観劇の感想

月組「ピガール狂騒曲」キャストたちの感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

月組「ピガール狂騒曲」のキャストごとの感想です。

いずれも独断と偏見と偏愛に満ちたもので作品の内容に盛大に触れています。

ジャック・バレットとヴィクトール・バーレンベルク/珠城りょう

男女2役を演じるたま様(珠城りょう)

ジャックジャンヌという女の子が一生懸命男装しているがわかり、
ヴィクトールはすべてを手にした御曹司でかっこよくてさすがの演じ分けでした。

とにかくジャンヌのたま様がかわいいのが最高でした。

メイクもふんわりした雰囲気と色味で、仕草も立ち方も女の子で、それもピュアでシャイなのが伝わってきて本当にかわいいです。

シャルルのムーラン・ルージュに懸けた夢を聞いているうちに共感してときめているのは客席できゅんとしました。

たま様は男役として結婚したいと思わせる包容力と日常にいそうで絶対にいないかっこよさがあって
それが少女漫画のヒーローのようだと思うことがあります。

今回女の子の役を演じていても、日常の、隣にいそうで絶対いないかわいらしさが少女漫画のようだと思いました(男装して潜入するのも少女漫画でよくあるネタですし)。

影武者をうっちー(蒼真せれん)が見事に演じ、たま様によく似せていますがプログラムにお名前がないのが解せません。

ときどきたま様だと思って観ていたら「あ、いまのはうっちーだったのね」と思うくらい似せていてすばらしいです。

ガブリエル・コレット/美園さくら

黒✕白のストライプも黒一色もドレスのほっそりとしたスタイルで着こなすのが美しく、見る度に垢抜けてすてきになっていくさくらちゃんです。

ガブリエルは「I AM FROM AUSTRIA」エマ・カーターに続く当たり役だと思いました。

さくらちゃんはこういう美貌と発散するエネルギー値が高い、華やかな女性が似合いますね。

作家としての知的さと自分の心を大切にしていて、夫ウィリーを断固拒絶したりジャックにわかりやすく一目惚れしたり、表情豊かでチャーミングでした。

この作品はミュージカルと銘打たれていますし、夫のゴーストライターをやめて自ら本を書こうという意欲と自立心のあるガブリエルのソロナンバーが少ないのは残念です。
それも歌うまのさくらちゃんなのですから。

以前はセリフ回しの癖が気になったのですが(エマ・カーターのときはそれがプロフィールを隠していることにも繋がっていて活かされていたと思いますが)、
今回それはなくなっていたように思います。

シャルル・ジドレーヌ/月城かなと

月組に組替えになってから本公演ではどこか抜けたところのある役を振られることが多いれいこちゃん

今回のシャルルも仕事のためならなりふり構わず捨て身でぶつかっていきます。

このコミカルさ、猪突猛進具合はこれまでの役の系譜に連なるように思えましたがシャルルはそれだけではありません。

ムーラン・ルージュの支配人として成功しているように見え身なりは整っていますが、決して楽に生きてきたわけではありません。

貧しい育ちのシャルルがようやく叶えた夢であり命をかけている仕事で、だからこそスタッフや踊り子たちを大切にしているーーこのギャップがたまりません。

そりゃあジャンヌ(ジャック)だってときめいてしまいますよね。

客席で「わかる、わかるよジャンヌ」と深くうなずきながら2人のシーンを観てときめきました。

れいこちゃんのこのギャップの演じ具合が見事で、演技だけでなく歌の深い表現力と技術にも深く引き込まれました。

これはシャルルの物語ではないかと思うくらい、れいこちゃんの訴えるものと美しさと歌が心に残りました。

ジャックを説得する際のロングトーンは圧巻!でしかもまだ余裕があるそうですが(宝塚GRAPH12月号トークDx)
どんどん長くなっていっているんでしょうか。

「NOW! ZOOM ME!!」ののぞ様(望海風斗)のロングトーンもすごかったですけれどれいこちゃんもすごいです。

何でもできるスターさんの安定感と魅力が一層増したように思います。

美貌を髭と鮮やかなオレンジ色のコートが際立たせていました。

ウィリー(アンリ・ゴーティエ=ヴィラール)/鳳月杏

髭のイケメンがここにもいます。
長い手脚で着こなす衣装の美しいこと。

そして長い脚で繰り出す飛び蹴りの見事なこと。
空中で止まっているのでは!?

