観劇の感想

月組「ON THE TOWN」 1944年のわずか24時間の恋物語

こんばんは、ヴィスタリアです。

2019年の初観劇は月組国際フォーラム「ON THE TOWN」でした。
明るく楽しいミュージカルで今年の観劇が始まりうれしいです。



今年もヴィスタリアの独断と偏見、偏愛に満ちた感想を書いてまります。

なお今回は3階のセンターブロックという全体が見わたせるB席で、ヴィスタリアにとっては良席での観劇でした。

芝居の月組バンザイ! キャラクターたちの作りこみが楽しいミュージカル

昨夏の「雨に唄えば」に構成などは近いミュージカルだと思いました。
多彩なナンバーがあり、そして想像の場面があることが共通の特徴でしょう。

キャストごとの感想で後述しますがこの想像の場面のナンバーがすばらしかったです。

そういった歌、ダンス、フィナーレと今回も存分に楽しく観ました。
バウ「アンナ・カレーニナ」組と2分割で出演者が減っている分生徒さんはハードなのではないでしょうか。

「ON THE TOWN」も「雨に唄えば」のように個性的でおもしろい人物がたくさん登場しますが、皆それぞれおもしろくてクスクスと笑いました。
クスクスは舞台が進むについれてだんだんと大きくなり、いくつかの場面では声を上げて笑いました。

月組さんの芝居に人物たちの緻密な作りこみ、その人物を演じることと笑いをとることに本気の熱さと貪欲さをヴィスタリアは感じます。

作りこみ具合はプログラムのポートを見ただけでも伝わってくるのですが、個性的な人物たちに「こういう子いる」「こういう人、いるね」と深くうなずきたくなりました。

舞台のどこをとってもそんな役者さん(と言いたくなりますが生徒さんですね)ばかりで、ナンバーのレベルは高くて気持ちが入っていて、宝塚の舞台はいいなあとあらためて思いました。

今年もこの「ON THE TOWN」から始まり多くの舞台を見るのが楽しみです。

1944年のわずか24時間の恋物語 再会する日は来るのか?

「ON THE TOWN」は宝塚歌劇では珍しい作品かもしれないと思ったことがあります。
恋の描かれ方、特に結末がわりとあっさりしているのです。

劇中ではラブシーンもありますしロマンティックな場面もありますが、幕引きは永遠のハッピーエンド、幸せな恋の完全な成就ではありませんでした。

終演後の挨拶でたま様(珠城りょう)が「この作品はただ楽しいだけでなく、この時代に生きた人のメッセージを感じていただけたら」というようなことをお話しされていました。

ヴィスタリアはシンプルにこのミュージカルを楽しんで観ていたのですが、あらためてプログラムを見るとこんな説明書きがありました。

1944年、ニューヨーク、早朝6時――。
海軍水兵のゲイビーは、仲間のチップ、オジーとともに初めての大都会、ニューヨークの波止場に降り立った。
(中略)
上陸許可を得た24時間を遊び尽くそう!
ゲイビーだちは意気揚々と街へ繰り出していく。……

第二次世界大戦中のアメリカ海軍兵たちが得た陸でのわずか24時間の自由時間の物語だと思うと、ただ楽しいミュージカルと一言では評せないと思いました。

ゲイビー、チップ、オジーたちが乗船していた軍の船はどこから来てこれからどこへ行くのか。

運命の出会いをしたはずの3組のカップルたちは再会の約束をしてなぜあっさりと別れることができるのか。
このあっさりとした別れはは何に由来するものなのか。

宝塚歌劇は愛と夢の世界で運命の出会いはすなわちハッピーエンド、恋人たちは永遠にともに…という結末を迎えることが多いと思うのですが、そういう(ある意味で都合のよい)運命が再び引き合わせてくれるから今はあっさりと別れられる、というわけではないと思うのです。

24時間で偶然にも運命的な出会いをしたカップルたちだからまたきっと出会えると信じさせてくれるのが宝塚ですが、舞台では描かれていない戦争の背景にヴィスタリアは思いをはせたくなりました。

3組のカップルのうちオジー/風間柚乃とクレア/蓮つかさの恋はやや即物的に始まりますが、これも宝塚では珍しいような気がします。
しかしオジーが軍の従事者であることにフォーカスするとこんなふうに歌うのもわかるような気がします。

帰ろうぜ 紀元前に
すべてを忘れ 悩みなどなく
自然に帰り 今 ありのまま
ハートを奪われ カラダがしびれる

宝塚なので3組のカップルたちの運命の再会を信じますが、舞台では直接的には描かれていたわけではないのですが、時代背景と人物の背景から刹那的な一面をイメージせずにはいられませんでした。

たまさく(珠城りょう・美園さくら)コンビのプレお披露目で感じた相性のよさ

たまさくコンビは昨夏「雨に唄えば」ですでに組んでいますが、この「ON THE TOWN」がトップコンビとしてお披露目となりました。

劇中でたまさくが踊ったりフィナーレでデュエットダンスをしているのを見ると、体格のバランスがよく雰囲気もあっていていいコンビだなと思いました。
「雨に唄えば」のときよりしっくりと自然なお2人に見えたように感じました。

また、たま様の見せてくれる表情がちゃぴちゃん(愛希れいか)のときとは違うふうに見えて、もちろんちゃぴちゃんとのコンビもよかったですが、新鮮に感じました。

たま様が下級生でトップ娘役になったばかりのさくらちゃんをリードしている包容力、大らかさ、「大丈夫だよ」とすべてを受け止めている余裕が優しさになってお顔に出ていると思ったのです。

たま様はトップになって3年目。
さくらちゃんを相手役にこれまでとはまた違う魅力を見せてくれるのが楽しみです。

キャストごとの感想は次の記事で書きたいと思います。

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