐ目の前なこともあって花道の生徒さんを見ていることも多かったです。

舞台奥から一斉に走り出てくる生徒さんたち、花道に一人で立つ上級生、立ち回りでエネルギーを迸られる生徒さん…近くで見ることができて幸せでした。

ショーのプロローグ終わりの男役さん勢揃いで花道の2列目にいた織史青くんがとっても綺麗で目を引かれました。

度肝を抜かれたのが「HiGH&LOW」のプロローグで一番最初に登場するグループ鬼邪高校の村山良樹/鷹翔千空が目の前で見せたかっこよさと凄絶さでした。

こってぃ(鷹翔千空)の何がすごいって、他のグループが登場してからの総踊りになるまでの間、身じろぎ一つせず、微動だにせず、瞬きもまったくしなかったんです

村山のアイスブルーの目元とあいまって氷の世界で捕食者が獲物が来て牙を剥く瞬間まで、凍りついたように魂も衝動も、呼吸さえも押し殺して気配を消して待ち構えているイメージを抱きました。

ほかの鬼邪高校のメンバーは足を組み替えたり瞬きをしたり動いていたので、その中であえてこってぃが不動の表現を貫いていることに村山の凄みが伝わってきました。

またこってぃはショーでも熱めの視線をじっ……と長く客席に落としてくれて、これがもう~~~~かっこよくて!

一度たしかに目が合って(勘違いでも信じます。その方が幸せなので)昇天しそうでした。

かっこよさにまいったと言えばキキちゃん(芹香斗亜)を忘れてはいけません。

自分は宙組ではキキちゃんの役に染まり切る芝居と歌の巧さにまいっているのですが ROCKYもかっこよくて痺れました。

仮面舞踏会の場面で階段上のROCKYがサングラスの向こうで見下すような冷たい目をしていたのをオペラグラスでしっかりはっきり目撃しました。

またショーのカタリ、カタリの場面では下手側でのかのちゃんとのやり取り、表情がよく見えて眼福でした。

最後に背を向けてかのちゃんが自分のところへ戻ってくるのを待っているときは逆に表情は見えなかったのですが、
背中だけで狂おしい嫉妬が燃えているのがわかるようでした。

さて。
前方花道前で観劇してもっとも意外だったのは自分の心に起きたことでした。

「Capricciosa!!」の中詰めで銀橋に生徒さんがずらりと勢ぞろいしたとき、目の前でわんた(希峰かなた)が、きらっきらの、前回の笑顔でずーーーっと楽しそうにしながら全力で歌い踊っていたんです。

あんまりにもわんたが笑顔で楽しそうなので自分も目一杯の笑顔で見つめながら手拍子をしました。

99期のわんたはこの公演で退団されます。

こんなに全開の笑顔でめいっぱい舞台に立ってご卒業していくんだ…と思ったらなんだかたまらなくなってきて、
次のロケットではきよちゃん(優希しおん)の驚異的なパフォーマンスに圧倒されながら目の前の、一番下手側でにっこにこの笑顔で決めポーズをしている生徒さんがまぶしくてまぶしくて。

この辺りからなぜだかわからないけれど涙があふれるのを止められない状態になっていました。

「ローマ」の場面は手拍子をしなくちゃと思うのですが心がもう満杯でただただ見ることしかできませんでした。

今の宙組を観劇できるのは今日が最後、わんたあーちゃん(留依蒔世)もやめてしまう、
次の「カジノ・ロワイヤル」ではゆりかの(真風涼帆・潤花)もやめてしまう――という寂しさとはまた違う感情が涙になってあふれました。

ものすごくシンプルなのですが、ただただ舞台芸術としての宝塚歌劇が、宙組があまりにもすばらしくて感動して泣いていたのだと思います。

自分が宝塚歌劇が好きになれてこうして今、目の前の舞台から、生徒さんから届けられるすべての美と芸、思いと表現を受け取っていることに心を揺さぶられて泣かずにいられませんでした。

近いだけあって生徒さんが発するエネルギーのすごさが手に取るように伝わってきましたし肉眼で見ることができましたが、
こんなにも全部で表現をされているから二階の天辺から観ていても輝いているのがわかるし感動するのだなと思い至りました。

こんなふうに自分が泣くとは思っていなかったので(もっとミーハーにきゃーきゃー興奮しながら見ると思っていたんです)驚きました。

宝塚歌劇を好きになれて、今日のこの舞台を見られて本当によかった…という感動で満たされて劇場を後にしました。

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