隣に控えるフィリップ/夢奈瑠音も超絶スタイルなので見惚れてしまいます。

小心者で生真面目なフィリップもいいキャラクターで、くるくるに巻いた前髪がるねくんの小さなお顔によく似合っていて好きです。

ちなつさん、本当に上手ですねえ。
コミカルさに自然と笑いがもれます。

ちなつさんの存在感と絶妙なおもしろさで成立している(場面転換がすんなりいっている)部分があるのではと思います。

ただ役不足といいますか「I AM FROM AUSTRIA」とやや印象の重なる役どころなのがもったいなくて、
原田先生が枠組みを借りたという「十二夜」にはない役だからこそそう思うのかもしれません。

フィナーレの黒燕尾は2階16列からの遠目にも完璧なかっこよさで、ちなつさんを目で追っていることが多かったです。

ラ・グリュ/海乃美月とレオ/暁千星

ムーラン・ルージュの踊り子たちのなかで一際目立つ花形のお2人です。

レヴュー仕立てのミュージカルということでレビューシーンでは適材適所ですが、芝居としては役不足の不満が残ります。

ラ・グリュ/海乃美月は群青色の衣装に巻いた金髪が美しいです。

稽古着姿で踊り子たちの中にいても目立ちますし、カンカンの黒✕白✕赤の衣装もよく似合い渾身のターンを見せてくれます。

うみちゃんの身のこなしの美しさとたおやかさ、そしてスカートさばきは至宝です。

カンカンでもフィナーレでもそれを堪能することができました。

レオ/暁千星はムーラン・ルージュのスターダンサー、カンカンでは見事なピルエットを披露しています。
圧巻!で客席から大きな拍手が贈られました。

金髪をきっちりとしセットしてなでつける仕草がたくさん見られるのですがその度に悲鳴をあげそうなくらい
ありちゃんが色気とオーラを放っていて大変なかっこよさです。

フィナーレの歌手では雰囲気たっぷりの歌をじっくり聞かせてくれます。

「WELCOME TO TAKARAZUKA」に続いてありちゃんの魅力にどっぷり…やられました。

いつの間にかすっかり大人っぽくなって色気もオーラもあり、実力も備わっていて今後が一層楽しみです。

その他の役

一言ずつですが触れさせてください。

◆ボリス・デュポン/風間柚乃
なんでもできるおだちんで、大いに笑わせられました。

が、なんでもできるからこそ、こういう出落ちのような笑いのとり方はもったいないのでは?と思わなくもありません。
(おだちんのせいではありません)

ジャックが男装しているならボリスは女装しているわけで、この2つのとりかえばやが効果的に絡むと作品が一層おもしろいものになったようにも思います。
(これももちろんおだちんの問題ではありません)

◆アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック/千海華蘭
からんちゃんの化けっぷり、なりきりっぷりには感嘆せずにいられません。
ブラボー!!

あの長~い脚をどうやってあんなに短く見せ、背も低く、年も上に見せているんでしょう。

アルコールにどっぷり溺れている酔っぱらい具合といいロートレックのなりきり具合は宝塚の枠を超えているレベルだと思います。

フィナーレの黒燕尾ではちなつさんと同じく美しさと男役の技術で視線泥棒で、
ギャップにやられました。

ヴィクトールの友人で助けとなる存在は、「十二夜」においても重要な役で(セバスチャンに対するアントーニオ)、
それをロートレックにした原田先生のアイデアにはなるほどと思いました。

◆エドモン/佳城葵
月組観劇でいつも楽しみにしている大好きなやすくん

声よし、滑舌よし、芝居よし。その芝居にお人柄と知性がうかがえるのが大好きです。

シャルル/月城かなとと一緒にいることが多く、出番が多くてうれしかったです。

初日の騒動の後失踪したシャルルを心配するセリフに胸がいっぱいになりました。

◆ミシェル/光月るう
仕草、声、かき回し具合と絶妙な存在感で作品全体をぎゅっと引き締める存在でした。

プログラムのスチールからして最高ですし、サイドの髪のきちっとしている感じが好きです。

ただちなつさん同様、るうさんも「IAFA」のエルフィーと印象が重なりもったいないような気もします。

そしてこれもまたるうさんの問題ではまったくありませんが
宝塚はこの手の男性が男性を好きなキャラクターで笑いを取ろうとすることをやめてほしいと私は切に思っています。
(「オーシャンズ11」や「ロックオペラモーツァルト」など。
 そういうキャラクターがいることではなく、笑いにつなげていることに疑問を感じます。)

作品の感想でも触れましたが、役どころが少ない上にときに前作に重なること、特に娘役の役が少ないことをあらためて実感します。

そしてラストシーンが唐突に感じられるように脚本に描かれていないことを補ってあまりまる月組生の職人的な芝居、芸達者ぶりがこの作品の楽しみ方だと思いました。

何回か観劇する予定ですのでまた気づいたこと、感じたことなどあれば書きたいです。

読んでいただきありがとうございました。
はげみになりますので応援していただけたらうれしいです。
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