観劇の感想

花組「うたかたの恋」新人公演観劇の感想

こんばんは、ヴィスタリアです。

東京宝塚劇場で花組新人公演「うたかたの恋」を観劇してきました。

ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想です。

花組「うたかたの恋」新人公演 3年ぶりに東京で上演

ありがたいことにお声がけいただいて観劇することが叶いました。

花組の新人公演を観劇できるのは2019年「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」以来ですが、
そもそも東京で花組の新人公演が上演されるのもこのとき以来3年半ぶりのことなのですね。

99期最後の新人公演から102期最後の新人公演までが東京宝塚劇場では新人公演ができなかったのだと思うと長かった…本当に長かったです(涙)

公演終了後に102期のだいやくん(侑輝大弥)がご挨拶で
東京での花組新人公演が約3年ぶりであることに触れながらその日々を振り返っていましたが、
真摯で落ち着いた、すばらしいご挨拶に胸を打たれました。

だいやくんが主演をつとめた「巡礼の年」新人公演も東京ではできなかったですものね(涙)。

今回はフランツ・ヨーゼフ(本役 峰果とわ)を重厚に演じただいやくん
声の出し方も役に合わせて低く重々しくしながらも台詞がきちんと聞き取れたことに進化を感じました。

というのも本公演ではつらつと演じている記者クロードとはまるで違う声だったからです。

102期の卒業についてOGのるなさん(冴月瑠那)が触れています↓

花組「うたかたの恋」新人公演 役ごとの感想

()内は本役さんです。

◆ルドルフ/希波らいと(柚香光)
本役のれいちゃん(柚香光)は憂国の皇太子で哀しみと死の気配を色濃く纏っていますが、まったく違るルドルフ殿下がいました。

103期の希波らいとくんは二度目の新人公演主演ですが、れいちゃんとはまったく違うアプローチで、ご自身のルドルフを演じたのだと感じました。

明るさと爽やかさがあり、まっすぐなルドルフでした。

178cmの長身に見事な手足の長さ、スタイルのよさに何度息をのんだことか。
軍服にスターブーツが映えます。

らいとくんらしいまっすぐさは終演後のご挨拶にもあって、二度目に緞帳が上がったときに主演ですから一歩前に出なければいけないのに
その場で話し出してしまって場内からあたたかい笑いが起きていました。

自分は2階B席から観ていたのですが、らいとくんがしっかりと体の向きを変えるようにしてれいちゃんのことに触れていたので、どのあたりに本役さんたちが座っているのかがよくわかりました。

◆マリー・ヴェッツェラ/七彩はづき(星風まどか)
107期のさーやちゃん(七彩はづき)がマリーに抜擢されました。

本公演ではオフィーリアを踊っていて綺麗な娘役さんだな…と思っていましたが、こうして芝居や歌をたくさん観るのは初めての機会でした。

声も聞きやすくて歌も綺麗ですね。

さーやちゃんのマリーが本当に初々しくて、かわいらしくて、
最初はルドルフ殿下に対して恋というよりはファンのような憧れを抱いており、それがだんだんと恋になっていくのが伝わってきました。

だからこそルドルフにとって清らかな乙女であり「小さな青い花」であるのがすとんと腑に落ちました。

こんなかわいくて純真なマリーならそりゃあルドルフだって傍にいてくれと懇願し、自らの誓いを破り、そして悲劇的な選択をするのもわかるなあ…と客席で納得しながら観ていました。

◆ジャン・サルヴァドル/天城れいん(水美舞斗)
今回一番印象的だった男役さんが104期の天城れいんくんでした。

長身でスタイルがよくて舞台映えするので軍服姿のプロローグから目をひかれました。

本公演でハムレットを踊っていますが、芝居も巧いし声もよく聞き取れて歌も巧いことを今回のジャン役であらためて知ることができました。

バウ「殉情」(主演:帆純まひろ)で幇間の役をしっかりと演じていましたがコミカルな要素の強い役どころだったので、
ジャンという狂言回しを兼ねた、そして難しい役をものにしていることが強く印象に残りました。

