こんばんは、ヴィスタリアです。
雪組「壬生義士伝/Music Revolution」の初日を観劇してきました。
「壬生義士伝」大いに涙を誘われた
泣いた、泣きました。
嗚咽のウェーブならぬすすり泣きがウェーブのように後ろの席か押し寄せてくるのを感じました。
原作の浅田次郎氏の小説を、泣かせの浅田ですから、ラッシュの通勤電車で読みながら「ここで泣いてなるものか」と歯を食いしばっていたのですが、
舞台の目の前でこの救いようのない物語がだいきほ(望海風斗・真彩希帆)はじめ雪組生と専科のみとさん(梨花ますみ)、カチャさん(凪七瑠海)の熱演で展開されるのですから泣かずにいられましょうか。
映像化などは見ていないのですが、あまりに話が悲惨で辛いので、宝塚歌劇でこうして上演され、最後に亡くなった吉村貫一郎/望海風斗としづ/真彩希帆が花に囲まれてデュエットする場面があって本当によかったと思いました。
芝居の最後によくある亡くなった2人のデュエットシーンは、フィナーレなりショーがあるのでなくてもいい派なのですが、今回ばかりはあってよかったです。救われました。
無かったら幕間の間中、客席で放心状態だったかもしれません。
長い原作の切り取り方と娘役のこと
原作では維新から遠く離れた時代を生きる新選組、吉村貫一郎に所縁のある様々な人物が思い出を話する形で進んでいきます。
なので石田先生の全くの創作である鹿鳴館のストーリーテラーの場面が入るのは、ある意味原作を踏襲した上での石田先生のアレンジと言えるかと思います
長大な原作をうまくまとめていると思いますし、まとめたり時代背景の説明をするのに鹿鳴館のストーリーテラー的な場面が功を奏しているのも確かなのですが、一方で場面転換が多いのが気になりました。
その場面転換が音楽に頼ったものが多く、手法としては古く感じたのが正直ところです。
ひと昔前、ふた昔前の宝塚歌劇を見てみるようで、音楽に凝ったりセットや転換を工夫するなどの手法が取り入れられてもよかったのでは?と思います。
プロジェクションなど凝った装置、演出の作品が増えてきているのでそう感じたのですが、「チャチャチャーン」という音楽があまりに多用されているように思いました。
(雪組は前作「ファントム」に予算を割いていそうなので「壬生義士伝」は新しい手法はなしでバランスを取っているのかなとも思いましたが、プロジェクションなどに頼らなくてもできることがあると、別箱ですが「鎌足」などを思い出しました。)
さらに気になったのはこの鹿鳴館の場面がストーリーテラーの役割や娘役さんの出番を増やすという目的を果たす一方で、魅力的な場面となっていたか疑問に感じずにいられませんでした。
原作では大野千秋/綾凰華とみつ/朝月希和のエピソードはもっと魅力的なものがありましたから膨らませようがあったと思いますし、
原作には登場しない松本良順/凪七瑠海と妻松本登喜/千風カレンを出すのであれば、彼らが新選組をいかに見つめてきたのかなどがもっと描かれてよかったと思います。
またビショップ夫人/舞咲りんの訪日した外国人の描き方があまりにも類型的すぎるように思いました。
石田先生は「カンパニー」でも女性やシングルマザーの描き方が類型的すぎるように感じたのですが、もう少し今現在の捉え方という風を取り入れてもいいのではないでしょうか。
新選組を題材にしている上に原作からして女性の登場人物が少ないので仕方ないといえば仕方ないのですが、娘役さんの役や見せ場が少ないのも気になりました。
同じ日本物で長大な原作のあるという共通点をもつ「夢現無双」のようにストーリーに置いてけぼりにされるようなことはなく見せ場や起承転結はあったのはよかったのですが、もう一歩工夫されたものを期待したいです。
初日という特別な公演と舞台挨拶
キャストごとの感想とショーの感想は別記事にしますが、せっかくの初日観劇でしたのでそれについても書いておきたいと思います。
まず客席の緊張感、集中力、そして拍手がすごかったです。
ショーでは盛り上がって軽く歓声が入るような感じがありました。ふだんの公演ではなかなか無いので新鮮でした。
終演後の舞台挨拶ではだいもんのしっかりした挨拶、かわいい挨拶が聞けて微笑ましく、また盛り上がりました。
言葉など正確なものではなくニュアンスですが、ヴィスタリアの記憶できた限りメモ的に挙げてみます。
まず最初に「今回の公園とは関係ないのですが」と前置きがあり柴田先生のご逝去についてお話されました。
柴田先生のことをきちんと話してくれてすごくうれしかったです。
雪組としては昨年の大劇場、東京宝塚劇場の「凱旋門」が最後となってしまいました。
教えていただいたことを胸に、これからも美しい舞台を作り続けていきたいです。
東京はとても涼しいと聞いていたのですが、暑さとどうやら台風のようなものを連れてきてしまったようで…
西と東では違うので、宝塚では喜んでくださったけれど東京ではどうなのかなと(客席拍手)
相性のいい作品で、「壬生義士伝」の後には「Music Revolution!」、「Music Revolution!」の前には「壬生義士伝」を見なくてはいけないのです(客席大拍手)
カーテンコールの3回目はスタンディングオベーションでした。
私が壬生義士伝からある台詞を引用して、出演者がエイエイと言いますからみなさんはオーとお願いします。2回。
(客席が戸惑う)2回にオーオーになっちゃう?あ、エイエイオー!エイエイオー!としてください。
(ここで劇場中がすぐに納得)すごい。すぐ返ってくる。背筋を伸ばせ!胸を張れ!雪組公演の始まりだ!
(雪組生)エイエイ (客席)オー!
(雪組生)エイエイ (客席)オー!これで公演も1ヶ月無事にできますしみなさんも元気に過ごせます。
このあたりの反応の速さ、阿吽の呼吸も初日ならではでしょうか。
劇場中が即座に理解して2,000人の思考が一致する空気が手に取るようにわかりました。
舞台の余韻と雪組さんの熱気に包まれながら客席を後にすると、流れてきた「さよなら皆様」がだいもんの歌声になっているではありませんか。
最後までゆったりと聞いてから劇場を後にしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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