こんばんは、ヴィスタリアです。
宙組「ホテルスヴィッツラハウス」の役ごとの感想です。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
ロベルト・フォン・アムスベルク/真風涼帆
貴族とバレエダンサーの血を引き、ドラマスクールに入っていた経験があって人気俳優間違いなしの二枚目でありながら
スパイキャッチャーという仕事にプライドを持って生きている――ロベルトはかっこいい要素がすべて詰め込まれたような役です。
しかも登場シーンからしてハット、ロングコート、煙草、スーツという男役のかっこよさのすべてが凝縮されていて、
ゆりかさんの佇まい、一挙手一投足のすべてがかっこよかったです。
ゆりかさんのスーツの着こなし、見せ方は男役の美学を極めていて、
男役を超えて本物の男性の理想的なかっこよさに限りなく近いと思います。
これは誰にでもできるものではないでしょう。
ロベルトはうんと粋で仕立てのよいスーツを何着もお召し替えされて眼福ですし、
上着を脱いでのビリヤードのキューを持ってのダンスナンバーは最高にかっこよかったです。
煙草を吸う、あるいは差し出す、デスクに腰かけて電話をかけるといった仕草の一つひとつも完璧でため息ものです。
またニーナ/潤花に出会って惹かれ、ディナーに誘ってじ…っと目を見つめて手の甲に口づけたり、
自身のタイをほどいたりニーナのリボンタイもほどいたり…恋愛の手管も美しくてときめきました。
何度かキスシーンがあったのですが背中を向けない技を2回も見せてくれて、
オペラグラスを下ろせませんでした。
(ニーナと「最上階のバーで8時に」と約束をして手の甲に口づけを落とすのは「グランド・ホテル」の男爵を連想し、
ゆりかちゃんの色気と野性味にあふれた男爵を見てみたくなりました。)
さらに仕事に生きる男としても恋に堕ちた男としてもたまらないセリフが散りばめられているのもときめきました。
ニーナ・デュボワ/潤花
この公演から宙組トップ娘役となったかのちゃん。
おめでとうございます!
「ハリウッド・ゴシップ」「炎のボレロ」はとにかく一生懸命でまだ硬さがあるかな…と感じることもあったのですが、
芝居が自然なものになり役として息づいていて大きな進歩を感じました。
ニーナというバレエが大好きでチャンスをつかもうとする女の子の不安と期待、バレエへの情熱、
親友シルヴィへの正直な気持ちに等身大で人間的な魅力があり「わかるよ」「そういうことあるよね」と思いました。
あるヅカファンの大先輩の方が「グランド・ホテルのフラムシェンが見たい」と仰せで膝を打ちました。
「グランド・ホテル」は大好きなミュージカルであり月組再演に思い入れもあるのですが、
いまのかのちゃんにフラムシェンはぴったりだと思います。
(前述のようにゆりかさんは断然男爵が見たいので
トップコンビがカップルにならないのがネックではありますが…そのくらい真剣に宙組再演を考えたくなりました。)
得意のバレエは劇中バレエでもたっぷり魅せてくれて、「シェヘラザード」の寵姫はもちろんのこと、
稽古場風景での振付の確認での優美な腕の動かし方、バーレッスンでも目が吸い寄せられました。
天性の華のあるかのちゃんがこれからどんな役を、舞台を見せてくれるのか
ニーナを見て一層楽しみになりました。
ヘルマン・クラウスナー/芹香斗亜
若き実業家で芸術に深い理解と理想があり、友情と恋する人を心から大切にする――ヘルマンもまたかっこいい要素を集めた役です。
そしてキキちゃんのスーツにロングコート、
ビリヤードのナンバーとかっこいいをお姿をたくさん見られて幸せです。
「オーシャンズ11」のバディのような友情とはまた違う、まかキキの男の友情、
渡り合うシーンを見られたのもうれしいですし、
よきトップスターと二番手スターが充実の時期を迎えているんだなあとあらためて思いました。
植田景子先生は「ハンナのお花屋さん」のアベルにしても今作にしてもキキちゃんに叶わない恋を抱かせたいのですね。
わかりますよ、景子先生の作品に限らず「金色の砂漠」のジャーも「アナスタシア」のグレブも
遠い思い出に浸ったり叶わない思いに苦悩するキキちゃんがたまらないですものね。
ただそういう役が続いていますからそろそろ幸せになるキキちゃんが見たいのですが、
次は「シャーロック・ホームズ」のモリアーティーが待っていますからもう少し先になるでしょうか。
アルマ・ミュラー/遥羽らら
若く魅力的な未亡人というプロフィールの通りららちゃんの美貌が輝いていました。
ツーピースもドレスも着こなしがすばらしく、
特にベージュのパンツスタイルに毛皮が最高にかっこよくて
スタイルがよくないと着こなせない衣装だと思います。
「オーシャンズ11」のラスティーとポーラのラブラブあつあつなキキららとは違う2人で、
ヘルマン/芹香斗亜への寄り添い方、
煙草を吸ったり手鏡をのぞく仕草が映画女優ようで素敵でした。
どこかミステリアスで危うさもあって、ヘルマンがアルマを放っておけないのがわかります。
一方で彼女の中ですぱっと割り切っている男性のあしらい方はチャーミングでもありました。
ユーリー・バシリエフ/桜木みなと
最近宙組を観る度にずんちゃんの芝居・歌・ダンスの巧さと
発光しているようなオーラと色気にどっぷり嵌りそうになっています。
今回もずんちゃんの大変な色気が滴っていて危なかった…深い沼に落ちるのも時間の問題のような予感がしています。
ユーリーは振付家兼バレエダンサーで、稽古着のシャツ1枚で美せる首筋や背筋に纏っているもの、立ち方居方から
バレエダンサーなのが自然とわかりずんちゃんの巧さを感じました。
台詞から伝わるもの以外の演技の深い表現と濃い色気が滴っていてずんちゃんから目が離せません。
センターパートの長めの髪をさっと払う仕草がもう…!