これからも楽しみにしています。

◆エリザベート/朝葉ことの(華雅りりか)
そして娘役さんで一番印象的だったのが103期の朝葉ことのちゃんです。

本公演のラリッシュ伯爵夫人も存在の派手さと華やかさと気品が絶妙で見事に大人の女性を演じていますが、エリザベートもすばらしかったです。

観る前から期待していたのですがそれ以上でした。

エリザベートの皇后たる気高さと品格、そして息子ルドルフを心配し夫フランツに添う、歳を重ねた母親であり妻であることがとても自然に伝わってきました。

なおかつ「宮廷では花はすぐ枯れてしまう」という台詞に象徴されるような、ここに本当の居場所はないと魂が漂泊している寂しさが滲んでいました。

ドレスの着こなしも美しいですが特に舞踏会のデコルテの出ているドレスが素敵でした。

なんでもできることのちゃん、頼もしくて楽しみな娘役さんです。

◆ツェヴェッカ伯爵夫人/二葉ゆゆ(鈴美梛なつ紀)
同じく103期の二葉ゆゆちゃんもすばらしかったです。

金髪のカツラにお化粧も綺麗でとてもお似合いで、今までのゆゆちゃんで一番好きかもしれません。

ポーランドという歴史に翻弄される国の女性でスパイをしている悲哀、そして妖しさがとても印象的でした。

笑い声をあげるところは本公演とははっきり変えてきたところで、哀しくてかわいた笑いにぞわっとしました。

ダンスの名手であるゆゆちゃんですが芝居心があって
もっともっといろいろな役を見てみたいと思いました。

◆フリードリヒ公爵/海叶あさひ(羽立光来)
昨年は休演もあった103期のおぶちゃん(海叶あさひ)、元気に舞台に立たれていてうれしいです。

そして立ち方歩き方からして別人!というくらいフリードリヒ公爵という役に溶け込んでいるのを感じました。

カーテンコールのときもまだ役として息づいているのでは…と感じるほどでした。

声も役に合わせて深く低く、そして聞きやすかったです。

かなり存在感のある人物でハプスブルク家のその後も暗示するような台詞が印象的な役どころですが、
おぶちゃんにはそのずっしりと重たい存在感がありました。

◆マリンカ/詩希すみれ(咲乃深音)
本公演でもミッツィとして美声を聞かせてくれる103期の詩希すみれちゃん、新人公演ではロシアの歌姫としてすばらしい歌を聞かせてくれました。

ロシアの元貴族の落ちぶれて酒場で踊っているという悲哀、ちょっとはすっぱな感じもあるのが上手だと思いました。

◆ステファニー/都姫ここ(春妃うらら)
この公演で退団してしまう104期のここにゃん(都姫ここ)

本公演のマリー・ヴァレリーも公園の女もショーもかわいさがスパークしていてあまりにも早すぎる退団が寂しくてなりません。

最後の新人公演もすごくよくて、かわいくて、なのにどうしてやめちゃうの…(涙)

舞踏会で夫ルドルフと踊るマリーに嫉妬を露わにしますが、このときの表情、身体の向き、動かし方に
皇太子妃としてのプライドでどうにか平静を保とうとながらもどうしてもマリーへと感情が向かっていってしまうのがありありと伝わってきたのです。

白めに塗ったお化粧と金髪もかわいいかわいいここちゃんに似合っていました。

もっと娘役のここちゃんを見ていたかったです。

それにしても新人公演ってやっぱりいいですね。

1回に懸ける思い、気合いのすごさに胸を打たれますし、今回もコーラスに込められた思いの大きさ、強さに感動して泣きそうになりました。

歌声の圧がうまいとか下手とかそういう次元の話ではなく、今ここにしかない特別なものなのが感じられるんです。

そして本公演とはまた違う、作品の、役の、まっすで素直な、いい意味で剥き出しの魅力に触れることができ、知らない生徒さんのことを知ることができる、貴重な機会です。

もうこれ以上中止になることなく、この生徒せんにとってもファンにとってもすばらしい機会が、公演ができてほしいと心から思います。

久しぶりに花組の新人公演を観劇できてうれしかったです。
すばらしい新人公演でした。

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