観劇の感想

ルキーニが作り出した「エリザベート」という物語(月組LV感想)

こんばんは。ヴィスタリアです。

月組「エリザベート」大劇場千秋楽のライブビューイングのその他のキャストの感想です。

狂言回しだけではない語り手としてのルキーニ/月城かなと

大きな目を見開き血走らせたれいこちゃんのルキーニは気迫が伝わってきました。
ルキーニはれいこちゃんのニンではないと思うのですが、そういったことを吹き飛ばす熱演でした。
れいこちゃんは役、演技の幅をひろげて一番ステップアップしたようにヴィスタリアは感じました。

れいこちゃんルキーニは無政府主義者のアナキストという過激さより、尋問され続けて正気を失っている過激さを感じました。

そう印象づけられたのが、「ミルク」の場面だったと思うのですが、迫力の合唱がはじまる中でケタケタと高笑いが響き渡りました。
LVだとすべてが映っているわけではないので声はすれども姿は見えず、これはトート?でも声も笑い方も違うような?と思ったら、目をギラつかせて笑うルキーニが映りました。

合唱とまったく相容れない不協和音の高笑いが舞台に厳然とあって、「エリザベート」はルキーニの口から語られる、ルキーニの頭の中で作られた話なのだとヴィスタリアは思いました。
(この話はルドヴィカ/夏月都で後述します)

ルキーニは”狂言回し”と紹介されることが多いので忘れそうになりますが、「エリザベート」の始まりはルキーニの亡霊たちへの呼びかけであり、これはルキーニが語る物語なのです。

ルドヴィカ/夏月都

話の流れでなっちゃんのルドヴィカからまいります。
芝居に熱い月組生と役のイメージがぴったりで見る前から楽しみにしていた生徒さんがたくさんいるのですが、そのなかのお一人です。

ゾフィーとの姉妹関係、身分の上下関係がほんの少しのやりとりで手に取るように伝わってきました。
また愛娘ヘレネのかわいがり方が「こういう母親いるいる」と思わせるリアリティがありました。

また今回は事前に、夏月さんのトークショー(お茶会)に参加された茶々吉さんのブログを読んでいたこともあってなっちゃんに注目していたのです。
茶々吉さんにご快諾いただいたので紹介いたしますね。

「エリザベート」に3回出演された夏月さんですが、今回はルキーニの存在に注目して演技をされているというお話が紹介されています。

茶々吉さんも書かいておいでですが、ヴィスタリアも目から鱗でした。
そしてそうやって月組「エリザベート」を、れいこちゃんのルキーニを見ると、この舞台はルキーニが語る物語にしか見えなくなりました。

ゾフィー/憧花ゆりの

この作品で卒業されるすーさんのゾフィーは、これまでのゾフィーで一番怖いと思いました。
歴代キャストのゾフィーのなかでもヴィスタリアがナンバーワンと思ってきたタキちゃん(出雲綾)の迫力のある怖さとはまた違う怖さでした。

すーゾフィーの冷徹で冷酷な厳しさは”宮廷で唯一の男”と呼ばれるのが大いに納得でるもので、ここから役を膨らませていったのかな?と感じました。

重臣たちの上に威厳を持って立ち、フランツを動かしているのがまさに”男”、影の皇帝のようです。
メイク、仕草も工夫されていて特に扇の扱い方が目にとまりました。
また若いときと老いてからではこの扇の持ち方、仕草がすっかり変わっているのもさすがだと思いました。

すーゾフィーで舌を巻いたのは、年を取っていくにつれてただ老化しているのではなく健康上の問題を抱えているというか、どこか体の調子が悪くて健康とともにゾフィーのエネルギー、パワーが失われていくのが伝わってきたことです。

老け役、老いていく役でこんな表現を見たことがあったでしょうか。

すーさんにはまだ卒業してほしくない、まだまだ月組にいてほしいと思うのですが、サヨナラショーで歌う姿、最後の挨拶をきいていると、すーさんのなかでもう区切りはついていて悔いはないのかなと思いました。

すーさん、卒業おめでとうございます。
自信に変えて歩むというこれからの道を応援しています。

ルドルフ/暁千星

追い詰められていく繊細さ、誰も頼れず助けてくれない孤独が伝わってきました。
ハプスブルク家を救うために自分の道を信じているという張り詰めた切迫感、脆さと危うさがありました。

急進派たちと組むことも、エルマーたちを逃がして自ら捕らえられるところにしても「こうするより他にない」という思いつめた視野の狭さが表現されていたと思いました。

ヴィンディッシュ嬢/海乃美月

美しかったです。
うみちゃんは最近、美しさにますます磨きがかかっているように思います。
LAST PARTYなど写真でもそれが伝わってきます。

そして姿だけでなくうみちゃんのヴィンディッシュ嬢は心が美しかったです。

この舞台のなかで客席に与えてくれたものをどうにも言葉にできなくて、もう一度確かめたいと思っているのがうみちゃんです。

透明で美しい涙を流してエリザベートに触れる演技は圧巻でした。

エルマー/蓮つかさ シュテファン/風間柚乃、ジュラ/春海ゆう

なぜ彼らが三色旗のドレスを着ているエリザベートにこれほど怒っているのかがビリビリと伝わってきました。

特にれんこんくん(蓮つかさ)のお顔の小ささ、美しさが目をひきました。
3人の違いは次の機会にじっくり見たいです。

マックス/輝月ゆうま

まゆぽんのお顔の美しさ、端正さ、歌唱力、演技まで際立っていました。
同期で、入団から10年もしないで父娘役をやっているってよく考えたらすごいことです。

ヘレネ/叶羽時

あまりにもうまくて、ヘレネという平凡な女性(褒めています)がこれほど輝かせている演技に脱帽でした。

ヘレネはお見合いでゾフィーに「ひどいドレス、変なヘア(スタイル)」とこきおろされますが、時ちゃんのヘレネはちゃんと変なヘアスタイルをしています。
それも「かわいく見えるには、皇帝陛下や皇太后様に気に入っていただくにはどんなふうにしたらいいかしら」と考えて迷走した果てにやってしまった感のあるヘアスタイルだとヴィスタリアは思いました。

またシシィが綱渡りから落ちて意識を取り戻したとき、ベッドのシシィを見つめる表情が優しいお姉ちゃんの顔になっていたのも印象的でした。

リヒテンシュタイン/晴音アキ

アルト寄りの声が美しく、話し方にも合っていて好印象でした。

1幕最後でエリザベートと話したいというフランツに「お声は聞こえますでしょうからどうぞ」と物越しの対面を告げるところなど、 上司の権力=自分の権力と勘違いしている秘書のような、鼻持ちのならない感じがほんの少しにじんでいるのがよかったです。

重臣たち

一人ひとりお名前をあげられてごめんなさい。

演技と舞台を楽しんでいる余裕を感じました。
特にラウシャー大司教/千海華蘭の過激派についてなにを望んでいるかを窺わせる人間としてのいやらしさ、うまいと思いました。

月組バンザイ!すべての歌詞とセリフが息づいていた

LV感想の最初にも書きましたが、芝居の月組が作り上げた「エリザベート」はどの人物もなぜその行動をとるのか、なぜそのセリフを喋りその仕草をするのかが見ていて自然と腑に落ちるような説得力、厚みがありました。

すべてのセリフに息がふきこまれていました。

上演前まではヴィスタリアは”いまの月組と「エリザベート」が似合わないからこそ期待したい”と思っていたのですが、予想以上のすばらしい「エリザベート」に出会えてうれしいです。
東京で見られるかまだわからないのですが、この目で、劇場で目撃できるようがんばろうと誓いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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