神経質そうな雰囲気と繊細な美を纏っているスチールもたまりませんし、
素顔のプロフィールもどこか役の気配が残っているようで素敵でした。
この日はフィナーレのカップル振りでずんちゃんのハットが落ちた際に、お相手の娘役さんがさっと拾って胸の前に抱え、
上手から下手に移動してから「はい」とお返ししていました。
まるで恋人の気を引く女の子なような可愛らしさでフォローしていた娘役さんは栞菜ひまりちゃんと教えていただきました。
その他の役
一言ずつですが触れらせてください。
◆マーサ・ウェリントン子爵夫人/万里柚美
専科生となったユズ長の舞台を初めて観ることができました。
ゆりかちゃん、キキちゃん、るりこちゃんと星組育ちのスターさんたちも久しぶりの共演はうれしかったことでしょう。
プログラムのスチールの憂いに満ちた表情も美しく、ユズ長の華やかな美貌と芝居の存在感はこの舞台を一層豊かで味わい深いものにしていました。
1幕は迫力と身勝手さに慄き、2幕は彼女の幸せを祈りたくなりました。
◆アレクサンドル・ド・ミハイロフ侯爵/寿つかさ
すっしぃさんがホテルでロシアの貴族を演じていると「オーシャンズ11」の名演技を思い出します。
ミハイロフ侯爵は本物の貴族で芸樹を心から愛する志高い人物です。
すっしぃさんの慈愛や気品に包まれている安心感を感じていました。
◆ペーター・シュミット/松風輝
心優しきホテルスヴィッツラハウスの支配人です。
「FLYING SAPA」の母親役もですが中の人の優しさ、あたたかみが滲むのかまっぷーさんはこういうお役が似合いますね。
終幕のシーンでホテルのゲストを見て見ぬ振りをするところが印象的でした。
◆リチャード・ホールデン/美月悠
「アナスタシア」のゴリンスキーも不気味な存在感を放っていましたが、今回も舞台をぐっと締める存在感でした。
舞台が厚みを増します。
◆ネイサン・ヒューズ、ラディック・ブリーチェク/紫藤りゅう
るりこちゃんが「アナスタシア」に続いて2役でした。
心ある芝居をされるので1幕も2幕も安定感がありました。
が、心ある芝居が光る方だからこそ通し役でじっくりたっぷり見たい思いもありました。
◆エーリク・カウフマン/瑠風輝
ロベルト/真風涼帆の仕事の相棒であり2人のシーンも多かったです。
長身かつ超絶スタイルのもえこちゃんのスーツがとてもかっこよくて
特に背中、後ろ姿の美しさが印象的でした。
エーリクは24歳の希望に満ちた青年でまだ見知らぬ世界があることが窺える最後のロベルトとのやり取りがとてもよかったです。
いつかきっと彼もそんな経験をしてロベルトが言っていたことはこれか…!と思い至る日がくるのではないでしょうか。
◆エヴァ・ヒューズ/小春乃さよ
歌がすばらしいのは知っていましたが、演技が確かなのはもちろん芝居の声もまろやかで口跡も鮮やかで耳から幸せにしてくれました。
編み込んだヘアスタイルがとてもかわいかったです。
◆チャールズ・パーカー/希峰かなた
思わず笑ってしまうキャラクターを絶妙に演じていて楽しませてくれました。
落ち込んだり盛上ったりと落差が大きいのですが、彼にとっての大きなできごとからもきっと元気に立ち直ってくれることでしょう。
もう1役( ハロルド・ショー役)との演じ分けも鮮やかでした。
◆ヨハン・ベルマー/澄風なぎ
只者ではない存在感がじんわりと滲んでいて、低い声が他の人にはない魅力があってもっと聞いてみたいと思いました。
たっくくんは「壮麗帝」でアルヴィーゼを演じていらっしゃたんですね。
(まったく違うドラマですが雪組「ヴェネチアの紋章」でさきちゃん(彩風咲奈)が演じる役です)
スカイステージの録画を見直したくなりました。
◆シルヴィ/春乃さくら
ニーナ/潤花の親友のバレエダンサーです。
歌いながらのセリフの確かさにさーちゃんの歌唱力の高さを感じました。
恋をしている女の子の幸せいっぱいの高揚感がまぶしくて、ピンクのお衣装がとてもかわいかったです。
◆ジョルジュ・ヤーコプ/泉堂成
フランス人のバレエダンサーで登場のシーンから派手な回転技があり、
明るく花が咲くような笑顔が輝いていました。
劇中のバレエ「シェヘラザード」では を踊りに目吸い寄せられました。
なるくんは105期生。
別箱公演は下級生も役がついて覚えることができるのもうれしいです。
「群盗」以来の宙組別箱公演の観劇が叶ってうれしかったです。
今作からゆりかさんの相手役が100期の星風まどかちゃんから102期の潤花ちゃんに変わりましたが
しっとりと大人っぽい雰囲気になったように感じました。
そう思ってお披露目本公演「シャーロック・ホームズ」の先行画像を見ると雰囲気に合っていて素敵で、
「シャーロック・ホームズ/Delicieux!」で新しい宙組が全員そろうのが一層楽しみになりました。
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