こんばんは、ヴィスタリアです。

花組「マスカレード・ホテル」の青年館初日を観劇してきました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、一部内容に触れています(事件のネタバレはしていません)。
「マスカレード・ホテル」は全体的にバランスの取れた作品で、芝居・歌・ダンスのレベルも高く、満足度の高い舞台でした。
人気ミステリーの見事な宝塚化 「マスカレード・ホテル」
小川理事長が年頭のインタビューで「どんなジャンルのものでも宝塚でやれば宝塚なる」といったことをお話されていました。
まさにその言葉の通り「マスカレード・ホテル」の舞台は人気の現代ミステリーが見事に宝塚歌劇として昇華されていました。
東野圭吾氏の映画化もされている人気の原作をどのように宝塚歌劇にするのだろうと思っていたのですが、
歌も踊りもあってフィナーレもあって品と美しさ、夢のある舞台になっていました。
ミステリーなので事件が起こるため、事件の概要や背景、トリックなど説明しなければいけないことが多いためセリフは多めです。
長いセリフも多いです。
その膨大なセリフをかなりの早口で客席に伝えるあきらさん(瀬戸かずや)、つかさくん(飛龍つかさ)はじめ警察関係者の花組生の滑舌、芝居心のある演技があってこそ客席が置いてけぼりにならないのだと感じました。
ヴィスタリアは原作の小説を読んで予習して観劇に挑みましたが、未読であっても楽しめる舞台ではないでしょうか。
事件の説明には最近の宝塚には欠かせない映像のプロジェクションが使われるのではないか?と思っていたのですが、
まさかのホワイトボードが登場していました。
しかもそれが役のキャラクターを際立たせる小道具にもなっているのがお見事でした。
セリフが長いゆえに随所にはさまれているナンバーがいい息抜きといいますか、
「この事件はどうなってしまうんだろう」という緊張感を和らげてくれて全体のバランスが取れていたと思います。
このあたりに谷正純先生の手腕が光っていたと思います。
そしてナンバーではあきらさん、ひらめちゃん(朝月希和)、そしてくりすちゃん(音くり寿)をはじめ歌うまの生徒さんの層が厚くて客席でうっとり…幸せな気持ちになりました。
舞台全編を通して真ん中から端まで歌もダンスも芝居もよくて、この「マスカレード・ホテル」は丁寧に磨きこまれた宝石のように完成度の高い舞台だと思いました。
照明・セット・音楽でうまく展開していてダレることもありませんでしたし、
濃紫✕オレンジ✕薄紫のホテルの制服もすてきでした。
恋愛要素が薄くても宝塚歌劇は成立する
今作でいいなあと思ったことの一つに主役の2人の関係があります。
新田浩介/瀬戸かずやは刑事であることに、
山岸尚美/朝月希和はホテルで働くことに、矜持とプライドを持っています。
男(役)であり女(娘役)である前にプロとプロの人間同士なのです。
それゆえ2人は激しく対立しますが、本気でぶつかり合えるからこそ互いを尊敬し信頼しあう関係性への変化が描かれています。
愛でも恨みでも復讐でもないものを介して男女が対等に渡り合う2人の関係性は、
男役中心で恋愛がテーマになることが多い宝塚では珍しい設定ではないでしょうか。
昨夏青年館で星組「サンダーボルトファンタジー」を観劇したとき同様、
宝塚歌劇の懐の深さ、幅の広さを感じました。

恋愛要素が薄くても宝塚歌劇は充分成立するのです。
そういう意味では原作の通りの終わり方で幕を下ろしてもよかったのでは?と思わなくもないのですが、
なんだかんだオペラで見てしまいました。
初日のご挨拶「またのお越しをお待ちしております」
初日ということで終演後にさおた組長(高翔みず希)とあきらさんのご挨拶がありました。
さおた組長からはるなさん(冴月瑠那)が副組長になられたこと、
ひらめちゃんが雪組から帰ってきたこと、
この公演で夏葉ことりちゃんがご卒業されることのお話がありました。
主演のあきらさんを紹介するときに「これが初の東上主演となります」というさおた組長の言葉に、あきらさんへのおめでとうで胸がいっぱいになりました。
あきらさん、あらためて東上主演おめでとうございます。
あきらさんは「殺人事件を扱っているけれど稽古場は本当に楽しくて元気だった」
「青年館のまわりには球場に国立競技場にいろいろなスポットがあるが盛り上がっていきたい」といったことをお話されていました。
締めのご挨拶は「またのお越しをお待ちしております」というホテルマン魂のこもったものでした。
ヴィスタリアもあと何回かチェックインするつもりです。
初日のキャストごとの感想は次の記事で書きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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